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文献リストを持ち歩け

教員や他の学生様と卒論の相談をするのはとてもよいことです。どんどん相談してください。

ところで、論文というのは文献をちゃんと読んだり参照したりするのが基本なので、文献情報はとても重要です。レポートでちゃんと参照文献リスト書け、みたいなのを口をすっぱくして言ってるのはその準備作業ですわ。

んで、自分がいまままでどんな文献(本、論文)を読んだのかというのはとても重要な情報です。そのリストがなければ指導とかできない。「えと、その件についてはどの文献みたんだっけ」「わすれました」「なんとかっていうひとの論文みたいなの」「そのなんとかって誰よ、なにを言ってるのかわからんがね」みたいなまったく意味のない会話をしなきゃなならなくなる。

だから、卒論書いている人々には、いつも文献リストをもちあるいてほしいとお願いしております。いままで読んだ関連する書籍・論文のリスト、それに、あちこちで気づいたりした(これから読むべき)文献のリストの2個をいつも持ち歩きましょう。

まあ紙でもってあるく必要はまったくないので、EvernoteGoogle Keepのようなメモ帳サービスにどんどん追加していけばいい。大学来た時それみて図書館から本を借り出すとか、府立図書館の近くを通った時借り出すとか。

そういうメモを残して見直したり利用したりする習慣というのはとても重要で、だからこそ1回生のときからメモを取れメモを、とかずーっと言ってるわけです。4回生ぐらいになってもそういうのがわかってないようではやばい。会社入っても同じこと言われます。


PDFは専用アプリで読むのだ

講義やゼミの学生様たちに、教材として自分で作った各種のPDFや、場合によっては裁断してスキャンした書籍の一部抜粋などを、メールしたりオンラインの状態で渡すこともあるわけですが、それをiPhoneやiPadなどのスマホやタブレットで読もうとするときに、いちいちリンクをたどってスマホのブラウザで読んでたりすることに気づきました。オジさんびっくりしましたよ。

まあそれでも読めることもあるだろうけど、いちいちネット使って見ていて遅くて重くてイライラするっしょ。私そういうのに耐えられる神経がわからないです。もっとサクッと一発で読みたい。

PDFなどは端末にダウンロードして、専用のアプリで読むものです。

iBookとかの標準のアプリつかってもいいけど、Adobe Acrobat Readerなどの専用アプリがあるのです。こういうのは動作もブラウザで読むのに比べればずっと速いし便利。

ネットで「iPhone PDF」などで検索すればいろんなサイトが引っかかってくるからそういうの参考にして設定するべし。ファイルの転送はケーブルでPCとつないでもいいし、Dropboxなどを中継に使っても簡単。

私自身は、今のところ横書きのはGoodreader、縦書きのはi文庫HD(iPad専用)ってので読むことが多いです。他にもよさげなアプリはけっこうある。

あと、タブレットは便利なので1枚もっておきたい。iPhoneで十分ってのはないと思う。おすすめはiPadの10インチのやつ。大きくて見やすい、重さもがまんできる。

それにしても、道具に無頓着というのは大学教員として非常に気になります。学生様のみなさまにおかれましては、いちおう大学を出て知的な仕事をする職業につこうとしているわけで、WordやExcelの使い方などには習熟してなきゃならないし、スマホその他の機材やネットサービスの使い方を知っていれば、知らない人よりはるかに効率的に仕事ができる(はず)。いまやってる作業や課題や仕事をもっと楽にする方法はないのか、いつも考えてみてほしい。

少しでも楽に生産性をあげるために、ちょっとぐらい情報収拾し試行錯誤する時間やお金を投資してみてもいいのではないかと思います。


(個別の事務的な)質問の前には名前や所属を教えてください

えー、これはお説教というよりはお願いなのですが、大人数講義が終わった後に教員に質問に来るときは、最初に所属とか名前とか言ってもらえると対応が楽です。

「あのー、しばらく欠席してたのでレポート返却してもらってないんですが……」(ずいぶん前の話だな、なんでいままでとりにこなかったのだろう、ごちゃごちゃの書類の山に埋もれてしまったか)「え、ああ、悪かったですね、……えと、名前なんでしたっけ、学部は、学生証番号は?いや口で言われても覚えられないからメモかなんか書いてもらうか、メールしてもらえないかしら」とかやるのはけっこうしんどいものです。

