(Spencer A. Rathus, Jeffrey S. Nevid & Leis Fichner-Rathus, Human Sexuality in a World of Diversity, 6th ed., 2005のp.8からのコラムを江口聡 eguchi.satoshi@gmail.com が勝手に訳したもの。著作権クリアしておいません。版も古いです。)
これはセックスについてのあまり質のよくない自己啓発本についてのものですが、一般に大学生が資料としての「本」を探す上でのよいアドバイスになってます。
セックスについての自己啓発本について批判的に考える: いいかげんじゃないか?
『セックスするたびオルガスムを得るための5分間』『簡単に得られる女性のオルガスム』『新しい性感マッサージ』、などなど。こらは最近本屋に出回っているセックスについての本の一部のリストです。毎日、シャイな人や、不安な人や、混乱した人や、性的な問題をかかえた人たちが本屋やスーパーマーケットで答を探して本を探しています。こういう本のよさをどうやって見分ければよいでしょうか?助けになる本と、役に立たない本や有害な本をどうやって区別すればいいでしょうか?
不幸なことに、これには簡単な答はありません。私たちは印刷物に書いてあることを信じてしまいますし、タイロンがペニスを30%大きくしたり、マリアが「毎回」オーガスムに到達するのはすばらしく魅力的に見えます。特に私たち自身が困っているときには。
気をつけましょう。言論の自由にたいして私たちが払っているコストは、ほとんどなんでも出版できるということなのです。ライターたちは罰される恐れなく途方もない主張をすることができます。新しいセックス治療の効果について嘘をつくこともできるのです——故エルヴィス・プレスリーやUFOを見たという話と同じように簡単に。
自分自身を守るためにはどうしたらいいでしょうか? たとえば、『新しい男性のセクシャリティ』が尊敬されている心理学者によって書かれているということをどうやって知ればよいでしょうか。女性がセックスするたび必ず5分間でオーガズムを得られるなどと、倫理的なカウンセラー(helping professional)は決して約束しないことをどうすれば知ることができるでしょうか。
批判的に考えてみましょう。
- 第一に、カバーやタイトルで本を判断すべからず。よい本も悪い本もキャッチーなタイトルとおもしろそうなカバーがついています。数十、数百冊の本があなたの関心をとらえるために競争しているのです。というわけで、出版社がカバーでなにかセンセーショナルなことをするのは不思議ではありません。
- 途方もない主張をしている本を避けよ。できすぎた話だと思ったら、それはおそらくそうなのです。誰にでも有効な方法などというものはありません。一晩以上効果のある方法はめったにありません。しかし人というものはインスタントな治療を求めるものです。5分間でオーガズムが得られることを約束している本は、おそらく30分かそれ以上かかってなお普通だ、と言っている本より売れるでしょう。302のセックステクニックを誇っている本は151のテクニックの本より役に立つように思えるでしょう。責任感のあるカウンセラーはあまり気前よい主張をしないものです。
- 著者の学歴を見よ。著者が単なる「博士 Dr.」で、それが名前の前におかれていたら注意しましょう。その学位はメールで注文して買ったニセ学位かもしれません。こうしたものは、大学や医療学校が認めたものではなく、宗教的カルトが出したものかもしれません。「Dr.」が名前の前についているより、Ph. D.やPsy. D. やM. D.やEd. D.が名前のあとについている方がよいです。
- 著者の所属をチェックする。保証はありませんが、大学や医院、病院などに所属している自己啓発プロフェッショナルは、そうでない人よりも提供できるものが多いです。The Complete Guide to Amazing Sexの著者のウェブサイトは、彼女がアイビーリーグの大学でB.S.とM.S.をとったと言っていますが、人間のセクシャリティの領域でどんな教育と訓練を受けたのかについてはなにも言っていません。(彼女の本は悪くはないですが、彼女の肩書だけでセクシャリティについての専門家であるには不十分だということです。)
- 著者が保守的なプロフェッショナル集団に対して文句をつけていたら注意。著者は時代の先頭を走っていると自慢してないでしょうか?セクシャリティの分野のプロフェッショナル集団は頑固だとか心が狭いとか怒ってないでしょうか。もしそうなら、注意してください。ほとんどのカウンセラーやその他の科学者は心が広いものです。彼らは、単に、派手な宣伝カーについて行く前に、ちゃんとした証拠を見せろと言うだけなのです。熱意は研究と証拠のかわりにはなりません。
- その本で報告されている証拠をチェックせよ。悪い本はなんらかの逸話をよく使います。逸話 anacdoteとは、一人や少人数がおこなった、空想的で十分支持されていない物語やケーススタディーです。責任感のあるカウンセラーは、テクニックの効果を大人数に適用してチェックします。かれ らはその結果を測定します。彼らは制限された言葉を使います。たとえば、彼らは「〜と思われる」「〜かもしれない」のように語ります。
- 証拠の参照をチェックせよ。しっかりした研究は、この本のリファレンス部分にあるジャーナルで報告されています。これらのジャーナルは科学的に妥当に思われる研究方法と結果を主に報告しています。もしあなたが見ている本に参照がなかったり、リファレンスのリストがうたがわしく見えたら、あなたも警戒しなければなりません。
- 教員にアドバイスしてもらえ。なにをすればよいか、誰と話をしたらいいか、なにを読めばアドバイスを求めましょう。
- 本棚の在庫ではなく、この本のような教科書と専門書を読め。大学書店の教科書売り場のあなたが関心ある分野をチェックしましょう。
- 訪問して教員とお話しよう。大学の健康センターの誰かに話をしましょう。
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