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大学生向けビブリオバトルもどきの工夫

ビブリオバトルというのがあって、中学高校で実践している学校もけっこうあるようで、大学の低学年ゼミでやってる人も多いのではないかと思います。私も何度かやってみました。公式サイトはこちら。(このエントリを書いてしばらくしてから気づいたのですが、「ビブリオバトル」は公式ルールのある書評ゲームなので、公式ルールを外れたものを「ビブリオバトル」と呼ぶことは問題がありそうです。こういうものを創発し普及させている方々への敬意を評するために今回はタイトルに「もどき」をいれることで許してもらいたいと思います。)

でもこれ、大学ゼミでやるものとしては意外にうまくいかないんですよね。気づいた原因はいくつかあって、一つは「本を(自由に)紹介する」というと紹介する本というのはだいたい小説などのフィクションになり、あらすじを紹介して、「すごく感動したので読んでください」とかでおわってしまう。あらすでさえ、ラストまで説明するのに抵抗があるらしいし、ミステリーとかならなおさら紹介できないですよね。そもそもフィクションのおもしろさはあらすじにあるのではない、というのもこの年齢層の学生様にはわかりにくい。

もう一つは、ふつう見本としてyoutubeにある「全国大学ビブリオバトル」のビデオなどを見せたりするわけですが、これ見たあとだと、本をあの形で片手にもって感動的な「青年の主張」をする、みたいなかんじになってて、すごく難しいし、「すごくおもしろい」「感動しました」ばっかりでつまらないし私そういうの好きじゃないし。本の内容よりもプレゼンのうまさを競う感じになるし。

というわけで工夫しているわけですが、最近うまくいってるなと思うのは、

岩波ジュニア新書から好きなものを選び、その内容をスライド5枚程度で紹介しろ

みたいなやつです。これはそこそこおもしろい。大学生なんだからパワポぐらい使っていいじゃん。図も出せるし。

最初は「この本には〜が書いてあります、おもしろかったです」みたいな紹介になってしまうのですが、「いやそうじゃなくて、その面白かったところ、それも有益な情報、いままで知らなかった目新しい情報、具体的なハウツー、著者のオリジナルな主張など、一点に絞って紹介する方が効果的だしみんな勉強になる」みたいな説教をしてもう一回やりなおすわけです。投票も、そもそもその書籍の情報量や情報の斬新さ興味深さみたいなのを評価する形になるのでカドも立たない。

それから、必ず著者の紹介をしろ、と。いつ出版された本なの、ネタが古くない?その「本に書いてある」ことを書いてるやつは誰やねん、何学者?どこの先生?どういう経歴のひと?すごく偉い人なの勢いのある若手なの?どういう立場でそのネタにどういう利害関係をもっているの?政治的な本だったりすると、その主張どおりにするとだれが儲かりますか?とか聞く。

その本を教員が読んでれば、その著者や読み方に対していくつか批判的なコメントをすることもある。

川村裕子先生の『平安女子の楽しい!生活』から「平安の女性は髪がすごく長くて〜な生活をしてました」って紹介してくれて、それはそれでおもしろいわけですが、「いやその平安の女性って、貴族の女性っしょ。そんな髪長い人はどれくらいいたろうか、邪魔だろう。それって有名な文章にのこってる一部の女性の姿よねえ」とか「平安時代に妻問婚みたいなのって、一般人、農民とかもやってたのかねえ、ほんとうかねえ、一緒に暮らしたくなかったのかね?それで子供育てられたの?」みたいな話もしたり。

あと、慣れてくると、たとえば串崎先生の『心は前を向いている』から、赤ちゃんは善悪がわかるかもしれない、みたいなところに目をつけて紹介してくれるようになるので、んじゃビデオ見ようってんで、その実験のハムリン先生自身が出て来るビデオを見たりもできる 1)このビデオは英語わからなくても、実験を見ると意味がわかって目がさめるような驚きがある。

ウェルズ恵子先生の『魂をゆさぶる歌に出会う』だったら、グルーブってなによ、youtubeで実際黒人労働歌やゴスペル探して聞いてみよう、ってできるし 2)この前はDJ大会やってしまいそうになって途中で止まるのに苦労しますた。 。もちろん学生様は最初は自分では動画引っ張ってこれないので教員がひっぱる必要があるけど、教員が検索している画面そのまんま見せると、どうやって情報ひっぱるのかいずれわかってくれると思う 3)ちなみにyoutubeの「あなたへのおすすめ」は他人に見せるには凶悪でいつも何見てるのかバレる可能性があるので、授業前にはログアウトしといた方がいいかもしれない。

岩波ジュニア新書自体おもしろい内容のことが多く学生様にはぜひ読んでほしいし、読んでない本についてはどんな話なのかだいたいわかるし一石二鳥三鳥。さらには、学生様がジュニア新書からどんなのを選んでくるかで、彼女たちの興味のあり方みたいなのも垣間見える。2、3回やるとどんどんうまくなるし話も盛り上がるようになってくるので、低学年ゼミもっててビブリオバトルやってるひとは試してみてください。

2、3年まえに図書館と交渉して岩波ジュニア全巻いれてもらって本当に良かった。まあ岩波ジュニアに限定する必要はないけど、広く「新書」とかってくくりだとかなり怪しいものや難しくて低学年の学生様の手に負えないものをもちこんできちゃうのは覚悟してください。

 

References   [ + ]

1. このビデオは英語わからなくても、実験を見ると意味がわかって目がさめるような驚きがある。
2. この前はDJ大会やってしまいそうになって途中で止まるのに苦労しますた。
3. ちなみにyoutubeの「あなたへのおすすめ」は他人に見せるには凶悪でいつも何見てるのかバレる可能性があるので、授業前にはログアウトしといた方がいいかもしれない。

少人数講義での発問と答

少人数の講義や購読などでは、ひとりでしゃべってても疲れるしうるさいだけでつまらないので、学生様たち自身からいろいろ質問や発言してほしいと願っている教員は多いものですが、何度も書いてるようにこれは教員にとって難しい課題です。

これまでも学生様向けにお説教をいくつか書いたりもしたのですが、まあそんなうまくいかないですね。

なんかこういうのではダメな気がする。3、4人なら話せるけど、10人を越えると自分から発言しようとする人はいなくなる。特に1、2回生は発言を恐れているような雰囲気さえありますねえ。まあ2回生ぐらいで勝手なことが言える人は将来すごく偉くなるんだけど、ふつうの学生様にはむずかしい。

