セックスの哲学」カテゴリーアーカイブ

男/女/トランスジェンダーの定義 (6) ストック先生の「女性」概念についての論説

Kathleen Stock (2018) “Changing the concept of “woman” will cause unintended harms” のゲリラ訳。著作権的には黒なのですが、おめこぼしを願う感じです。 https://www.economist.com/open-future/2018/07/06/changing-the-concept-of-woman-will-cause-unintended-harms

すでにhatenademianさんという方の翻訳があるのですが、 https://note.com/hatenademian/n/nf73e538912ce 数カ所ちょっとだけ微妙なとところがあるので訳しなおしました(江口)

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男/女/トランスジェンダーの定義 (5) 『トランスジェンダー入門』の「性別」と「アイデンティティ」

というわけで、『トランスジェンダー入門』には「なるほどな」と思わされることが多くて勉強になります。ちょっとだけコメントをいくつか書いておきたいと思います。

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男/女/トランスジェンダーの定義 (4) 『トランスジェンダー入門』での「ジェンダーアイデンティティ」

『トランスジェンダー入門』での「性別」は(我々の古い呼びかたでは)「セックス」ではなく「ジェンダー」の方です。それじゃ、「ジェンダーアイデンティティ」とはどのようなものだろう?

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男/女/トランスジェンダーの定義 (3) 『トランスジェンダー入門』での「割り当て」

まあ前エントリのようなことを考えながら「定義」に関する論争を眺めていたのですが、最近出版された周司あきら・高井ゆと里先生たちによる『トランスジェンダー入門』はよい本でした。いろいろ発見があった。

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男/女/トランスジェンダーの定義 (2) 学術会議の定義のむずかしさ

まあ定義と結論としての規範的判断をつなぐ前提となる規範的判断・原則が私の興味あるものなのですが、とにかくもうすこし定義について考えたい。

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男/女/トランスジェンダーの定義 (1) 定義と規範的判断

「トランスジェンダー」の「定義」についてSNSその他はずっとモメていて、私にはよくわからないところが多くてこれまで何も書いてなかったんですが、そろそろ勉強しないとならない感じで、前期しばらく文献めくったりしていました。考えをまとめるために下のような落書きしてたんですわ。

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八重樫徹先生の「猥褻」論(3) 「悪い」「悪さ」は少し避けてみたらどうでしょう、あるいは単なるグチ

八重樫先生の「性表現の哲学入門」の第2回は、「猥褻」を性的興奮と性的羞恥心によって定義した上で、その「道徳的悪さ」を検討するというかたちになってます。

まあ「猥褻」をそういうふうに定義するというのが、八重樫先生がそう定義したいというのならば文句を言うつもりはないです。でも今度は「道徳的に悪い」というのが気になる。

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八重樫徹先生の「猥褻」論(2) 猥褻の条件とチャタレー判決

まあ私が気になっているのは、「猥褻」という概念を定義したり分析したりするっていうのがどういうことなのか、というのが 私自身にとって はっきりしてないことですわね。

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八重樫徹先生の「猥褻」論(1) 猥褻の定義

『フィルカル』っていう若手中心の哲学とカルチャーに関するすばらしい雑誌があって、いつも楽しく読ませてもらってます。八重樫徹先生っていうこれまた優秀な先生が性表現の問題を哲学的に分析する話を連載しているのでじっくり読まざるをえないですね。とてもおもしろいです。

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定義ってなんだろう (1) 定義の分類と注意

男性や女性やトランスジェンダーの「定義」がネットでずっと話題になってます。これは日本語圏だけでなく英語圏でもですね。先進国はそうなんだと思う。

定義の問題は昔から気になっているのですが、自分で書いてみる機会がなかったので簡単にまとめておきたいです。本当はなにかの授業でやっててしかるべきなんですが、そういう抽象的な話をする機会がなかったのですわ。「哲学」や「論理学」っていう名前の授業をもつことが少なかったからかな?

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「ジェンダー論」の文献は難しすぎる(清水晶子先生の場合)→あきらめ

この前千田有紀先生の文章にコメントしたので、それが批判(?)している清水晶子先生の「埋没した棘」っていう論文も読んでみたのですが、これは千田先生のやつに輪をかけて難しい、というより私にはほとんど理解できませんね。こういうの読まないとならない学生様院生様たちはどうしてるんだろう?

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堀田義太郎先生の「女性専用車両は不当な差別か」について (5) 女性専用車両をめぐる論議とは(おしまい)

続き。 https://gendai.ismedia.jp/articles/-/97683

というわけで、いろいろ文句つけてしまったのですが、堀田先生の論説の基本的な主張と結論には私はまったく異論はないのです。つまり、電車痴漢の被害は甚大なので、形式的には差別に見える女性専用車両はやむをえない、そして男性は痴漢やその他の性暴力の被害の大きさをよく考えて撲滅に協力すべきだ、そのためにはまずは多くの男性はそれぞれが自分の意識を変革すべきだ、というのはまったく同意するのです。でもそこに至る議論に文句があるわけです。

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堀田義太郎先生の「女性専用車両は不当な差別か」について (4) 平等な尊重の要請をくつがえす理由?

