服装・身だしなみ(3)

服装・身だしなみ(1) / 服装・身だしなみ(2) の続き

服装と身だしなみについて書きたいのは実はまあそういうことというよりは、そういうものが学生様に与える印象と、我々自身に与える影響の二つだったんですが、まあ面倒になったからもうやめよう。

学生様にとっては、教員の服装はやっぱりけっこう重要だと思います。これは私の主要なお客様が女子大生だってことだけではない。男子学生様にも重要だと思う。

やっぱり我々は服装に非常に敏感なんすよ。私のように服とかってものにほとんど注意を払ってない人間でも、意識しないで服装に圧倒されたり、あるいは誰かを見くびったりしている。

ちゃんとした服を着ている人はちゃんとした人だと思うし、ちゃんとしてない人はちゃんとしてない人だと思う。そしてそれがまちがうケースっていうのはそれほどない。ちゃんとした服を着ている人がインチキなことはけっこうあるけど、ちゃんとしてない人が実はちゃんとしている場合はそれよりずっと少ない。やっぱりだらしない格好の人はなにをやってもだらしないです。私も。

教員がわから学生様を見るときだって、実はそういう判断しているじゃないですか。一時期いた腰パンずるずるの学生様とかがまじめに勉強している、なんてのはほとんどない。もちろんそういうルーズな服装をしている人々のなかにも優秀な人はいるし、よい人も多い。私もそういう人を目指している。でもそういう人々も、基本的にはあんまりきちんとしている人々じゃない。もちろん例外は多いにしても、けっきょく印象ってのは重要です。我々はそれによって動いている。

そういうきちんとしてない人が、授業で「課題レポートは形式をきちんとしてください」とか言っても、やっぱり迫力がないっすよ。きちっとしたものを求めるには自分自身がきちっとしてないとならない。私がルーズな服装をしながらきちっとしたレポートを求めたりしているのはまったくの失敗でしたし、傲慢でさえあったんじゃないかと思います。

とにかくまともな服装をしているのは学生様からディスられる可能性をちょっと下げ、信頼される可能性をちょっと上げる。ぎりぎりで生活し仕事している我々に、わざわざハンデつけてる余裕はない感じ。

もうひとつ、我々自身に与える影響ですが、ひとつはやっぱりルーズな服はルーズな気分になるってのがある。そしてもうひとつ、社会的地位の低い服装はやっぱり自分を社会的に低い身分だと思わせてしまうところがある。逆に、自分に自信のないときにはまともな服を着ることはできない。ちゃんとした服装をするには自分に自信をもたねばならない。

でもまあ服とか化粧とかそういうのは、実は自分に自信をつける手段でもあるわけです。自信は意志ではどうにもならないけど、服ぐらいは工夫すればなんとかなる。なんとか服とか整えたら、自分に自信がつくものです。

今回の騒動である女性マンガ家[1]『江古田ちゃん』の瀧浪先生。さすがだと思いました。が、挫折したイランの女性が化粧やエアロビで自信を回復した、っていう話を紹介しているのがあったのですが、あれは感心しました。実際、化粧セラピーみたいなのはあるようですね。数年前そういうの卒論で書いてくれた学生様がいたのですが、老人になっておしゃれとかできなくなって暗い生活をしている人に、お化粧しましょうっていっていろいろやると元気になるとかそういう話。我々にはそういう側面があるんだと思う。

どうしても大学教員とか研究者とかやってると自分に自信がなくなりがちなものです。学生様は話を聞いてくれないし指示通りに動いてくれない。そもそも自分は学生様に嫌われてるようだ。研究ではすごい人々がいっぱいいて、自分が書くものなんかなんの意味もないような気がする。学会や研究会でも圧倒されっぱなしで、下手するとやっつけられる。

でもそういうときにこそ、身なりぐらいぴしっとしてみたいものです。

フレッドアステア先生にShine on your shoesっていう歌があって、気分が悪いときには靴を磨こうってことらしいです。大事なことだってことがやっとわかってきました。

When you feel as low as the bottom of a well
Can’t get out of the mood
Do something to perk yourself up
Change your attitude
Give a tug to your tie
Put a crease in your pants
But if you really wanna feel fine
Give your shoes a shine

When there’s a shine on your shoes,
there’s a melody in your heart,
With a singable, happy feeling,
What a wonderful way to start to face the world every day
With a “deedle-um-dee-di-di,”
little melody that is making the world go by.

When you walk down the street with a happy-go-lucky beat,
You’ll find a lot in what I’m repeating
When there’s a shine on your shoes,
there’s a melody in your heart
What a wonderful way to start the day

いやまあ結局私はやっぱり服には興味ないし、いまさら方針変更も無理だし、やっぱりルーズな服装が好きなのでそういう感じで生きていきますが、そういう道もある、というはわかった気がするし、そういうをもっと早く意識してたもっと違った人生、ちがった教員生活、ちがった研究生活もあったかな、みたいなことは考えます。みんないろいろ試してみてください。私が言えるのはそれくらい。無念じゃ。

これは読む価値があると思うです。

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学
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References

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1『江古田ちゃん』の瀧浪先生。さすがだと思いました。

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