これはいろいろな理由や原因が考えられます。いわゆる同調圧力というか、目立つのは悪いことだとか、「ちゃんとした質問」「ちゃんとした意見」を言う自身がないとか、教員が圧迫的だとか、教員が嫌いだからとかキモいからとか。

「人が話しているのを聞いてるときはつねにコメントや質問を考えておくものだ」みたいなのもあんまり効果がない。

なにより、まあ学生様というのはそういう自由度が高い場でなにを話せばいいのかよくわからんのですわ。我々教員・研究者はおしゃべりだしそういう場所に慣れているので、「せっかくのなに言ってもいいじゃん、せっかくの時間だし眠くならないようになんかしゃべっておこう」ぐらい思うわけですが、学生様はそうは考えない。

こういうとき、教員がぼんやり「質問ないですか」って芸のない発問するからだめなのだ、という考えかたもありますが、発問まで作りこまれた授業をいつもできるわけではないし、少人数のときはコストが高すぎる。もっと楽にやりたい。

むしろまあそういう、勝手なことをしゃべる基本的な動作、みたいなのが必要なんすわね。

私が最近試みているのは、「なんか質問ないですか?」って言われたら、「ありません」ではなく、とにかくオウム返しすればよい、ってのを理解してもらいます。

「〜というわけで、徳川家康はえらかったのです。……なにか質問ありませんか? ……そこの松平君どう?」

「ありません」

「保科君は?」

「なにもありません」

はつらい。とにかくオウム返しぐらいして、と。

「家康はえらかったのです。さて、コメントないですか? 真田君なにかない」

「家康は偉かったんですね」

「うんそうなんだ、さらに言えば、〜」

と、まあこういうキャッチボール、パス交換ができれば十分。もっと高度になれば、

「〜というわけで、家康はえらかった。コメントないですか?」

「つまり、家康がえらかったのは〜から、ということですか?」

「うむ、〜」

となればよい。「わかりました」「ありません」ではなく、相手の言ってることを自分で「つまり」などでまとめて返せれば大学生上級だ、みたいなことを言って、その訓練しようとしてます。

「〜というわけで、質問ないかって言われてなにもなければオウム返しすればいいのです、どうですか」

「……」

「これこれ」

「あ、オウム返しすればいいのですね」

「そう、それで十分」

ぐらいにはなる。効果はあるようなないような。でもこれ地道に繰り返してると、少しほぐれてくる感じねえ。

 

 

グループディスカッション雑感補足 (3)

メモだけ。

とにかく教員は学生間のディスカッションが盛り上がらない、と困るわけですが、私が考えているのは以下のようなこと。

まず我々教員が好きな敵対的なディスカッション、ディベート、みたいなのはふつうの学生様には無理で、ああいうのは攻撃的な特別な人々向きね。だれもがそうなれるわけではない。まずは勝手なおしゃべりさせることに慣れさせるべきだ。まあ私はディベート形式は好きではないし、今後もやらないと思う。

人数が重要。大学院や教員を長く続けていると20人ぐらいの会合はふつうで、そういう場所で議論することに非常に慣れているわけですが、学生様はそうではない。彼ら彼女らはお互いによく知らないのがふつうで、すぐに10人とか15人とかでディスカッションするというのは無理。また、まずお互いの名前や性質をおぼえさせないとならないわけで、それも15人いちどにおぼえるのは無理。

そういうわけで、最初は3〜5人ぐらいのグループに分割して作業させることを何度もくりかえす必要があるのではないか、というのが現在の見通し。んで「Aグループではどういう意見が出ましたか」のような問いかけをすれば話ももりあがりやすい。

理想的には、3〜4人のごく少人数のを3、4回やらせてから、7、8人の司会者が必要な人数のをやらせ、その上で10人なり15人なりのをやる必要があるんではないか、みたいな。

ただ、ディスカッションなりおしゃべりさせるにしても、最終的な目標がはっきりしている必要がある。目標というのは目に見える成果物である必要がある。そこで、「ディスカッションシート」「おしゃべりシート」のようなものを最終的に提出するといった目標を設定する必要がある。

 

 

 

大学教員は専門外のことにどこまでコメントしたり授業に組み込んでよいか

大学で授業していて教員がけっこう気にするのが、「自分の専門外のことについて、どの程度コメントしてよいか、どの程度授業にとりいれていいか」ってことです。これ、みんなけっこう気にしてると思うんだけどあんまり議論されてるのを見たことがないんですよね。

まあ1時間半最初から最後まで自分の専門である内容についてしゃべっておわり、ってことにできればそれでいいんですが、それでは学生様の注意が持続しないし、そんなおもしろくないので、個人的な出来事とか時事問題とかそういうのを解説してみたりすることはあるわけですわね。私自身はあんまり政治的な話を好まないので、授業でしゃべってることの具体例として「そういやこんな話があって」とか個人的に見聞きしたこととはをとりあげたりすることが時々あるくらい。でも「安倍政治だだめだ」「もんじゅ即時停止はあたりまえだ」みたいなことを言いたい人もいるかもしれませんね。私はそういうのは専門外だし情報集めてないからコメントしにくい。

でも専門として担当している授業が、倫理学とか応用倫理学とか、生命倫理学まわりだったりするから、ある程度知ってることについては、「いまこんなことが問題になってる、勉強してみてください」ぐらいはしゃべります。これは新聞や雑誌で見てる程度の話ですわね。あんまり政治的な主張がはっきりしたことを言うと、学生様はかなり抵抗があるみたいですね。ネットで「あの先生は意見を押しつける」とかって感想をよく見かけるし、それは避けたい。

私が最近気になっているのが政治の話ではないんですわ。全学の「教養科目」みたいなの担当していて、これってやっぱり私の専門である「倫理学」とかを教えるのとはちょっとちがったことが期待されているようなんですわ。それは、カリキュラムを変更して学部・学科の縦割りを進めすぎてしまって、学生様が自分の専門の話しか聞かなくなってるから、やっぱり大学生としての教養みたいなのを広くまなばせたい、みたいな主旨みたい。そういんで「倫理学」や「応用倫理学」はその専門のコマがあるから、「んじゃ愛とセックスの哲学でもやろう」ってなことになって、文学とかも少しはとりあげつつやるわけですが、問題は、私が音楽をとりあげていいか、ですわね。

