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渡辺貞夫と福村博

渡辺貞夫先生は中学生のころに流行ったんですよね。今でも好きなのはこのStraight to the Top。

バックはピアノがデイブグルーシンなのはわかってたけど、他はマーカスミラー、エリックゲイル、リチャードティーとかですね。ベースいいと思ってたんですが、マーカスの音だとは気づかなかったなあ。
この貞夫先生はバックはいかにもヒュージョンなんですがあちこちII-Vだらけでバップフレーズ満載な感じがジャズメンだぜ!な感じで気持ちいいです。
渡辺先生バップ好きなんですよね。Confirmationをグレートジャズトリオとやってるやつ。あら、なくなっちゃったから最近のやつで。

前にも紹介したと思うけど、貞夫先生がスーパーバイズしてトロンボーンの福村博って人のアルバム作ってて、これが最高なんすわ。

こっちはベースはチャック・レイニー先生、ドラムはハーヴィー・メイソン先生ですばらしいです。

 

ジャズ入門(23) ジャズのブルースはブルースのブルースとは違うよ

エブリデイ毎日私はブルースをもっています。

毎日エブリデイブルースをもっています。
もし私がなんか心配しているように見えたら、実はそれは貴方をうしないたくないからなのです。
というわけでブルースですな。形式的にはAABって形になってて、非常に単純ですがすばらしく効果的な形式でね。たった12小節に起承転結が入っておりまして、なんどでもくりかえせます。コードも普通は3つぐらいしか使わない。
| Bb7 | Bb7 | Bb7 | Bb7 |
| Eb7 | Eb7 | Bb7 | Bb7 |
| F7   | Eb7 | Bb7 | Bb7 |
こんな感じ。5小節目のところと、8小節目から9小節目のところがV-IVってなってて西洋音楽とは違った快を感じるようになってますなあ。
しかしこれではジャズにならんのです。ジャズにするには、前に書いたようにリズムを2、3種類いっしょに鳴らして、さらにコード進行を複雑にする必要があります。
チャーリーパーカー先生のNow’s the Timeっていう有名な曲だとこんな感じ。

この曲はパーカーの曲の中では異常に例外的に簡単なメロディーというかリフでできてて、あんまりジャズな曲ではありませんが、コード進行はこんな感じになってるはずです。

| F7 | Bb7 | F7 | Cm7 F7 |
| Bb7 | Bdim7 | F7 | (Am7) D7 |
| Gm7 | C7 | F7 D7 | Gm7 C7 |

Cool Struttin’ とかも同じ進行ですね。

ちょっと違いますがRed GarlandのやってるエリントンのC Jam Bluesだとこんな感じ。

| C | F7 | C | Gm7 C7 |
| F7 | F#dim7 | C | Em7 A7 |
| Dm7 | G7 | C A7 | Dm7 G7 |
実は上の曲のを移調しただけなんです。ははは。

でまあ、こういうジャズブルースのどこが聞きどころなのかというと、B.B.キング先生なんかのブルースにないところ、つまり細かく分けたII-VのところCm7-F7とかGm7-C7とかのところが聞きどころなんですね。このツーファイブに入れかえることによってジャズになっておるわけです。II-V入れるために、ブルースマンのブルースで快感だった9〜10小節目のV-IVの進行がII-Vに置き換えられてしまってますが、それはそれで気持ちがよい、こっちの方が頭よさそうだ、というわけです。あと私がジャズ聞きはじめたころは、11〜12小節目の和音が移動して次のコーラスに入るところが好きでしたね。こういう部分をターンアラウンドっていってジャズミュージシャンがいろいろ凝ったりするところです。独特の気持ちよさがありますよね。これもII-Vがもろに出てくるところで、けっきょくこれがジャズ(バップ〜ハードバップ)の音なんですわ。

まあこういうの面倒だという人は、BBキング先生のを大音量にてギターを歪ませて弾いてしまうという手もあります。それはそれで気持ちいい。

私は煙草をやめることができせん。

レモンをしぼりますしぼります。汁がしたたるまでしぼるのです。

こういうベースライン曲のが好きでねー。まあこの曲はあんまり有名じゃないけど、ツェッペリンの最高の演奏の一つだと思いますね。ドラム、ベース、ギター、ボーカルが勝手にやりつつ一体となってインタラクションしている。私はギター聞かないでベース聞いてますね。ジョンポールジョーンズ先生は偉いのです。ベースだけでご飯3杯ぐらい食べられますね。モータウンあたりのベースパターンから来てるんだろうし、曲の雰囲気やフォーマットはジミヘンやクリーム(エリッククラプトンがいたバンド)のパクリなんですが、まあとにかくすばらしい。

まあロックブルースは気持ちがいいですね。いい勝負、というよりロックの勝ちでしょう。あと私けっきょくドブルースはよくわからんです。ははは。

ジャズ入門(21) ジャズ(バップ)というのは結局ツーファイブなのです

ジャズっぽい響きというのはなんなのかといえば、それはけっきょく5度進行の響き、II-V(ツーファイブ)あのだ、ということになります。

5度進行というのはコードがD→Gのようにピアノの鍵盤4つ分(これが5度)動く進行。II-VってのはDm7 – G7 のようにマイナー7thとドミナント7thが5度進行でつながってる進行です。II-Vは5度進行の一種。
まあとにかくあるキー(調性)のII度とV度、キーがC(ハ長調)ならDm7とG7のつながりがジャズなのです。

