セックス経済論 (8) セフレ/名誉か汚名か/女性間攻撃/結婚勾配

  • Baumeister, R. F., & Vohs, K. D. (2004). Sexual Economics: Sex as Female Resource for Social Exchange in Heterosexual Interactions: Personality and Social Psychology Review: An Official Journal of the Society for Personality and Social Psychology, Inc, 8(4), 339–363.

セックスは(男性にとっては)利得

前の「セックスに対する態度」のところが私にはいちばんおもしろかったのですが、あとは駆け足で。

セックスは女の資源であり、男がそれを他の資源で買う形になっているので、男性があんまり手間かけずにセックスできるというのは利得(benefit)ってことになります。これは男性にとってはあまりにも自明なので言うまでもないことだと思うのですが、女性はそうは考えないわけですわ。(Sedikides, Oliver & Campbell 1994)

何回かツイッタあたりに書いてるんですが、大学で働きはじめたときに、ゼミかなんかでそういう系統の話になってるときに、(性体験の数が増える、特にワンチャンみたいなのをすると)「男は増えるけど女はなんかが減る!」という発言があり、非常に強く印象に残ったのですが、まあそういうことですよね。おもしろいのは、女性はセックスを利得だとは思ってないが、 コストだとも思ってない とか。バウ先生たちは、女性は特定の好ましい相手とならセックスは好きだけど、それは(望めば)比較的簡単に手に入るので利得だともコストだとも思ってないのだろう、とかそういう推測をしています。これはけっこうおもしろい指摘なので、いろんなことを考えるときに頭の片隅に置いとく必要があるかもしれない。「なんで男どもはそんなにセックスセックスって言ってるんだろう?」とか考えている可能性があり、これはもしかしたら将来書くかもしれないシリーズでふりかえることになるかもしれない(なんのシリーズかはまた)。

男性にとっては仲のよい友達とのセックス(いわゆるa friend with benefit、日本でいういわゆるセフレ)はたいへんありがたいものらしいですが、女性は友達とセックスするのは利得だとは思わない。理由はもう自明ですね。

片思いの話なんですが、片思いされてもつきあう気がない場合はそれをあんまりよいことだと思わないのがふつうですが、男性は「つきあう」気はなくとも告られたらとりあえずセックスする人がいるわけですね。女性はそういうのはない。男性は相手の片思いにつけこんで搾取することがあるけど、女性はないのです。それは単に、女性にとって男とセックスすることそのものにはほとんど価値がないからです。はははは。わかりましたか?

性的経験の多さは誇りか汚名か

まあこれはもういいっしょ。一般に男には名誉であり、女にとっては不名誉です。調査たくさんあります。

女性どうしの攻撃

女性どうしも、優秀な男性をお客として奪いあっている面があるので、競争があります。主に性的な魅力を競うことになり、美容その他努力して性的魅了を向上させて競うわけですが、ライバルを蹴落す努力も大事です。

女性のセックスに価値があるといっても、多くの男性は一般にコストをかけたパートナーが他ともセックスするのを好みません。そこで、ライバルになりそうな女性が性的にルーズであるとか、多くの人に安売りしているとか、そういう噂を流すことによって攻撃します。安売りするひとはローカル市場の相場を落とすのでその意味でも許せませんしね。

社会的地位

だいたいのところ、男女のカップルはなんらかの点でだいたいのところ「つりあっている」ことが広く知られています。学歴・知性・教養とかルックスとか、似たような感じの人々がカップルになります。月とスッポン、じゃなくて割れ鍋に綴じ蓋ってやつですね。

ただ、微妙に「結婚勾配」ってやつがあることが知られていて、これは結婚カップルの男性の方が年齢や社会的地位や学歴や収入その他でちょっと上にあるのが一般的で、これは社会において全体として男性の方が優位な立場にあるからそうなるのだという解釈もあるんですけど、これはあやしい。男女はだいたい同じくらいの数がいるので、もし社会的地位のジェンダー差が原因であるなら、「あぶれる」男女は理想的にはいなくなるのですが、そうなっていない。実際には高学歴高収入女性と低学歴低収入男性が余るというかたちになっています。まあネットではよく論じられてることですよね。

これは結婚だけじゃなくて、カジュアルセックスとかでも見られる現象で、ロックバンドのグルーピー(追っかけ)の人たちとは、自分よりはるかにお金もってるジミーペイジとかロバートプラントさんとかセックスして短期的におつきあいしたりするのですが、この逆のパターンはあんまり見られないみたいです。たしかにマドンナさんやガガさんにグルーピー♂(グルーパー?ブルーポー?)とかと遊んでるって思えないですね。

テニス選手のアンナ・クルニコワさんは追っかけがたくさんいたらしいですが「私はチョーおたかいレストランのメニューみたいなものなの!あんたたちは見てもいいけど、とても払えないでしょ?」(I’m like an expensive menu. You can look at it, but you can’t afford it!)って言ったってんで有名らしいです。ひどいですね。ロバートプラントやジミーペイジ先生はそんなこと言いませんでしたよ!残り読むのがつらくなりした。

あと省略。

【シリーズ】

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