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就職活動中盤戦

 

4回生の就職活動は中盤の勝負どころという感じで、多くの人はさすがに「大手病」に懲りた頃ではないかと思います。ここらへんでどうするかってので将来が大きく左右されちゃうようです。

6月は中堅企業ががんばって採用を進める勝負所なので、ここで一踏ん張りしたいところです。中堅どころは4月から5月で大手の採用枠がだいたい埋まるのを待っていたわけね。(4月に内定出しても大手に横取りされちゃうから中堅にはあんまり意味がない)

んで、まずここまでの活動を反省してみること。自分が何社まわったかとか面接何回受けたかとかちゃんと把握していない(あるいは説明できない)人がいてヒヤヒヤします。たとえばここで、「えーと、15社ぐらい、正確には」とここでメモを見て「16社、二次面接までは10社」とか答えられる人はすでに通ってるわけなのね。そういう人は会社としても取りにくいっすよ。だって、会社入ってからも「今月何社どこに営業に行ったの?」「ええと?さあ、とにかくがんばりました」では役に立たないもんね。

まずちゃんといつでもメモやノートをとり、記録を残す習慣は身についているか確認してみてください。この時期苦戦している学生さんは、たいていここでつまづいてるみたいね。

一次~二次面接ぐらいで落とされる場合は、話し方の見直しが必要だよね。

この時期になるとへんに面接に慣れちゃって、「どこも同じようなこと尋ねるなあ」とか感じてどこに対しても同じようなことを同じようにしゃべってしまうわけですが、それじゃ通らんよね。そもそもそれで落とされてるんだからさ。なんか問題があるわけよ。相手によって話の内容も雰囲気も変えなきゃ会話にならんでしょ。この時期苦労している人は面接を質問に答に行くところだと思っている雰囲気があるけど、そうじゃなくて会話しに行くんだからね。

だいたいそういう学生さんは「自分をビデオで確認しろ」って言ってもちゃんとやってないことが多い。まあ得手不得手はあるもんだけど、とりあえず確認してみたらよろしい。ビデオにとってみる場合のポイントは、完璧をめざすんじゃなくて、自分がもっている「自分のイメージ」との距離を確認するのね。話し方が下手でも、「まあそういうとこが自分らしいわな」と思えればOK。

あと、この時期苦労している人びとに共通しているのは、企業研究が足りないことね。そりゃ手ぶらで面接行って雇ってくれるようなところはないわさ。「私には最低1日1万円の価値があります」ってことをアピールしなきゃならんわけで、「できる」って口で主張するだけじゃなくて、実際にそれを見せる必要がある。どういう業界で、どういうサービスや製品を提供していて、それは市場でどう評価されていて、どういう会社と取り引きしていて・・・という当りまえのことさえ調べていないようでは、少なくともいわゆる総合職は難しい。

何度も書くけど、上司とか社員に指示されたことだけやるんだったらもう社員ではなくてアルバイトや派遣で十分なんよ。自発的になにをやるか見つけられる人だけが正社員になれる。

チェックリストは作ってみたか、企業研究ファイルは作ってみたか、と見直してみる点はたくさんある。だいたいの学生さんはけっきょくたいして準備せず面接に臨んで、落とされまくって疲れ果ててしまうのね。私はそういうのは馬鹿らしいと思うけど、どうしても多くの人がハマる罠だねえ。

どうも、女の子の場合は「美人の~さんやかわいい~ちゃんはなにもしてないのにすぐに決まってるのに~」とかそういう感じもあるみたいね。たしかにそういうのはあって、そこから来る不公平感や、自己評価下る感じってのはなんかわからんでもないんだけど、そういうダウナーなものとも強く戦わなきゃならん。(だいたいルックスそのものが内定の理由というより、ルックスに裏づけられた高い自己評価が本当の理由かもしれん。ここらへん興味あるひとは社会心理学での「対人魅力と自己評価」とかを勉強してみるとよい。)自分に自信をもつのは難しいんだけど、とりあえずなんか本当の努力しておけばそれだけ自信はつく。理論的には。私自身も自信もち、自己評価を上げるのはとても難しいと思う。どうしたらいいんかね。

意外に落し穴になるのが、大学の勉強をちゃんとすることね。けっきょく、4月に大手に入りたかったけど大手から振られた人ってのはなんか足りないわけで、つまりそれはあなたに市場での価値が(大手に内定もらった人より)あんまりないってことなわけで、ここでがんばって価値を付けなきゃならん。ただぐるぐる会社まわってればよいってもんじゃなくて、成長しなきゃならん。そのために一番よい方法はまじめに勉強してみることでしょ。ここがわかってない学生さんはすごく多いと思う。

それから、就職決まって、単位もほぼ揃っていて卒業は楽勝と思っている人こそ勉強すること。一流大学では1、2回生のときはバイトしたり遊び惚けたりて、3、4回生のときにこそ勉強するものです。どうも女子大とかでは1、2年生のときに真面目に学校通って4回生では旅行のためのバイトばっかりとかそういうのが普通のようですが、これはもったいない。きっちりした卒論目指したり自主ゼミやったりして力をつけておくもんなのよ。

まあ一般の学生さんにとっては3~4月より人生を大きく左右する時期だから、ここはがんばりどころだねえ。中堅のよい会社はまだまだたくさんあるぞ。それから大手も追加募集しているぞ。

このエントリはなんかいかにもお説教だったなあ。

問題は、この時期には気ばかりあせってやるべきことはわかっているけどできない、とかって状況になってしまうことなんだよな。

逆に、もう疲れはてちゃって・・・という人は無理にいろいろやろうとすると危険なので、1、2週間休憩して大学の勉強してみるのもよい。いま無理して体壊したり鬱になったりするより、ゆっくり秋にいろいろ活動するとか、最初は派遣とかで働いてみるとか、いろいろ方法はある。

とりあえず基本的には「気合い」とかの問題ではなく、おそらくノウハウの問題(チェックリストを作るにはどうしたらいいか、ビデオをいつ取ってみるか、誰に相談するか etc.)なのだということに気づいてね。おそらくそういう作業も面倒だけどとりあえず説明会行かなきゃ、とかになってしまうんだわな。そういう回路を断ち切り抜けだせ!(あら、やっぱり精神論になってしまった。このエントリ失敗。)まあノート広げていろいろリスト作ってみたりしましょう。そしてそういうのものの作り方は大学で教えてるからね。


固有名詞はぼやかすな

ゼミで自己紹介のスピーチなどしてもらうと、「バイトはカフェでやってます」「ロックが好きです」みたいに話す学生さんがいるわけですが、これはあんまりよくないんじゃないかと思います。なにがよくないかというと、固有名詞が出てこないところ。

ここははっきり、「カフェのベローチェでバイトしてます」「サンボマスターとかの暑苦しいロックが好きです」と固有名詞を出していきたいところです。「カフェ」って言うよりも「ベローチェ」の方が情報量が多いでしょ?

そういうときに学生さんに「はっきり固有名詞を出したら?」って尋ねると、なんかよくわからない。「必要ないと思いました」「そんな有名な店じゃないので」「マニアックなので言ってもわからないと思って」とか答えるわけですが、そんなふうな気を使う必要はないです。そういうのはむしろ聞き手の知識量を馬鹿にした感じでよくないです。

「私の地元では〜です」とかっていう話し方をする人がいるんだけど、地元がどこだかわからないから話についていけない、みたいなのもある。

 

「カフェのベローチェ」「サンボマスターとかのロック」といえばベローチェがカフェで、サンボマスターが暑苦しいロックバンドであることはわかる。「川端四条のスーパーのフレスコ」でいいじゃん。「私の郷里の山形県では」。ほんの1、2秒でその情報を伝えることができるのだからそうするべきです。

そしたら、「私もよくベローチェに行く~」とか「サンボマスター私も好き~」「フレスコは通ってるわ」とか反応してくれる人もいるでしょ?話が広がるし。とにかく自分についての情報はケチらず出すのがスピーチのコツです。「自己開示」ってやつね。「実は~」と自分についての情報を開示すると知らない人となかよくなれる。

ゼミを休むときだって、「ワコールの二次面接に行ってきます」の方が、「今日は就活なのでお休みさせてください」よりずっと好感がもてる。

逆に、固有名とか具体的な話が出てこないと、「なんか話したくないバイトしてるのかなー」とか「あんまり私たちと仲良くなりたくないのかしら」「ズル休みだろう」とかって疑ってしまうものです。つっこみも入れにくくなるし。

就職の面接のときも同じね。もうなんでもいいから具体的に話す。

あと、もし「飲食店でバイトしてます」とかってのが、その「飲食店」がキャバクラだったりすると言いにくいこともあるかもしれないですね。でもそういうときは最初から「飲食店でバイトしてます」とは言わないのが大人の暗黙のルールなんよ。なんでもかんでも正直に話さなきゃならないわけでもない。とにかくボンヤリした話はしない、するなら話は徹底的に具体的にすること。

ちなみに、嘘つきな人や嘘を見破る一番重要なポイントの一つは、嘘はたいてい具体的じゃなくてぼんやりしていることに気づくことね。本当の話、そのひとがよく知っていることの話は必ず具体的で細部がある。意図せずして、いろんな固有名や具体的な動作や会話、よけいな豆知識なんかがぽろっとでてくるものです。大学の教員でもぼんやりした抽象的なことした言わない人は本当はその話よくわかってないんよ。そういう人は信用する必要ないし、逆にいえば、ぼんやりした話をしても信用されないってことね。

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これとか図書館で借りて読んでみるといい。

嘘つくなら徹底的に、てのではこれがすげーおもしろいよ。ちょっとした嘘をつくために、どんな状況なのかきっちり想像して、細かいディーテイルを加える。

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就職面接について

江口は就職面接は数えるほどしか受けたことがないので面接について言えることは多くないですが、メモだけ。

こころがまえ

  • 自分を知ること、が一番だいじ。
  • あなたの売りはどこにあるのか、弱点はどこにあるのか。
  • 自分は他人にどう見えるのか、どう見せたいのか、よく考えよう。
  • 会社のオジサンオバサンはたくさんのひとを見ているので、演技やそういうのではごまかせません。「素」でだいじょうぶ。
  • とにかくビデオで素の自分、しゃべっているときの自分を見てみること。
  • 笑顔は重要。

準備して行けよ!