All the things you areという曲があるんですが、コード進行はジャズメンがやるときはこんな感じ。(EbとかCとか書いてあるのはたいていメジャー7th。EbM7とかCM7。)

| Fm7 | Bbm7 | Eb7 | Ab | Db | G7 | C | C |
| Cm7 | Fm7 | Bb7 | Eb | Ab | D7 | G |
| Am7 | D7 | G | G | F#m7 | B7 |  E | C7 |
| Fm7 | Bbm7 | Eb7 |  Ab | Db | Dbm7 | Cm7 | Bdim7 |
| Bbm7 | Eb7 | Ab | Ab | (G7 / C7) |

Bbm7-Eb7とか、Fm7-Eb7とか、Am7-D7とか、F#m7-B7とかがII-V。それ以外にも5度進行の部分はEb7-Ab、Ab-Db、G7-C、Cm7-Fm7、Eb-Ab、D7-G、B7-E、C7-Fm7、Fm7-Bbm7とか山盛り。この曲はII-Vを含めた5度進行ばっかりでできてるような曲なんですね。

そしてビバップやハードバップという様式は、このII-Vをどう弾くかということだけを考えていた音楽といってもよいくらいのものです。

音楽というのはどんな猛烈な音でも延々同じことをやっていると飽きてしまう。必ず緊張と弛緩、があるんですね。II-Vとか5度進行というのはその緊張による運動そのものなんすわ。

このAll the things you areという曲を聞くと、そういう緊張と弛緩のくりかえしがわかるはず。基本的にG7とかD7とかEb7とか7thコードと呼ばれるところで緊張して、その次で解放される感じです。

また、II-Vってのはその運動によって調性(ハ長調とかト長調とか)をきっちりキメる働きがあるのです。この曲はキーがどんどん変わる曲で、最初はEb、次はC、次はEb、そしてG、E、もとにもどってEbとぐるぐるまわってそれがまた魅力です。ふつうに聞きながしていると「いい曲だなあ」ぐらですが、集中して聞いてると、あっちっちつれてかれて目がまわる感じですね。ここらへんがビバップの人々に好まれて、今だにジャズをやるとこの曲でアドリブとれればまあ初級脱出ぐらいのはずです。

(これ書いてからジャズブルースを先に書いた方がよかったことに気づきましたが、まあ次に)

では鑑賞です。まずはシナトラ先生で曲をおぼえましょう。

ジャズメンがやるとこんな感じ。リーコニッツ先生。ピアノいないけどハーモニーが聞こえてくる感じっしょ(実はうしろでうっすら吹いてるけど)。もうリーコニッツ先生の切れ味は猛烈なものがあるです。一瞬を生きてる、っていう感じ。

最高はやっぱりパーカー先生になります。メロディー1回も吹いてないけど、なんかメロディー吹くと作曲のジェロームカーンとかにお金払わなならないから頭のメロディー抜きにしたとか。イントロが有名で、このイントロはみんなやります。

 


まああとはいろいろ探してみてください。渡辺貞夫先生のがよかった。

All the things you areはメジャー(長調)の曲だけど、マイナーの曲だとどうなるのかというと、マイナーの曲はあんまりII-Vがはっきりしないのです。でもV-Imという緊張と弛緩ははっきりしている。っていうかむしろマイナーの方がはっきりわかるかもしれません。

一曲聞いてみましょう。クレオパトラの夢っていうやつで、2小節ごとに緊張–弛緩、緊張–弛緩ってのがくりかえされているのがわかるはずです。

 

 

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ジャズ入門(12) モードジャズ

皆が速くて激しい音楽やってるとき、そういう演奏できない人間はどうするか。ってのがまたしてもマイルスデイヴィス先生を襲った問題だった、って理解していいんちゃうかな。

んで、ギルエヴァンス先生とかインテリ白人に相談するのもいっしょ。今回はピアノのビルエヴァンス先生にも協力してもらって、ぜんぜん違う音楽をはじめる。有名なKind of Blueですわね。

アイディアは、パーカーやコルトレーンみたいに速くてコードチェンジたくさんするのがバップの考え方だけど、ついていけないからやめましょう。1個や2個のコードでいいではないですか、と。もうDm7の上でレミファソラシドレだけで演奏するってのでいいじゃん。まあそれだけだともたないから一部Ebm7もつかいましょう。AABA形式にして、BのところでEm7でミbファソラbシbドレbミbで演奏します。スケール2個で1曲作っちゃいましょう、というわけです。

こういうあえて素材を限定してしまおうというアイディアはクラシック作曲家のドビュッシーやサティー(どっちも20世紀初頭ぐらいに活躍)あたりからあって、それを50年後にジャズにもちこんだわけですわね。雰囲気も似た感じになる。

