レポートの書き方文章編、というか細かくてわかりにくい話

昆虫亀先生が「2018年度レポートに関するコメント、諸注意」ってブログ記事を書いていて、私もこのタイプのお説教まとめておきたいと思ってるんだけど、なんかごちゃごちゃしてうまく書けない。

とりあえず講義やゼミでいつもお説教していることを書いておきます。何回も同じことくりかえしているのでそろそろつらいし飽きたし。おおざっぱなものは古い「レポートの書き方」を、コピペ・剽窃については「剽窃を避ける」を読んでください。

原則

まず、一番の原則を確認すること。大原則は「読者に親切にする」。レポートや論文でのあらゆる約束事は、想定される読者が読み理解しやすいように、また最小限の苦労で読み理解できるように定められていると思ってください。

さて、レポートは、レポートが学内に落ちてたら、それを拾った人が誰が書いたなんの授業のどういう課題か理解できるように書いてください。当然書くべき科目名とか自分の所属とかだけでなく、どういう課題であるか、どういうテーマであるかを、自分の文章で冒頭で確認してください。すると読者(教員)は、「なるほど、私はこういう課題を出したんだった。わすれておったわい」と思い出せるわけです(実は忘れてることがある)。読者に親切にするっていうのはそういうことです。レポート拾った人も、「なるほど、あの講義ではこういう課題が出されており、社会にはこういう問題があり、そしてこのレポート筆者はこういう勉強をしてこういうことを書いているわけだ……ここで参照されている本は……なるほど、〜先生の『〜』か、この引用されている文章は……なるほど〜頁か!いますぐ見よう」というように、そのレポートから多くの情報を引き出せるわけです。これが読者に親切。

まあそうでなくても、レポートというのは他の仲間の学生(ピア)とかに向けて、情報を与えるつもり書くもので、大学教員のために書くものではない。

課題を確認するには、疑問文を使うとよい。たとえば課題が「日本のフェミニストの不倫に対する態度を検討せよ」であったら、「日本のフェミニストは、不倫関係についてどのような見解をもっているだろうか。ここでは社会学者の〜を例にとって検討してみる」のように書きはじめるとよい。

体裁

  1. 見た目は非常にだいじ。そもそも学生様のレポートの文章は読みにくいもので、教員などの読者はそれをがんばって読むわけですが、体裁とかでさらに読みにくくされてはかなわん。勘弁してください許してください。許してください、読みやすくしてください、苦しめないでください、なんとかおねがいします……許してくれないのですかどうしてもその体裁で私を苦しめるのですか、それならそれでかまいません、こちらにも考えがあります!という感じになってしまうのでおたがいによくない。
  2. 様式・体裁はワープロソフトまかせにしないこと。自分でプリントアウトしたものを見て、読みやすいかどうか確認せよ。
  3. 紙で提出の場合、本文はふつう明朝体にせよ。 Pagesがゴシック体を初期設定にしてたら変更する。
  4. 一般にWordやPagesのデフォルト(初期設定)の体裁は読みにくい。自分で調整すること。文字間や行間はそれで適切か自分で判断すること。とにかくパソコンの言うなりになるのは人類として恥ずかしいことであると思うこと。
  5. 必ずページ番号つけよ。Wordの場合はメニューの「挿入」→「ページ番号」などでフッター中央とかに入れておけばよい。
  6. ヘッダーの部分に自分の名前その他ごちゃごちゃいれる必要はない。1行程度ならともかく、ごちゃごちゃしていると読みにくい。あれは冊子などをつくるときのものだと思うこと。
  7. 段落の最初はちゃんと1文字文字下げすること! ネット記事やブログで最初1文字落としせず、かわりに1行文の空行を入れている文書を読みなれていると思うが、それはディスプレイでの視認性とデザインを優先しているから。大学でのレポートは紙に最初が1文字文だけへこんでいる全体に黒っぽい紙が求められている。現状での大学レポートは、ディスプレイのデザインより、紙での読みやすさを優先することになっている。(逆にいえば、全体に海苔を貼ったようなだいたい黒い紙を出せばそれだけで単位をもらいやすい)

  8. これを参考に。 レポートの体裁(PDF)