私すごく音楽が好きなので音楽について誰かに語りたいことは山ほどあって、そういうの授業でとりあげていいのだろうか、みたいな問題。まあその授業は愛とかセックスとかに関連するような音楽作品とか美術作品(ポルノじゃなくてまじめなファインアート)やダンスとかの芸術についても触れたいじゃないっすか。っていうか、そうした文化や芸術抜きの恋愛や性の話っていうのはなんか不完全な気がするし。あと自分の経験からして、大学の授業でのそういう余計な部分というのはけっこう記憶に残っておもしろいんだわよね。芸人としての大学教員。

というわけで、去年のその授業では最後の方の10分ぐらい使って楽曲の歌詞や音楽的構造の話してみたりしてけっこうおもしろかったので今年もやってるんですが、これ許されるんかな。どう思いますか。

しゃべってる内容は、このブログでちょこちょこ書いてるようなネタや、あるいはたとえば(別ブログの)次のような話だったりする。

まあ授業の最後に、そこまでの授業のコメントシート書いてもらいながら、10分ぐらいだったら許されるかな。成績評価にも関係ないし。でもそういうことやるんだったらあるていどそういう学会とかにも入っておかねばならないのではないか、ぐらいは悩みますね。まあ嘘教えしまわない程度いろいろ試行錯誤しないと、自分自身が授業を楽しめないってのはあるです。

 

講義での学生ディスカッション (2)

まあ文科省様が大学でアクティブラーニングをあれしろ、とか指導しているらしくて、各大学どうのこうのいろいろやろうとしたりもめたりしている時期みたいですね。よく知らんのですが。

とにかく教員が1時間半しゃべりまくる講義しておしまい、っていうのではだめですということらしい。たしかにそういうのはぜんぜん勉強にならんと思うので学生様にはいろいろやってもらわないとなりませんね。前にも大人数授業でのディスカッションについて書いたんですが、昨日同じようなことをやろうと準備してたら、講義中に適当な話はさみながらしゃべってたら予定のところまで進まなかったんですわ。さらに悪いことに、その「おしゃべりシート」もっていくの忘れてたし。やばい。

んでやってみたのが、「それじゃー、いままで私がしゃべったことをお互いのノートもちよって協力してまとめて、さらにそれにみんなでいろいろ匿名コメントつけてください」みたいなの。配布して余った紙の裏使った。

実は「グループディスカッションの心得」みたいなのを話すつもりで、ネットにあった「評価用紙」みたいなのはもっていってたんですわ。  http://www.subarusya-linkage.jp/img/b-template/kanrisya-temp/download/gd-seat.pdf

これ見せて、「就活でのディスカッションではこういうの評価されるかもしれないからね」とかってお説教して、「んじゃどうぞ」ってやりますた。

やってみてから気づいたんだけど、これはかなり有効な手段というか、ほとんどいつでも、教員自身が何の準備しなくてもできるんで優秀な課題ですよね。

紙には上にグループメンバーの名前書いて、記録者に下線引いてもらって、回収したらスキャンしてPDFにしてあとで皆がよめるようにすればいい。

自分の授業の至らなさ、伝わってなさみたいなのもよくわかるし。学生様の個々のコミュニケーションシートとかだと、「この学生様は寝ていたのだろう」みたいなのがあるけど、みんなで書いてこうなら私が悪うございました、みたいになるし。

あとでこれをやるってことになってれば、ノートもまじめにとったりするかもしれないし、いいことづくめ。

非常に簡単なので、「アクティブラーニングさせろ」とか命じられているけど、なにやったらいいかわからないとかで困っている先生はやってみてください。おそらくコツは、「ディスカッションさせる」ということにしばられないことだと思います。

 

大人数授業でのディスカッション

レポートPDFを全員公開でおもいだしたけど、最近アクティブラーニングとかうるさいのでそういうのもやらなきゃならん。

2〜4回生向けの授業でやってみたのが、テキスト読んで一通り説明したあとに、数人のグループでディスカッションというよりおしゃべりしてもらう、ってやつ。

生命倫理第1回ディスカッション.pages

生命倫理第2回ディスカッション.pages

この授業は2〜4回生、学部もばらばらっていう授業でした。こういう紙を作って、出席番号の下1桁とかで教室の指定の場所に集まってもらって 1)これだと10グループ、実際にはもうちょっと細かくして20グループぐらいにしたかな、「この紙埋めてください」みたいな。まとめ役は、「一番お姉さんが」とは言わずに「出席番号が一番小さいひと」とかにしたんだったかな。んで回収したあとスキャンしてPDFで公開。けっこうおもしろいこと書いてくれます。特に美容整形の方は、学年が違うとそこらへんのあれもけっこう違っていてお互いけっこうおもしろかったようです。

あ、いわゆる「ラウンドロビン」とかの手法もいちおう説明したかな。「他人の意見にコメントせずに、3回まわしてください」とか。おしゃべりしてもらう方法はいろいろあるので、たとえばここらへんとかの資料見てください。教員も勉強すべきことは多い。

もっと大人数(200人超)になるとさすがに場所がなくてディスカッションとかできないから、問いを出してから、「匿名でいいから好きなこと書いて、隣のお友達と雑談しながらでいい」とかって指示してそれもスキャンして公開。

クリッカーっていうかGoogleのフォーム使ってスマホからリアルタイムでアンケートとったりなんかするっていうのも教えてもらって計画してるけど、まだやってない。

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1. これだと10グループ、実際にはもうちょっと細かくして20グループぐらいにしたかな

レポート提出の工夫: 「指定の表紙」

レポート提出してもらうときは「指定の表紙つけて」とかってのにしてます。このまえ使ったのはこんなの。スクリーンショット 2016-09-04 22.21.29

レポート表紙

しかしこれあんまり機能してなくて、学生様は適当にチェックしてくる。ウソツキ!とか叫びたくなりますね。

次つくるときは「レポートの本読んだか?」のところは「読んだレポートの書き方本のタイトル書け」にしようと思ってる。出典の書き方とかおかしいときに、「君の読んだその本にほんとにそんなこと書いてたかね」みたいなこと書きやすいし。

 

レポート提出の工夫: 提出レポートはPDFで全員に公開する

そういや、この「教員生活」シリーズあったの忘れてましたわ。

レポートのコピペとかっていうのはいまだにSNSでは話題ですが、まあそれは出題が悪いですわね。やはりコピペできないような出題したいとかってのは思ってます。

コピペについてはいろいろ言いたいことはあるんだけど、今年試してみてよかったのは、レポートは紙とPDFの両方で提出してもらって、PDFの方はGoogle Driveにセーブして、受講者全員が全員の分読めるようにする、っていうやつ。高得点つけた奴は別に数本選び出しておいて「こういうの高得点つけましたよ、全部じゃないです」ぐらいにしておく。Google Driveはフォルダごと公開できるので、URLはメールで一斉送信するなり、パスワードつきのwebページにおいとくなり。