  • 当然のことですが、面接行くときはその会社がどんな会社で何を売ってい
    てなにを得意にしているかちゃんと調べてください。
  • 業界で何位ぐらいなのか。
  • 同業他社と比べてどこが優れていてどこが劣っているのか。
  • 直接のライバルはどこか
  • たずねられることもほとんど決まってます。よくある質問事項はどれも一度はよく考えておくこと。

内容よりは話し方

  • 基本的に、面接では話す内容より話し方の方が重要だと思ってください。
  • とっさの表情、反応、その他を見られます。こういうのはあんまり準備しようがないので、日頃から訓練。
  • 一方的に滔々と話そうとするとアガります。会話のキャッチボールをするつもりで。
  • 途中でちょっととまったり、「うーん」となってもかまいません。
  • でも最後まで言い切ること。語尾をあいまいにしない。話が終ったのかどうかわからないと担当者が次の質問できません。
  • 相手の顔を見て、話を聞いているのか退屈してないか確認する。でも無理して顔をじーっと見る必要はありません。
  • 面接担当者に質問してもだいじょうぶ。
  • 一回がしゃべる姿を自分をビデオにとって観察してみること。
  • 話し方、体の動かし方、いろんな癖があるものです。クセはあってもかまわないのですが、その癖が他人からどう見えるかは確認しておくこと。
  • 圧迫されても平気。圧迫したらどうなるかを見ようとしているので、断固がんばりましょう。
  • でも笑顔は忘れずに。

話す内容

  • よく質問される項目は決まっているので、あらかじめ考えておくこと。でもあらかじめ用意したものをそのまんましゃべるのは絶対にだめ。あくまでその場で相手の顔を見て考えて答えること。
  • 具体的に。抽象的な話はだめ。
  • 必ず例をあげるつもりで。
  • 「あなたはどんな人ですか?」とたずねられて、「まじめです」と答えてもだめ。「これこれこういうときにこういうことをするように真面目です」と答える。そうすると相手がつっこみやすくなり話が進展します。

たちふるまい

  • 何度も書きますが、こういうのは日頃の行ないがすぐに出ちゃいます。
  • ドアの開け方、イスの引き方座り方。どう動けばかっこいいのか他の人を観察しましょう。あなたの周りにもスマートな振舞いの人がいるはずです。真似しましょう。そういう 観察力 が勝負なんよ。おそらく。
  • 「マニュアル通り」にロボットのように動くのはおすすめできません。(そういう人を求めている職場もあるかもしれませんが・・・)
  • とにかく自然に。そして笑顔。
  • これもビデオに1回とってみること。研究室に来たらとってあげます。

グループ面接・グループワーク

  • グループ面接やワークをさせるのは、個人面接では見られないような側面を見たいから。
  • それは実践的な対人能力でしょう。あなたがグループのなかでどういう位置を占め、どういう役回りになるのかを見ようとしています。
  • とにかくまわりに気を配ること。誰と誰が気が合いそうか、誰と誰がライバルになりそうか、誰が一番有能そうか。リーダーシップある奴は誰で、ユーモアがあるやつは誰か。
  • 必ずしも目立ったり一番になったりまとめ役になる必要はありません。
  • グループでディスカッションするときには、アイディア出す人、場をなごませるひと、話を整理するひと、ねちねち質問するひと、すでに出た意見の弱点を見つけるひと、といろんな役目があります。あなたはどういう役目が得意なのか、それを見せれば十分です。
  • でもなんにも発言できないようではその場に存在している意味がありませんね。
  • 他の人を競争相手と考えるより、協力者と考えること。ディスカッションやワークの場合は、他の受験者の名前や所属や考え方、その他の属性をできるかぎり頭に入れようとすること。メモできるなら名前ぐらいメモっておくこと。(っていうか、そういう所ですぐにメモとれない人は就職する資格なし。)そういう配慮が採点されるんだと思う。
    • おそらく実践的に一番大事なのは、グループのなかで誰が一番できる奴なのかを把握することです。
  • できる奴、信用できそうな奴を見つけたら、そいつに話をまわしたり応援したりするって手もあるわけです。
  • 「できる奴にいっしょに連れてってもらう」はいろんなところで役に立つ処世術。身につけましょう。
  • 他のひとがよい意見を言ったら、必ず賛成の意を発言したり(「そうですね。」「ああ、それは気づきませんでした。」)など。最低限、「うんうん」とうなずいたりして反応を示しておくこと。逆に違う見解を示されたら、首かしげるなりなんなり。ボディランゲージは重要で、そうして反応すれば、発言するチャンスをもらえるのです。
  • 意見が対立してもまったくOK。でも自分の立場をはっきりさせること。曖昧なのはだめ。
  • よく知りませんが、おそらく休憩時間の行動も観察されています。できそうな奴をみつけて積極的に話しかけちゃえ。コーヒーでも飲みながら、「緊張しますね。」「さっきの発言はよかったですね。」とかそういうのできっかけになる。協力してもらえば楽になるぞ。

まあ、しかし

  • でもやっぱり面接は総合的な人柄です。
  • 会社ってのはその会社なりの雰囲気があって、好むタイプの人間とあんまり好まないのがいます。これはしょうがない。
  • ボーイフレンドやガールフレンドを探すのと同じで相性があります。
  • あなたが自然にふるまって落とされるようであれば、それは相性が悪いのです。そういうんでは、別に落とされても気にやむ必要はなし。相性悪いところに就職しても苦労するだけだし。
  • どこかにあなたを必要としている会社があるはずです。

大事な会話のときはマスクはずしておいた方がよい

どういうわけか、最近の女子はマスクするのが好きなようですが、私は気になりますね。

Googleで「マスク 失礼」とかで検索してみると下のような感じ。いろいろ意見はあるけど気にする人はけっこういるようですね。

表情ってのはすごい大事なので、特に問題がなければ人とお話するときはマスクははずしておくべきだと思います。もちろんよく知ってる友達どうしとか、あるいは会話がほんのちょっとですむ仕事とかなら別ですけどね。でも就職面接のように、知らない相手とか、相手の思考を読んだりする必要があるときはやっぱりねえ。まあマスクしたまま面接受けたら落とされる確率が格段高まるんじゃないかしら。

会話っていうのは話の内容とかより、話し方、表情、態度、そういうのが大事なわけで、そういうのを隠しちゃうのはやばいです。

まあいろんなQ&Aで回答者が指摘しているように、最初に一言ことわっておいたりすると大丈夫ですが、そんなひどい風邪とかの問題がないならお話するときだけははずしておいた方が無難。私だったら会社やセミナー会場に入るタイミングではずしますね。

(同様に目が大きくなるカラコンとかも表情がよめなくてやばいと思います。サングラスかけて就活する人はいませんね。ははは。)


エントリーシート(2) 長所と短所

エントリーシートはねえ、やっぱり正直なのがよいと思うですよ。本気で信じてないのは読むひとが読めばわかっちゃう。まあどんな文章でもそうなんだけどね。

どういう課題にせよ、自分の「売り」を表に出すように。

「売り」はどうやって見つけるか?とりあえず大学ノートの左側に自分の短所をリストアップしてみる。いわゆる心理的性格だけに限定しない方がよい。短所はリストアップしやすい。

私の場合

  • 攻撃的
  • 怠惰
  • 平凡・通俗
  • おおざっぱ
  • 非社交的
  • 頭でっかち
  • 粘着
  • 貧乏
  • これといった特徴のない容姿
  • へたな会話
  • 喫煙者
  • アル中
  • 腹が・・・
  • 足が・・・
  • 不精ひげが
  • 頭が前の方から
  • ・・・

と山ほど続く。まあ他人と比べてどうかってことだけでよい。まじめな性格心理学とかやっているわけではないので、まずだいたい自分の考える「ふつう」の人と比べてどうか、とか適当。人間関係にも注意。これも社会心理やっているわけではないので適当。社会的属性とか家系とか、まあなんでもよいから思いつくだけ。

次に、右側に、それを友人や教師の視点からなんとかして無理してよい言葉にしてあげる。上の例を使うと

攻撃的 積極的
怠惰 あせらない
平凡・通俗 常識的
おおざっぱ おおらか
非社交的 内省的
頭でっかち 高学歴
粘着 粘り強い

 