最初に「〜学部の〜です、欠席してたので」だと(あ、なんかの実習かな)とかで反応がちがったりする。「4回生の〜です」とかだと(就活とかたいへんだったのかな、しょうがないな)みたいな心の準備もできたりするし。

まあ授業後にかぎらず、各種の用事で研究室に来たり、道端で声をかけるときも、「〜学部の〜とかです、〜の講義を受講しているのですが」とかからはじめてもらうと楽です。「3回生の〜ゼミの」とかもよい情報で、(あー、〜先生には世話なってるからいろいろ配慮しないとな)ぐらいのこと考えたりする(まあそういうのあんまり考えちゃだめなんだけど)。

高校まではネームプレートつけてたり、座席表があったり、クラスの人数がせいぜい50人ぐらいで教師の方も名前をおぼえやすいし、おぼえてなくてもおぼえてるふりはしやすいのですが、150人とか200人とかの授業15回程度で、教員が顔と名前覚えるのは無理ですわ。基本的にはあなたたちの名前も顔もおぼえてないと思ってください。これはもうしわけない。

んで、まあ匿名の人と話すというのは心理的圧迫があるし、名前を聞くというのもかなりエネルギーを必要とすることなんですわ。そういうわけで、最初に名前なのってもらうとかなり楽です。

まあついでなので、もうちょっと講義終了後の教員の心理について書いてみます。

1時間半の講義が終わった時というのはたいていの教員は各種のエネルギーを使い果たしてます。面倒な勉強話をしなければならないのに加え、学生様が退屈してないかとか、室温は適切かとか、居眠りされていやだなあとか、私語しているやつをどうするかとか、まあそういうことをいろいろ考えながらやるので、体力的にも精神的にもカラータイマーがピコピコ言ってます。「はらへり」「とにかく喉がかわいた」「ビール飲みたい」「あれ俺もアル中じゃないだろうか」とかってこと考えたり。

こういうのに加えて、終了後は、説明は分かりやすかったろうか、混乱させたのではないか。あれとあれを結びつければよかったぞ、次はそうしようとかの授業の反省に加え、場合いよっては、研究のアイディアを見つけたぞ!みたいなときもあるのです。入門用の講義でも、話しているうちにけっこう勉強的に重要な発見をすることがあって、そういうのは研究者としての教員にとってものすごく大事なのね。基本的に講義終了直後はあたまが学問の世界に入ってる場合がおおい。だから講義内容に関する質問はわりと、自分の発想その他を発展させたりできるので嬉しかったりもします。

でもそういうタイミングで、「レポートが」「欠席何回までOKですか」「私何回休んでますか」みたいな事務的なことを尋ねられると頭が混乱してひどいことになちゃったり。これ私だけですかね。

まあそういうわけで、講義直後の教員はいろいろあれな状態になってるので、ちょっとだけやさしくしてください。最初に名前や所属おしえてくれるだけでずいぶん楽になるのです。

まあ実は、事務相手でもどこでも、相手が自分が誰だかわかってないかもしれないってときは、つねに自分の名前名乗るところから始めるのが基本だと思ってよいです。あとマスクはずしておいてね。