続き。 https://gendai.ismedia.jp/articles/-/97683

最後の方の「警戒と不安には理に適った根拠がある」「尊重要請は当てはまるか」の小見出しのところもなんかおかしな議論をしているように思います。

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堀田義太郎先生の「女性専用車両は不当な差別か」について (2) 被害を訴える資格

続き。 https://gendai.ismedia.jp/articles/-/97683

次は「心理的苦痛を訴える資格」。これは見出しからして心乱れます。そんなものがあるのだろうか。苦痛は苦痛であり、それを訴える資格なんか必要がないと思う。もちろん、それを考慮に入れるかどうかというのはその訴えを聞く方の都合でいろいろあるでしょうが、「苦痛を訴える 資格がない 」みたいな言いかたってとほうもないように私には思えます。

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堀田義太郎先生の「女性専用車両は不当な差別か」について (1) 潜在的な加害者

堀田義太郎先生の「女性専用車両は「男性に対する不当な差別」「男性蔑視」なのか? そうではないと言える理由」を読んで、ちょっと気になるところがあったのでメモしておきます。

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/97683

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「ジェンダー論」の文献は難しすぎる(千田有紀先生の場合)

ジェンダーまわりの議論というのは、論文よりもツイッターのようなSNSやブログでなんか議論されていることが多くて、どうしてもそういうのを見ないわけにはいかないのですが、ここ数年トランスジェンダーまわりが激しいやりとりがつづいていて、興味もたずにはいられません。

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フェミニスト教授vsポルノ女優:Held & Hartley, “Porn, Sex, and Liberty”の抜粋というか超訳というか

この本はとてもおもしろい論文がのってるので、ポルノと哲学に興味ある人びとはぜひ読むべきだと思う。反ポルノ、ポルノ擁護、どちらも力がはいってます。

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『月曜日のたわわ』広告問題(9) ふたたび広告と製品、そして多様な表現文化

てなわけで、「たわわ」広告についてちょっと見てみたんですが、イギリスの広告基準協会やアンステレオタイプアライアンスの基準や倫理綱領みたいなのを使ってあの広告を非難するのは私には難しそうに見えます。広告と製品・作品は別のものです。作品を非難したいのであれば作品自体を非難した方がよいと思う。これは表現の規制というよりはまずは批評の話になるので、ぜひ読んで批評したらよいと思います。電車のなかにいる真面目そうに見える青年の内面がさまざまな欲望に満ちてる、みたいなのはキモいとは思いますが、それはそれで表現だ。

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『月曜日のたわわ』広告問題(8) アンステレオタイプアライアンス(反ステレオタイプ同盟)と多元的なパーソナリティ

国連女性機関が『月曜日のたわわ』全面広告に抗議。「外の世界からの目を意識して」と日本事務所長 https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_6257a5d0e4b0e97a351aa6f7

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『月曜日のたわわ』広告問題(7) モノ化・セクシー化も許されません

続き。

ハフィントンポスト「「月曜日のたわわ」全面広告を日経新聞が掲載。専門家が指摘する3つの問題点とは?」 https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_624f8d37e4b066ecde03f5b7

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『月曜日のたわわ』広告問題(5) 製品と広告

しかし、イギリスの広告基準協会は、さきに触れた、協会の原則・綱領での「有害なステレオタイプ表現」規制の他に、組織の「執行部アドバイス」として児童を使った

ハフィントンポスト「「月曜日のたわわ」全面広告を日経新聞が掲載。専門家が指摘する3つの問題点とは?」 https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_624f8d37e4b066ecde03f5b7

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『月曜日のたわわ』広告問題(6) 児童を性的な文脈で使うことは許されません

続き。

ハフィントンポスト「「月曜日のたわわ」全面広告を日経新聞が掲載。専門家が指摘する3つの問題点とは?」 https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_624f8d37e4b066ecde03f5b7

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『月曜日のたわわ』広告問題(4) どこが有害なステレオタイプか

続き。

ハフィントンポスト「「月曜日のたわわ」全面広告を日経新聞が掲載。専門家が指摘する3つの問題点とは?」 https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_624f8d37e4b066ecde03f5b7

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『月曜日のたわわ』広告問題(2) 性的虐待?

つづき。

ちょっと時間あけてしまったら問題はさらに延焼しているようですが、ひっそり書いとこう。とりあえずもとのハフポストの記事の問題の二番目のポイント。

ハフィントンポスト「「月曜日のたわわ」全面広告を日経新聞が掲載。専門家が指摘する3つの問題点とは?」 https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_624f8d37e4b066ecde03f5b7

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『月曜日のたわわ』広告問題(1) 見たくないものを見ない権利/ジェンダー平等を語る偽善

『月曜日のたわわ』という青年マンガの広告が日経新聞に一面で掲載されたらしく、それについての議論が炎上しているようです。特にハフポストの以下の記事が焦点になってますね。すでに論評がいろいろ出ているのでそれに加えて私が書くべきことはそんなにないのですが、発見もあったのでちょっとだけ。今日は前おきだけ。

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キェルケゴールのドンファン論(0) キェルケゴールはむずかしい

講義科目でキェルケゴールをちょっとだけとりあつかったので、このブログに反映しようかと思って正月三ヶ日『あれか/これか』に収録されている、「直接的・エロス的段階」、いわゆるキェルケゴールのドンファン論を読んでたのですが、やっぱりキェルケゴールは難しいですね。読んでも読んでも何言ってるのかはっきりしないので、「こういうことを言ってます」でさえあんまり自信をもって書くことができない。

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田上孝一先生の『99%のためのマルクス入門』はセックス哲学としてもおもしろいので読みましょう

動物倫理で有名な田上孝一先生の『99%のためのマルクス入門』が出て、いまどきのマルクス主義者が具体的にどういうことを考えているのかというのがわかっておもしろいのでみんな読んであげてください。以下ツイッタに殴り書きしたのを並べただけ。ほんとは書きなおすべきなんだけど。

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