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サルトル先生が夢見たガラス張りの世界

ネットとかでいろいろ書き散らかしていると、自分の思考や感情が他の人に見られるっていうのはどういうことか、みたいなのはよく考えます。次はサルトル先生のインタビューの好きな箇所の勝手な訳。時々授業で使います。

「あなた自身ことについて尋ねられることはいやですか?」
「いや、そんなことはない。誰もが、自分のもっとも内面的な事柄についてもインタビュアーに話すことができなければならないと私は思う。人々のあいだの関係をだめにするものは、お互いが相手に対して何かを隠す、何かを秘密にする──それは、誰に対しても秘密にするというわけでなくても、少なくともそのとき話している相手に対して秘密にする──ということにあるように思われる。

私は、誰もが他人に対して秘密をもたず、外的な生活だけでなく、内的な生活も完全に公開し、人に与えることによって、二人の人間が互いに相手に対してまったく秘密をもたないというようなときが来ることを容易に想像することができる。

……不信、無知、恐怖から生まれるよそよそしさは、他人に対して打ち解けさせない、あるいは、充分に打ち解けさせない原因である。また、個人的に私は会う人々に対してすべての事柄について自分の意見を言ったりはしないが、できるだけ自分をガラス張りにしようとはする。なぜならば、われわれの内にあるこの暗い領域は、自身にとってと同じく他人にとっても暗いのだが、それを他人のために明るみ出そうとすることによってのみ自身にとっても明らかになってくるからだ。

……当然、すべてを話すことはできない。しかし、もっと後、つまり、私が死んだ後、あるいは多分あなたの死んだ後になるかもしれないが、人はもっと自分自身のことについて語るようになり、大きな変化がそのことによって生み出されると私は思う。さらに、こうした変化は本当の革命と結びついていると思う。真の社会的調和の実現のためには、ひとりの人間の存在は、その隣人にとって完全に可視的なものでなければならず、またその逆も言えなくてはならない。」

http://www.nybooks.com/articles/archives/1975/aug/07/sartre-at-seventy-an-interview/ から。

こうしたガラス張りの世界は、すでにツイッタとか普及した我々の世界でもあるよな、みたいな。この「ガラス張り」について知ったのは、グラヴァー先生の訳してる時。この本はおもしろいよ。いま読んでもおもしろいと思う。訳している当時はこの原文を手に入れることは難しかった。いまではGoogle様に頼めば一発。よい世界になった。

 

 

 

 

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