授業のお約束2017年版

授業、特に講義のお約束です。2017年版。江口のお願いなので、他の先生の授業はその担当の先生に合わせてください。

  • 私語厳禁。
  • 出席確認と質問・感想等のために「大福帳」を使用するが、出席点はない。病気の時は休んで構わない。健康第一。ただし、文科省様・大学基準協会様などの要求に答えるため、3/4は出席するように。公欠の場合、やむをえない場合には大福帳にその旨書いておくとよい。
  • 授業中の質問、発言は高く評価する。授業によっては、1回の発言で1点、学期10点まで加点することがある。発言ののちに江口からハンコ等をもらうように。本当にどんな質問でもかまわない。たとえば江口の指示が聞き取れなかった場合、聞き落としてしまった場合も質問してよい。エアコンや照明の調整の要求でもよい。
  • なにごとも「他人を無視しない、透明人間にならない」が基本。トイレ等は周りに軽く合図して行ってよい。
  • やむをえず遅刻した場合はそれなりの態度で入ってくること。軽く会釈したりする程度でよい。さっさと席につくこと。友人といっしょにはいってきてどこに座るか相談したりしないこと。
  • 途中退室もそれなりの態度で出ていくこと。事前に連絡しておくとよし。授業に対する嫌悪感、抗議などで出ていくなどは許す。
  • 飲み物はOK。食べ物は可能ならば避けてください。
  • ノートパソコン・スマホ使用はOK。ただしスマホは目立たないかっこよい姿勢(教えました)で使ってください。
  • スライドの写メはパシャパシャうるさいから避けるように。音出ないなら可。そもそも授業後に授業ページにアップロードするので無駄。
  • 机に座ったらまずノートを開いてペンを出す習慣をつけよう。
  • 腕組み・足組みOK。指示待ちで「手はお膝の上」はかっこ悪い。ペンをもっておこう。
  • 居眠りはやむをえないが、机に突っ伏すのはやめて。
  • 授業内容や発言に、セクハラ・アカハラ等の疑いがある場合は、日時等・内容をメモして、あるいは録音などして、担当部署に相談してよい。ただし、疑問があった場合は、直接、あるいは大福帳、メール、大福帳の束にしのびこませた匿名の紙、等で直接疑義・抗議などしてもらった方がありがたい。
  • レポート課題、試験等は最低2週間前に告知する。内容・評価基準等もそのつど伝達する。まえもって質問する必要はない。
  • オフィスアワーは火曜の昼休み・3限。この時間帯は予約不要。他はメール (eguchi.satoshi@gmail.com)で予約すること。

 


落ちそうな単位の頼みかた

そんなものはない。諦めてください。

毎年「大学教員へのメールの書き方」のページは2月と8月にアクセス数がすごいことになって、これはやはりメールで単位もらう交渉しようとしている学生様がけっこういるんでしょうな。

教員がわから見て、試験なりレポートなりが終ったあとに「単位ください」とか言われたってそんなの出せるはずがない。不正だし、そんな話がバレたり噂になったりしたら自分自身が懲罰の対象になってしまう。特になんか対価みたいなのがあるとやばい。

対価とかがなくても、「あの先生は頼めばなんとかなる」みたいな噂が広まるとまじめにやった学生様は腹が立つだろうし、まじめじゃない人は「んじゃ俺も頼もう」ってことになる。そんなのに対応してられるはずがない。

まあ教員側としては、そもそも単位とか落としたくて落としてるんじゃなくて、まあやむなく落としている。「授業で何度もくりかえした簡単な問題なのに」「あんなにいっしょうけんめい指導し」たのになんでこんな書き方するんだ」とかって点数悪い答案見ただけで不快になっていることも多い。そんなときにメールで「単位ください」なんもらったらもう腹たってしょうがないですね。レポートや試験答案用紙に「体育会〜部なのでなんとかお願いします」みたいに書いてるとそれだけで落としたくなることもありました1)弊社ではないけど体育会が強い非常勤先ではよくあった。まあそういうの頼まれるだけで不愉快。「許せん」みたいな感じになって非常に健康によくない。

単位やばい人がなにかできることがあるとすれば、事前に対面で事情を説明してなんかそれなりの対応してもらうことぐらいですかね。事情がやむをえない人なら考えてくれる先生もいるかもしれない。でもニヤっと笑って、「なんでもする?……それじゃ、してくれるかな……勉強を」って言うと思います。とにかく単位を交渉で獲得するなんてのは無理2)実は一つだけある。あなたが卒業回生で、あと1単位で卒業できるとかそういうのであれば、あなたの指導教員を連れてその単位が欲しい先生のところに頭下げに行くとなんとかなる場合があるかもしれない。これはもうそのあなたの指導教員の腕次第になる。あなた個人では無理。


