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キャリン・スタンバーグ先生の心理学的恋愛相談

Karin Sternberg先生のPsychology of Love 101ってのをざっと見てたんですが、最後の恋愛相談室みたいなのが面白かったのでメモ。翻訳ではなく要約というか、まあ勝手なアレ。質問も答もそれぞれよくある話だけど、それぞれ恋愛心理学の有名論文が参照されるのがよい。キャリン先生は、認知心理学と恋愛心理学で有名なロバート・スタンバーグ先生の奥様らしい。ロバート先生の物語理論にけっこう言及しているのが目につきました。このPsych 101シリーズってのよさそうですね。

Q1. ボーイフレンドが2回も浮気しました。彼は結婚したら浮気はやめる、その前に遊んどく必要があるのだと言うのですが、信頼できるでしょうか。

A1: 心理学の原則として、ある人物の未来の行動を予測する一番の目印は、過去の同種の行動です。彼が今浮気するのをやめられないなら将来もやめられないでしょう。

Q2: 僕と彼女はずいぶん情熱的な関係だったけど最近冷めてきたような気がします。

A2: スタンバーグのトライアングル理論によれば、恋愛の三つのなかで情熱は一番熱しやすく冷めやすいものです。

Q3: 彼と4年つきあっています。よい関係なのですが、結婚の話になると彼はだまってしまいます。

A3: 第一に、将来をコミットするのを嫌う人びとがいるので、期限を切ってコミットするのかどうかたずねて、ダメなら別のを探しましょう。第二に、スタンバーグの物語理論によれば相性の悪いストーリーをもってる人びとはうまくいかない傾向があります。自分と相手のストーリーがマッチするものなのかどうか、自問してみましょう。

Q4: あたらしくできた彼氏が、昔の彼女とうまくいかなくなった話ばかりしてやめません。大丈夫でしょうか?

A4: なにかに依存してた人がそれをやめると禁断症状が出るものです。他に注意すべき点として、第一に、いったん別れたカップルままたくっつくというのはよくあることです。第二に、真面目につきあってるカップルは何度か危機的な状況を迎えるものです。彼と彼女の関係もいまそうなのかもしれません。第三に、ある人が恋愛関係を終わらせようとする時に、他の相手と表面的な関係を結んだりすることもよくあることです。あなたとの関係もそうかもしれません。

Q5: 彼女がとても嫉妬深いのですが、どうすれば彼女を変えられるでしょうか。

A5: 第一に、他人を変えることはできません。マニアタイプの恋愛する女性なのでしょう。また、Shaver, Hazan & Bradshow (1998)の「アンビバレンス的愛着スタイル」をもつ人かもしれません。第二、そういうひとはコミットメントのレベルがあがるとなおさら嫉妬深くなる傾向があります。第三に、彼女のの嫉妬は彼女の問題なのでしょうか?あなたの方に問題はないですか?

Q6: 以前は私と彼氏の間でいろんな深い話をしていたのですが、最近はなにか表面的な話ばかりです。

A6: これもスタンバーグのトライアングルを使うと、親密さと関係があります。つきあいはじめはお互いのことを知りたいのでたくさんおしゃべりしますが、だいたいわかってくるとあきてきます。おもしろいのは、過去の関係の悪いことは話しやすいわけですが、現在のパートナーとのことは当人には話せないということです。また関係の最初ではそれが人生の一番重要なことですが、関係が安定してくると他のことを始めます。Vaughn (1990)が別れの分析をしていて、それはだいたい秘密をもつことからはじまるようです。

Q7. ガールフレンドが、僕自身を好きなのか、僕のイメージを好きなのかわかりません。

A7. スタンバーグの物語理論によれば、われわれは恋愛相手をフィルターを通してみてます。ゴフマンの『日常生活における自己提示』1956によれば、「本当の自己」なんてものはは存在しません。。Sternberg & Barnes 1985では、パートナーが感じているだろうとわれわれが思っていることと、パートナーが実際に感じていることの間には弱い関連しかないことが指摘されてます。


恋愛の類型学 (3) スタンバーグ先生の恋愛物語理論

恋愛の類型学、つまりタイプ分けに関しては、ジョン・アラン・リー先生の恋愛の色彩理論ロバート・スタンバーグ先生の恋愛三角形理論が有名で、ネットにもけっこう転がっていますね。私もちょっと紹介しました。

