男性も女性の不快さを理解していないだろう

前のエントリのピンカー先生の「求めてもいない突然のセックスを見知らぬ他人とすることになるのは魅力的どころか不快なことであるという心理を、想像することができない男性の視野の狭さ」(ピンカー 下巻p.58)っていうのは重要で、私の根拠のない推測によれば、こういう不快さがまわりまわってポルノやセクハラに敏感で批判的な女性の多くのバックにあるんじゃないかと思われます。 ピンカー先生や、その解釈のもとになっ […]

性表現と表現規制(8) ポルノ批判と会田先生の答え

まあ米国での規制の法制度づくりは失敗したわけですが、その後もポルノは性差別だというマッキノンとドウォーキンのラインの議論はけっこう魅力を感じる人もいるようです。 表現そのものが性差別だとかってのに疑問を感じる人がいると思いますが、人種差別的なヘイトスピーチのこととかを考えると、ポルノも女性に対するヘイトスピーチなのだ、みたいな言われ方をしたりします。わかりにくいって言えばわかりにくいんですけどね。 […]

性表現と表現規制(7) エロチカとポルノ

キャサリン・マッキノンとアンドレア・ドウォーキンのラインの考え方では、性表現はよい性表現と悪い性表現がある、と。それを分けましょう。たんに友好的で平等で自発的で楽しいセックスを描いた「エロチカ」と、女性をものみたいに扱ったりいじめたり差別したり男性に従属させている「ポルノグラフィ」に分ける、と。 このエロチカとポルノ(グラフィ)の分け方は、従来の「猥褻なもの」とかの意味のポルノと混同しやすいのでよ […]

杉田聡先生の考えるあるべきセックスの姿

国内で売買春やポルノグラフィを猛烈に批判している人の一人に、杉田聡先生がいます。 杉田先生によれば、本来セックスは双方が「自発的な意思」によって「自主的に興奮」し、双方が「性的快楽」を味わうことができなければならない。売買春は一方だけが性的興奮や性的快楽を得るものなので不道徳だ、それはもはやセックスではなく性暴力と等しい、と言いたいようです。セックスに金銭をはさむな、そんなのはセックスではないと。 […]

ストロッセン『ポルノグラフィ防衛論』

やっと出た。翻訳ごくろうさん。3400円におさめたのも偉い。これから読もう。 重要な本なので一応宣伝しておこう。 オビに「松沢呉一発掘」とか。うーん、そうか。 ポット出版からこのタイトルだと、なんだかアレな本ではないかと思われてしまいそうだが、ちゃんとした人のちゃんとした本。これちゃんと紹介してないフェミニスト/非フェミスト学者どっちも怠慢だよな。松沢先生偉い。ポット出版をおとしめるつもりはないけ […]

中里見博先生のポルノグラフィ論 (5)

ポルノグラフィと性暴力―新たな法規制を求めて (福島大学叢書新シリーズ) posted with amazlet at 17.10.30 中里見 博 明石書店 売り上げランキング: 128,320 Amazon.co.jpで詳細を見る 残り。第11章 性的人格権の復位 中里見先生は、性的自己決定権と別のものとしての性的人格権の重要性を認めるべきだという立場にたつらしい。私にはどっちも性的な強制から […]

中里見博先生のポルノグラフィ論 (4)

セックスワーク論関係を読みまちがえたかな のコメントで、id:june_t さんからコメントいただいた。ありがとうございます。 うーん、私の読み間違いかなあ。 「性=労働」論(セックスワーク論)は売買春も労働として社会的に承認す るべきだというアイディアで、売買春では性的サービス、ポルノでは「演技」*1を提供してるのだ、とするわけだ。で、 児童労働が一般に禁止されているように子どもの性売買も当然に […]

中里見博先生のポルノグラフィ論 (3)

続き 第2章「性売買としてのポルノグラフィ」 それほど問題なさそう。現在のAVポルノ制作は売買春を含んでいる。まあ前貼りつかってたころの日活ロマンポルノも広い意味では売買春含んでたのかもしれないけど基本的には「うそんこ」の演技だったわけだが、現在では実際のオーラルセックスや本番なしのAVなんて考えらんないしね。 バクシーシやバッキーに代表される暴力ポルノAVが問題なのは、演技じゃなくてほんとに人間 […]

中里見博先生のポルノグラフィ論 (2)

最近児童ポルノの単純所持の違法化の議論あたりの影響か、「中里見博」で検索してたどりつく人が増えているような。http://d.hatena.ne.jp/kallikles/20060313/p1 にひっかかって来訪していただいているらしい。 新しい本を出してらっしゃるのでじっくり読んでみる。(前にも書いたが政治的にはまったく違う立場に立つけど、やっていること自体や立派な学者的態度は応援している。) […]

中里見博先生のポルノグラフィ論 (1)

中里見博「ポルノグラフィと法規制:ポルノの性暴力にジェンダー法学はいかに対抗すべきか」、『ジェンダー法・政策研究センター研究年報』第2号、2004 と「ポルノ被害と法規制:ポルノグラフィーをめぐる視座転換をめざして」、『ジェンダーと法』、第2号、2005。 後者は前者の短いバージョン。 米国では、1970年代末から、ポルノグラフィが消費者に与える影響についての膨大な研究が蓄積されている。その研究に […]

二瓶由美子先生のすばらしい研究

二瓶由美子「ポルノグラフィーと性犯罪~暴力的AVが性犯罪に与える影響について」『桜の聖母短期大学紀要』第28号2004 というのも見てみた。 これはもっとすばらしくて、誰がどういう調査を行なったのかがそもそも不明。 1999年12月に結成されたポルノ・買春問題研究会(Anti-Pornography-Prostitution Research Group 以下APP研究会とする)は、(略)日本にお […]

荒木菜穂さんのすばらしい研究

ポルノと性意識の実証調査というのは実はあんまり数がない。 もうちょっと若い世代の研究も見てみた。 荒木菜穂「ポルノグラフィ文化におけるホモソーシャルな構造~大学生へのアンケート調査を通して」『鶴山論叢』第5号、2005 荒木さんは発表時点で神戸大学大学院総合人間科学研究科博士課程後期課程に在籍していらっしゃるようだ。 この論文ではどういう対象にどうやって調査したのかも記されていない。 関西の2大学 […]

佐々木輝美先生のすばらしい研究

佐々木輝美「性的メディア接触が大学生の性意識に与える影響に関する研究」『国際基督教大学学報I-A 教育研究』46号2004 という文献を見る機会があった。 佐々木輝美先生は国際基督教大学准教授、メディアと暴力の専門家で、テレビでの暴力の問題などをあつかっていらっしゃるようだ。 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4326601108/qid=11413 […]