詭弁と誤謬推理に気をつけよう(1) 宇崎ちゃんポスターの場合 (宇崎ちゃん問題(1))

『宇崎ちゃんは遊びたい』とコラボした献血ポスターについて、フェミニストの牟田和恵先生が、各自治体のガイドラインを示して、ポスターはガイドラインに反した性差別であると主張しています。それに対してはすでによい論評がいくつか出ているので 1)「「宇崎ちゃんは遊びたい」×献血コラボキャンペーンの絵は過度に性的なのか?」「宇崎ちゃんを採用した赤十字は現実的」 私が書くべきことはほとんどないのですが、一つ、大 […]

若い女子はルソー先生や秋元康先生ではなくウルストンクラフト先生の言うことを聞いたほうがいいかもしれない

私の考えているセックスの哲学史では、あのふつうは偉大だとされているルソー先生はスケベなレイプ魔みたいな人なんですが、それはその次の世代の女性にははっきりわかっていたんですよね。 そのわかってた人、メアリ・ウルストンクラフト先生についてはこのブログでほとんど何も書いてないみたいで驚きました。関連する授業ではけっこう大きく扱ってるし。っていうか女性思想家が表舞台に出てくるのはこの先生からぐらいですよね […]

『性暴力と修復的司法』第4章の一部チェック(5)

これはちょっと細かいのですが。 私はまさしく彼が「聴くこと」を望んでいます。〔私が〕どんなに無力な状況に置かれ、ひどいトラウマを負ったのかを。彼が完全に〔私の苦しみを〕受けとめて理解すると期待しているわけでもありません。私の口から直接出てくる言葉を確かに彼に聞かせたいから、〔加害者に対して〕「〔私の声を〕聴け」と言いたいのです。私は加害者(すべての加害者)は、表面的なレベルでしか受け止められないと […]

『性暴力と修復的司法』第4章の一部チェック(4)

第4章第3節も見ておきたい。 p. 151に出てくる、Nodding (2011)という資料はどういうものかよくわからない。この団体 https://restorativejustice.org.uk  が出している冊子かもしれない。あるいはこれ https://restorativejustice.org.uk/resources/jos-story そのものか。そもそもこの団体がどういう性質の […]

『性暴力と修復的司法』第4章の一部チェック(3)

デイリー先生の文章の引用 私は〈裁判による性暴力の問題解決〉より〈カンファレンスやそれに類するRJ〉がより一般的に用いられるとは思わない。〔しかしながら〕私は犯罪と被害へ、より洗練された対応をすること、そしてRJがその流れの中に位置づけられることについて考えることは、意義があると思っている。 私が訳すると「私は、カンファレンス、より一般的には修復的司法が、性犯罪裁定の問題に対する「解決」になるとは […]

『性暴力と修復的司法』第4章の一部チェック(2)

p.149 刑事司法制度の補完として、RJを取り入れる具体策としては、「有罪答弁」の改革をデイリーは挙げている。現行の刑事司法制度にも、加害者が自らの犯行を自白する「有罪答弁」は導入されている。しかしながら、デイリーによれば「有罪答弁」は「被害者の決まりきった質問に、加害者が棒読みで答えるという白々としたもの」である。それを「被害者が自分の経験を思いきり語り尽くし、加害者は率直に事件について吐露す […]

『性暴力と修復的司法』第4章の一部チェック(1)

小松原先生の『性暴力と修復的司法』の第4章は非常に問題が多いと思うので、すこしずつ指摘したいと思います。実は同内容の別の文書を書いてしまって、公開するべきかどうか実はかなり迷ったのですが、やっぱり見てしまった以上は書かざるをえないと思います 1)この本は以前に読んで、問題があるな、とおもっただけでほうっておいたのですが、ツイッターで「第4章第2節ではエビデンスをもとにした、性暴力における修復的司法 […]

EUの女性に対する暴力の調査はすすんでるなー

EUの女性に対する暴力の調査を日本でもやった先生たちの調査結果報告について1)これ、龍大のページではWORDのままで開けない人がいるかもしれないので、PDFにしておきますね。 、フェミニストの小松原織香先生が加えたコメントに、正体不明自称プログラマのuncorrelatted先生がコメントをつけて、ちょっと話題になってました。 http://d.hatena.ne.jp/font-da/20181 […]

ジュディス・バトラー様と竹村和子先生のインクレディブルなダジャレと翻訳

数日まえに載せたヌスバウム先生のバトラー様批判(あれは私の翻訳ではないです、柳下先生)にはけっこう反応があったみたいなんですが、ブログとか書いてくれてる人もいたんですね。 https://kumabushi.com/?p=11750 書きたいのはこの方のブログの内容ではなく、そこで引用されているバトラー様の文章についてなんです。 ジェンダーは真実でもなければ、偽物でもない。また本物でもなければ、見 […]

大学でフェミニズムを勉強したい人は

フェミニズムやらジェンダー論やら勉強したいひとのためのリストみたいなのがない、みたいな。いやそういうのはたくさんあると思うから私が書く必要はないと思うんだけど、ちょっと一般的な話にからめて紹介したいと思います。 そもそも関心がフェミニズムの特定の論者の特定の論点、たとえばキャサリン・マッキノンのポルノについてのどういう議論をしているか知りたい、ってな感じであれば、そういうのはすぐ出てくる。 ジュデ […]