References   [ + ]

1. 弊社ではないけど体育会が強い非常勤先ではよくあった
2. 実は一つだけある。あなたが卒業回生で、あと1単位で卒業できるとかそういうのであれば、あなたの指導教員を連れてその単位が欲しい先生のところに頭下げに行くとなんとかなる場合があるかもしれない。これはもうそのあなたの指導教員の腕次第になる。あなた個人では無理。

読めない漢字・書けない漢字

漢字は大量にあるので、いつまでたっても読めない漢字や書けない漢字があります。読めないのは辞書やネットで検索すればいいわけですが、読めない書けないだとパソコンに入力することもできずに困りますよね。私も困ります。特に明治大正の文章なんてのはほんとうに読めない。最近、永井荷風先生の『断腸亭日乗』をネットに掲載しようってんで入力してるんですが、異体字とか最初はひどく困りました。漢字をどれくらい知ってるかっていうのは漢字文化圏では教養の印なんであんまり知らないのも人文系大学教員としてはくやしい。
以前はそういうのは古典的な漢字辞典に当たるしかなかったわけです。部首から画数とかってあの面倒なやつね。しかし部首の名前とかってのも面倒で、けっきょく部首はどこだとか画数は何画なんだとか面倒くさい。

電子辞書や辞書アプリとかでも漢字辞書は弱点なんすよね。そんなうまく検索できない。

ここ10年ぐらいはWindowsの「手書き入力」とかで入れる人が多いようですが(最近はMacにもあります)、あれもまた面倒すぎる。

『断腸亭日乗』を入力するためにオンラインの漢字辞典をいろいろ見たんですが、けっきょく落ちついたのは「字源」ってとこですね。 http://jigen.net/ 。ここはすばらしい。ふつうの漢字辞典のような部首や画数による分類に加えて、「部品」という概念を導入してくれている。「聡」とかなら「耳」と「公」と「心」からできてるので、その三つを入力して「部品」で検索すれば一発。異体字も示してくれるから、「だいたいこの漢字なんだけどちょっと違う」みたいなのも発見できるし。おすすめですね。

ただこのサイトは漢字の意味は示してくれないので、コピペしてふつうにネットで検索する必要がある。でもこれもいまはいろんな優秀な辞書サイトがあるから一発。よい時代になりました。


剽窃を避ける

剽窃とは

剽窃・盗用 (plagiarism プレイジャリズム)はアカデミックな世界では非常に重大な犯罪です。大学生はすでにアカデミックな世界の一員であって剽窃は絶対に行なってはなりません。「なぜ剽窃をしてはいけないのか」については「なんで丸写しじゃだめですか?」ってページを書いてみました。

このページの冒頭にあげているインディアナ大学の Plagiarism: What It Is and How to Rocognize and Avoid It というすばらしいガイドでは「剽窃」を「情報源を明示することなく、他人のアイディアや言葉を利用すること」として、剽窃を避けるため次のことに注意しなければならないと言っています。

次のものを利用するときはいつでもクレジットをつけ
なければなりません。

  • 他人のアイディア、意見、理論
  • 他人が発言したことや他人が書いた文章のパラフレーズ
  • 多くの人が共通に知っていること(common knowlege)でないような事実、統計、グラフ、図など

この「多くの人が共通に知っていること」はなかなか微妙です。なにが「みんなが知っていること」でなにが「オリジナルな主張・発見」かは、その分野をよく知らないとわからないですからね。別の大学のサイトで、「5冊以上の本などで出典なしに挙げられている」ということを目安として提案されているのを見たことがあります。

パラフレーズ

なかでも「パラフレーズ」はなかなか難しい問題です。パラフレーズとは、ある表現を他の表現で置きかえることなのですが、どの程度違う文章にしなければならないのかをはっきりと示している文章を、国内ではほとんど見かけたことがありません。私は、それが大学におけるレポートの剽窃の横行につながっているのではないかと思います。