自信がついたら、ほかにもよい点を列挙してみる。

  • 挨拶する
  • 実は親切
  • 笑顔のときが多い
  • 実は清潔
  • ・・・

さらに、こういうのは往々にしていろいろ矛盾するんで、なにとなにが矛盾しているか考えてみる。攻撃的で怠惰(積極的で、かつ、あまりあせらない)だというのはおかしいか?おかしいかなあ。どっちかだけにするか、もうちょっとつっこんで考えてみる。どんどん削っていく。残ったのが売りになるかもしれないもの。だいたいの人は売りなんかないけど、エントリーシートではあえて強く主張しないとならん(と思う)。さらに、その書いたり消したりした表全体をながめて、(略)

でまあ、だいたいとりあえず「売り」にできそうな特徴がわかってきたら、それをほんとに具体的に表すような事件や経験を思いだす。このエピソードを思いつけるかどうかが本当に勝負。なるべくおもしろいもの、笑えるものがよいが、とにかく具体的に細部を思いだす。

体育会系やボランティアやめずらしいバイトしてた人はいろいろ書くことがあるけど、なにもしてなかった人は書くことを見つけるのが難しい。それはしょうがないので、それなりに工夫する。

あれ、上のはやっぱり性格特性ばっかりでこれじゃだめだ。でもこういうのはあんまり具体的に書くと値打ちがなくなるので、考えてることぜんぶは書きません。

まあでも実は、エントリシートはちゃんとした形式の文章が書ければそれだけで落とされることはありません。でもおそらく面接にあたって面接者の興味をひくことはできます。誰かに見てもらってチェックすること。


うまそうなアルバイトには注意

 

新聞の折込広告にこんなのがはいってました。

仕入れアシスタント募集!

海外旅行で稼いじゃおう!

日本全国・アジア、ヨーロッパ、北米等でのブランド品・雑貨・アクセサリー、アンティーク等の仕入れアシスタントおよびマーケティンング

日給1万円 + 各種手当

・ベテランスタッフが同行しますので、経験のない方でも安心してすぐお仕事ができます

・ラフなお仕事ですのでお気軽にご応募ください。友達同士のご応募もOKです。

学歴・経験不問。語学力・商品知識はいりません。お気軽にお電話ください。現地面接致します。

あなたの希望日に月3〜4日だけでもOKです。飛行機代、ホテル代等は一切かかりません。

(東京都新宿区大久保の業者)

すごいですね。女子大生がこういうのに応募しちゃうとたいへんなことになるかもしれません。 「ラフなお仕事」ってのはどういう仕事なんだかな。世の中に、うまい話、おいしい話はありません。


就活の日程とゼミなどの授業がぶつかったら?

 ブッチは絶対だめ

近年就活(セミナーや面接)がどんどん早まって、授業とバッティングしてしまうことが多くなっていると思います。学生さんもたいへんですね。

教員としては「就活なんかするな」なんてとても言えるわけがない状況なのである程度授業を休んで就活するのも黙認、となってしまうわけですが、大人数の講義ならともかく、少人数の授業、特にゼミでの発表をキャンセルするなんてのは言語道断です。いきなりメールで「面接なので発表できません」とかってのは絶対に許せませんね。

許せない理由はいくつかあります。

まあ一つには「学生の本分は勉強だ」という建前があります。でもこりゃただの建前でね。そんな建前を言うつもりはない。いまどきの学生さんにとって、就活は(おそらく勉学より)大事です。

でもなんというか、ゼミの発表のように自分に割り当てられているタスクを自己都合でキャンセルする人ってのは、社会に出ても仕事をちゃんとしないんじゃないかと思うのですね。自分のタスクをキャンセルする人はろくなものになれないし、私はそういう人を信頼する気になれませんね。そういう人は人々から嫌われる可能性が高い。っていうか実社会でも大事な仕事まわってこなくなりますよね。

それになにより、観察しているとそういう人は就活そのものを失敗しているんですわ。4、5年の経験で、なんかそういうルーズなことをする人は実は就活を失敗している傾向があるように思うんですよ。

うまいこと大企業に就職した人はみなそこらへんの連絡や交渉がしっかりしている。そういう人たちは、ちゃんと連絡したり相談したりして自分の日程を調整することができるんですね。そしてなにより、「自分の活動は自分でコントロールできる」という信念をもっている。こういうポジティブな信念は非常に重要です。他人から要求されたように動くんじゃなくて、会社や教員を相手に交渉することができるわけです。そしておそらく求められているのもそういう人材なのね。指示したそのままのことしかできない人とか、問題があっても相談も交渉もできない人とか、指示したことさえできない人とかなんかだめそうでしょ?

そういうひとが、お客さんとのミーティングをダブルブッキンぐしてしまったり、工場が忙しいのに納期まで間にあわないこことがわかっている契約してしまったりする営業や、原稿の締切を守れない大学教員になってしまったりするわけですね。最後のは私。はははははぁ。

「仁義」と「交渉」が大事

具体的にどうすりゃいいのか。ふつうに「仁義」を通して「交渉」して「調整」すりゃいのです。

大学センター入試じゃあるまいし、ゼミでも実社会でも「絶対この日にやらねばならない」「絶対こういうふうでなければならない」なんてルールは存在せんのです。たいていのことはなんでも融通が効くものです。なんでも「調整」すりゃいい。会社に、

「この日は私が所属している〜教授ゼミで私の研究発表がありまして、どうしても面接にお伺いすることができませんので、他の日時にしていただけませんしょうか」

と交渉すりゃいい。あるいはゼミの方に

「第一志望の会社の面接をやっと取ることができましたので他の日に発表をまわしてもらえませんか」

とか、他の受講生に頼んでかわりにやってもらうとか。それになにごとも先々に「どうしたらいいですか」とか相談しておけば無理もきく。こういうのはおそらく実社会で生きていくための最低限の基本なので、学生生活最後の段階に身につけておいてほしいのです。

仁義っていう点でいえば、いちおう大学の方が優先だと大学教員は思っていることが多いし、いちおう建前がそうなので、会社の方と先に交渉しておくのね。んで教員には「会社と交渉したのですがうまくいきませんでした」ってなこと言っておけば、いちおう教員の方の顔を立てたことになるのでOKになる。これが仁義。建前に一応敬意をしめす(ていうか示しているフリだけはする)。

発表じゃないときにゼミ休むときも「~という会社の面接に行くので(ちゃんと固有名詞を出すのがコツ)どうしても出席できません。もうしわけありません。おゆるしください。」と皆に連絡しておけばいい。まわりの子も納得する。(そうでないと、「私がいっしょうけんめい準備した発表なんかどうでもいいってことね!」と嫌われる」

そうすりゃ会社の方だって「真面目な奴だ」と好感もつはずだし  、教員の方も「うむ、しっかりしているな」と安心。

まあもしかしたら「そんなん許せん、大学のゼミなんかより我が社の面接の方が重要に決まっておる」って会社もあるかもしれないけど、そういう会社は「社員の健康や家庭事情なんかより会社の仕事の方が重要である」とも言いそうな気がするなあ。そういうところは用心しないとね。

いろんなことが円満に行くし、自分自身もいやな気分になることがない。よいことづくめ。

あと私自身がルーズな男なのでいろいろヤバい失敗してしまうわけですが、そういうときにはとにかく平謝りすることにしてます。コツはね、メールとかじゃなくてとにかく直参して口頭でもうしわけなさそうな顔することね。そうするとそれ以上怒れなくなるから。ははは。


大学での学習・研究の基礎体力をつけよう

(もうすぐ出る某新入生向けテキストの1章。字数の問題でコンピューター・ネット関係削られてしまいました。)

大学は、人類が築きあげてきた学問の成果を学ぶとともに、社会や生活を改善するための知的な活動の方法を学ぶ場所です。ここではまず大学での学習のための心がまえと各種の基本的な知識について確認します。

大学生活の目的と心がまえ

皆さんは、企業に就職する、大学院に進学し学問的真理を追求する、社会に貢献する仕事をする、あるいは企業する、政治家になるなど、それぞれ様々な目標をもって入学してきたと思います。高校までは大学入学試験を通過するために画一的な教科を学ぶことが中心だったでしょう。しかし大学は違います。大学では、お仕着せの教科から進んで、社会学、政治学、経済学といった各種の本格的な学問を学ぶと同時に、社会人として、市民として本格的な知的な活動する訓練をおこないます。

「大人」になるとは、なにより、他人にまかせずに自分で的確に判断できるようになるということです。日本の法律では、二十歳を越えれば誰でも、大金のかかった契約や結婚などを、すべて自分の判断でおこなうことができる大人になります。また、近代社会における民主主義は、そうした啓蒙によって、つまり教育と学習によって、自分で判断し行動できるようになった「市民」が、さまざまな意見を寄せあい批判しあい議論するなかで立法・行政活動がおこなわれることを前提としています。

「大人」や「市民」になるためには、もちろんこれから大学で学ぶような幅広く深い知識を身につけることが重要なのですが、実は、大学で学ぶ知識そのものよりは、むしろこれから一生を通じて自発的に学習し行動する能力を高めることの方がはるかに重要です。高校までは勉強の目的は、とにかく試験問題に正しく答えることだったかもしれません。しかし、今後あなたが大人として、市民として答を出さなければならない問題に「正しい」答があるかどうかはわかりません。あなたがどういう人生を選択するかという問題を正誤問題にして採点してくれる人はいません。また、原発を再稼働するべきかどうか、人種差別的発言を法的に規制すべきかといった現在議論されている社会問題をマークシート問題にしてくれる人もいないのです。

