成績評価についての内緒の話

授業について、大学教員はみんな気にしてるけど正直に話し合うことがめったにない、という話題はかなり多いのですが、成績評価も実はその一つです。実は採点はどうするべきかっていうのが大学当局や他の教員から指示されることはめったにないのです。

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俺のギターがむせび泣いているぜ:While My Guitar Gently Weepsの歌詞

ビートルズにWhile my guitar gently weepsっていう曲があって、まあビートルズ200曲弱のなかでは特にすごいというわけではないと思うのですが、ジョージハリソン先生の出世曲というのと、エリッククラプトン参加ってので有名な曲ではあります。今日それを中心に若い人々と話をする機会があったのですが、そこで気づいたことのメモ。

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田上孝一先生の『99%のためのマルクス入門』はセックス哲学としてもおもしろいので読みましょう

動物倫理で有名な田上孝一先生の『99%のためのマルクス入門』が出て、いまどきのマルクス主義者が具体的にどういうことを考えているのかというのがわかっておもしろいのでみんな読んであげてください。以下ツイッタに殴り書きしたのを並べただけ。ほんとは書きなおすべきなんだけど。

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バス先生の新刊が出たよ(5) セックスニュートラルな性犯罪対策法はあんまりよくないかもしれない

SNSでの刑法による性犯罪対策の話題はまだ続いいて、こんどは「従来の法制度は男性によって云々」とかっていう話が話題になってますが、まあこのタイプの主張は実はそれはそれなりに聞くべきところがあるんですよね。

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バス先生の新刊が出たよ(3) 女性のレイプ対策(事前と最中)

性犯罪関連法の改正とかを巡る議論で、セックス同意年齢と並んで重要なのが、日本の法律にある暴行・強迫要件というやつで、まあ現状では暴行や強迫によって抵抗を(いちじるしく)困難した、というのが「強制性交」とされるの必要になってるわけです。でも犯罪者に対して抵抗するというのはたいへんなことなので、そういう要件はもっと緩めるべきではないか、という議論があるっぽいです。むしろ同意があった(と少なくとも思った)ことの立証を容疑者の側に求めるべきではないか、というわけです。これはけっこう一理ある。イエスミーンズイエスってやつですね1

バス先生の新しい本は、第8章でこの件に関してかなり重要な情報を提供していると思います。

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バス先生の新刊が出たよ(2) 「認知の歪み」というか認知バイアスと性的情動の性差

男性のセックスや恋愛に関する「認知の歪み」みたいなのがネットの一部で話題になっていたのですが、バス先生は最終第9章の「ギャップに気をつける」で、認知や欲求の男女差をちゃんと意識することが、セクハラやレイプなどの不幸な性的なできごと(その多くは男性が加害者)を防止するために有効だっていってます。

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コトバンクを脚注で使うのはやめろ / 周知の情報の出典にWikipediaを貼る必要はない

コトバンクはいりません

前に「なんでも広辞苑を引用してすませるのはやめろ」という記事を書いたのですが、最近目立つのが本文中の語句に脚注をつけてコトバンクからの説明をつける、というタイプのレポートです。まあちゃんと出典1をつけようという態度2はえらい3のですが、ごちゃごちゃうるさいので避けてください。

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オンラインでの採点フィードバックはスティッキーズを使うしかないか

レポートっていうのはとにかく教員がそれなりにフィードバックしないとまともなものを書いてもらえないわけですが、どうフィードバックするのかが問題ですわね。紙なら、「ルーブリック兼用表紙」使って適当に赤ペン先生すりゃいいんだけど、オンラインでPDFで提出とかしてもらうとそれもむずかしい。

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セックス同意年齢の問題(9) 私たちはどうやって成熟するのだろうか

まあミル先生も『自由論』でこう言っています。

たぶん、いうまでもないことだが、この理論〔他者危害原則、個人の行動の自由〕は、成熟した諸能力をもつ人間に対してだけ適用されるものである。われわれは子供たちや、法が定める男女の成人年齢以下の若い人々を問題にしているのではない。まだ他人の保護を必要とする状態にある者たちは、外からの危害と同様、彼ら自身の行為からも保護されなければならない。(『自由論』第1章)

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セックス同意年齢の問題(8) 同意能力には何が必要か

このブログの同意の話では、ワートハイマー先生(Alan Wertheimer)の本や論文とりあげることが多いんですが、私がおもしろいと思って読んでるのに、David Archard先生って人のSexual Consentっていう本があります。法哲学者のワートハイマー先生はなんかへんなこと考えながルールをあれこれ模索してるけど、基本的には人間理解がのっぺりしているところがあるんですが、アーチャード先生は法学というよりは哲学や倫理学系の先生で、いかにも人文系哲学者っていう感じの繊細なところを見せてくれるので好きですね。

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セックス同意年齢の問題(6) ジュディス・レヴァイン先生の『青少年に有害!』

アメリカにジュディス・レヴァイン先生というフェミニストのジャーナリストの先生がいて、2002年『青少年に有害!』って本を書いて、アメリカではかなり話題になったみたいですね。日本語訳もあります。それの第4章が「激情犯罪」(情熱の犯罪 crime of passion だと思う)という法定レイプと同意年齢の話にあてられています。

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セックス同意年齢の問題(5) 搾取の問題

年齢が判断能力のだいたい(一応信頼せざるをえない)目安になるように、年齢差が強制や搾取のだいたいの(一応信頼できる)目安になるのかどうか という問題の搾取の方はもっとむずかしい。たしかに搾取的な人間関係や交渉っていうのはあるでしょうね。搾取っていう言葉には、道徳的によくないし、社会的に抑制するべきだという含意がある。しかしどういう関係が搾取的なのかっていうその基準を探すのが難しい。

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セックス同意年齢の問題(4) 強制の問題

年齢が判断能力のだいたい(一応信頼せざるをえない)目安になるように、年齢差が強制や搾取のだいたいの(一応信頼できる)目安になるのかどうか 、という問題について、Wertheimer先生の分析はわかりにくいところもあるけど以下のような感じ。

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セックス同意年齢の問題(3) 年の差セックス!

んで、国内での同意年齢のひきあげで問題になっているのは中学生同士のセックスみたいなやつというよりは、年上の男性と中学生ぐらいの女子のセックスみたいですね。最近もりあがったケースでも「50才の男と14才の少女が!」みたいなのが強調されていて、まあ50才男と14才中学生女子のセックスを禁止したい、そうした改正に反対するやつは少女とセックスしたいペドフィリアだ!とか、「普遍的な基本的人権を否定する人だと思われても仕方がない!」1みたいな話になっていて、ちょっとあれすぎると思います。

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セックス同意年齢の問題(1) Wertheimer先生の変な空想事例

なんかどっかの政党の委員会みたいなので議員が不適切な発言をしたとかでもりあがっていますね。性犯罪に関する各種法律を考えなおすにあたって、セックス(性交)同意年齢みたいなのを引き上げようという動きがあって、反対意見もある、みたいな感じですか。現在日本では13才だけど、16才ぐらいにしようっていう案が出てるのかな?

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