つい最近、この件をよく考えてみなければならない出来事がありました。それを利用して、上のインディアナ大学ガイドのような形で問題を指摘してみたいと思います。

次の文章はソースティン・ヴェブレンの『有閑階級の理論』(高哲男訳、ちくま学芸文庫、1998、p. 129-130)の一部です。

人目につく消費を支持するこのような差別化の結果生じてきたこと、それは、衆目の前で送られる生活の公開部分がもつ輝かしさに比べて、ほとんどの階級の家庭生活が相対的にみすぼらしい、ということである。同じ差別の派生的な結果として、人びとは自らの個人的な生活を監視の目から守るという習慣を身につける。何の批判も受けず秘密理に遂行しうる消費部分に関して、彼らは隣人との接触を完全に断ち切ってしまう。こうして、産業的に発展した大部分の共同社会では、個人の家庭生活は、一般的に排他的なものになる。したがってまた、かなり間接的な派生物ではあるが、プライバシーと遠慮という習慣──あらゆる社会の上流階級がもつ礼儀作法の規範体系のなかでも、きわめて重要な特徴──が生じることになった。なんとしても面目を保てるような支出を実行しなければならない羽目に陥っている出生率の低さは、同様に、顕示的消費にもとづいた生活水準をみたす、という必要性に起因している。子どもの標準的な養育に要する顕示的消費や結果的な支出はきわめて大きく、強力な抑止力として作用する。おそらくこれが、マルサスが言う思慮深い抑制のうちで、最も効果的なものであろう。

非常に示唆的な洞察ですが、こういう硬い文章に慣れない人にはちょっと歯応えがあるかもしれませんね。翻訳調だし。何を言っているかわからない、と思うひともいるかもしれません。

これをある学生さんがレポートで次のように書いていました。

人目につく消費を支持するこのような差別化の結果、他者から見られる生活の公開部分に比べて、ほとんどの階級の家庭生活が相対的にみすぼらしい、ということが言える。また、派生的な結果として、人々は自らの個人的な生活を他人の目に晒されることから守る、と言う習慣を身につける。こうして、産業的に発展した大部分の共同社会では、個人の家庭生活は、一般的に排他的なものになるのである。そして、間接的な派生物ではあるが、プライバシーと遠慮という習慣も生じることになった。顕示的消費に基づいた生活水準を満たすことを考えた際に、子どもの養育に要する支出の増加は極めて大きく、面目を保つための支出に追われているような階級での出生率の低下も考えられる。現代日本の出生率の低下に関しても、原因の一つとして当てはまるのではないだろうか。

この文章を書いた学生さんは、たしかに、レポートの冒頭で一応、

本稿はヴェブレンの『有閑階級の理論』(1998年、ちくま書房、ソースティン.ヴェヴレン1:著、高哲男:訳)をもとに、この顕示的消費と、顕示的消費における(略)

と書いているのですが、それでもこれは剽窃になります。

一つには、 ヴェブレンの『有閑階級の理論』のどのページにあるのか明記していない からですが、もっと重要な問題もあります。ヴェブレンの文章とレポートの文章を比べてみましょう。

