学生様にはレポート書く前に「ハウツー本ぐらい読め」としつこく言ってるわけですが*1、私自身もハウツー関係はよく読みます。「大学教育の方法」とか「庭木の手入れ」とか「宅録の方法」とかそんなんとかね。この前は「ナンパの方法」みたいな本を3、4冊読みました。まあこれはナンパするためじゃなくて、そういう私のぜんぜん知らない活動がどういうふうに行なわれているか調査するためだけど。海外旅行行くときはかならずガイドブック買うでしょ?1回生にとっての大学生活や、3、4回生にとっての就活も海外旅行行くみたいなもんで、危険や落とし穴があるからそれをちゃんと知っとく。地図持たないで山行く人は死にます。
今年も3回生ゼミの学生さんに就活について(せめて心がまえだけでも)お説教する時期なので、数冊買ってみました。私自身は就活はM2のときしかしたことないので、現在どうなっているのか知らないので勉強しておく必要があります。こういうときに本が買えるかどうかが、まあ教員としての生存戦略にかかわるわけです。就活の世話して人気先生になったり、大学全体の就活指導にかかわったりする気はぜんぜんないけど、ぜんぜん知らないとピントはずれた馬鹿なこと言って学生様から軽蔑されたり、学生様の人生狂わせたりするのはあれですからね。
先週大学の書店に平積みになっている就活本を買ってみました。
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ここらへん。もちろんさすがに自分のお金じゃなくて、教員に割り当てられている「個人研究費」で購入しました。
ところで、ハウツー本とか自己啓発本を読むときに重要なのは、「1冊を信じない」ってことですわ。こういう本ってのは、アカデミックな世界にいない人が書いていることが多くて、その人が信用できるか信用できないかわかりづらい*2。もしかしたらダメな人がなにも調査せずに適当なことを書いているかもしれなくて、へんなものを読むと、皆から馬鹿にされるへんな行動をとってしまったりする。だから必ず複数読んでみること。
まずは出版社と著者を見てみることね。朝日新書とかPHPとか、まあそこそこ名の通った新書シリーズなのでそこそこ安心。経歴はやっぱり一流企業とか一流大学とかの方が一応信用がある。「~コンサルタント」とかはたんにその人がそう名乗っている、ってだけなのであんまり信用できない。「~研究所所長」とかってのも、その「研究所」ってのがその人が勝手に作った一人だけの研究所だったりするので用心。
amazonの評価も必ず見ること。全体の評価が高くても、一つ星や二つ星がたくさんつけられてしまっている本はやばい。一方、ぜんぶ五つ星、みたいなのはサクラがつけているだけだからこれも信用できない。ある程度の数(10個以上)がつけられている本は、評価が四つ星~三つ星半ぐらいでも十分読む価値があったりする。まあでもいきなりamazonの評価を見ないで、一読してからamazon見た方が自分の印象と人々の印象の違いが知れて勉強になります。
3、4冊読んでだいたい同じことが書いてあればそれが常識。必ず従いましょう。1冊でしか主張されてないことはその著者のオリジナルな観点から書かれていて、これは自分の判断で信用するかしないか決めなきゃならない。
今回買っているのはどれもそれなりに読める。『虎』が一番初心者向けというか偏差値それほど高くない人向けの最低限かな。『しきたり』は最初の方は「ちょっとこれは」と思ってましたが、よく読むとぶちゃけていてコンパクトで悪くなかったです。この人は前に紹介した『就活のバカヤロー (光文社新書)』の著者でした。すごく優秀なライターさんですね。大学とかと直接に関係してなくても優秀な人はいます。『勘違い』と『人事のプロ』は平凡だけど標準的な学生さんが考え方を知るにはよいのではないでしょうか。『しきたり』の人は30代、『人事のプロ』の人は40代、『勘違い』の人は50代で、そこらへんの著者の世代の違いみたいなものを見るのもたのしい。
まあ正直、こういうハウツー本を2、3冊読んでおける人は、そんな失敗しないと思いますが、それだけでは成功もできないかもしれない。成功するためにはもっと勉強や訓練をしなきゃならんわけだけど、それはまあふつうのハウツー本には載ってない。まあいろいろ探してみてください。
ブログとかもいいんだけど、まあ検索したりその情報がどの程度まともかを判断したりするのに余計に手間がかかるので、とりあえず最初は本読みましょう。
とかいってもなかなか読んでくれないんよね。
*1:何回も言いますが、レポートの書き方の本を読まないでレポートを書くのは馬鹿です。
*2:まあアカデミックな世界にもインチキはたくさんいるんですけどね。https://yonosuke.net/eguchi/memo/authors.html を参照。
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