「匿名にしたい人はPDFでは名前等いりません、紙で提出する際に表紙に書き込んでください」とかってことにしました 1)ファイル名はperlのスクリプトで番号( 123.pdfとか)にしたけど、ふつうはここまでやる必要はないだろう。

学生様がレポート嫌ったりコピペしてしまうのはそもそも書き方がわからないからなので、書き方がわかっている学生様、よく書けている学生のを他の学生様に見てもらうのは価値がある。自分の点数にもまあ納得いくだろうし。それに、「あなたのレポートの読者は私ではなく、他の学生、特に1、2年下の下級生、あるいはこの分野についてぜんぜん知らない人です、だからわかりにくい言葉や考え方もぜんぶ説明するのですよ、課題問題も、文献もちゃんと誰でもわかるように書くのですよ」とかっていうのも教育効果がある。

これの副作用の利点がもうひとつあって、成績表転記する際に「この学生様レポート出してないよな、落としていいんだよな、でも私紛失してるんじゃないかしら」とか不安になることが実はあるわけですが、メール検索してみればいいから楽。まあ学生様としては紙とPDFの両方出すのは面倒でしょうが。採点をディスプレイだけでできるって教員の人はPDFで提出だけでもいいかもしれませんね。でもこれはこれでメール届いた届かないで問題になるから、二重にして冗長化するのは教員にとってはそれなりに価値がある。

 

 

References   [ + ]

1. ファイル名はperlのスクリプトで番号( 123.pdfとか)にしたけど、ふつうはここまでやる必要はないだろう。

2015年度江口ゼミNewsLetter

(昨年度1年研修させてもらって卒業回生ゼミをもたなかかったので、ニュースレターは2年ぶりになります。)

例年通り、3月15日に卒業式と卒業パーティーが行なわれました。パーティーは例年通り盛会。今年は秋本勝先生、小波英雄先生、東元春夫先生、竹安栄子先生が学部ご退職でした(竹安先生は大学の地域連携センター長としてさらに数年大学におられます)。卒業生の人は知ってる先生がだんだん少なくなってしまってるかもしれませんが、私はまだまだいるつもりなのでお近くにいらっしゃった際は大学にお立ちよりください。

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江口は昨年度3回生を担当していないので4回生ゼミはもたないでいいのかと思っていましたが、他のゼミから3人受けいれることになりまして、例年通り飲み会やら3・4回生合同の合宿やら、「なんとか卒論書け」とかお説教したりでまあ本当に例年通り。

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卒論のテーマは

  • 「楽観的思考で未来をよりよい方向に持っていくには」
  • 「自分の悪習を直すためにはどうしたらよいのか」
  • 「著作権に関する諸問題:TPPを見据えて」

でした。4月からはじめて卒論まで10ヶ月しかなく、久しぶりに少人数なので、まあ勉強というよりは、じっくり人生についてみんなで考えた感じでした。それはそれなりに楽しくできたのではないかと思います。実は3人中2人は単位の関係でこの春には卒業できなかったのですが、来年度には出てもらえるのではないかと思います。就職等について考えるのもこれから。でも人生そんな急ぐ必要もないですわね。

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江口自身の勉強生活は今年は翻訳などに時間とられてちょっとアウトプット出せませんでしたが、来年度にはいろいろ成果が出るのではないかと思います。まあ50才を越えて、いいかげん高齢者だし、焦るのはやめて地道にやるべきことをやろう、のような考え方に変わってます。健康第一。ははは。

2016年度の4回生は14人(もしかすると15人)になるのでまたたいへんです。今年は3月から就活はじまっていて、がんばってくれることを期待しています。

 

少人数なら学生様にショートスピーチしてもらう

前にも書いた記憶があるけど、探すの面倒だから書きなおし。

勝手に心の師匠の一人としているoptical_frog先生が、授業でのショートスピーチの話を書いているので、教員は参考になると思う。

ただし、フロッグ先生はなにごともちゃんとしすぎているので、「そんなん私には無理」「たいへんだなあ」みたいになってしまう人もいるかもしれない。というわけでダメ教員ならどうしているか。

私も少人数授業では簡単なスピーチしてもらってるんだけど、あんなちゃんとしてないっすね(だからうまくいかない)。先生のそれぞれを私はどうしているのかだけメモ。

私自身は、授業毎回全員にほんの軽くスピーチしてもらってる。「学園祭期間なにをしますか」「好きな言葉を教えてください」「おすすめのマンガを紹介してください」「サークルやバイトを紹介してください」みたいな日常的なこと。

1人30秒か1分か。最初は30秒や1分の感覚がないので、キッチンタイマーで計測して、とにかく1分話してもらう、みたいなこともすることもある。

10人だと30秒ずつでも10〜15分かかっちゃうけど、それだけの価値はあると思ってる。スピーチ内容はポジティブなことだとすこし明るく授業できると思う。まちがっても「いままで一番つらかったこと」「最近腹がたったこと」みたいなのはだめ。

学期で、2、3回はそれぞれを自分自分のスマホでビデオとってて、授業中に時間とって自己評価してもらったりもする。これはほんとうに効果がある。

「みんなスマホ出して」って出させて、動画モードにして準備させる。私がとるときもあれば、対面に座ってる学生様にとってもらったり 1)カメラまわり、iPhoneは他のスマホより優秀だと思わされますなあ。だいたい手にもったときの質感がぜんぜんちがうし。

あと「必ず最初に名前を言うこと、「こんにちは江口です」からはじめてください」って指定しているので、私自身が名前おぼえやすい。学生様というのは実は同じ少人数クラスにいても御互いにちゃんと名前おぼえてなかったりするので、その対策にもなる。(ついでにクラスのメンバーの名前や、何をしゃべったかとかぜんぶメモするのだ、みたいにしてメモの習慣つけさせるのにも役立つ)

Step 1:クリアすべき項目を解説する

うん。これはやる。

そもそも学生様というのは人前で話すっていうのにすごく抵抗があるみたい。まあ高校とかで一人で話すのって、授業で当てられたときか、あるいはホームループの3分間スピーチみたいなやつぐらいだもんね。(2、3ヶ月に1回ぐらいか)

