セックスの哲学」カテゴリーアーカイブ

女性の性欲の強さについてモンテーニュ先生語る

性欲の男女差で思い出したんですが、私、前にも書いたように、モンテーニュ先生ものすごく好きなんですよ。先生はモテてモテてしょうがなかったようで、まあモテなくても殿様だからエッチなことしまくりですよね。きと。んで、先生は女性の方がエッチが好きだし得意だって言ってる。まあ前のエントリでの「セックスのキャパシティ」も「セックスのエンジョイメント」も男より上だ、っていうわけですね。さすが数こなしてるからよく知っていらっしゃる。殿様いいなあ。あるいはモテモテだから少数でも積極的な女子たちがまわりにいたか。 続きを読む

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「性欲が強い」ってどういうことだろう?

ポルノとか痴漢とか常にSNSで話題になっているわけですが、ときどき「男の性欲はそんなに強いのか、それはどういうものか」「女も男と同じくらい性欲を感じている」「だから性犯罪するのは性欲ではなく支配欲なのだ」とかいろんなことがいわれたりします。

たしかに「性欲が強い」とかっていうのは、いったい何を言ってるんですかね。ふつうに考えて、性欲とかってのは内的に感じるものだろうから、他人がどれくらい強い性欲を感じているかっていうのはよくわからない。いま道歩いている中学生とか老人とかがものすごく強い性欲を抱えて悩んでいる、とか考えるとなんかおかしいですね。 続きを読む

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キャリン・スタンバーグ先生の心理学的恋愛相談

Karin Sternberg先生のPsychology of Love 101ってのをざっと見てたんですが、最後の恋愛相談室みたいなのが面白かったのでメモ。翻訳ではなく要約というか、まあ勝手なアレ。質問も答もそれぞれよくある話だけど、それぞれ恋愛心理学の有名論文が参照されるのがよい。キャリン先生は、認知心理学と恋愛心理学で有名なロバート・スタンバーグ先生の奥様らしい。ロバート先生の物語理論にけっこう言及しているのが目につきました。このPsych 101シリーズってのよさそうですね。 続きを読む

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恋愛の類型学 (4) おまけ:愛の類型学

よく昔の恋愛論や哲学的恋愛論みたいなの見てると、恋愛とその他の愛、特にキリスト教的・利他的アガペーみたいなのが混同されてるような感じがあるんですわ。 loveとかamourとかLiebeとか っていう西洋語は、すごくいろんな人間的な感情や人間関係につかわれるので、そこらへんでいろいろ言葉の意味のすりかえをするひとたちがいるんですね。

んじゃ、「恋愛」じゃなくて、「愛」を分類するとどうなるんだろう? 続きを読む

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恋愛の類型学 (3) スタンバーグ先生の恋愛物語理論

恋愛の類型学、つまりタイプ分けに関しては、ジョン・アラン・リー先生の恋愛の色彩理論ロバート・スタンバーグ先生の恋愛三角形理論が有名で、ネットにもけっこう転がっていますね。私もちょっと紹介しました。

スタンバーグ先生の三角形理論は1980年代のものですが、90年代に今度は「恋愛は物語だ理論」みたいなのを提唱して、三角形理論といっしょにして「恋愛の二重理論」という形にしてます。この「恋愛物語」理論はネットでは紹介されてないし、注目もされてないみたい。ちょっとだけ紹介。 続きを読む

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『不安の概念』(14) 「自由」はいわゆる積極的自由だと思うの

前エントリのキェルケゴール(実は『不安の概念』の著者ヴィギリウス・ハウフニエンシス、またの名を「コペンハーゲンの夜警人」)の「自由」は強制されない自由か、するべきこと/ただしいことをする自由か、ていう問題はけっこう大きな問題なわけだけど、次の箇所では正しいことをする自由の方だと読めるんじゃないかと思う。まあ同じ問題は残ってるんだけど。 続きを読む

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『不安の概念』(9) キェルケゴール学者はパラフレーズできるか

「レポートの書き方」みたいなのでは、学生様たちに「パラフレーズしろ、パラフレーズできてはじめてその文章の内容がわかったといえるのだよ」みたいなことを言ってるわけですが、キェルケゴール関係だと学者様たちもほとんどパラフレーズせず、キェルケゴールが書いたものの抜書き集みたいになってしまう。これはほんとうにやばい。 続きを読む

