月別アーカイブ: 2016年9月

大学教員は専門外のことにどこまでコメントしたり授業に組み込んでよいか

大学で授業していて教員がけっこう気にするのが、「自分の専門外のことについて、どの程度コメントしてよいか、どの程度授業にとりいれていいか」ってことです。これ、みんなけっこう気にしてると思うんだけどあんまり議論されてるのを見たことがないんですよね。 続きを読む

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歌詞のダブルミーニング、そしてトリプル:「雨あがりの夜空に」の場合

まあ、昨日「君の名は希望」について書いてみたように、私趣味で若い人々に歌詞の解釈を示して鑑賞のしかたを教えてるふりしつついろいろ押しつけてみたりするのが好きなんですが、歌詞が幾通りかの解釈ができるようにする、ダブルミーニングって技法はまあ作詞の基本ではあるわけです。これあんまり意識してない人は多いようですね。 続きを読む

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乃木坂の「君の名は希望」は悲しい名曲(あるいは最高のキモ曲)

戸谷洋志先生という若手の哲学の先生が『Jポップで考える哲学』っていう本を出版されたので、ポップ音楽大好き哲学ちょっと好きとしてさっそく読んでみました。歌詞の分析ものは好きなんよね。流行音楽の歌詞使いながら、大陸系の哲学っていうか実存主義系の哲学を紹介していく、っていう趣向で、そういう哲学に興味ある人はぜひ読んでみるといいと思います。選曲がなるほどって感じで(私の好みとは違うけど)おもしろかったです。 続きを読む

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サルトル先生が夢見たガラス張りの世界

ネットとかでいろいろ書き散らかしていると、自分の思考や感情が他の人に見られるっていうのはどういうことか、みたいなのはよく考えます。次はサルトル先生のインタビューの好きな箇所の勝手な訳。時々授業で使います。 続きを読む

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プラトン先生の『パイドロス』でのよいエロスと悪いエロス、または見ていたい女の子と彼女にしたい女の子

パイドロス (岩波文庫)

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プラトン先生の『パイドロス』の話については、最初にあらわれる弁論家リュシアスの「少年は自分に恋していない人間に身をまかせるべきである」(= セックスは自分の利益になるような相手とするべきだ→だから君に恋していない僕とおつきあいしてセックスしましょう)という議論について、けっこう昔に一部だけ書いたんですが、この本おもしろいけど全体にかなり難しいんですよね。まあプラトン先生は詩人っぽくてでよくわからん。情熱がからまわりしているようなところがあるっていうか。アリストテレス先生なんか落ちついてて大人だなって思いますけどね。

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エッチな絵からギリシア神話を学ぼう

「教養科目」みたいなの担当していて、まあ低学年の学生様に教養っぽいことをしゃべらなきゃなりません。来週は古代ギリシアとか、その神話とかをやる予定。ちゃんと正確に知らんことをしゃべっていいのか、みたいなことも悩みますが、まあ教養っていうのはそういうものでもあるような気がするからそれでいいのか。
ガイジンの名前っておぼえにくいので、哲学者とかは肖像画とか写真とか見せてるわけですが、神様たちの写真ってのはなくてこまりますね。しょうがないから想像した絵画で代用しようかな、とか。でもこういうの見せたらセクハラで逮捕されて失職してしまうな、とか考えたり。
 西洋では20世紀まで裸の女性とか描いちゃだめ、ってことになってたので、どうしても裸描きたい画家たちはギリシア神話とか使って描くわけですね。同時代の生身の女性はわいせつでだめだけど、まあ神話ってことならしょうがない、とかってことになってたみたい。意味不明ですが、まあそういう言い訳が必要な時代もあった。そういう抑圧とかもあって、神話使った絵画はエロくてよいものです。

アプロディテ/ヴィーナス

古代ローマ人ってのは戦争が強くて帝国なんか作っちゃったりしますが、あんまり文化的じゃないんで、お隣のギリシア世界の文化や学問を輸入して自分たちのものだ、って言いはったりしてたようです。美の女神アプロディテさんはウェヌスさん、とかって名前つけられちゃったりする。それの英語読みがヴィーナスさんですわね。
この神様は美と愛欲と快楽の神様。お父さんのウラノスさんが、事情でチンチン切り落とされてそれが海に落ちてでてきた泡から生まれたということになってます。火と鍛冶の神様ヘパイストスさんの妻だけど、イケメン勇者と浮気したりもします。その子供がエロスだという説もある。もうエッチといえばアプロディテ/ヴィーナスの営みですわ。
ブグロー先生のこの有名な絵はすばらしいっすね。多くの人は、女子に生まれたら一回このポーズとってみたいと思ってるんではないでしょうか。
好きなの探してくさい。