「とにかく人前で話すことに慣れる、っていうのがゼミの一番の目標です」っていうのは1〜3回生までずーっと言いつづけますね。これは本気で、「うまく話す」とかってのはもう考えてない。とにかくなんでもいいから人前で話せればOK。

「いずれこれだけマスターしろ」って最初に言うのは

  • 姿勢と手の位置
  • 立ったり座ったりするときの動作
  • 視線
  • 表情

弊社の場合、ゼミなどは1回生から4回生までだいたい15人以内なのであんまり声の大きさは問題にならない。

姿勢はけっこう大事で、ちゃんと背筋のばすとかっこよく見えるよ。手の位置っていうのは、ふつうなにもしないと手をだらーっと落としてだるい「気をつけ」みたいな力のない姿勢で話をしてしまう学生様がけっこういるので、「手はなるべく上にしておく、手振りいれてもいい」とか。

視線は当然として、表情は「最初はあいさつからはじめて笑顔一発いれろ」みたいな。まあこういう非言語コミュニケーションというかボディーランゲージというか、そういうのがちゃんとしてくると人間らしくなってくる。1、2回生だとここらへんだけ何回もあれする。

5人くらいなら座ったままでやるけど、それ以上の場合には立って話してもらう。このとき、1〜2回生だと、バッグやイスでもたもたしてうまく立てない。そういうのはかっこ悪いから、さっときれいに立ちあがってください、みたいな。

話し方や話の内容はもうずっとあとだわねえ。3回生ぐらいになってから。

あと、話し方より聞き方、他のメンバーがしゃべってるときに聞くときの姿勢や視線、うなづきその他のリアクションはとても大事だ、そういうのなにもないとしゃべりづらいでしょ、みたいなのも何回も言う。

Step 2: 教員が実演する

まあ初回、2回目ぐらいはやるけど、慣れてきたら面倒だからやらない。すみませんすみません。むしろスピーチしてもらったのにつっこみ入れたりしてちょっとだけ面接っぽい会話する感じ。「バイト先」って言ったけど、バイトなんだっけ?」「その〜ってのはなんですか」みたいな。

ただ聞いてる姿勢は気をつけてるつもり。いちおうそれが見本のつもりだけど、まあ私の姿勢を本気で真似されたらこまるねえ。

Step 3: 聞いてる学生様たちにもコメントを書いてもらう

いちおうコメント用紙は用意しているけど、他人に使うのは2、3回かな。これは全員のスピーチにやると時間がかかるので、まあプレゼンの練習とかさせるときだけ。自分のビデオ見るので十分かな、みたいな感じはある。自分のビデオ見た場合は自分について書いてもらう。

Step 4: フィードバック

面倒だから紙ではやらない。その場でなるべくほめるようにはしているけど。自己評価の紙提出してもらっても、このハンコ押して「あとは慣れです」ていどコメントして返すぐらい。

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References   [ + ]

1. カメラまわり、iPhoneは他のスマホより優秀だと思わされますなあ。だいたい手にもったときの質感がぜんぜんちがうし。

大福帳その後

いざ授業はじまったら忙しくて死にそうでここのブログのことなんか忘れてますた。夏休みも採点やらなんやらしてたら低調に終り、秋はじまってまた死にそう。なんだかなあ。

大福帳はその後どうなったのかというと、こんな感じに学部で色わけして数字で学年を書く感じにおちつきました。(授業によっては学籍番号の下3桁の最初の数字を書く。100番台は1、200番台は2みたいな感じ)

 

Evernote Snapshot 20151031 091325

200枚越してても5〜10分前に教室に入って色別に長机にばらまけばだいたいさばける感じ。

非常勤歴メモ

1995年4月 – 1998年3月 美原看護学校非常勤講師(倫理学)
1995年10月 – 2001年3月 大阪教育大学非常勤講師(倫理学)
1995年10月 – 1996年3月 京都教育大学非常勤講師(倫理学)
1996年4月 – 1998年3月 龍谷大学非常勤講師(哲学、倫理学)
1996年4月 – 1998年3月 滋賀技術能力開発短期大学校非常勤講師(英会話)
1997年4月 – 1998年3月 大阪薬科大学非常勤講師(ドイツ語I・II、人文科学)
1997年4月 – 1998年3月 京都学園大学非常勤講師(倫理学、倫理思想史)
1998年2月 – 1999年3月 滋賀大学非常勤講師(倫理学)
1998年4月 – 2000年3月 阪南大学非常勤講師(倫理学)
1998年4月 – 1999年3月 京都府立医科大非常勤講師(ドイツ語I・II、倫理学)
2002年4月 – ?年3月 立命館大学文学部非常勤講師 (倫理思想史I・II、応用倫理I・II)
2005年9月 – 2006年3月 京都府立医科大学非常勤講師(倫理学)
2008年4月 – 2013年3月 京都大学非常勤講師(倫理学基礎論I・II)
2011年4月 – 2013年9月 滋賀医科大学非常勤講師(倫理学)
2015年4月 – 2016年9月 立命館大学非常勤(英語購読、前期のみ)
2015年4月 – 2017年3月 同志社大学非常勤講師(倫理学特講I・II)

大人数授業で大福帳を使えるか

 

向後千春先生あたりが一部で流行させた「大福帳」ってのがあるんですわ。

向後先生の「すべての授業で大福帳を使おう」あたりを参照してもらえばいいと思います。授業回数(例えば15回)の分の出席カードを質問・コメントシートをいっしょにしたもので、その1枚のシートが教員と学生様の間をいったりきたりするんですね。「シャトルシート」とかっていう呼び名もあるのかな。出席票を付ける必要がないのでかなり便利。(下のは向後先生のページから)

先生が「大福帳テンプレート」も公開してくれているので、これを出来る限り厚手の紙にリソグラフかなんかで印刷するだけです。厚手の紙はたいていの大学の印刷室にあるので、係の人にたずねてみてください。

私はこのシステムは3、4年つかっています。主に1、2回生のゼミや語学の授業で使うと、出席を記録しておく必要がないし、ちょっとした連絡にも使えるし便利。「〜さん」って名前呼びながら返すことになるので、名前覚えたりするのにも役立つ。

本来の目的である学生様からのフィードバックと、それに対するこっちからの反応っていうのは、少人数のではかなりうまくいくのがわかってて愛用していたんですが、今年はこれを100人超の大人数授業でも使ってみようと試しているところです。一番問題になるのは、どうやって学生様に配布・返却するかなんすよね。座席を指定して順番に置いていくとか、授業前にフォルダにいれたものから各自とっていってもらう、みたいな手法が紹介されているのですが、それでうまく返せるかどうか不安。そもそも回収したときに分別するのも不安だし。