人目につく消費を支持するこのような差別化の結果生じてきたこと、それは、衆目の前で送られる他者から見られる生活の公開部分がもつ輝かしさに比べて、ほとんどの階級の家庭生活が相対的にみすぼらしい、ということであるということが言える同じ差別のまた、派生的な結果として、人びとは自らの個人的な生活を監視の目他者の目に晒されることから守るという習慣を身につける。何の批判も受けず秘密理に遂行しうる消費部分に関して、彼らは隣人との接触を完全に断ち切ってしまう。こうして、産業的に発展した大部分の共同社会では、個人の家庭生活は、一般的に排他的なものになるのであるしたがってまた、かなり間接的な派生物ではあるが、プライバシーと遠慮という習慣──あらゆる社会の上流階級がもつ礼儀作法の規範体系のなかでも、きわめて重要な特徴──がも生じることになった。なんとしても面目を保てるような支出を実行しなければならない羽目に陥っている出生率の低さは、同様に、顕示的消費にもとづいた生活水準をみたすことを考えた場合、という必要性に起因している。子どもの標準的な養育に要する顕示的消費や結果的な支出はきわめて大きく、強力な抑止力として作用する。おそらくこれが、マルサスが言う思慮深い抑制のうちで、最も効果的なものであろう。面目を保つための支出に追われているような階級での出生率の低下も考えられる。現代日本の出生率の低下に関しても、原因の一つとして当てはまるのではないだろうか。

ほとんどヴェブレンの記述の順番そのまま、細かいところを自分で入れかえただけです。語順さえも直っていません。このように、このレポートを書いた人は、ヴェブレンの文章の重要な語句のまわりにある細かい語句を変えているだけなのです。 これも剽窃とみなされます。

インディアナ大学のガイドは次のようなパラフレーズは剽窃であるとしています。

  • オリジナルの文章の一部の語句を変更しただけか、あるいは語順を変更しただけである
  • アイディアや事実の出典を示していない

ふつうの大学生なら、「出典を示せ」は耳にタコができるくらい聞かされていると思いますが、パラフレーズの件についてはあんまり指導されていないんではないでしょうか。しかし私も上のヴェブレンの件は剽窃だと考えます。

それではどう書けばいいのか

んじゃどう書けばいいのか、ってのはなかなか難しい問題です。インディアナ大学のガイドでは次に注意したパラフレーズは正当だと述べています。

  • オリジナルの情報に正確に依拠する
  • 自分自身の言葉を使う
  • 読者が情報源を理解できるようにする
  • オリジナルの文章を正確に記録する
  • 文章におけるアイディアにクレジットをつける
  • 引用記号をつけることで、どの部分がオリジナルのテキストからとられたもので、どの部分が自分で書いたものか判別できるようにする

インディアナ大のガイドは、剽窃を避けるためもっと具体的に次のような方な方策を次のように述べています。

  • テキストから直接に書き写したものには常に引用記号(「」)を付ける。
  • パラフレーズする。しかし、いくつかの単語を書きかえただけではだめ。次のようにします。
  1. まずパラフレーズしたい文章をよく読む。
  2. 手でその部分を隠したり、本を閉じたりしてテキストが見えないようにする(テキストをガイドにしちゃだめ)。
  3. 覗き見せずに自分の言葉でそのアイディアを書いてみる。
  • 最後に、オリジナルの文章と自分の文章をつきあわせてみて、まちがった情報を書いてしまってないか、同じ言葉を使ってしまってないかの二点をチェックする。
  • (インディアナ大のには書いてないけど)忘れないうちに出典をつける。

さっきのヴェブレンの文章の前半を、実際に上の方法1と2にしたがってやってみました。

ヴェブレンの『有閑階級の理論』によれば、プライバシーという規範は顕示的消費と関係がある。ひとびとが他の人々に見せつけるために消費するのであれば、他人に見えない部分ではそれほど消費する必要がない。むしろ、顕示的消費を行なうため、見えない部分に費す費用はより少なくなる。そのため、生活の他人に見えない部分は相対的に貧弱でみすぼらしいものになる。そういう貧弱な部分を他人に見せないために、プライバシーを守るという習慣が発生するのである。(ヴェブレン『有閑階級の理論』高哲男訳、ちくま学芸文庫、p. 129)

あんまりうまくないですね。あはは。まあ平凡な大学教員の読解力、記憶力、文章力なんてこんなもんです(私ヴェブレンほとんど勉強したことないしとか言い訳したくなる)。でもここまで来れば、まあ「自分の文章だ」ってな感じでもあります。

さらに教員の側から

まあ私自身が拙いパラフレーズの腕を見せたのは、それが ほんとうに難しい ということを示すためでもあります。私の考えでは、学者の腕のよしあしの大きな部分はパラフレーズの巧拙によって決まります。まあそればっかりやっている業界もあるわけで。