ヌスバウム先生のバトラー先生批判、全訳

柳下先生から昔彼がやっていたヌスバウムの「パロディの教授」の訳をもらったので、ここにあげておきます。著作権関係はクリアしていません。これをここにあげた点の責任は江口にあります。昔私もちょっとだけやったのですが、ちゃんとやってもらってよかった。作業の関係で強調とか落ちてるかもしれないので、あとで直します。 ザプロフェッサーオブパロディ マーサ・ヌスバウム この文章は、Nussbaum, M. C., […]

チラシの裏:小宮青識論争観戦記

他でけっこう長めの文章書いてしまったけど、要点だけ。 この論争がどういう文脈で生じているのかというのは難しい。問題のやりとりの前に、男女の性的行動の評価についての性差別についていろんな人がかなり長い間つぶやきをしていて、今となってはなにが文脈なのか判断できない。それぞれのツイッタラーが見ているツイートもそれぞれだろうし。だから文脈はそれぞれ。ただし、直接の問題になった瀬戸内快男児先生とjiji先生 […]

牟田先生たちの科研費報告書を読もう (5)

もう一つあげましょう。牟田先生は、「ギデンズが論じるように、法的な平等が保障されジェンダー平等への道が見えつつあるからこそ、性暴力やジェンダー暴力がいっそう生み出されているとすれば」と言います。この文章に対する注は ギデンズは、「男性の性暴力が性的支配の基盤をなしているというとらえ方は、以前よりも今日においてより大きな意味をもつ……今日、男性の性暴力の多くは、家父長制支配構造の連綿とした存続よりも […]

牟田先生たちの科研費報告書を読もう (4)

上野千鶴子先生が「嘘はつかないけど不利になることは隠す」とか発言しているのが発見されて、ツイッターの学者研究者界隈に動揺が広がってるようですが、まあそういう感じありますよね。特にフェミニズム/ジェンダー論まわりでは目につく。というか、昔からフェミニズムまわりではつらい経験をすることが多かったのですが、「嘘は書かないけど自論の不利になることにも言及しない」ぐらいの原則でやってるのだと思ったら理解しや […]

牟田先生たちの科研費報告書を読もう(3)

牟田先生のセックス平等の話をするまえに、もうすこしだけ他の論文に簡単なコメント。 元橋利恵先生の「新自由主義セクシュアリティと若手フェミニストたちの抵抗」は、二つの話題があって、「女性は自分の性器の呼び名がない」みたいな話と、「最近は女性が競争(新自由主義)のために男向けにいろいろ努力してる」みたいな話をくっつけようとしてるみたい。 まあ性器の呼び名みたいなのは古い話で、ろくでなし子先生みたいな方 […]

「性的モノ化再訪」レジュメ

そういや、この前研究会で発表したレジュメおいときます。まあこんなこと考えてる。いつものようにあわてて書いたからあちこちよれていて、余計なこと書いてたり、わかりにくかったりしてだめなんですが、今年中にまともな論文にできるようにしたいとは思ってます。すみません。 「性的モノ化再訪」  

牟田先生たちの科研費報告書を読もう(2)

牟田先生の論文のセックスの平等まわりの議論はいろいろおもしろくて、学問として議論したいところがあるのですが、その前にもうひとつどうしても問題を指摘しておきたい論文があります。 古久保さくら先生の「運動と研究の架橋:世代の架橋としての教育の可能性」です。 この論文は大学でジェンダー平等教育をやってらっしゃる古久保先生が、どういう授業実践をしているのかっていうのことと、セックスにおける「自己決定」をど […]

牟田先生たちの科研費報告書を読もう(1)

フェミニストの牟田和恵先生たちの科研費研究の使途がおかしいのではないか、みたいな難癖みないなのが話題になって、それに反応してか先生たちのグループが成果の電子書籍を公開してくれたので、ちょっと読んでみました。公開えらい。 私の印象では、ちゃんとしたグループ研究だと思いますね。立派だ。えらい。一部には「ジェンダー平等のための〜」っていうタイトルなのに、いわゆる慰安婦問題を中心にした研究にしぼられている […]

「飲み物を飲んだら急に眠くなって、気が付いたらセックスの最中だった!」はおかしいか

  なんか、内閣府男女共同参画局関係の広報が炎上していたようです。 「飲み物を飲んだら急に眠くなって、気が付いたらセックスの最中だった!」 内閣府のホームページでは、このような薬物やアルコールなどを使用した性犯罪・性暴力の被害事例や相談窓口、相談をする際のポイントなどを紹介しています。⇒https://t.co/YMAEunsv4k — 内閣府 (@cao_japan) Ma […]

最近活躍している谷田川知恵先生の強姦被害者16万という数字は雑すぎる

下のを書いたあとに、問題はもっと複雑だし、たしかに性暴力被害の問題は深刻だよなと思って消してたんですが、まあ一回公開したものだし置いときます。また考えなおします。 谷田川知恵先生という方は実は前から注目していて、どういうかたかわからないのですが、いろいろ雑な印象があります。ジェンダー法学会が出してる「講座 ジェンダーと法」シリーズの『暴力からの解放』(2012)での谷田川先生の「性暴力と刑法」から […]