文字・表記

  1. 英数文字はいわゆる「半角」でABCabc123と書く。なんでかっていうと、日本語文字は等幅で1文字は1マスにはいって同じ幅なんだけど、英数文字はそれではかっこわるいのでABCabcMi123とその文字ごとに幅を変えて美しくしてるんね。いわゆる「全角」はそうならないのでかっこ悪い。ABCDabc123。まのびしてるっしょ。(他にも単語の折り返しやハイフネーションで問題が起きる)
  2. ○のなかに数字が入ってる文字はかっこわるいと思う人々がいる(私)。見た目もかっこわるいし、そもそも1〜9ぐらいならいいけど、(101)とか(102)とか数が増えたらどうするつもりなんだろうと思ったり。
  3. 「?」のうしろは空白を空けるという約束があるらしいんだけど、よくわからない。
  4. <>は数学記号であって文章でつかう括弧ではない。〈山括弧〉を使う。
  5. 半角の「,」(カンマ、コンマ)と「.」(ピリオド、ドット)の後ろには必ず半角空白を入れる。ちなみに記号の名前と、それぞれの用法を知らないと大卒としては恥ずかしいので http://www.type-labo.jp/Mojinonamae.html を見ておぼえておくこと。

タイトル・見出しまわり

  1. 文書には必ずタイトルがあります。タイトルそのものには「」は必要ない。 タイトル指定されている場合はそれを、指定されていない場合は文書の内容を示すタイトルをつけてください。「応用倫理学第2回課題」とかつまらんので、内容を表すやつに。気のきいたタイトルを勝手につけて減点されることはないでしょう。
  2. タイトルや見出しに説明を頼らない。タイトルや見出しは本文ではない。 見出しとタイトルを消した本文だけですべて理解できるようにすること。(これ説明しにくいんだけど、見出しは目印であって、リストや箇条書きではないっていうのを理解してもらう必要がある。)
  3. 「読んだ本を紹介せよ」という課題であって、あなたが芳賀茂『あなたのその「忘れもの」コレで防げます』をタイトルに入れたとしても、「この本は」から書き始めてはいかん。
  4. タイトルに書名があっても、「忘れ物と言うのは困りものだ。芳賀繁は『あなたのその「忘れもの」コレで防げます』で次のように述べている。」のような形にする。本文でも書名などを必ず明記する。
  5. 「序論」「本論」「結論」という見出しは勘弁してください。もちろんレポートは序論本論結論という順番になっていなければならないが、それは「見出し」ではない。特に「本論」だけは許さん(絶許!)。中身に対応した見出しにする。
  6. 何度も書くが、見出しは目印にすぎない。見出し(目印)が多すぎるのも読みにくい。1ページに1個あれば十分。

文献リスト

  1. 出版物は基本的に出版年だけでOK。月日はいらない。 (新聞やオンライン情報は年月日必要。)
  2. 株式会社岩波書店→岩波書店。「株式会社」はいりません。
  3. 参照文献リストでは、参照した箇所(pp. 74-95)のようなページ表記は基本的にいらない。参照したページは本文中か、脚注で示す。リストは単なるリスト。 参考文献リストにページ表記が必要なのは、雑誌に掲載されている論文。
  4. 見よう見まねでは正しく書けない。必ず手引きを参照すること。どの手引きにしたがえばいいかわからない場合は教員に確認すること。(指定しない教員も悪い)
  5. 「第〜版」(はん)は初版(第1版)以外は必ず必要。第2版、第3版と版が変わるにつれて内容はかなり変化する。
  6. 「第〜刷」(すり)は不要! 「刷」というのは、出版社がその「版」で何回刷ったかをあらわしてるもの。同じ「版」で印刷するので、原則として誤植などの微修正があるだけ。ちなみに「刷」が多い本を出してる著者の人はもうかっていることがわかる。たとえば戸田山和久先生の『論文の教室』は20刷とか軽く越えてて、先生はおそらく出版長者であることが推測できる。