ちゃんと内容を理解しないと適切にパラフレーズすることはできません。逆に言えば、パラフレーズを見ればその人がどの程度内容を正しく理解しているのかがわかる。学生にレポートを書いてもらうのは、授業内容を理解してもらうためなわけで、つまり「適切にパラフレーズ」させることによって内容を把握させたいと思っているわけです。だからそれは一所懸命やってほしいのね。

パラフレーズだけでなく、剽窃一般についてもちょっと書いておきます。レポートを書かせようとするときに一番頭が痛いのが剽窃です。正直、採点するのがいやでいやでしかたがないくらい教員にとって頭痛のタネなのね。

教員の側からすれば、どの大学の何回生がどの程度の文章を書くことができるのかははっきりわかっています。文章がうまい、難しい言葉を平気で使う、斬新な発想がある、なんてのはたいてい剽窃なのね。そんなのに点数出したくない。さっきのレポートでは、一目見たときはどっかのwebからのコピペに違いないと思いこんでしまいました。その発想の豊かさと、奇妙な翻訳調が、勉強不足の大学院生あるいはかなりあやしい大学教員の文章に見えたのです。

べつにうまい文章、きれいな文章、すごい発想なんていらないから、とにかく自分で書いてみてください。

もっとプラクティカル

日本の大学生レベルでは、インディアナ大のような注意をする前の段階の学生が多いと思います。私はもっとプラクティカルなノウハウが必要ではないかと思います。やってみましょう。

さっきのヴェブレンです。

人目につく消費を支持するこのような差別化の結果生じてきたこと、それは、衆目の前で送られる生活の公開部分がもつ輝かしさに比べて、ほとんどの階級の家庭生活が相対的にみすぼらしい、ということである。同じ差別の派生的な結果として、人びとは自らの個人的な生活を監視の目から守るという習慣を身につける。何の批判も受けず秘密理に遂行しうる消費部分に関して、彼らは隣人との接触を完全に断ち切ってしまう。こうして、産業的に発展した大部分の共同社会では、個人の家庭生活は、一般的に排他的なものになる。

たいていの学生はこれだけの文章もけっこう歯応えがあると思います。どうすりゃいいんだろう?そこでまず、次のように書きはじめてみます。

市民社会でのプライバシーの問題について、ヴェブレンはどう考えているのだろうか。

まず自分で疑問文を書く。次に、ヴェブレン本人の文章を引用する。さらに疑問文をつける。

彼は「産業的に発展した大部分の共同社会では、個人の家庭生活は、一般的に排他的なものになる」(p. 119)と述べる。しかしなぜ産業的に発達することと、家庭生活が排他的なものになることが関係しているのだろうか。

ここまで来ると、ずいぶん書きやすくなってくる。これなら答えられるかもしれないと思ったら次のようにすればよい。

ここで重要なのがヴェブレンが注目した「顕示的消費」である。顕示的消費とは〜

「顕示的消費」とかってのを一応説明するわけね。

ヴェブレンの指摘によれば、近代的な共同社会では、顕示的消費のために他人に見えないところに費す費用を抑えるという動機がはたらく。したがって、家庭の内部での生活はみすぼらしい。

さらに、自分の体験から例を加えられればよりベター。読者は、「この人実感でわかってるな」と思います。

たとえば、驚くほど華美な服を着ている女子大生が、アパートに帰るとケバだったジャージ姿でカップラーメンをすすっている、などという光景はいまでも見られるだろう。しかしそういう格好は他人には見られたくない。だからプライバシーが重視されるようになるのである。

もちろんこうして自分の頭で書いていくと、結果的にできるのはヴェブレンの高尚な文章から遠く離れたしょぼいものになる。しかしそれでいいんです。それが文章を書くということなのです。それがなにかを学び理解するってことなのだと思います。


勉強するときの本の読み方

効率よく本を読むにはどうしたらよいか?