ダナエさん。

最強の神様ゼウスさんは女ぐせがものすご悪い。いろんな女性と関係をもちます。う、うらやましくなんてないんだからねっ!
たとえばこのダナエさんは、ゼウスさんに手をつけられて妊娠して勇者ペルセウス君を生みます。どうもこのとき、ゼウスさんは黄金の雨となってダナエさんを襲ったとか。意味わかりませんね。なんか後代になると、黄金の雨じゃなくて金貨になって降り注いだとか。こっちは少しわかるような気がする。
ここらへんで好きなの探してくさい。私クリムト先生のが好き。
ゼウス先生は鬼畜なので他にもいろいろ悪いことしてます。「ゼウスとレダ」「ゼウスとエウロペ」とかで検索してみてください。

パリスの審判

ゼウスの妻ヘラ(ユーノー)、知恵と戦争の女神アテナ(ミネルウァ)、美の神アプロディテ(ウェヌス)の三大女神様が競演している絵がたくあんあります。神様たちの結婚式に、みんな呼ばれたのに不和の神様のエリスさんだけ呼ばれなくて(いやな人だったんしょね)、それを怒った(怒りますわね)エリスさんが宴会に乱入して「この黄金のリンゴを、いちばーん美人の女神様にあげますわ」とかって宣言する。ギリシアの神様は見栄も張るし、悪いこともすればケンカもする非常に人間っぽい人々です。人間からの貢ぎ物がないとお腹空いちゃうような人々でけっこう経営たいへんそう。
美人コンテストに立候補したのが美人自慢のヘラとアテナとアプロディテさんで大喧嘩になり、困ったゼウスさんが「ほんとは王子だけどいま羊飼いやってるパリスってやつに決めさようじゃないか」みたいな馬鹿な提案をする。一番偉いんだから自分で決めりゃいいのに。っていうか「うちの嫁のヘラが一番だ嫁が最高」ぐらい言ってあげたらいいのにね。
んで、女神さまたちはワイロを使う(!)。悪いやつらだ。美人コンテストというのはそういうものなのですな。ヘラさんは「私を一番にしたら王様にしてあげます」、アテナさんは「戦争したら勝たせてあげます」、アプロディテさんは「世界一の美人と結婚させてあげます」とか言うわけです。アプロディテさんはエッチなことが得意なんだから自分であれしたらいいのにねえ。権力か名誉か女か、ってんでパリスさんは女を選ぶ。んでその絶世の美女っていうのは峡谷スパルタの王様の奥さんのヘレネーさんで、パリスさんはうまいこと人妻と恋仲になりますが命の危険があるから自分の国に女連れて逃げる、怒ったスパルタ王様は「あいつら殺す」ってな感じで大戦争になってそれがトロイア戦争でしたとさ。
教訓としては、競争心と美人とエロと嫉妬はものすごく危険で、へたすると命を落しますよ、ぐらいですか。
この美人3人並べるっていうのは、シュープリームスとかTLCとかデスティニーズチャイルドとかキャンディーズとかまで繋ってるのかもしれなくて、なんか落ち着きがいいですね。
まあこういうの、絵に描かれている話を知るとものすごくおもしろいですわね。授業では見せられませんが、いろいろ勉強してみてください。

 おすすめ本・音楽

古代ギリシア世界や、ギリシア神話とかについては、藤村シシン先生の『古代ギリシアのリアル』とてもおもしろいので読みましょう。
古代ギリシャのリアル

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絵画のエロティックな魅力を知りたい人におすすめなのは、(私読んだ少ない本のなかではありますが)平松洋先生の3冊ですわ。これはすばらしい。(まあ女といえばエロとかってのは許せん、とかいろいろ批判もあるみたいなんですが)買いましょう。
名画 絶世の美女ヌード

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レポート提出の工夫: 提出レポートはPDFで全員に公開する

そういや、この「教員生活」シリーズあったの忘れてましたわ。

レポートのコピペとかっていうのはいまだにSNSでは話題ですが、まあそれは出題が悪いですわね。やはりコピペできないような出題したいとかってのは思ってます。 続きを読む

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レイプ神話関係いったんまとめ

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「レイプ神話」での性的動機 (11) おまけ: 「定説」とミル先生のお説教

私はフェミニズム思想みたいなのに魅力も感じれば反発も感じていて、まあだらだら読んだり駄文書いたりしているわけですが、今回みたいに「性欲では支配欲」みたいなフェミニスト的スローガンが「定説です」という形でネットや論文で出回るのを見るとき、いつもミル先生のことが思い浮かぶのです。まあいつもミル先生の話になっちゃうわね。いつも書いてることです。 続きを読む

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