スタンバーグ先生の三角形理論は1980年代のものですが、90年代に今度は「恋愛は物語だ理論」みたいなのを提唱して、三角形理論といっしょにして「恋愛の二重理論」という形にしてます。この「恋愛物語」理論はネットでは紹介されてないし、注目もされてないみたい。ちょっとだけ紹介。

スタンバーグ先生自身の本が翻訳されてるし、それ以降にも『愛の心理学』にもスタンバーグ先生自身が論文書いてるのでそっち見てもらえばいいのですが、講義のためにリストつくったので、まあ紹介。

愛とは物語である―愛を理解するための26の物語
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この理論は、その名の通り、恋愛は、それぞれのひとにとってそのバックグランドやプロトタイプみたいなのになる物語・ストーリーがあるのだ、ってな理論。人によってどういうストーリーをもってるかは違っていて、それが似てたり近かったりすると関係はうまく行きやすいだろう、と。また個人としても、成功しやすいストーリー持ってるひとは成功した恋愛生活送りやすいかもしれないし、まずいのをもってるひとはまあ苦労するかもね、とか。

スタンバーグ先生が挙げてるのは25個とか26個とか、文献によってちょっと違うし、それですべてのタイプのストーリーが尽くされてるとも主張してない。まあ非常に大雑把な話で、理論と言えるのかどうかもよくわからん。ただあらかじめこういうストーリーを挙げていって、それに対応する質問紙を作っていろいろやってみるとおもしろい結果ができるかもしれないね、程度です。

ストーリは大雑把に下のように、そのストーリーが主に何に注目するかってのに対応して「協調的」「原作つき」「ジャンルもの」「パートナー」「関係」「非対称な関係」とかに分けられてるけど、これもまあいいかげんな分類に見えるけどまあ。