たった4年間の大学生活で学べる知識はたかが知れています。また、大学で学んだ知識の少なからぬ部分は、学んだ時点では最新のものであったとしても、10年、20年経つうちには、たちまち古い知識、役に立たない知識、場合によってはまちがった知識になってしまいます。重要なのは知識そのものというよりは、正しく信頼できる知識を求め続け発展していく「学問」(科学)という営みの基本的な態度と、新しい知識を収集し整理し活用する力、そうした知識を常にアップデートしつづける力、そして自発的に学びつづけようとする習慣です。

実際のところ、大学卒業後に社会人がおこなう知的活動は、企業活動であれ、市民活動であれ、個人的・家庭的活動であれ、大学で行うこととまった同じ構造になっているのです。ある目標を定め、レクチャーを受け、アイディアを練り、データや資料を集め信頼性を検討し、計画や企画書を作り、会合で自分のアイディアをプレゼン(提示)し、仲間や論敵と話しあってアイディアや計画を改善し、決断し計画を実行し、その結果を評価し、次の活動につなげます。現在企業が求めている人材も、まさにそうした能力をもっている人々です。企業への就職活動で、あなたはまず自分の責任で企業の資料を収集し就職活動の見込みのある計画を立てねばなりません。課せられる「面接」はあなた自身のプレゼンの場所であり、「グループディスカッション」は、あなたが積極的に他の人と議論をして全体に貢献できるかどうかを判断するためのものです。

こうしたさまざまな活動のための知的な訓練は、おそらく自発的なものでなければ効果がありません。知的な活動の能力は、自分で考えて考え、自分で選択してみることによってしか身につけることができないのです。

まずは大学ガイドブックから

そこでまず心がけてほしいのは、常に自発的に情報を探しつづける習慣をつけることです。世の中にはさまざまな情報があり、よい情報を入手することができればそれだけうまく活動しうまく生きることができるようになります。

私が大学入学の時点で読む習慣をつけることをお勧めしたいのは、実践的なガイドブックです。

なにをするにもうまい方法があり、そのためのガイドがあります。ガイド情報へのガイドもあります。地図をもたずに登山すれば運が悪ければ遭難するでしょう。健康と美容のためにダイエットしたいと考えたときに、いきなり1ヶ月で5キロ痩せようと思いつきで決め、食事を抜けば痩せるはずだ、と考えて無理なダイエットを実行しても必ず失敗し、一見成功したように見えてもすぐにリバウンドするでしょう。しかし最新のダイエットのガイドブックを見れば、無理のない適正な体重を目指した計画を立て、食事と体重の記録をつけ、筋肉をつけるエクササイズをするべきであること、その実現のための詳しいノウハウやティプス 1)「ティプス」tipsは「ちょっとしたコツ、秘訣」です。 を知ることができます。

同じように、大学に入学はしたもののなにをしたらいいかわからない、時間割の組み方がわからない、勉強の仕方がわからないといった壁にぶつかったときには、とりあえず数冊ガイドブックを読んでみればよいのです。サークル活動や人間関係で悩んだときも、就職活動をはじめるときも、まずはガイドブックで基本的な考え方をおさえてから活動すれば苦労が減ります。もちろんガイドブックを読んでその通りに行動しても自動的にうまくいくことはありませんが、本当に自分で考えるための参考にはなります。

最近は、大学での勉強法についてのよいガイドが数多く出版されています。そのほとんどが、講義の聞き方、ノートの取り方、レポートの書き方、図書館の使い方、よいプレゼンテーションの方法など、大学生活に必要なことを事細かに説明してくれています。ガイドブックを読むコツは、同じ種類のものを複数冊目を通すことです。1冊だけだと、もしかしたらその本は偏った本かもしれませんし、オリジナルすぎる考え方をしているかもしれません。3冊程度目を通せば、おそらくどの本でもだいたい同じようなことが強調されているでしょう。それはおそらくその分野についての非常に基本的な知識です。そこを押えれば、あとは必要ならば気にいったものを購入し、自分の新しいアイディアで試行錯誤すればよいでしょう。

具体的に推薦できる書籍を章末のブックガイドにあげておきました。こうした本は大学図書館に数多く収録されていますので、早めに目を通しておくのがよいでしょう。インターネットにも多数のガイドがあります。特に「名古屋大学新入生のためのスタディティプス」(http://www.cshe.nagoya-u.ac.jp/stips/)は定評がありますので一見の価値があります 2)同じ名古屋大学の「成長するティプス先生」(http://www.cshe.nagoya-u.ac.jp/tips/)は大学教員のためのティプスですが、学生とは逆の教員の側から大学を見てみるのも興味深いでしょう。

この文章を読んでいる人が、そうした本を自発的に手にとってくれれば、実はこの文章の目的は完了しています。以下はポイントだけを述べておくことにします。

大学教員という人々

ここで、大学教員という人々について簡単に説明しておきます。大学教員は大学における教育者であり「先生」です。しかし多くの大学教員はむしろ、その専門分野の「研究者」「学者」を自認しています。専門分野の研究者・学者として、大学教員は、より新しい知識、より信頼できる知識、より優れた意見を生産することが求められています。大学教員は各専門分野の研究のプロフェッショナルですが、中学・高校の先生たちとは異なり、実はほとんどの教員は、専門的な「教育」の訓練は受けていません 3)もちろん最近ではFD(ファカルティ・デベロップメント)として大学教育の改善のための取り組みがおこなわれ、多くの教員がとりくんでいます。 。また、高校の教師は教育委員会や先輩教師から授業内容や指導法などを細かく指導されているでしょうが、大学教員は基本的にはすべて自分の責任で、授業内容から授業方法、成績評価をとりしきります。したがって、同じような科目名の授業でも、内容は担当する教員によって千差万別になります。

高校の授業で学んだことは、多くの人々によって承認された基本的な知識でした。大学ではもっと新鮮な知見、現在発見されつつある知見、あるいは新しい問題に対する検討や解決策を紹介し、授業のなかで検討することが期待されています。学生に教えるべきことが定まっていた高校とは違い、大学の講義内容は原則的にその教員に完全に任されており、必然的にその教員の専門的な研究と研究上の立場を反映したものになります。「○○学入門」のような科目名の授業でも、教員は常に新しい知見を取り入れ紹介していきます。大学教員は、授業をおこないながら同時に自分の最新の研究をおこなっているのであり、授業のなかで新しい知見を検討し試行錯誤しながら、自分の研究を磨いているのだと理解してください。

そうした新しい知識や見解は日々更新されるものであり、また常に批判され議論されているものでもあります。A教員が賞賛していた見解をB教員が否定する、C教員がけなしていた本をD教員が推薦する、ということを見ることもあるかもしれません。これは当然のことなのです。大学の教員はまずはその分野の「研究者」であり、現在の最新の研究成果にもとづいて意見を戦わせて、可能なかぎり真理に近いものや信頼できる意見を探しもとめています。高校生の勉強はすでにできあがった知識の体系を学ぶこと(そしてその達成度を大学入学試験などでテストすること)を目標にしていたわけですが、大学生になるということは、そうした知識と学問が刷新され磨きあげられていく場に居合せ、いっしょに研究することだと考えてください。したがって、大学教員の言うことをすべて正しいと考える必要はありません。むしろ批判的にいっしょに考えるという態度をもってほしい、一方的に学ぶだけの「生徒」から、若い「研究仲間」に成長してほしいと教員は願っています。

講義の聞き方

大学では、講義形式の大人数授業も数多く受けることになります。講義は教員のレクチャーを通して、本を読むだけでは知ることのできない知識を獲得することができます。生身のトークによるレクチャーは、本を読むよりもインパクトがあり記憶に残りやすいものです。また、意外な豆知識、裏話、教員自身の考え方などを知ることができるのも魅力です。

また、講義では知識を吸収するだけでなく、各分野の研究者としての教員を観察してください。教員の上手でわかりやすいプレゼンテーション(プレゼン)のコツ、教材(レジュメ)の作り方、発音・抑揚・間の取り方などの話し方、力点の置き方、教壇での姿勢、板書する姿勢等を観察しておけば、いずれ自分がゼミなどでプレゼンするときの参考になるでしょう。

講義で聞いた知らない単語、理解できない専門用語などを放っておかないようにしてください。もしわからない言葉があったら、辞書をひく、教科書(テキスト)をチェックしなおす、各種の事典などを参照するなど工夫して、理解できないことをそのままにしない、という癖をつけてください。