大福帳

いろいろ考えて、1回め回収したときにこういう感じで蛍光マーカーで色と記号というかアイコンみたいなの塗ってみました。こうしておくと、出席番号が001〜020ぐらいの学生さんはピンク色の蛍光ペンで線が1本書いてあるやつで、みたいになってお互いにわかりやすい。分類もしやすいし、机のうえにでも1〜50番ぐらいのをざらっとならべておいても学生様もすぐにとってけるだろう、みたいな。

今日ざっと配布するのと回収するのは問題がないことがわかったので、来週今日よりもっとうまくサバければ使えると思う。どうだろうか。おそらく授業開始15〜20分前に教室に入って、最前列の机の上にばさーってひろげて、スライド映すパソコンの準備したりトイレ行っといたりコーヒー飲んだりしたらちょうどぐらいな印象。こういうコミュニケーションシートを書かせるのは学生様が教室から退出するのをバラけさせ、ガヤガヤさせにくくするというのでも益がある。(かつ15分ぐらい前に授業はおわってしまうので体力的負担も少ない。いいことずくめ)

 

図書館をつくる

私の考えでは、大学教員の大事な職務の一つに「図書館を作る」という仕事があります。

大学図書館というのは非常に重要な場所で、予算も大学全体の予算のなかでもけっこうな割合担っているはずですし、「図書館長」は以前は大学学長につぐ「大学ナンバーツー」だった時代があるようですね(いまはどうか知らないけどやっぱり偉いと思う)。

まあ大学教員は、「熱心な学生様にはぜひここらへんも勉強してもらいたいなあ」みたいに思って授業の資料を一生懸命作って「参考図書」とか一生懸命のっけてるわけですが、その図書がちゃんと図書館に入ってない、みたいなことは多いんですわ。これはいかん。やっぱり「参考にしてね」っていった本はできるかぎり図書館に入れておきたいものです。まあ専門的な外国語文献まで入れておく必要があるのかは大学の性格によって微妙だけど、おすすめの日本語の本はばんばん入れておきたいですね。

どの大学でも「講義関連図書」とかの予算はあるはずで、授業で参照したらばんばん図書館にリクエストしたい。他にも「教職員希望図書」みたいな制度もあるはずだし、常勤だけでなく非常勤の先生も使えるはずです。

公共の図書館の職員や司書さんたちというのはいったいどういう本をいれればいいのかわからないんじゃないかと思います。教員の方が、少なくとも自分の専門に近いところではどの本が良い本で学生様などにおすすめできるのか知っているわけだから、積極的に図書館作りたいものですね。

もちろんいちいちOPACでチェックしたり書類書いたりするのはけっこう手間もかかるものなので、非常勤とかで行ってるだけの大学の図書館にどのていど手間かけるのはっていうのはあれですが、少なくとも専任の人はちゃんと図書館に気を使うべきだと思います。

授業ログをつける

 

授業の記録(ログ)はすごい重要ですね。若いころは1週間ぐらいのことは覚えておけたけど、最近はもうなにも記憶しておけない。この「数日〜1週間前」ぐらいの中期的な記憶が一番やばくなってる感じ。大学教員も長年やってると同じような話を繰り返すことも増えていて、「この話は先週もやったのではないか」みたいな恐怖を感じることも少なくないです。とにかく1行でもいいから終了時にメモしておくと恐怖が少し減る。

とにかく記録する。これまではエディタのEmacsの上でのhowmっていうメモアプリを使ってたんですが、今年はEvernoteにしようかな、みたいな。紙のノートでもいいんだけど、ちょっとうまく整理できなくて。Evernoteでは「ショートカット」に登録して、さらに前日にリマインダしかけておきますかね。

書いとくのは、ごくふつうのこと。授業で話した内容、つぎにやる予定のこと。出した課題、あと少人数なら欠席した人をチェックしておくのはだいじですね。気になったこと。その他なんでも。

ショートカットとリマインダでこんな感じ。

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学生様の名前の呼び方

学生様の名前の呼び方は面倒ですね。

まず「〜くん」なのか「〜さん」なのか。私はこれまで男性は「名字くん」、女性は「名字さん」と呼んでましたが、ジェンダーニュートラルにするためにどっちかに統一する必要があるのではないか。その場合は「さん」づけになりますかね。人生の師の一人と仰いでいる老師は、目上でも年下でも男女だれでも「〜さん」でかっこよかった。

女子も「大島優子君」みたいに呼ぶのはなんか偉そうでかっこいい。「福沢諭吉君」みたいな「くん」づけ文化は悪くない気がします。

今年問題になりそうなのが、1回生の前期のゼミは名簿順で機械的に割り振られるために、全員「山」からはじまってて、とくに「山本」の人が5人もいるんですよね。しかし女子を下の名前で呼ぶのも抵抗あるんよね。「莉乃さん」「みなみさん」もなんかあれだし、「友美君」「敦子君」「麻友君」とかになるのかか。いやこれもおかしい。やっぱりフルネームになるんすかね。全員フルネームで呼ぶことになるかもしれないなあ。

まあ中学高校の先生とかはフルネームが基本だと思うし、「フルネームさん」になるんすかね。相対性理論の地獄先生もそういうの悩んでたかもしれませんね。

授業準備(2) そもそも授業の目標とかも考えないとならんのだが

順番逆になったけど、まあ授業するときにいったいなにを目指すのか、っていうのは、これは難しいっすよね。特に哲学系の1、2回生向けの一般教養的な授業とかってのはもうなにやればいいのかさっぱりわからない。実は非常勤で仕事はじめて20年たっても、いまだにわかってない。

これ考えはじめると頭痛くなるわけです。「哲学や倫理学を大学で教える意義はなにか」みたいな抽象的な話は苦手だし。まあ今考えてるのはこんな感じ。

倫理学。ふつうの教え方はどうなんすかね。歴史的・学説史的にやるならソクラテス→プラトン→アリストテレス、ホッブズ、ロック、ルソーと社会契約説やって、ヒュームやってカントやって、功利主義やって、実存主義っぽいのに触れて、あとロールズとかそこらやってみたいな?

