「性暴力の原因は性欲ではなく支配欲」は単純すぎてよくない考え方です

一部のフェミニスト学者先生たちが主張する「性暴力の原因は性欲ではなく支配欲」は単純すぎてあまりよくない考え方です。過去記事から一部だけ抜きだしました。 → セックスの哲学

「レイプ神話」での性的動機 (11) おまけ: 「定説」とミル先生のお説教

私はフェミニズム思想みたいなのに魅力も感じれば反発も感じていて、まあだらだら読んだり駄文書いたりしているわけですが、今回みたいに「性欲では支配欲」みたいなフェミニスト的スローガンが「定説です」という形でネットや論文で出回るのを見るとき、いつもミル先生のことが思い浮かぶのです。まあいつもミル先生の話になっちゃうわね。いつも書いてることです。 ミル先生は『自由論』で言論の理由が必要な理由として、(1) […]

「レイプ神話」での性的動機 (10) おまけ:勝部元気先生の「性暴力欲」

勝部元気先生という先生がいて、いろいろネット上で物議を引き起こしているようです 1)このあと余計で失礼なこと書いてました。すみませんすみません。 。今回はレイプと性欲の関係ということで、このシリーズのいきがかり上コメントしないとしょうがないですね。 この記事。「高畑容疑者が抑制できなかったのは「性欲」ではなく「性暴力欲」です」 勝部先生は性欲と性暴力欲というまったく別の欲求があって、性犯罪につなが […]

「レイプ神話」での性的動機 (9) 性欲説と支配欲説、どっちが役に立つ?

もうあんまり資料めくる気がなくなっているのですが、まあレイプの「動機」(原因というよりは動機)は性欲って考えるのが実証的ではあるようです。でもここで思弁的に、「レイプの主な動機性欲」って考えるのと、「支配欲だ」って考えるのと、どっちが性犯罪・性暴力を対策するのに役に立つかって考えてみたいですね。これは私の単なる思弁なので、全然アカデミックじゃないし(いつもアカデミックじゃないけど)、ほとんど根拠が […]

「レイプ神話」での性的動機 (8) 支配欲説ふたたび

あ、そうそう、「レイプ神話」については杉田聡先生のこの本がある。 レイプの政治学 posted with amazlet at 17.12.30 杉田 聡 明石書店 売り上げランキング: 1,175,749 Amazon.co.jpで詳細を見る ちょっとクセがあって、私とはいろいろ見方がちがう先生だけど、こういう文献調査させるとかなりの方です。ちゃんとした哲学者。えらい。書籍になった一部は、 ht […]

「レイプ神話」での性的動機 (7) だらだら

んでまあ、もうちょっとコメントしておくと、実際のところは「レイプとセックスは無関係」みたいな言い方をする人はあんまりいないんですよね。レイプとセックスは関係があるのはまあ主流派フェミニストの人も認めるはずですわ。我々のなかの一部の人は社会のルールとか、他人の苦しみ悲しみ迷惑なんかをあんまり考えない。そういう人々は、この相手とセックスしてみたいとなれば、相手の同意とか社会のルールとかを無視してそうし […]

「レイプ神話」での性的動機 (6) レイプ神話批判の研究への影響

というわけでうまくまとめられなかったので、ぜひ紹介した本読んでください。とにかくまず『人はなぜレイプするのか』がいいと思う。まだ古びてない。 んで、「「レイプ神話」自体がフェミニストの神話だ」みたいな意見も一部にあって、これが微妙なんすよね。「支配欲」は神話っぽい気がするし、他にもいくつか気になるところがある。 神奈川県警の紹介。 http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/p […]

「レイプ神話」での性的動機 (5) 21世紀ではどうなってるの?