授業中の約束事

ごくあたりまえのことですが、授業には約束事があります。常識で考えればいちいち列挙する必要はないでしょうが、あえていくつか挙げておきます。

  • どの授業でも、私語は厳禁です。私語は他の人の集中を妨害します。遅刻・途中退席も原則的に禁止です。一部には、講義をしている人が、テレビのなかで話をして自分たちの行動とまったく関係のないかのように行動する人がいますが、そうしたことは許されません。
  • トイレや体調不良のときは教員に軽く会釈するなど、それらしき合図して退席してください。再度入ってくるときも邪魔にならぬように。
  • 授業中の飲み物については、いまだに意見が分かれていますので、教員に個別にOKかどうか確認してください。ガムなどで口をもぐもぐ動かすのはみっともないのでやめましょう。机につっぷしての居眠りなども子どもっぽく醜いものです。
  • スマートフォンなどは授業中にも辞書やメモ等に使えて便利なことがありますし、積極的に使用を促す授業もあるようですが、気が散ることを気にする教員が大半です。特に許可のないかぎり、基本的には電源を切りカバンに入れてください。
  • イヤホンで音楽聞く、雑誌や旅行パンフを読むなどはもってのほかです。雑誌を読み音楽を聞くなら、教室よりももっとよい場所があるでしょう。
  • 一番の基本的なことは、自分を透明人間だと思わないことです。人数の多いに授業に出席していると、つい自分は誰にも気にされない透明人間だと思いこんでしまいます。しかし、どんな場所でもあなたの行動や表情は他の人に見え、影響を与えていることを意識してください。

メモとノート

メモやノートをとることは知的活動の一番の基本技術です。基本的に将来のための職業訓練だと思ってください。人間の記憶力などというものはまったく信頼できないものです。研究者であれ、ビジネスパーソンであれ、ジャーナリストであれ、秘密探偵であれ、なにをするにしてもメモをとる癖がついていなければなにもできません。

しかし実際には、メモの取り方・ノートの取り方といったことはあまりにもその人の知的活動の核心部分に近く、プライベートなものでもあるため、実際に書いたものを見せてもらうことは少ないものです。職業上の秘密、秘訣に近いものなので、赤の他人には簡単には教えられないのです。私自身、他の研究者がどういった研究ノート・アイディアメモをとっているかを見たことはありませんし、見せたこともありません。またその手法も非常に多様で、このやり方が一番だ、と言えるものがあるのかどうかもわかりません。知的活動をおこなっている人々は、常によいメモの方法を探索しているといってよいと思われます。

とりあえず言えることは、講義にかぎらず、ノート・メモをとる目標は、話の基本的な組立を再現できるようにすることだ、ということです。大学教員は高校までのように学生がノートを取りやすいように板書してくれたりすることはありません。多くの教員にとって黒板はただのメモ帳です。現在話していることのキーワードを殴り書きするだけの教員も少なくないでしょう。あまりほめられたことではないでしょうが、教員が黒板に書いたことよりも、黒板に書くことを忘れて夢中になって話している内容の方が重要なこともしばしばです。こうしたタイプの講義で、板書されたキーワードだけをノートに写してもなんの意味もありません。また、大学以降の社会で話を聞くことになる人々は、必ずしも話をしなれた人ばかりではありません。要点がわかりにくい話のなかから要点や事実を探しだすことが必要になることも多いものです。そうした場合には、なにが「重要な点」であるかということは自分で判断するしかありません。

したがって、知的訓練として、できるかぎり教員の説明を自分で文章にしてノートにする習慣をつけるべきです。また、板書せずに口頭で説明されたこともできるかぎりノートしてください。余裕があれば、特に重要だと思われることや疑問も簡単でいいのでメモしておきましょう。また、話の内容をコンパクトにまとめた文章を作ってみてください。こうした地道な自発的学習のつみかさねが知的な能力の向上につながります。

典型的なノートの取り方の詳しい手ほどきは、ブックガイドにあげた書籍を参照してください。とにかく最初は「なんでも書きつける」という態度で1時間集中して書いてみればよいでしょう。思考錯誤して自分なりの方法を見つけてください。この章のブックガイドにあげている書籍でもノートの取り方をそれぞれの方法で説明しています。さまざまな流儀があることがわかるでしょう。

またペンやノートの文具は基本的な装備なので書きやすいものを探してこだわりましょう。

ゼミ・少人数授業では積極的に発言する

少人数授業や「ゼミ」こそが、大学教育の核です。自分で調べ、考え、プレゼンし、議論することを学ぶには、やはり少人数の方が効果的です。

一番大事なのはなんらかのしかたで「みんなと協力する」という態度です。積極的に発言しましょう。教員や他の受講者の言うことがわからなかったら、すぐに疑問をぶつけ、また話題を提供しましょう。若いうちは人前で話すことがはずかしいと思ったり、「私がだめだからよくわからないのだ」「私のアイディアや疑問なんか価値がない」と思ってしまって黙りこんでしまったりすることがありますが、そうした思いを捨ててしまいましょう。実社会でのミーティングや会合では、単にその場にいて話を聞くだけでなく、アイディアを出し、疑問を明らかにして、その場にいる全員がなにかをしっかり理解すること、新しいアイディアや知識を身につけること、協力してなにかを発見することが期待されているのです。単に誰かの話を聞いてその通りに行動するだけなら、少人数での会議やミーティングの必要はないのです。アイディアや疑問を共有することこそが学問や共同作業の中心部分であり、ゼミや少人数授業はその技術を学ぶ最善の機会なのです。ポイントを簡単にあげておきます。

    • 必ずなにか発言することを心がけること。なにも発言しないということは、その会合のテーマや、その場にいる人びとに対して関心がないということを意味してしまいます。
    • 人の話を聞く態度や話をする態度や姿勢は非常に重要です。他の人が話しているときはその人の表情や口調、姿勢、その他に注目し観察すること。
    • 自分は内容がよくわかったので質問すべきことがないと思ったときでも、「質問はないです」ではなく「〜ということですね」と確認する。意外に自分が理解したと思っていたことは正確でなかったり、重要なポイントが違ったりするものです。

「本」には気をつけよう

いつの時代も、信頼できる情報を与えてくれるのは書籍・論文です。図書館にも書店にも書籍は大量にあります。しかしすべてがよい本であるとは限りません。なかには、政治的に極端な意見や、明らかにまちがった「科学」情報をどうどうと掲載している本や雑誌もあり、政治や人々の健康などに与える影響が懸念されています。また、ゼミなどで課題を出すと、時々いわゆる「トンデモ本」を参考にしてレポートを書いてしまう人がいます。そうした学生さんに、「その情報はどこから手に入れたの?」と聞くと「本に載っていた」という答えをよく耳にします。本はたしかに知識を与えてくれますが、本もさまざまでああって本として書店で売られているからいるからといって信用できるというわけではありません。

まず、その「本」は誰が書いたものかを常に意識してください。文章は必ず誰かが書いたものです。その「誰か」が信用できる人なのかどうかを確かめながら読まなければなりません。そのために役に立つのが、本の奥付(最終ページ)にある筆者の経歴や業績です。なにが専門分野なのかどんな学歴や職歴なのかを確認してください。たとえば、経歴や職業が医学や保健学となにも関係がない人が書いたダイエット本は、単なる筆者の個人的な経験にもとづいたものでしかない場合があります。そうしたダイエット法は、むしろ不合理で危険なものかもしれません。この『現代社会を読み解く』に掲載されている論文の参考文献を読んでもわかるように、学術的な書籍・論文に付けられる必ず筆者が先頭に表示されます。これは学問の世界では「誰の意見か、誰のデータか」ということが最も重要な情報だからです。先の「その情報はどこから?」という質問に対して教員としては、「○○学者の××が書いた『〜』という本を読んだ」と答えてほしいわけです。そしてその筆者が人びとからどんな評価を受けているのかも意識してほしい。

出版社にも注意してください。当然のことながら、しっかりした出版社はしっかりした本を出す傾向があり 4)世間的に有名でない出版社の本の質が低いということではありません。 、しっかりしたシリーズはしっかりしたシリーズ編集をおこなっていてしっかりした本が収録されている傾向があります  5)私見では、たとえば新書ならば中公新書は非常に高い評価を得ています。また岩波ジュニア新書は非常に良質でどれも読む価値があります。ただしこうした評価も年とともに変わりますし、先に述べたように書籍やシリーズや評価について研究者の意見が食い違うことは多々あります。 。また、一般向け雑誌や学術雑誌にも格付けが存在しています。学問の世界では、一流の学会が発行している雑誌に掲載されている論文は、「査読」という批判的な目にさらされ評価されたものなので、最も信頼がおけるとされています。こうした出版社や雑誌に関する知識は一度には身につきません。どの出版社がしっかりした出版社であるか、といったことは常に情報を集めつづけなければわかりません。

また出版年にも注意してください。新しければよいというわけではありませんが、学術的な情報は常に刷新されているので、たいていの学問領域では20年前の書籍・論文は20年前の時点での知識や意見として受けとめねばなりません。

脚注や後注、書籍の後ろにある参考文献リストや索引がしっかりしている本は内容もしっかりしていることが多いもので、一応の目安になります。

一番簡単なのは、専門の教員に推薦や評価を求めることでしょう。大学教員は研究のプロですので、自分の専門分野について勧める本は基本的に信頼してかまいません。どの本がよい本であるかということは、大学教員たちの一番の関心事であり、専門分野については常に情報交換し評価づけをおこなっています。また、オンライン書店や書評サイトの記事は玉石混交ですが、参考にはなります 6)しかしたとえばAmazonブックストアでぜんぶ最高評価、という本は私ならばあまりに評価が高すぎて関係者や「信者」による「自作自演」を疑います。