    • 協調的関係
      • 【旅】 人生は旅であり、恋人は旅の道連れである物語。目的へ到達するために二人が協力する。魔王デスピサロを倒したり、海賊王になったりするなかで仲良くなる。
      • 【編みもの】 いっしょに縫ったり編んだりしながら関係が作られる。おだやかでいいですね。少女漫画はそうあってほしいです。
      • 【庭仕事】 草木の手入れのように関係を大事に育てる。土を耕したり水や肥料をやったり害虫駆除したりたいへんです。ときどき剪定もせなならんね。
      • 【ビジネス】 パートナー関係はビジネス。金は力。クールでドライにいきましょう。パパ活?パートナーはそれぞれ役割(仕事)をもつ。二人で連帯して外敵やライバルと戦ったりもするかも。
      • 【中毒】 アディクション。一方が相手に強く依存し、相手の存在が人生にとって不可欠であると感じられる。強く、不安定な愛着。パートナーにしがみつくような行動。パートナーを失うことを考えて不安になったり。メンヘラ的。
    • 原作つき物語
      • 【ファンタジー】 王子と王女、騎士とお姫様。騎士が自分を助けてくれたり、可憐なプリンセスと結婚するなどといったことを日頃から期待する。授業で「あなたたちの大半には、白馬に乗った王子様は、来ません!」とか言うと大反発を受けるので注意。「でもカエル王子はプロポーズしてくるよ」とか言っても喜ばないし。
      • 【歴史】 二人の間に起こった出来事が消すことのできない記録となる関係。精神的にも物理的にも多くの記録をつけてゆく。「あのときのあれがこれの原因なのよね、記録も残ってます」。
      • 【科学】 科学的な原理や公式に従って関係が同分析されるかという観点で物語が構成される。生物学者や進化心理学者はそういう恋愛するのでしょうか。
      • 【料理本】正しいレシピを使えば関係はうまくいく。料理人とパトロンの関係。「うまくいく」方法をみつけたいという欲求。『ルールズ』や『草食系男子の恋愛術』の世界ね。ハウツー本は大事です。
    • ジャンルもの物語
      • 【戦争】 戦闘や交戦状態が重視される。恋は戦争。おそらくパートナーとの。でも相対性理論に「恋は百年戦争」っていう名曲もあるからそっちだろうか。
      • 【演劇】 恋愛には筋書きがあり、いかにもありがちな演技や場面や台詞がかわされるものだ。双方が何かの役を演じる。
      • 【ユーモア】 愛とは奇妙で滑稽なものである。明るく屈託のない関係を保ち深刻になりすぎないことが重要とされる。ウディ・アレン的?
      • 【ミステリー】 愛は謎。恋人たちは相手が自分のことを知りすぎないようにすべきである。一方が相手の情報を明らかにしていく過程。
    • パートナーに注目する物語
      • 【SF】 恋愛は理解しがたい奇妙な存在との遭遇。パートナーの奇妙さや不思議さが大事。『うる星やつら』は違いますね。
      • 【コレクション】 パートナーが大きなコレクションの一部として尊重される。パートナーとは愛着のない距離を取った関係。ドン・ジョヴァンニの「カタログの歌」の世界。
      • 【アート】 パートナーをその身体的魅力について愛する。パートナーの概念がうるわしく見えることが重要。身体的な美を愛する。。美の鑑賞者と美術作品の関係。パートナーの健康に気をつける。容姿が衰えると……。
    • 関係に注目する物語
      • 【マイホーム】 家庭を中心にする物語。恋愛関係が安定した家と家庭の環境を達成するための手段。
      • 【回復】 サバイバー的心象。恋愛関係は、トラウマから回復するための手段。救われたいですか。ひどい目に合ったけどあなたが癒やしてくれましたか。
      • 【宗教】 パートナーが神に近づくための手段、あるいは関係そのものが宗教。これも誰かが救われるんでしょうな。
      • 【ゲーム】 恋愛はゲーム。「勝つためにプレーするのさ」。勝者と敗者。興奮、面白み、人生をまじめに考えるべきではない。「こーいーはげーぇーむじゃじゃなく〜いきるこーとねー」
    • 非対称な関係の物語。このタイプのはだいたいやばい。
      • 【師弟】 愛とは、導くものと導かれる者のあいだに生まれるものである。一方が情報を提供し、他方がそれを受け取る。セクハラの原因。
      • 【犠牲】 一方が自ら譲歩し、他方がその利益を受取る。愛することは自分を犠牲にすることであるという物語。たとえばワーグナーの『さまよえるオランダ人』とか、いみなくけがれなき処女が犠牲になるけどあれなんですかね。
      • 【政府】 一方が他方に対する支配権を持ち管理する。管理管理。
      • 【警察】 一方が他方を監視し、ある枠組みの中に押し込む。パートナーが規則をまもっているかしっかり監視していなければならないと考える物語。または自分が監視される必要があると考える物語。ウォッチングユー。
      • 【ポルノ】 愛は不潔であり、愛することは相手を貶めたり、相手から貶められたりする関係であるという物語。サド公爵とか、『O嬢の物語とか』。谷崎潤一郎先生の『痴人の愛』も近いか。
      • 【ホラー】 一方が相手を怖がらせ、相手が怯えるような関係であるときに両者の関係が興味深いものになる。『羊たちの沈黙』もまあ恋愛物語といえるのかもしれんですね。

まあそんなおもしろいものでもないけど、このスタンバーグ先生の「物語」ていうのは、まさにわれわれが「恋愛観」と呼ぶようなものだろうな、って思います。学生様たちには、「あなたは自分はどの物語を望みますか」とか「これまではどれですか」とか聞いてみるとおもしろいかもしれない。

私たちはどういう物語を生きたいのか、そして実際にはどういう物語を生きてるとおもっているか、っていうのは、恋愛にかぎらず人生についてもちょっとおもしろいところがありますね。それはそのうち。

下のは堅い心理学の本で、学問としての心理学に興味がないとなにをやってるのかわからないと思う。

愛の心理学

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ブックガイド: 恋愛心理学のおすすめ本

ひさしぶりに学生様用お説教ネタ。

卒論を恋愛関係で書きたいっていう学生様はけっこういるわけですが、最低限おさえておく心理学系の本。ゴミみたいな本が多いので、まともな学問的な心理学の本を読むのがコツです。

スーザン・ヘンドリック先生はとりあえず権威なので2冊読む。どっちか1冊なら『恋愛学』の方。

恋愛・性・結婚の人間関係学―親密関係の社会臨床心理学ハンドブック
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下の本は実際現在国内最強なので必ず読む。一番最初に読んだ方がいいかも。

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生物学、進化論、進化心理学から攻めるのが今風のやりかたです。

ちょっと古いけど悪くはない。

男と女の対人心理学
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下のはいま一番新しい感じ。翻訳にちょっと難があるかもしれないけど最新。これ読めれば中級。けっこうむずかしくて、心理学一般ついてそれなりの知識がないと読めない。