人の呼び方・文献の参照

  1. レポートのなかには数多くの情報や他人の意見が入るので、それらが自明なものでないかぎり、いちいち情報源をつけること。また本文でもその情報源に言及する。「生命倫理学者の霜田求によれば、〜である」のような表現になる。
  2. 文献を参照するときは、その文献の著者がいったい誰で専門はなんなのかはいつも意識しておくこと。カントや安倍首相などの有名人でないかぎり、名前だけ出されても読者はそれが誰であるかわからないので、ごくごく簡単な紹介をつける。
  3. 人の名前は一回目はフルネームで読んでおく。 「尾木直樹は」でもいいのですが、「教育学者の尾木直樹」とか「教育評論家の」ぐらいの説明つけるとさらにグッド。2度めからは「尾木によれば」でOK。ちなみに最近どういうわけか、「作家である百田」「倫理学者である霜田」とか「である」使う文章がめだつが、「の」でいいです。「作家の」「倫理学者の」でいいじゃん。ちなみに、肩書のようなものは「鳥辺野女子大学教授の〜は」より「心理学者の〜は」の方がグッドな場合が多い。大学教員の所属は頻繁に変わるし、所属より専門の方が大事。新聞などでは肩書の方が大事なので鳥辺野女子大教授の〜になることがある。もちろん、「鳥辺野大学教授の倫理学者霜田求は」でいいけど、大学の所属はあんまり重要ではない。
  4. 文献(論文や書籍)は「作り物」ではないので、それを書いた人は「作者」ではなく著者。しかし「著者」と読んでも誰だからわかにくいので、原則的にぜんぶ名前で呼ぶこと。
  5. 著者は〜と述べている」はやめて、「芳賀は〜と言う(出典表記)」「芳賀によれば〜である」にするレポートでは学者が1人だけでなく3人とか10人とか出てくるので、「著者」では誰のことかわからないし、わかるとしても不親切。
  6. 「授業で聞いた」は典拠にならない。その講義で教員が使ったテキスト、資料、論文などを確認する。典拠は教員が授業で提示しているはずだが、曖昧だったら質問する。典拠なしに大学教員がしゃべってることはすべてヨタ話なので、そんなものはなにをするときも根拠にしてはいかん。

引用まわり

  1. 日本語の引用は「」(鍵括弧)でおこなう。”引用”は日本語では使いません(そもそも“ ”と向きを合わせないとならんし。)。二重括弧『』を使うのは本のタイトルだけ、と思ってよい。括弧のなかの括弧も最近は鍵括弧「」でよいことがおおいのでそっち推奨。引用符は引用符で奥が深いのでwikipediaを見よ
  2. 長い引用(おおむね4行以上)は、「」でくくるのではなく字下げして引用だとわかるようにする形で書く。
  3. 学問の世界では、文献(本)のタイトルより、その情報をもたらした人が誰であるかの方が重要な情報なので、名前を優先する。「『日本国記』によれば〜」ではなく、「作家の百田直樹によれば〜」がベター。もちろん「作家の百田直樹の『日本国記』によれば〜である」でもOK。
  4. 誰かがなんか言ってるのを参照したら、基本的にページ番号もつける。読者がその資料・文献のどのページを見たらいいのかすぐにわかるように。基本的に読者のことを考えて読者に親切にする、という原則。
  5. 私はいわゆるAuthor Yearを推奨しているので、(百田 2008, p. 16)のように。
  6. ページ表記に「p」記号を使う場合、pのうしろには必ず.をつけること。p12も12pも12PもP12もどれもだめ。複数ページはp. ではなくpp. 。pp. 5-8 のようになる1)(百田 2008:16)のような書き方もあって、これだとピリオドのことを考える必要なくなるからいずれこれ指定するかな。
  7. なんでも直接引用(「」などでそのまま転載する引用方法)すればよいというものではない。基本的にはレポートでは、他人の主張もパラフレーズ(自分の言葉で書き直す)して出典つけた方がいいと思う。
    1.直接引用(「」でくくってそのまま書く)が必要なのは、(1) 批判する場合(「ほんとにこんなこと言ってるのだ!」の意)あるいは意外な内容の場合、(2) 表現が特殊・印象的な場合(うまい表現だ!)だと考えておくとよい。
  8. (1)の批判する場合は、批判の対象なのでまちがいなくその対象がそう述べていることを明示する必要があるから。勘違いしやすいものだし。「ほんとにこいつはこんなこと言ってるんですよー、信じられないっしょ」ってやる。 (2) 表現が印象的・オリジナルな場合は、その表現がその人のものだと明示するため。 (3) 意外な内容の場合もほんとにその人はそう言ってるんだと明示するため。
  9. ふつうに参考にするだけなら、自分が理解したところを自分の言葉で述べて参照ページを書くのでOK。
  10. 「〜には〜と書いてある」「〜には〜とある」は大学では禁じ手だとおもってもよい。 書いてあるんじゃなくて誰かが書いたのです。 それを書いたのが誰か、っていうのが大事なのです。
  11. 辞書や法文や中高での教科書や資料集などは、誰が書いているかは重要ではないので「〜には〜とある」は許されるが、大学で使う文献は誰が書いているかがまさに重要。
  12. 高橋祥吾先生の「引用の作法について」も見てください。