まあそういうのはあまりに古くておもしろくしにくい。ちょっと前の私はレイチェルズ先生の使って、(1)ソクラテスやって導入して、(2)相対主義やって主観主義やって利己主義やって、まあ道徳は完全に主観的なものでもないし利他性がポイントだよね、ってやって、(3)功利主義やって、(4)功利主義に不満な人もいるよってカントやって、(5)この功利主義とカント主義の対立みたいなのに最近はケアや徳倫理が注目されてる、って感じにして、(6)道徳的である理由はあるか、みたいなので終る、ぐらい。

これはわりと標準的でまあ別に悪くはないんだけど、学生様がピンと来ているのかどうかなんか不安なところがある。最近考えてるのは、むしろそういう「〜主義」とか歴史的な説明よりは、「幸福」とか「義務」とか「権利」とか「自由」とかそういうキーワードを中心にして具体的な話とからめてやった方がいいんだろうな、みたいな感じですわね。そもそも私、現在の標準的な倫理学の授業とかが、社会とか権利や義務といった堅苦しい概念が中心になってるのが不満で、ふつうの大学生には義務の話はまだ早い、みたいな感じがある。もっと個人的な幸福とかそういうのについて考えて、そっから協力とか権利とか義務とかにつなげたいと思ってるです。まあそういう感じでやろうってんで考えてはいる。

もう一つ担当している「応用倫理」ってのはこれはもうその年に関心あることを適当にやらせてもらってる感じ。定番はネットのプライバシー、知的所有権、中絶、動物、死刑、言論の自由とポルノ、性の商品化、貧困援助あたり。あと年によって2個ぐらい入れる感じ。浅いけどそれでいいと思ってる。

今年は他に「生命倫理」があって、これは完全に「教養」科目だし、児玉聡先生のマンガテキスト使わせてもらって楽しくかつ暗くやるつもり。

 

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まだある。

1回生向けの「社会思想」ってのから名前が変わった「現代社会入門I」っていうのは、さっき資料作ってるって書いたやつなんですが、まあこれは本当に大学授業全般のイントロダクショみたいなもので、高校の「現代社会」や「倫理」の一部を復習する感じですわね。意図としては、今の国家なり社会なりがなんでこういう形になってるかっていうのをいわゆる「思想」の方から紹介するっていうもの。「今こういう社会になってるのは偉い人々がいろいろ考えたからです」みたいな。もちろん世界は思想によってできてるというよりは歴史によってできてるわけだけど、高校「世界史」に対応するやつは別に新設してもらった。まあ18世紀以前の「思想」はすごく遠い感じだけど、19世紀は20世紀・21世紀と地続きでおもしろいですね。

あとなんかな。後期のことはまだ考えてないけど教養科目で「恋愛の西洋思想史」みたいなのもやる予定で、これはまあ教養っぽい話。これは3回目ぐらいで、これも資料プリントするのたいへんだから今年は夏休みにまとめて印刷してしまおう。

非常勤で衣笠でやるのは英語読むやつだから、いろいろ読んでみんなで訳文つくってみたい。どれくらいできるかやってみないとわからん。もし成果が出れば、なんかの形で公開できるようにできないだろうか。

御所大学でやるのは3回生向けだしかなり特殊なものだから完全に好きなことやるつもり。わりと楽しみ。特殊講義というのは内容も教員も特殊です、特殊芸人とか特殊マンガ家とかと同じ、とか。ははは。あれで告発されないように十分気をつけないと。

自分がやる講義関係はそういう感じかな。演習っぽいやつはもうやりながら考えるしかない。

 

 

授業準備(1) 資料集作ったり

 

もう焦って授業準備しないとね。

今年はいろいろ新しい授業があって、まあまた試行錯誤しながらやるわけですが、そのための資料とか集めとかないとならない。面倒くさいけど教員としては楽しい時期でもあります。教員にとって授業準備のときこそ自分が教員だと思うし、研究者もどきであることを確認する作業でもある。

授業準備で一番面倒なのが教科書の選定とプリント作りですわね。私が担当している講義とかではあんまり適切な教科書が見つけられない。倫理学とか、私がふつうの大学の1、2回生用の教科書に使えると思ってるものは現在のところジェームズ・レイチェルズ先生の『現実を見つめる道徳哲学』ぐらいしかない。哲学や倫理学とかで教えられてる内容っていうのはほんとうに教員によって千差万別でしょうな。もっと標準化された方がいいと思うんですけどね。まあそもそもそういった講義でなにを目指すかってところから考えないとならんとは思う。

今ちょっと集中してやってるのは1回生向けの社会思想関係の授業で、これはまあだいたい各種の社会科学系学問がどういうふうにして成立してなにをやってるのかとか、政治思想の基礎みたいなんをやることが求められてるんじゃないかっていう気がするので、まあわりとはっきりしている。社会思想・政治思想みたいなのは教科書はけっこう多いんですが、ただまあ、あんまり弊社向きじゃなかったり、高かったりして1)1回生向けとかは2000円超えたら使えない感じ。使いにくいこともある。

この授業は信頼する某君と2人でやってる授業なので、今年は「んじゃ二人で共通に使う原典資料だけあらかじめ刷っておいてしまおうか」みたいな感じで抜粋集みたいなんつくってます。これまあ本当は著作権とか面倒なんだけど、今年はパイロットということで許してもらおう。こんな感じのを作ってるです。

つくりかけ資料集

 

 

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References   [ + ]

1. 1回生向けとかは2000円超えたら使えない感じ。

服装・身だしなみ(3)

服装・身だしなみ(1) / 服装・身だしなみ(2) の続き

 

服装と身だしなみについて書きたいのは実はまあそういうことというよりは、そういうものが学生様に与える印象と、我々自身に与える影響の二つだったんですが、まあ面倒になったからもうやめよう。

学生様にとっては、教員の服装はやっぱりけっこう重要だと思います。これは私の主要なお客様が女子大生だってことだけではない。男子学生様にも重要だと思う。

やっぱり我々は服装に非常に敏感なんすよ。私のように服とかってものにほとんど注意を払ってない人間でも、意識しないで服装に圧倒されたり、あるいは誰かを見くびったりしている。

ちゃんとした服を着ている人はちゃんとした人だと思うし、ちゃんとしてない人はちゃんとしてない人だと思う。そしてそれがまちがうケースっていうのはそれほどない。ちゃんとした服を着ている人がインチキなことはけっこうあるけど、ちゃんとしてない人が実はちゃんとしている場合はそれよりずっと少ない。やっぱりだらしない格好の人はなにをやってもだらしないです。私も。