「レイプの動機は性欲ではなく支配欲」っていうのはちょっとやばくて、これ自体は新しい神話とでも呼んだ方がいいかもしれない。いろいろ悪影響があるので注意してください。 でもそこらへん以外の点では、マッケラー先生以来フェミニストの皆さんが指摘している「レイプ神話」の多くが実際に神話であるってのはいまだに大事なことで、神話は撲滅したいものです。ここらへん、フェミニストの支配理論以降、進化心理学なんかの影響 […]

「レイプ神話」での性的動機 (4) ブラウンミラー先生の支配欲説と反論

ともあれ、マッケラー先生の『強姦』はアミル先生の研究を参照して議論が進められていて、内容的には穏健っていうか今読んでもそんな違和感はないです 1)実は、アミル先生のもマッケラー先生のも、白人と黒人で文化を論じて分けていて、それはものすごく違和感があるんだけど。 。くりかえしますがマッケラー先生の主張は「レイプは性欲が原因ではない」とは主張しておらず、性欲はもちろんかかわっているけれども他にも様々な […]

「レイプ神話」での性的動機 (3) 原因と動機、アミル先生の行動主義

マッケラー先生は、レイプの「原因」causeって言葉を使ってます。この「原因」ってのは哲学的なネタを豊富に含んでいておもしろい概念ですよね。 原因ってのは、なにかの出来事を引き起す因果的なメカニズムを指すと私は理解しています。実は一つの出来事について、原因とされるものはたいてい複数ある。たとえば家が火事になった原因というのを考えると、寝タバコとか放火とかそういうのが思いうかぶわけで、消防署や警察は […]

「レイプ神話」での性的動機 (2) レイプ犯は飢えてない

まあ今回こんなん書いてるときにちょうど報道が大きめの事件がったので、マッケラー(マックウェラー)先生読みなおしたんですが、彼女の本では、「レイプの原因は性欲ではない」とは主張されてないんですね。 神話とされているのは、神話が「性的飢餓が強姦の原因である」で、事実は「性的飢餓はレイプの多くの原因の一つでしかない」なんすわ(「性的飢餓」hungerは翻訳では「性的欲求不満」と訳されている)。むしろ、性 […]

「レイプ神話」での性的動機 (1) レイプ神話って何

重大な性犯罪が起きると、きまってSNSには「レイプが性欲によるものだというのは神話」「レイプ神話はいまだに社会にはびこっている」「レイプは性欲が原因ではない、支配欲が原因」みたいな書き込みがなされて広まるっていう傾向があるように思いますが、これはちょっとどうかという感じです。 この「レイプ神話」については最近ちょっと文章書いたので、その一部を貼っておきます。 1960年代後半からのいわゆる第二派フ […]

ブックガイド:性暴力に関するフェミニスト文献古典

某授業用ブックガイド。作成中。 とりあえず若い女性・男性には以下の2冊読んでおいてほしい。 デートレイプってなに?―知りあいからの性的暴力 (10代のセルフケア) posted with amazlet at 16.07.19 アンドレア パロット 大月書店 売り上げランキング: 698,085 Amazon.co.jpで詳細を見る 女子のための「性犯罪」講義―その現実と法律知識 (Social […]

男性も女性の不快さを理解していないだろう

前のエントリのピンカー先生の「求めてもいない突然のセックスを見知らぬ他人とすることになるのは魅力的どころか不快なことであるという心理を、想像することができない男性の視野の狭さ」(ピンカー 下巻p.58)っていうのは重要で、私の根拠のない推測によれば、こういう不快さがまわりまわってポルノやセクハラに敏感で批判的な女性の多くのバックにあるんじゃないかと思われます。 ピンカー先生や、その解釈のもとになっ […]

女性には男性の性欲がわかりにくいのだろう

前エントリの続き。 スティーブン・ピンカー先生の『暴力の人類史』は非常におもしろいので、あらゆる人が読むに値すると思います。暴力の歴史と心理学が延々書いてあってとても楽しい(暴力が楽しいのではなく、各分野の最新の知見が得られる)。最初の方の拷問の話は読むと冷や汗をかくので苦手な人は飛ばしてもいいと思う。そこ飛ばせばあとはそんなひどいのはない。 当然殺人だけじゃなく人種差別、児童虐待、ゲイバッシング […]

牧野雅子先生の『刑事司法とジェンダー』

昼間ちょっと某氏と性犯罪対策みたいなのについて話をする機会があり、牧野雅子先生の『刑事司法とジェンダー』読みなおしたり。この本は非常に興味深い本で、元警察官で、警察学校の同期が連続強姦で逮捕されたという経験をもつ方が書いてる。警察内部の取調べマニュアルとか、その連続強姦魔の書簡や聞き取りなんかから構成されていて非常に読みごたえがある。性犯罪とか刑事司法とかそういうのに関心ある人は必読だと思いますね […]