セックス経済論」タグアーカイブ

セックス経済論 (10) ちょっとだけコメント

しかし投げっぱなしだと誤解されそうなのでちょっとだけコメント。

バウマイスター & ヴォース先生たちの「セックス経済論」は、社会学でいう「社会的交換理論」の一バージョンですね。まあ経済学も含め、非常に一般的な理論というか考え方なので、名前なんかいらないくらい。バウ先生たちは、経済学者のゲイリー・ベッカー先生の The Economic Approach to Human Behavior (1976) 1 の四つの想定をひきあいに出してます。

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セックス経済論 (9) 女性のセクシュアリティの抑制

  • Baumeister, R. F., & Vohs, K. D. (2004). Sexual Economics: Sex as Female Resource for Social Exchange in Heterosexual Interactions: Personality and Social Psychology Review, 8(4), 339–363.

女性のセクシュアリティの抑制

多くの文化で女性のセクシュアリティ1が抑制されているとされます。まあ女性の性的な活動は好ましくないとか、性的な魅力をみせびらかすような服装はつつましくないとか、極端なケースでは女性の性的な快楽を削減するために性器に外科手術を施す(FGM)とか。

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セックス経済論 (8) セフレ/名誉か汚名か/女性間攻撃/結婚勾配

  • Baumeister, R. F., & Vohs, K. D. (2004). Sexual Economics: Sex as Female Resource for Social Exchange in Heterosexual Interactions: Personality and Social Psychology Review: An Official Journal of the Society for Personality and Social Psychology, Inc, 8(4), 339–363.

セックスは(男性にとっては)利得

前の「セックスに対する態度」のところが私にはいちばんおもしろかったのですが、あとは駆け足で。

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セックス経済論 (7) セックスに対する態度の性差、特にポルノと売買春

  • Baumeister, R. F., & Vohs, K. D. (2004). Sexual Economics: Sex as Female Resource for Social Exchange in Heterosexual Interactions: Personality and Social Psychology Review, 8(4), 339–363.

セックスに対する態度の性差

セックスを商品とした男女の交易、っていう観点からすると、男女の間にはセックスに対する態度の差があるはずだ。まあこれもほとんど自明というか常識なわけですが、バウ先生たちはあれやこれや態度の差をあげていきます。セックスの値段が安いと男性が得、高くなると女性が得なので、それぞれそういう態度をとっているだろう、っていうのが理論からの予測になります。んでそういう証拠はたくさんある。

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セックス経済論 (6) 性暴力/男性不足

  • Baumeister, R. F., & Vohs, K. D. (2004). Sexual Economics: Sex as Female Resource for Social Exchange in Heterosexual Interactions: Personality and Social Psychology Review: An Official Journal of the Society for Personality and Social Psychology, Inc, 8(4), 339–363.

性暴力

セックス経済論だと、セックスは財である、って考えかたなので、レイプとか痴漢とかっていうのは強盗やスリに似た犯罪ってことになってしまい、これはおそらく被害者の被害感情とかにそぐわないので不快に思う人はいると思いますね。

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セックス経済論 (5) 結婚と交際

  • Baumeister, R. F., & Vohs, K. D. (2004). Sexual Economics: Sex as Female Resource for Social Exchange in Heterosexual Interactions: Personality and Social Psychology Review: An Official Journal of the Society for Personality and Social Psychology, Inc, 8(4), 339–363.

売買春以外のお金とセックスのやりとり

もちろん売買春以外にも男女のあいだでお金とセックスのやりとりは(偽装された形で)頻繁におこなわれている。そしてここは以前の「男らしさと支配」のシリーズであつかったところそのまんまですね。

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セックス経済論 (4) 証拠とされるものを見てみよう、まず売買春

  • Baumeister, R. F., & Vohs, K. D. (2004). Sexual Economics: Sex as Female Resource for Social Exchange in Heterosexual Interactions: Personality and Social Psychology Review: An Official Journal of the Society for Personality and Social Psychology, Inc, 8(4), 339–363.

というわけで、バウマイスター&ヴォース(フォースかも)先生たちのセックス経済理論は、女はセックスという資源を売り男がそれを買う、ていうだけのごく単純な理論なんですが、こういう「理論」っていうののおもしろさっていうのは、(少なくとも素人には)その理論が「ほう、そうですかー!」とかってもんじゃないんですよね。むしろ、どういう統計や実験的事実や観察を自分たちの理論を裏づける証拠としてもちだしているかとか、どういうふうにして他の理論をやっつけに行ってるかとか、そういうのがおもしろい。あと、理論に一見合致してないように見える事実をどう説明するかとか、その理論から予測を立てて、どういう実験や調査をやればいいだろう、みたいなのも興味深い。

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セックス経済論 (3) しかし値段は簡単には決まらない

モノやサービスの値段というのはどうやって決まるかというと、高校でも習う需要と供給のバランスによる。漠然とした話ではありますが、供給が少なく需要が多い(強い)と値段は上がるし、その逆だと値段が下がる。

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セックス経済論 (1)「男性による女性の支配」とは別の考え方はどうだろう

このブログ、ここ最近「文化のセクシャル化/セクシー化」の話と、「男らしさと支配」の話を平行してつぶやいてるのですが(もうブログもツイッタも同じようなもの)、「男性が女性を支配しているのだ」っていう信念は非常に一般的ですが、他の考え方ないっすかね。私どうもこの「支配」ってやつ信じられなくて。

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