図書館を利用しよう

教員と学生にとって、大学施設で最も重要なのは図書館です。大学生と高校生との一番大きな違いは、なんといっても自由な空き時間があることでしょう。読まねばならない本、読みたい本やDVDを自分で購入するのはたいへんな負担ですので、ぜひ図書館を有効に利用してください。学生生活のはじめのうちに、場所を確認し、書架や雑誌室をひとまわりして、どこにどんな本があるかざっと見ておくとよいでしょう。

大学図書館には高校とは比べものにならない大量の本が収蔵されており、その大半は直接本を眺めることのできない閉架書架や学外書庫に納められています。そのため、実際にはOPAC(オンライン蔵書検索)等で検索して利用することになります。使い方は大学の「利用の手引き」等で確認してください。章末の図書ガイドでも図書館の利用方法について詳しい説明が掲載されています。

大学図書館は視聴覚資料も充実しています。また、府立図書館や市立図書館など公共図書館の場所もチェックしておきましょう。一般向けの軽い小説、一般生活のハウツー本などはそうした図書館の方が充実しています。また大学図書館も公共図書館も、「購入希望」「リクエスト」等を受けつけています。あなたが他の人にも有益であろうと判断した本については、積極的にそうした要望を提出してください 7)もちろんその図書館にふさわしい書籍でなければなりません。

また、必要な図書を探すために図書館カウンターの「リファレンスサービス」を利用することもできます。ある程度自分で調べてわからないことがあったり、どうすれば情報を見つけることができるか見当がつかなかった場合には、専門家が本探しを手伝ってくれたり、探し方をアドバイスしてくれるはずです。教員もしばしばお世話になっていますので利用してください。しかしなにも調べずに相談するのは避けてください。まず図書館の「利用の手引き」を熟読して、何を探したいのか、自分はどこまで調べたのかなど、しっかり質問すべきことを考えてからから訪問しましょう。

また、図書館の各種のルールは守ってください。基本的に講義と同様に私語は厳禁です。

インターネットの利用

メールの書き方

大学生になると、メールを送る相手は親しい友人だけではなくなります ので、マナーに注意してください。特に携帯電話・スマートフォンからのメールは失礼になりやすいものなので注意してください。携帯などではメール相手の友人をアドレス帳に登録しているために相手が誰かすぐにわかりますが、友人以外はあなたが誰だかわからないことがほとんどです。基本的に友人以外には携帯・スマホでのメール連絡は避けた方が無難です。

細かいマナーについては、現在、「メールの書き方」等でサーチエンジンで検索すれば適切なマナーや例文が上位に表示されているようですので参照してください。大学教員に対するメールでは、(1)自分の氏名を正しく設定する、(2)必ず「件名」をつける、(3)学部・学籍番号等を明示する、等に注意してください。

検索エンジン・Wikipedia

Google検索 (http://www.google.co.jp/)などの検索エンジンは便利なもので、多くの人が使っているでしょう。Google Scholar (http://scholar.google.com)はネットに大量にある情報のなかから、論文などアカデミックな形になったものだけを収集したものでGoogle本体より効率よく学術情報を探すことができます。日本国内の論文についてはCiNii Articles (http://ci.nii.ac.jp/)も使いやすいでしょう。

Google等の検索エンジンで検索した場合に、上位に表示されるのは一般に、人々が好んで見ているページであるとされています。その表示順番の決定の方法は、一般には明らかにされていません。また、そのページが本当に正しい情報を含んでいるのか、学問的・政治的に見て偏りがないものか、ということはまったく保証されていないことは常に意識してください。まずは書籍と同じように、誰が書いた文章なのかを意識することが最も重要です。匿名の筆者による情報、詳細がわからない企業による情報などは、基本的に信頼することができません。

Wikipedia (http://ja.wikipedia.org/)もすでにほとんどの人が利用していることと思います。私自身も非常に頻繁に利用します。ただし記事の品質はさまざまですし、誤情報も少なくないので注意してください。くりかえしますが、情報の質を判断する一つの基準は、その出典(ソース)がしっかりしたものかどうかを確認することです。出典のない記事 8)Wikipediaでは出典がない記事は「独自研究」として批判されます。 は信用することができませんし、出典がついていた場合にも、その出典自体がどの程度信頼できるものかを考える必要があります。

ネットでの情報の信頼性をどう扱うかということは、現代の我々に課せられた大きな課題です。デマや誤情報、偏った意見などに惑わされることなく、情報を批判的に吟味することを学んでください。

SNS、ウェブサービス

他に、ネットではさまざま便利なサービスが提供されています。現代の大学生はそうしたサービスを効果的に利用することも意識しておかねばならないでしょう。私自身が頻繁に利用しているものを簡単に紹介してみましょう。

2014年現在、私はMediaMarkerという蔵書管理サービスを使っています 9)「ブクログ」や「読書メーター」といった類似のサービスも多くあります。 。これはオンライン書店のAmazonの情報を登録し、感想コメントや読書メモなどを記録しておくことができるサービスです。他の人々のコメントを参考にすることもできますし、同じような本を読んでいる人を「フォロー」すれば、近い関心をもっている人がどんな本をどう読んでいるかがわかり興味深いものです。興味をもった本は「ウィッシュリスト」に登録しておいて、あとで図書館に蔵書があるか探したり、まとめて発注したりしてします。もちろんAmazon自体も書籍の検索や評価を知るために頻繁に利用しています。

近い分野の研究者、ブログではおもしろい時事評論を書く人、優れた書評記事を書く人々などのブログ、ウェブニュースサイトなども研究の参考になることが多いもので、50〜100件程度、RSSリーダー(Feedly)を使って巡回しています。

各種のメモや思い付き、参考になるウェブサイトの記事の保存などは、Evernoteというサービスを利用しています。また大学と自宅のPCのファイルを同一のものにするためには、DropboxGoogleドライブというサービスを利用しています。

TwitterやFacebookなどの SNSでも近い分野の研究者どうしでフォローしあい、研究に必要な文献の情報やテキストの解釈などをカジュアルに議論することも少なくありません。独り言をつぶやき、日常的な些事について話しあうのも楽しいものです。しかし、SNSなどで発言することは、自分のプライバシーを公開することにつながります。また反社会的な言動などがネットで話題にされ「炎上」することも少なくありません。仲間うちでのネットでのいじめも社会的な問題になっています。ネットは便利であると同時にさまざまな危険もあります 10)江口聡 (2010)「ウェブ炎上・匿名・プライバシー」(加茂直樹・初瀬龍平・南野佳代・西尾久美子編,『現代社会研究入門』、晃洋書房)を参照してください。  。

こうしたネットやPCについての情報や知識、ノウハウもすぐに古いものになるものですから、自分の使う道具やサービスについての情報は常に集め判断し工夫しつづけなければならいわけです。

おわりに

これまで書いてきたような「お説教」のほとんどは、大学に入学したてのときはありがちなお説教として聞き、強制的に読まされても実は身につくものではないでしょう。結局私たちは、自分がなりたいものにしかなることができないのです。大学での勉強や研究も、もしあなたがそれを望まなければなんの役にも立たないでしょう。

しかしもしあなたが自発的になにかをし、何者かになろうとしているならば、大学が提供できることはたくさんあります。あなたによって有意義であると思われる4年間を過ごせるように、常に情報にアンテナをはり、試行錯誤を繰り返してくれることを願っています。

ブックガイド

    • A. W. コーンハウザー (1995) 『大学で勉強する方法』、玉川大学出版部。アメリカの大学向けですが、大学生の心がまえの本として定評があります。薄くて読みやすい。
    • 筒井美紀 (2014) 『大学選びより100倍大切なこと』、ジャマンパシニスト社。これも大学生のこころがまえについての本です。高校での勉強はプールで泳ぐようなものであり、大学からは海で泳ぐようなものです。
    • 佐藤望(編)(2012)『アカデミック・スキルズ』、第2版、慶應義塾大学出版会。ノートの取り方、レポートの書き方、図書館での調査などがコンパクトにまとめられています。
    • 学習技術研究会 (2011) 『知へのステップ』、第3版、くろしお出版。内容は上の『アカデミック・スキルズ』と同様ですが、ノートの取り方等はより詳しく説明されていて参考になるでしょう。
    • 田中共子(編)(2010) 『よくわかる学びの技法』、第2版、ミネルヴァ書房。これも事細かにノート、図書館、ネットでの調査などを解説しています。

References   [ + ]

1. 「ティプス」tipsは「ちょっとしたコツ、秘訣」です。
2. 同じ名古屋大学の「成長するティプス先生」(http://www.cshe.nagoya-u.ac.jp/tips/)は大学教員のためのティプスですが、学生とは逆の教員の側から大学を見てみるのも興味深いでしょう。
3. もちろん最近ではFD(ファカルティ・デベロップメント)として大学教育の改善のための取り組みがおこなわれ、多くの教員がとりくんでいます。
4. 世間的に有名でない出版社の本の質が低いということではありません。
5. 私見では、たとえば新書ならば中公新書は非常に高い評価を得ています。また岩波ジュニア新書は非常に良質でどれも読む価値があります。ただしこうした評価も年とともに変わりますし、先に述べたように書籍やシリーズや評価について研究者の意見が食い違うことは多々あります。
6. しかしたとえばAmazonブックストアでぜんぶ最高評価、という本は私ならばあまりに評価が高すぎて関係者や「信者」による「自作自演」を疑います。
7. もちろんその図書館にふさわしい書籍でなければなりません。
8. Wikipediaでは出典がない記事は「独自研究」として批判されます。
9. 「ブクログ」や「読書メーター」といった類似のサービスも多くあります。
10. 江口聡 (2010)「ウェブ炎上・匿名・プライバシー」(加茂直樹・初瀬龍平・南野佳代・西尾久美子編,『現代社会研究入門』、晃洋書房)を参照してください。