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古いけどこれも悪くない。基本書。

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フィッシャー先生も権威。

人はなぜ恋に落ちるのか?―恋と愛情と性欲の脳科学

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恋愛っていうより性欲とか浮気とかセックスとかそういう暗い方になっちゃうけどバス先生は読んでおかないとならない。

女と男のだましあい―ヒトの性行動の進化
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一度なら許してしまう女 一度でも許せない男―嫉妬と性行動の進化論
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恋愛の類型学 (2) スタンバーグの三角形理論

スタンバーグ先生は恋愛心理学の一発屋ではなく、認知心理学とかのほうでけっこう大事な仕事した人なんじゃないですかね。

リー先生の恋愛の色彩理論は、恋愛を六つなり八つなりのタイプに分けるって考え方(類型論)なわけですが、まあそんなすっきりタイプに分かれるもんでもないだろう、みたいに思った人も多いと思います。スタンバーグ先生の理論は、恋愛ってのには三つの要素があって、それの強弱でいろんなタイプの恋愛があると考えます(特性論)。

これはパーソナリティー心理学なんかが20世紀前半の類型論から20世紀後半の特性論にシフトしていったのと平行関係にあるんでしょうね。この分野では昔(クレッチマーなんか)は几帳面な「がっちり型」、社交的な「肥満型」、非社交的な「細長型」みたいな三つのタイプがある、とかって言ってたわけですが人間そんなタイプにすっぽりおさまるもんじゃない。アイゼンクって偉い先生が「性格には大きく二つの要素があるのじゃ、外向的か内向的か、神経症傾向が高いか低いかの二つじゃ」とか言いはじめた。これだとそれだけで2×2で4種類いるわけだし、外向/内向も程度を考えることができるから無数のタイプが存在しうる。今主流になってるビッグ5パーソナリティー特性とかだと外向性、神経症傾向、調和性、良心性、経験への開放性の五つぐらいの独立の要素があってこれの強弱の組み合せでいろんなパーソナリティーがある、みたいになってるんだと思うです。知らんけど。

スタンバーグがやったこともこのラインなんだと思う。知らんけど。恋愛には、

  • 情熱
  • 親密さ
  • コミットメント

の三つの要素がある、と。情熱はまあわかるあのカッとなる感じ。親密さはおたがいをよく知りあったり共感したり。コミットメントは訳せないんだけど、約束したりずっといっしょにいるとかそういう決意とか意志とか。感情的に要因(情熱)、認知的要因(親密さ)、意志的要因(コミットメント)という説明も見たことあるような気がする。

 

親密単なる「好き」。いいひとなんだけど、ドキドキしないのよね。
情熱のぼせ。もう好きで好きで。どういうひとだか知らないけど。
コミットメント空虚な愛。もう完全に冷めてますけど別れません。
情熱親密ロマンチック。この一時を二人だけでいっしょに過ごせればいいの。でも将来のこととか考えらんない。卒業したら遠距離だし。
親密コミットメント共感的愛。ドキドキしないけど、二人でいるとポカポカするからずっとポカポカしていくわ。
情熱コミットメント愚かな愛。あの人どういう人かわかんないけど、結婚するわ!もう決めたの。
情熱親密コミットメント至上の愛。

 

 

ちょっと表がうまく作れないけどこんな感じか。

まあ情熱と親密さとコミットメントの三つがそろった「至上の愛」みたいなんの典型はベルサイユのばらのラストの方だわねえ。革命期に情熱はもえあがり、将校と従僕という長い関係のなかでおたがいを深く知りあい、そして「わたしだけを愛すると誓うかーっ」ってんでコミットメントもそろって鼻血が出そうです。

論文は R. J. Sternberg, “A Triangle Theory of Love”, Psychological Review, 1986 ってやつ。ネットにPDFが転がってるかもしれません。


恋愛の類型学(1) リーの色彩理論

セックスの哲学史とかいって哲学史におけるセックスの問題を扱おうとすると、どうしたって「セックス」というよりは「愛」とか「エロース」とかそういう問題としてとりあつかことになります。まあ私はそもそも西洋人は性欲と愛との区別あんまりついてないんじゃないかと疑ってるんですが。

とりあえず哲学史として見てみると、愛っていってもloveとかamourとかerosとかいろいろ出てきて混乱しちゃいます。

こういうのどう扱ったものなのかいろいろ考えていたんですが、哲学史を見る前にあらかじめ20世紀の心理学における性愛の類型とか使って整理しとくのがいいんじゃないと思い至りました。