注について

  1. わざわざ手で「※」記号などを使って注をつけるひとがいるけど、WordやPagesのアプリの脚注・後注機能使ってください。便利なものですわ。Wordの場合は、メニューバーの「挿入 → 脚注」とか。
  2. 掲載媒体にもよるところもあるけど、基本的には文献参照や注は、「。」の前に記号をつける。「。」のうしろだとどこについているかわからない。
  3. 語句に対する注は必ずその直後。どういうわけか低学年だと前につける人がいるけどぜったいに許さない(いわゆる「絶許」)。
  4. 語句の説明を注でやってはいかん。本文で説明するべし。

箇条書き

  1. 箇条書きは便利だが、地の文(箇条書きでも引用でもない、自分の文章)での説明なしに使ってはいかん。「〜。この点について要約すると、次のようになる」など、「箇条書きにするぞ!」と宣言してから使う。
  2. ワープロソフトが適当にやってくれるかもしれんが、「インデント(字下げ)」や「ぶら下げ」という概念を理解しておくこと。

文章

  1. 自分自身のことも「筆者は」とか書かないで「私は」。「筆者」は自分自身を指しているのか、言及している文献の筆者(著者)を指しているかわかりにくいことがある。
  2. 体言止めは徹底的に避けよ。 体言止めつかうのは文章書くのに慣れてから。
  3. 前の文章にある語句でも、「これ」「それ」はわかりにくいことがあるので注意する。「その体験」「この主張」のように名詞を加えるとわかりやすくなることがある。
  4. 「〜と書いてある」「〜とある」はかっこわるいので避ける。「〜は〜と主張している」の形にすべし。
  5. 接続詞は積極的に使う。というより、原則的にはすべての文章の先頭には接続詞がついている、ぐらいのつもりで書いてよい。もちろんそれではかっこわるいが、その文が、それ以前の文章や段落とどうつながっているのかを明示する。主語は省いてかまわないとか接続詞はない方が軽快な文章になるとかそういう文章指南もあるが、ああいうのはエッセイや文学作品や軽い雑誌記事などを書くときの作法。
  6. 文章は短く。ふつうの大学生は4行以上になる文章を書くと文がねじれる。そうなってしまったら切って接続詞でつなぐ。
  7. 「冬、雪が多く日照量が少ない山形県で育った私は」のような名詞や代名詞の前にごちゃごちゃ形容句がついてる文章は読みにくいしねじれた文章の原因になる。「私は山形県で育った。山形県は冬には雪が多く晴れの日が少ない。だから私は〜」と「形容句 + 名詞」を名詞を主語にした文にするとよい。
  8. 「私は〜思った」「私は〜と考える」はあってもいいのではなるべく削りたい。「私が一番興味深いと思ったのは」もNGではないが、「もっとも興味深い点は〜だ」でOK。こっちの方が大人っぽい。「私は〜は思う」→「〜だろう」「〜かもしれない」「〜のようだ」とかいろいろ、「私は〜思う」以外の表現はある。特に、「私は〜と考えた」「〜と思った」「〜と感じた」と過去形にすると、大学レポートとしては非常に子どもっぽい印象を受けることがあるので特に注意。


References[ + ]

1. (百田 2008:16)のような書き方もあって、これだとピリオドのことを考える必要なくなるからいずれこれ指定するかな。

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2件のコメント

  1. おそらく、ダッシュの説明もしたほうがよいと思います。
    「たとえば10-20と書かれていた場合、これがenダッシュ (10–20) なら「10から20まで」である。これに対してハイフン (10‐20) なら「10の20」、マイナス (10−20) なら「10引く20」である。」https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A5_(%E8%A8%98%E5%8F%B7)

  2. なるほど。ちょっと考えますかね。ハイフンやダッシュの話はもう組版の世界っていう感じもあるんですが。ワードとかあるていど雰囲気見て変換してくれてるっぽい感じもあるような。

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