自分の気づいてない長所を見つける/長所を伸ばす

最近ポジティブ心理学ってのが流行っていて私もいろいろ注目しております。最近も(訳し直しだけど)新しい本が出ましたね。

ポジティブ心理学入門: 「よい生き方」を科学的に考える方法
クリストファーピーターソン
春秋社
売り上げランキング: 281,685

このクリストファー・ピーターソン先生のはアカデミックな教科書で、非常に多くのアカデミックな情報とともにプラクティカルなアドバイス満載です。翻訳ではカットされちゃっている部分が多くてちょっと残念です*1が、一読の価値はあります。

ポジティブ心理学っていうと「なんでもポジティブに考えよう」っていうポジティブ・シンキングとか、「とりあえずハッピーになっちゃったやつが勝ち」みたいなんと誤解されやすいですが*2、もともとはまじめなもんです。あと「美徳」とか「長所/強み」みたいのに注目しているのも倫理学研究者モドキとしては興味があるところです。

自分の長所・強みを知るってことは自尊感情を高めることにもなるし、うまく生きる方法やライフスタイルを選択する助けにもなるのでおすすめ。

ピーターソン先生やその師匠のセリグマン先生たちが作ってるページがあって、そこでweb上で心理テストをして何が強みなのか知ることができます。やってみてください。

http://www.authentichappiness.sas.upenn.edu/Default.aspx

このページを見て、右上の「Select Language」で日本語にします。左上の「登録」ってところからメアドとか記入して開始。今一番上にある 「VIA・強みに関する調査票 (VIA-IS)」ってのをやってみてください。240問ぐらいあるのでけっこうたいへんです。

でもやってみると意外な強みに気づくかもしれません。ちなみに私の一番の強みは「向学心」で、まあ大学教員とかやってるのはそれなりに合っているのだろうか、ぜんぜんだめでもないかもしれない、みたいな安心感を得ることができます。

自分の強みがわかったら、

http://www.authentichappiness.sas.upenn.edu/books.aspx?id=1466

から「とっておきの強みを新しい方法で使ってみよう 」を読んでみましょう。登録やテスト受けなくても見ることができるので、興味ない人もぱっと見てみてください。意外におもしろい生活のヒントみたいなのを知ることができる。自分の「強み」と関係なくても試してみる価値のあるものがけっこうあるように思います。こいうのをちょっと意識してやってみるだけで、自分の意外な得意分野に気づくかもしれないし、実際やってみると生活の質や自尊心がずいぶん向上するんじゃないかとおもうので、まあとりあえず一目見てみてください。

実はこれは上の『ポジティブ心理学入門』の一部なんで、ぜひ本にも載せといて欲しかったんですけどね。

自分の長所を見つけるってのでは も見てみてください。

 

あと生活のヒントってのでは、

暮らしのヒント集
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こんなのも読んでて楽しい。まあどうでもいいっちゃーどうでもいいような細かいお説教の話なわけだけど、少しでも生活が楽しくなったり楽になったりすればまあ苦しい人生を生きているのもそんな悪くないのではないかと思えるようになったりするかもしれんです。

VIA

 

セリグマン先生やピーターソン先生がやってるVIA(Values in Action)調査ってのはまあなんか世界的に見て「よい性格」「長所」「(道徳的)美徳」とかみなされてるものをリストアップして、リストのなかから文化間で共通に賞賛されてるやつを選択してさらにグループ分けしてみよう、みたいな感じ。どれくらいまともな研究になるのかはまだこれからって感じだわね。どうも説教臭い感じはあるし、どの程度実証的になれるのかわからん。なんかまあ主観的にハッピーになることだけ考えててもだめだね、みたいな反省とかもあるんだろう。

リストアップした基準はいろいろあるんだけ、、文化に依存しない普遍的なものとか、当人に充実感を与えるとか、それを体現している模範的人物がいるとか、まあいろいろ。上の本めくってみてください。基本的には「親が子供にそれを身につけてほしいと思う性格」とかを集めてる。

で、セリグマン先生たちによると、そういう文化共通の長所・強み・美徳はだいたい六つぐらいに分けることができる。「知恵」「勇気」「人間味」「正義」「節度」「超越」ぐらい(訳語はもっとよいのあるかも)。

ちょっとだけ解説してみよう。どれも実は訳語が難しくて、そんなに「普遍的」なんかいな、って言いたくなるんだけど。

知恵 wisdom / knowledge

まあ頭がいいってのはだいたい褒められるけど、難しい大学入試問題とかパズルとか解けなくても視野が広くて賢いって賞賛される人はいますね。

  • 創造性。なんか新しいものを作る。
  • 好奇心。知らないことをおももしろいと思う。
  • 勉強好き/向学心。なにか学ぶのが好き。好奇心との違いは、わりと体系的にきっちりやることだと思う。
  • 心の広さ/柔軟性。基本的に自分と違う考え方に対してポジティブっていうか、「へえ、そういう考え方もあるのかー」みたいな。
  • 視野の広さ/大局観。こう、「君らが争っていることは、もっと将来を見通すとこうだよ」みたいな。
勇気

基本的には抵抗や障害や反対があってもがんばる、って美徳。

  • 誠実さ/本物。authenticityって語が当てられてるけど、これ日本語では難しいねえ。まあ基本的に上っつらのものではない、って感じ。
  • 勇敢。まあ「勇気」の基本的な意味な気がしますね。敵や困難や脅威にぶつかってもがんばる感じ。
  • 忍耐。我慢してじっくりやる。
  • 熱意 enthusiasm。なんていうか、エネルギーって訳がいい気がするんだけど。一生懸命な感じ。
人間味

humanity。人間らしさとか人間性とか。わりと狭い範囲での人間関係にかかわる美徳。

  • 親切心。「やさしさ」とか訳したいね。まあ他人を幸せにしようとする。
  • 愛情。love。 ある程度限られた人に対する愛のことを言ってるのではないかと思う。
  • 社会的知性。他の人がなにを感じてるかちゃんと察することができる、ってことね。
正義

セリグマン先生たちは正義 justice って呼んでるけど、基本的な堅い社会的・グループ的な美徳というかなんというか。

  • 公平さ。ひいきしない、同じものは同じに扱う。自分の悪いところはちゃんと認める、みたいな。
  • リーダーシップ。まあ他人をリードできる人はどの文化でも尊重されます。
  • チームワーク。誰でもリーダーになれるわけはないけど、チームプレーヤーにはなれる。こっちも大事だと思う。
節度

temperanceで宇野カオリ先生は「節制」って訳してる。過剰にならない、って徳。

  • 寛容/慈悲。怒っててもやりすぎない。
  • 慎み/謙虚。自慢しすぎない。自分を大きく見すぎない。日本人は得意な美徳。ははは。
  • 思慮。フロネーシス。自分の将来のこともちゃんと考える、って徳。危険を避ける。
  • 自己規制。自分を律する。感情とか欲望を抑える。
超越

「超越」ってわけわからんけど、小さい自分を越えた大きなものにかかわる、ってことだと思う。

  • 美と卓越の鑑賞。自分ではやったり作ったりできなくても、美しいものを美しいと思い、優れた人を優れていると思えるのは大事。
  • 感謝。皆さまのおかげて生きております、みたいな。
  • 希望。まあなんかがんばってれば将来よくなるさ、みたいに思えるのは大事ね。
  • ユーモア。笑顔は大事です。
  • 宗教性。なんかまあチマい俗世間のことだけ考えてんのはあれですよね。

この分類がうまい分類なのかどうかもわからんし、セリグマン先生たちが主張しているほど普遍的なものかどうかもわからん。まだこれからの話。

あとまあ前の「長所を見つけよう」エントリでも書いたけど、これくらいたくさんあると一つぐらいは得意なことあるだろうから自信もっていきましょう。

ちなみに全部身につけるのは無理だと思う。たとえば「正義」と「人間味」はけっこう背反しちゃうことがあるはず。とりあえず自分のいいところ一個見つけてみて、それを伸ばせばいいのだろうと考えることにしましょう。

 

追記

実際にVIAテストやった人は、なんか違うなーって思ったんじゃないかと思います。実際に私もなんか違うと思った。ポイントは、ネガティブというか自己評価が低い人は、ああいうテストでさえ自分の強みとか長所をそういうものとして見ることができなくなっていることなんじゃないかとおもうです。おそらくそういう人はほかの幸福度テストとかしてもひどい結果が出るんじゃないかと思う。私はすごい結果でした。ははは。