社会心理学と呼ばれる心理学の分野では対人関係なんかを研究していて、恋愛とかの親密な関係はもちろん主要ターゲットの一つです。でも以外に「恋愛」がすっきり整理されたのは最近なんですよね。そしてここ最近でえらく進歩している。

恋愛心理学とか一般向けのゴミみたいなのは山ほどありますが、ちゃんとアカデミックな裏付けがあってまともに読めるものは少ない。入門は金政先生たちの『史上最強図解 よくわかる恋愛心理学』ですね。とりあえずこれ読んどけばだいたいOK。この本が出る前は松井豊先生の『恋ごころの科学』が国内最強だったんじゃないかな。いまだによい本なはずです。読みましょう。中級はスタンバーグ先生が編集した『愛の心理学』ですか。でもこっちはふつうの人が読んでもなにやってるかわからないと思いますね。あとハットフィールド先生たちやヘンドリック夫妻のものなんかが有名です。

恋愛の色彩理論

愛のタイプみたいなのについては、リー先生(Alan Lee)って人が、1970年ごろに提唱した「恋愛の色彩理論」The Colors of Loveってのが有名ですね(1973年に出した本は入手困難なので、私にメールしてくれたらアレします)。恋愛にはいろんなタイプがあって、人によってずいぶん違う。古来からの文学作品とか哲学とか調べてみて、どういうのが「愛 love」と呼ばれているかを集めてみる、って研究してみたんですね。その研究の結果、リー先生は恋愛にはだいたい六つぐらいのタイプがあって、それらが興味深い形で関係してるんじゃないか、みたいな仮説を立てたわけです。まあ人々を観察していると、それぞれ同じような恋愛をくりかえしている気がしますね。それぞれの人にはそういう「恋愛のスタイル love style」がある、と。

先生はまず、色と同じように恋愛には三つの基本的なタイプ、原色があるんじゃないかと考えた。それは

  • エロス:情熱的な恋愛、身体的な美や興奮を重視する。ビジン、イケメン、ナイスバディ。とりあえずその時は一人を強く求めて、一生この人とか思いつめちゃう。
  • ルダス:遊びの恋愛。恋の駆け引きを楽しむ。わくわくするのが大好き、みたいな。享楽、多様性、変化を求める。
  • ストルゲ:友情のような恋愛、長続きする親密さを重視する。ほんかわ。碇君といるとぽかぽかするから、碇君にもぽかぽかしてほしい。

の三つ。

さらに、これらの原色の混合としていくつかのタイプがある、と。

  • マニア:強迫的な恋愛。相手に執着し、モメる。粘着。強い束縛。目が逆三角形になってます。
  • プラグマ:実用的な恋愛。計算づく。頭のなかにあらかじめ「チェックリスト」みたいなの用意しておいて、基準をクリアしていたらおつきあいする、みたいなの。お金もちだから好き、とか。親医者でお金あるし、背が高いから並んで歩いても大丈夫だし、京大生だから一流企業入れそうだし、レポートも書いてもらえるしー、とか。
  • アガペー:無償の愛。相手のために尽して尽して見返りを求めません、みたいな。あの人のために私は身を引きます、とか。フィクションには登場するけど現実には見つけられない。

この六つを並べると、あたかもゲーテの色彩環(文学者のゲーテ先生は色彩の研究でも有名でした)みたいになる、と。エロスとアガペー、ルダスとプラグマ、ストルゲとマニアがそれぞれ補色のように対照的に並ぶよ、というわけです。

その後リー先生は理論を発展させて、あと二つのタイプを加えました。

  • ルダス的エロス:とりあえず美人・イケメンなら誰でもいいから行くってやつですね。ちゃんとしたエロスに比べると真剣さが足らん!
  • ストルゲ的ルダス:友達みたいな感じでいろいろ楽しくデートしたりする感じですね。別に美人イケメンじゃなくても楽しくいられればいいです。

ふむ。こうなると、自分がどのタイプの恋愛するのかっての気になりますよね。http://gallebasra.sakura.ne.jp/lets2.php でテストできます。どういう人が作ってるか知りませんが、他のページもしっかりしているので大丈夫でしょう。やってみましょう。

あとスタンバーグ先生の「恋愛の三角形理論」ってのが有名なんですが、これは別エントリで。

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