実は私もよくわかりません。研究中です。おそらく一生研究していくことになると思います。とにかく本を読むしかないんじゃないかな。

メモをとる

しばしばメモをとっておくとよいと言われますが、どういうメモをとればよいのかもよくわかりません。まあ、

  • なんでも赤線をひく。
  • 気づいたことはごちゃごちゃ本に書きこむ。
  • 付箋(ポストイットなど)を貼る。

ぐらい?赤線を引くにはふつうの赤鉛筆がよいと思います。蛍光マーカーとかはキャップをはずしたりするのが面倒。三菱のやつがよい。付箋はPostit の透明なやつがよいと思います。

大学ノート

1冊の大学ノートを開いておいて、キーワードだけでも書きつけておくという方法があります。落書き気分で。

重要なところはノートをとる

いろいろな手法があり、ずいぶんこだわりのある人びともいます。とりあえず学生さんはWORDのファイルに貯めておけばいいんじゃないかな。本をそのまま抜書きする場合、必ず出典がわかるようにメモしておくこと。あとで役に立ちます。「ギデンス社会学p.13」ぐらいで十分。

手書きの方があとで読みやすいという意見もあるようです。

ここらへんを考えはじめるとキリがない。すでに「知的生産の技術/論文の書き方」産業が新書を中心に発達しているので、そういう本に目を通してみるものよいでしょう。

 紙かPCか

わからん。紙の方があとで見やすいと思う。

PCで電子化してメモをとっておけば、後で再利用しやすい。キーワードで検索するのも楽。あとで再利用するのも楽。しかし気が散るし、あとで見にくい。気が散る。よくわからんです。


司会する

ゼミ、研究会、会議などの司会は非常に重要な役目であり、名誉な仕事でもあります。適切な司会ができるように訓練しましょう。

司会とは

少人数の集りでは喋りたい人が適当に喋ればよいわけですが、ある程度の人数を超えると(10人以上か)を超えると司会が必要になります。司会者の役割とは、 その会議や会合を順調に、実りあるものにすることです

司会者の任務

  • タイムキーパー。一番重要な仕事。なにがなんでも指定された時間内に終
    るのが一番の仕事。
  • 質問者さばき。質問者が多い場合は適切な質問の順番・時間を考える。
  • 質問・コメント。質問者が出ないような発表の場合は、自分自身が発表者に質問してもりあがるようにする。

ティプス

  • 会合の出席者の名前は常にメモしておくこと。性格や考え方なども。
  • 発表・質問の内容はメモしておくこと。
  • 適切なことを言いそうな人に発言を促す。
  • 発表者と質問者との間で話が混乱しそうなときは割って入って問題を明ら
    かにする。論題の明確化が大事。
  • 発表が時間超過しそうな場合は、少人数なら口頭で、大人数ならメモを渡
    して発表者に注意する。
  • 司会者が議論の雰囲気を作ります。発表者や聴衆がリラックスして発言できるように工夫しましょう。司会者が堅苦しいと会合も堅苦しくなります。
  • 議論が堂々めぐりに陥ったときは、「この件は今後の課題として、他に〜」。
  • 難しい用語とかはあらかじめ司会が確認する。

コピー機ぐらい使えるようになるべし

いいですか、お茶くみとコピーとりは基本です。OLの基本ではなく学生の基本であり人間の基本です。

コピー機は現在あらゆるオフィスワークの基本設備です。これがなければなにもできない。だから大学生にもなってコピー機の使い方もわからんようでは就職はおぼつかない。だめ。生きる資格なし。っていうかコピー機の使い方もしらないようでは勉強さえしたことないですね? (Y/n)てことなんでね。

最低限

  • 拡大、縮小
  • オートシートフィーダー
  • 集約(2枚・4枚ぐらいをまとめて1枚にする)
  • ソーター

ぐらいは使えるようになっておくこと。なんのことか分からなかったら
コピー屋さんで調べてみること。

どの会社のもだいたい同じだ。

あとリソグラフとかもね。