教員がわから学生様を見るときだって、実はそういう判断しているじゃないですか。一時期いた腰パンずるずるの学生様とかがまじめに勉強している、なんてのはほとんどない。もちろんそういうルーズな服装をしている人々のなかにも優秀な人はいるし、よい人も多い。私もそういう人を目指している。でもそういう人々も、基本的にはあんまりきちんとしている人々じゃない。もちろん例外は多いにしても、けっきょく印象ってのは重要です。我々はそれによって動いている。

そういうきちんとしてない人が、授業で「課題レポートは形式をきちんとしてください」とか言っても、やっぱり迫力がないっすよ。きちっとしたものを求めるには自分自身がきちっとしてないとならない。私がルーズな服装をしながらきちっとしたレポートを求めたりしているのはまったくの失敗でしたし、傲慢でさえあったんじゃないかと思います。

とにかくまともな服装をしているのは学生様からディスられる可能性をちょっと下げ、信頼される可能性をちょっと上げる。ぎりぎりで生活し仕事している我々に、わざわざハンデつけてる余裕はない感じ。

もうひとつ、我々自身に与える影響ですが、ひとつはやっぱりルーズな服はルーズな気分になるってのがある。そしてもうひとつ、社会的地位の低い服装はやっぱり自分を社会的に低い身分だと思わせてしまうところがある。逆に、自分に自信のないときにはまともな服を着ることはできない。ちゃんとした服装をするには自分に自信をもたねばならない。

でもまあ服とか化粧とかそういうのは、実は自分に自信をつける手段でもあるわけです。自信は意志ではどうにもならないけど、服ぐらいは工夫すればなんとかなる。なんとか服とか整えたら、自分に自信がつくものです。

今回の騒動である女性マンガ家1)『江古田ちゃん』の瀧浪先生。さすがだと思いました。が、挫折したイランの女性が化粧やエアロビで自信を回復した、っていう話を紹介しているのがあったのですが、あれは感心しました。実際、化粧セラピーみたいなのはあるようですね。数年前そういうの卒論で書いてくれた学生様がいたのですが、老人になっておしゃれとかできなくなって暗い生活をしている人に、お化粧しましょうっていっていろいろやると元気になるとかそういう話。我々にはそういう側面があるんだと思う。

どうしても大学教員とか研究者とかやってると自分に自信がなくなりがちなものです。学生様は話を聞いてくれないし指示通りに動いてくれない。そもそも自分は学生様に嫌われてるようだ。研究ではすごい人々がいっぱいいて、自分が書くものなんかなんの意味もないような気がする。学会や研究会でも圧倒されっぱなしで、下手するとやっつけられる。

でもそういうときにこそ、身なりぐらいぴしっとしてみたいものです。

フレッドアステア先生にShine on your shoesっていう歌があって、気分が悪いときには靴を磨こうってことらしいです。大事なことだってことがやっとわかってきました。

When you feel as low as the bottom of a well
Can’t get out of the mood
Do something to perk yourself up
Change your attitude
Give a tug to your tie
Put a crease in your pants
But if you really wanna feel fine
Give your shoes a shine

When there’s a shine on your shoes,
there’s a melody in your heart,
With a singable, happy feeling,
What a wonderful way to start to face the world every day
With a “deedle-um-dee-di-di,”
little melody that is making the world go by.

When you walk down the street with a happy-go-lucky beat,
You’ll find a lot in what I’m repeating
When there’s a shine on your shoes,
there’s a melody in your heart
What a wonderful way to start the day

 

いやまあ結局私はやっぱり服には興味ないし、いまさら方針変更も無理だし、やっぱりルーズな服装が好きなのでそういう感じで生きていきますが、そういう道もある、というはわかった気がするし、そういうをもっと早く意識してたもっと違った人生、ちがった教員生活、ちがった研究生活もあったかな、みたいなことは考えます。みんないろいろ試してみてください。私が言えるのはそれくらい。無念じゃ。

 

これは読む価値があると思うです。

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References   [ + ]

1. 『江古田ちゃん』の瀧浪先生。さすがだと思いました。

服装・身だしなみ(2)

→続く

まあそういうことがあって、ちょっと服装について考えた時期がありますた。

実際、よく考えてみると教員っていうのは人前に立つ仕事であって、どういうふうに見えるかっていうのは実はすごく重要なんですわね。特に研究大学ではないところではけっきょくチョーク芸人なわけで、それなりの衣裳をそろえないとならないのかもしれない。

若いころはまあ「百万遍大学出のだめな兄さん」ぐらいで許してもらえても、年とってくるとそれではだめ。そもそも気をつけてると実は弊社の男性職員はちゃんとドレスコードみたいなのあるみたいだし。「この夏からクールビズなので、ネクタイ締めてはいかん」え、いままでは締める約束だったのか!それでみんなちゃんとしているのか。教員はそういうの知らなかったよ!やばい。

いくつか本読んでわかったことをちょっと書いておくとこんな感じ。

  • スーツにネクタイが一番無難。とにかく困ったらスーツ着ておけばいい。男はスーツさえ着てればなんとかなる。
  • スーツで一番重要なのはサイズ。袖丈とか肩幅とか合ってないとおかしい。つり下げなら何度も試着しないと合わないのがふつう。そもそも私「サイズが合う」というのがどういう状態かさっぱりわかってなかった。一回洋服屋で測定してもらって作ってもらうといい。
  • お金ないときは吊り下げでもしょうがないけど、一回5、6万円の安いのをパターンオーダーとかで作ってもらうといい。するとほぼぴったりのを作ってもらえるので、それが基準。お店は怖いけどがんばる。
  • シャツはもちろんちゃんとアイロンする。ははは。
  • ネクタイもそこそこのものを買って、結び方をおぼえる。女子とかはあれけっこう見ている。実は結び方でそのひとの細かいことをする能力がわかる。私はいまだにできない。
  • ヒゲは毎日剃りましょう。鼻毛も絶対に伸ばさないこと。
  • 人々は靴もすごく見ているのでスニーカーはだめ。
  • いやはや、50年近くそんなこともわかってなかったのか、みたいな世界。いやほんとにわかってない人は多いと思いますよ。私はぜんぜんわかってなかった。

まあこういうのは私が書いてもムダですわね。

本はねえ、ファッション誌とか見てもぜんぜんわかんないじゃないですか。なんかゴタクが多くておもしろくもないし。

とりあえずこれでいい。

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もうちょっと理詰めで行きたいタイプはこれも。

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最後はこれぐらい。

成功する男のファッションの秘訣60 9割の人が間違ったスーツを着ている