まあそれでもある程度のデコボコはあるんで、自分のデコってる部分をすこし肯定的に見てあげる感じが大事なのではないかとか思ったり。

おそらくそういうひとは、VIAテスト受けたあとにあの「長所を伸ばす」を見たときに、「あれ、こんなことなの?」って思ったんじゃないですかね。ちょっと立ちどまってみたり、本読んだり美術館行ったりするのが自分の長所を伸ばすだなんてね。信じられん。ちゃんとしている人ってのはそういうんじゃなくてもっとすごい、とか言いたくなる。でも実は美徳とか長所とかってのはそういう細かいことなんのかもしれず、そういうことからなにかがはじまるんよね。おそらく。まだ私はなにも美徳を身につけられてないけど、不幸でいるのに飽き飽きしたからなんかするのです。

*1:訳出されているのは原書の半分ぐらいじゃないかなあ。ちと翻訳も改善できそうな気がするので あたりで気づいたところをメモってます。

*2:まあ実際「ポジティブ心理学」の名前を使ったヤバい本もけっこう出てるようです。大石先生、島井先生あたりは偉い。


自分の長所を見つけよう

就活とかで、面接で「あなたの長所はなんですか」とか馬鹿げたことをたずねられて困っちゃうわけですが、まあ自分の長所はなんであるか、ってのは一回考えておく価値のあることかもしれないですね。「ここが私のいいところだ」って思うことは、自己評価とかとかかわっていて、「自分はなんにも長所がない」とか思ってるとこう生きてるのがいやになるし。でもまあ誰だって長所はあるわけで、それに気づいてないだけだわね。(そういや昨日見た 「初期の栗田さん」おかしい。 )

かなり以前にもエントリシート関係で一回書いてる けど、もう1回書いてみようかしら。

最近流行の「ポジティブ心理学」とかではそういう研究もしてて、そういうのの成果を利用して自己啓発しましょうみたいな感じの本がたくさん出ています。

今日はこんな本読んでみました。

The Strengths Book: Be Confident, Be Successful, and Enjoy Better Relationships by Realising the Best of You (Strengthening the World)
Alex Linley Robert Biswas-Diener Dr. Philos.
Capp Press
売り上げランキング: 32,161

まあほんとうに一般向けの本で、「自分の長所を見つけて自己評価を高めましょう」とかって感じ。英語も簡単だし自分で読んでみるといい。高校1年生レベルで読めます。

それにあげられているリストがなかなかおもしろいと思ったので、超訳というか勝手な訳つけて紹介してみます。

こんだけ数があれば、誰だって一つぐらいは「あ、これなら私もいけてる」と思うのがあるんじゃないかなあ。そういうのを大事にしましょうとかそういう感じ。

上の本の原語 勝手な訳 コメント
Action 行動力 すぐに行動するよ。
Adherence しっかりしてる いつもきちんとルール通りやります。
Adventure 冒険好き 危ないことにもチャレンジ。
Authenticity いつも自分らしい 自分自身に忠実です。自分らしくないことはやりません。
Bounceback 叩けば伸びる 失敗したらそれをジャンプボードにする。
Catalyst 触媒人間 たいしたことしてないのにその人がいると物事がうまく進む、とかっ人いるよね。
Centred ぶれない人 いつも自分ってものをもってる人だね
Change Agent チェンジ!するひと なにごもと変化しなきゃ。
Compassion 同情心 苦しんでる人や悲しんでいる人の気持ちがわかっていっしょに苦しんじゃう感じ。
Competitive 競争心 負けず嫌い、競争するのが好きってのはいいことなんよ。その方がいい結果が出る。
Connector つなぐ人 人と人をつなぐってのも実はむずかしいこと。
Counterpoint 別の視点 あえて他人に反論とかするのも重要なんよね。
Courage 勇気 困難がありそうでも恐れない。
Creativity 創造性 新しいものを作りだす。
Curiosity 好奇心 新しいものが好き!
Detail 細部にこだわり ちまちまやるのが好き。細かいとに目が向くのも長所。
Drive 自発性 やらされるんじゃなくて自分でやる。もうやらずにはいられません。止められてもやるわよ。
Efficacy 自信 自分のやることは意味がある、効果がある、オレってイケてる、と思える。
Emotional Awareness 感情に敏感 自分や他の人の気持ちに敏感。
Empathic Connection 共感のつながり 感情で他人とつながれる。
Enabler 手助けする人 難しいことをやさしくしてあげる。
Equality 平等 人々を公平にあつかえる。
Esteem Builder 他人に自信をつけせる いいとこ見つけてほめてあげられる。
Explainer 説明力 難しいことをわかりやすく。
Feedback フィードバック力 いいとこ、悪いところを本人に伝えてあげる。
Gratitude 感謝 感謝できる、ってことも才能。
Growth 成長 いつも成長します。
Humility 謙虚さん 自信がないひとは実は謙虚なんよ。
Humor ユーモア おもしろおかしいことを考える人。笑いは非常に重要。
Improver 改善屋さん 新しいのを発明するのもたいへんですが、すでにあるものを改善するのもたいへんなことです。
Incubator アイディア練り屋さん じっくり考えてよいものにする。
Innovation 発明家 ぜんぜん新しいものを作りだす。
Judgment 判断力 バランスとれた判断するひとっていいね。
Legacy 伝統重視 伝統とか習慣とかも実は重要なんよ。
Listener しっかり聴く人 「聴く力」ってやつね。たいていの人は聴くことができない。
Mission 使命感 「私はこれやるために存在してるのだなあ」みたいな。
Moral Compass 道徳の羅針盤 困ったときにアドバイス求められる人。
Narrator お話屋さん 話上手。どうでもいい話をおもしろく話せる人っているねえ。
Optimism 楽観性 「きっとうまく行く」と信じるのも美徳。
Order 秩序 ちちんとしてます。秩序を守る人。乱す人は許せません。
Persistence 忍耐力 がまんします。がんばります。
Personal Responsibility 責任感 「これは私の責任だ」って思える人。
Personalisation 人を一人の人として見る 他人の個性とかちゃんと見える人。
Persuasion 説得力 しっかり納得させる。
Planful 計画性 きっちり先々のことを考えます。
Prevention 用心深さ やばいことに敏感。
Pride 自尊心 ちゃんとした仕事ができるのは自尊心もってる人だけ。
Rapport Builder 社交家 人見知りしないでいろんな人と仲良くできる。
Reconfiguration 調整屋さん うまくいかない細かいところの面倒見ることができる人。
Relationship Deepner 深いおつきあい 深くて長い人間関係をもてる。奥行きは重要だ。
Resilience 反発力 失敗したり不幸なことがあっても柔軟に反発してもとに戻れる。反発マクラ人間。
Resolver 解決屋さん 問題見つけて解決法を考えるのが好き。
Scribe 物書き 文章書くのが好きで得意。
Self-awareness 自分を知ってる 自分がどういう人間で、今どういうことを考えてるかよく知ってる。たいていわかってない。
Service 奉仕 他人様のためにご奉仕します。
Spotlight スポットライト スポットライトあびて派手に行こうぜ!これもけっこう長所なんよ。
Strategic Awareness 戦略屋さん いろんな要因を考慮して目標達成。少々ダークなことも受け入れられます。
Time Optimiser 時間能率屋さん なんでも短時間ですませられるように考える。イラチとか言われたくないね!みたいな。
Unconditionality 無条件の愛を それぞれの人をそういうものとして受け入れられる、ってのはいいことです。
Work Ethic 職人気質 「おらー職人だからそういういいかげんなことはできねーな」

なんか一つ二つ自分の長所を見つけると自己評価があがって、少し生きているのが楽になるはずです。具体的にどういう場面でその長所を発揮しているかを考えておくと、面接対策にもなるはず。

別にこういう長所ぜんぶ持ってる必要はない、っていうかお互いに矛盾対立するような関係のものもあるし。せいぜい2、3個あてはまるのがあればいいですよね。なんか同じようなのも含まれてるしね。こういう「長所」ていうか「美徳」は文化によってけっこう違うんで、日本だともっと違う美徳もあるんじゃないかな。

それからあんまり他人と比較して考える必要もない。あと、まあ「そういう長所はいいなあ、あこがれるなあ、欲しいなあ」と思ったら、あたかもそういう人であるかのように行動するように習慣づけると次第に身につく、てな感じのことをアリストテレスという大昔の偉い哲学者は言ってます。

私だったらEnablerとかExplainerとかの長所がほしいかな。あとFeedbackと。Esteem Builderは職業的に必須なんだけどなかなか難しい。むしろEsteem Destroyerみたいなところがあるような・・・つまりこれはFeedbackとEsteem Builderは微妙な関係にある、ってことなんよね。

こういうのに興味のある人は、下のも読むといいかも。

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『しあわせ仮説』の訳はちゃんとしているけど、他の2冊はちょっと読みにくいかもしれない。

この前聞いたところによると、こういうのがもうビジネス界でも流行りまくってるらしいです*1。まあこういう自己啓発系のはある程度用心してかなきゃならんけどね。

あと、セリグマン先生たちのホームページで自己診断してみてもいい。

http://www.authentichappiness.sas.upenn.edu/Default.aspx 右上に言語選択するところがあるから日本語選べばよい。登録してログインして、「強みに関する調査」ってのやってみてください。

『しあわせ仮説』の訳者の人たちが作ったページも見てみてください。 http://blog.goo.ne.jp/shiawase-kasetsu

*1:行動経済学とポジティブ心理学の二つはいまいろんなビジネスチャンスとつながってるはず。