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『不安の概念』(4) 無垢はエロについて無知っす

んで、『不安の概念』の第1章第1節〜第2節では、アダムの最初の罪はよくわからんね、って話をぐだぐだやるわけです。まあここらへんでキリスト教の問題わからん人は読み進められなくなるですね。私も別にキリスト教にそれほど興味あるわけじゃないから読めない。キェルケゴールもよくわからずぐだぐだやってるんだと思う。まあここらへんいろいろ、とりあえず堕罪、原罪の話は大事だよ、ぐらいに読んどいていいんじゃないか。 続きを読む

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『不安の概念』(3) キェルケゴールの問いは

んでまあ、もどって、『不安の概念』の最初の2章で扱っているのは、キリスト教では人間はみんな罪人です、ってことになってますが、人間はどうやって罪人になるのですか、という問いだと思うんですわ。これ、つまり原罪の話ね。 続きを読む

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『不安の概念』(2) セックスセックスぅ

『不安の概念』は人間の「自由」とそれを前にした不安の話だ、っていうのがまあサルトルとかの読みなんだと思うんですが、本当にそうかな、っていう疑問がある。そうじゃないかもしれない。 続きを読む

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『不安の概念』(1) 『不安の概念』はセックス哲学の本、性欲の本かもしれない

この前、年に1回のキェルケゴール研究者の会合に出て、いつものようにみんながなにを話しているのかほとんどわからなくて、絶望しています。まあそもそも私キェルケゴールあたりから勉強をはじめたのに、30年たってもそういう状態で、いろいろ思うところがあるわけです。「キェルケゴールと私」シリーズにも書いたんですけどね。 続きを読む

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売買春の実態調査は難しい (6) 補遺

各国の売買春事情についてのProConはちょっと信頼できないなあ、みたいなことを書いたんですが、その後、ProConが根拠にしている The Continuum Complete International Encyclopedia of Sexuality: Updated, With More Countries (2003)ってのをちょっとめくってみました。 続きを読む

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売買春の実態調査は難しい (4) ワイツァー先生たち

売買春の実態調査は難しい (3) の続き)
んで、他の国はどうなってますか、ってわけで、これはネットみてもノイズが多くてしょうがないので、まともな情報を探して本を見るのがいいですね。Ronald Weitzer (ed.) (2000) Sex for Sale、ってのをぱらぱらめくってみると。 続きを読む

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売買春の実態調査は難しい (3) ProConは信頼できない

売買春の実態調査は難しい (2) から続き)
んで、問題の国際比較なんですが、これほんとに難しくて、ほとんど無理っぽいですわね。北原先生は「米1992年0.2% 英1990年0.6% 仏1992年1.1%に比べ、ニッポンぶっちぎりの買春大国であることが、指摘されてます」って言うわけだけど、このもとの2000年の厚生省の調査がどういう典拠にもとづいて米0.2%とか英0.6%とかって数字出してるのかよくわからん。これから調査します。 続きを読む

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売買春の実態調査は難しい (2) ヌエックの調査

売買春の実態調査は難しい (1) の続き)

ちょっとgoogle様にお伺いをたてて、まともな調査をさがしているのですが、こここらへんんはどうだろう。国立女性教育会館(ヌエック)の2007年の調査を2011年に再利用(?)したもの。 続きを読む

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売買春の実態調査は難しい (1) 坂爪先生と北原先生

北原みのり先生という有名なフェミニストの先生が、セックス産業に関する注目の若手(?)坂爪真吾先生の著書の一部を批判していて、ちと興味を持ちました。売買春の女性の側の調査は90年代からそこそこあるんですが、男性の側のはあんまり見ないんよね。今のところ、少なくとも国内については数さえよくわからない、っていう状態。 続きを読む

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セックス哲学懇話会のお知らせ 3/10(金) 東京神田

セックス哲学懇話会を開催します。どなたでもご参加いただけます。
日時:3月10日(金)15:00〜17:30(*14:45から会場を開けます。)
場所:神田駅前センタービル4F 神田駅前ホール
東京都千代田区鍛冶町2-7-3
http://www.kaigi-room.com/build/access/c002320.php
相澤伸依(東京経済大学)「フランスの避妊・中絶解放運動概観」
藤田尚志(九州産業大学)「分人主義における性と経済」
石井良輔(帝京大学)「帝京大学経済学部「入門ミクロ経済学」での実践例から」

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サロメさんのダンスいろいろ

以下R18。某授業でサロメさんのダンスを見せられるか検討。

ヘロデ王が軍服でいかにもエロそうでエロ点数高い。最後がトップレスで授業では使えない気がする。

https://youtu.be/00Jlx0S-b2U

これは衣装とか演出とかまあそれらしくてトップレスまではいかんからこれくらいなら許されるのかどうか。無理か。

これも大丈夫か。

リヒャルトシュトラウス先生にこだわらないとケンラッセル先生のやつが好きなんだけど、まああれね。

まあやめといた方がよさそう、という結論。

まあこの曲、音楽的にすごくいいか、っていうとリヒャルトシュトラウス先生のとしてはそれほどすばらしくよいというわけでもない微妙な感じだし、あんまり価値ないかなあ。

しかしまあオペラとかその手のものっていうのはどれもこれもエロくて、学生様にはフィガロの結婚やドンジョヴァンニでさえ、その標準的な解釈を教えただけでびっくりするみたいね。昨日は「カタログの歌」「シャンパンの歌」「お手をどうぞ」の3曲セット。みんなまじめそうな顔をしてそんなものを見てるのか!みたいな。そこで西洋文化ってのはそういうもんです、とダメ押す。

まあそれは教養科目とかって名前ついてたりするわけで、教養っていったいなんだろうね、それとエロ知識はどう違うのか、とか思ったり。実はあんまりちがわんのではないか。ははは。

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旧約聖書の「雅歌」は桃色文書

聖書っていうのはぽつぽつ読んでるとおもしろいですよね。「コヘレトの書」とか名作だし、万葉集みたいな感じの「雅歌」もいい。聖書のガイドブックとしては、キリスト教信者の方々には怒られるかもしれないけど、架神恭介先生の『バカダークファンタジーとしての聖書入門』がおもしろいっす。

「バカダークファンタジー」としての聖書入門
架神恭介
イースト・プレス (2015-04-25)
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(雅歌 1:15-16)(この訳は新共同訳)

若者:恋人よ、あなたは美しい。
あなたは美しく、その目は鳩のよう

おとめ:恋しい人、美しいのはあなた
わたしの喜び。
わたしたちの寝床は緑の茂み。
レバノン杉が家の梁、糸杉が垂木。

架神先生の意訳だと

「素敵だ、キミの瞳は最高にエロチックだ」「あたなのことも大好き。……ねえ、外でエッチしない?」

ということだそうです。

次は雅歌4:12-16

私の妹、花嫁は、閉された園。
閉ざれた園、封じられた泉。
ほとりには、みごとな実を結ぶざくろの森。
ナルドやコフェルの花房。
ナルドやサフラン、菖蒲やシナモン
乳香の木、ミルラやアロエ
さまざまな、すばらしい香り草。
園の泉は命の水を汲むところ
レバノンの山から流れてくる水を。

これも架神先生にいわせると

「きみのアソコはざくろのパラダイス!」

意味わかりませんね。

おとめ:北風よ、目覚めよ
南風よ、吹け。
わたしの園を吹き抜けて
香りを振りまいておくれ。
恋しい人がこの園をわがものとして
このみごとな実を食べてくださるように。

これも一言でいうと

「あたしのざくろを食べて」

ということだそうです。これもわからん。その前の、風が吹いて園の香りがあのひとに届きますように、も私には意味がわからない。

この「秘密の花園」は松田聖子先生も歌ってますね。作詞は天才松本隆先生。これも意味がわかりません。世界には謎が多い。

https://youtu.be/nsQaH5Ls6A0

まあ上の架神先生の本は、旧約・新約聖書のどこにどんな話あるのかざっと知るにはとてもよいので、一冊入手しておいたらどうでしょうか。

ところでまあ俗説だと西欧の歴史のなかで、古代ギリシア〜ローマはセックスに対して開放的で、ユダヤ教の流れは禁欲的、ってことになってるわけですが、これはどうもあやしいってことです。むしろギリシア系は禁欲的で、ユダヤ系はエッチなものに肯定的な評価をしていた、みたいな。

この本は非常に示唆的でした。

The Poisoning of Eros: Sexual Values in Conflict
Raymond J., Jr. Lawrence
Augustine Moore Pr

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