まあとにかくSo What聞きましょう。

もう1曲、Blue in Green。これはモードではないですが、バップとはぜんぜん違う方法論で作られてます。マイルス作曲ってクレジットされてるけど実はビルエヴァンス先生の曲らしい。コード進行もおもしろいしアドリブ部分での構成もおもしろくて、マイルスは32小節で1コーラス、コルトレーンは16小節、エヴァンスは8小節になってんだっけかな。だんだんコード進行が密になる、みたいな。まあそういういろいろヒネリを入れて、「もうハードバップやめようぜ(オレ吹けないし)」みたいな。

まあ文句なしの名盤。超名盤。これくらいの名盤はないってくらいの名盤。ちゃんとクレジットしてもらえたらギルエヴァンス先生あんなに貧乏する必要なかったのに。マイルスも実は悪いやつなんだ。

So Whatとかのアイディアの一つはビルエヴァンス先生のこのPeace Pieceって曲。さらにそのもとはレナード・バーンスタイン先生のSome Other Timeだったかな。

おそらくこの演奏のアイディアになったサティーあたりも1曲聞いてみてください。こっちはジムノペディ。

こっちはグノシェンヌって曲。スケールは違うけど一貫して同じような和音の上で一つのスケールの上で動いてるだけ。おそらくここらへんからアイディアとってきてるはず。

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高橋アキ先生のサティすごくいいから買いましょう。後悔しないはず。

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ジャズ入門(11) バップ/ハードバップのどんづまり

ハードバップは歌心を大事にする、とはいえけっきょくやっぱり速く複雑に、っていう欲求は常にあるわけっす。とにかく黒人の人々は競争的なのね。ラップとかでもその場で思いついたことラップして罵り合ったりするゲームがあるじゃないっすか。とにかく黒人男性は敵対して競いあう。まあ黒人だけじゃあくて男ってのはそういうもんなんだけど。

んでいちじき遅くなったハードバップもまた速く複雑になってくんすよ。

これはロリンズとコルトレーンのV.S.。まあでも燃えます。

ハンク・モブレー、ズートシムズ、アル・コーン、そしてコルトレーンの4人のバトルロワイヤル。これは上のほどよくない。

で、50年代のチャンピオンはやっぱりマイルスバンドにいたコルトレーン先生ということになります。この2曲はコード進行とか超難曲で、ふつうの人は演奏できない。それをこのスピードでやる。きっとパーカー先生も10年後にタイムスリップしたら、しばらく演奏できなかったんちゃうかな。

おかしな曲でしょ?調性がどんどん変化していってぐるぐるしてて目がまわる感じ。そんでこのスピードだからねえ。ビバップとかってのは世界で一番速い音楽の一つなんだと思います。200〜300BPMなんてのもあるし。1分間に300拍ですよ。
これはビバップと同じどんづまりというか極北になって、こっからどうすっかなあ、みたいなことをみんな考えたはずですね。とにかく音楽とかってのは変化がないと飽きちゃう。新しいことをやりたいのはアーティストの本能だし。
手下のコルトレーン先生がこんなすごいのにマイルス先生はいぜんとして楽器うまくならない。っていうかなんかあの人は速いフレーズとかそもそも聞きとれなかったらしい。私もわかります。あんまり速いとなにやってるかわかんないのよね。上のコルトレーンの1年前だけどこんなのんびりしたことをやっている。

これでは勝負にならんですなあ。どうするマイルス先生!なんちゃって。

ビバップの和声的側面(4) コードの装飾の不如意実例

https://yonosuke1965.blogspot.jp/2012/12/3_1000.html

でジャズミュージシャンは勝手にコードを変えて演奏するのだ、そしてそれは打ち合わせないのでぶつかったりするけどかまわん、という話をしましたが、やっぱり実例がないとわからんと思うので、不肖私が不如意ながらも実例を見せたいと思います。

たとえばまあ、
| C | Dm7 / G7 | C | Dm7 | G7 |という譜面があったとします。

全員そのまんま演奏するとこういう感じになります。

バップ以降のプレイヤーは、これだとなんかたるいというかつまんないと思うわけです。もっと変化させたい。
そこで、ピアニストは | C / A7 | Dm7 / G7 | と弾きたいと考えてこんな感じになります。

ちょっとだけカラフルになりました。ベースにもソロにもなにも相談してないですけど特に違和感はないです。実はぶつかってんですけど。

ベースはそれを聞いて、んじゃ俺もA7弾くわー、っていって弾きます。A7かAm7かわからないけど。
ベースの人はそれにも飽きて、| C A7 | Dm7 Db7 |と弾くことにする。いわゆる「裏コード」とか「裏に行く」とか言われます。

こんでも別に問題はない、と。適当なんすよ。気分によって弾きわけたりするんちゃうかな。
ピアニストはもうちょっとカラフルにしたいので、前に紹介した「上から来る」って技を使います。これ私できないんですがなんとか練習しました。

んで、ソリストもベースやピアノの様子を聞いてちょっと考えて、 うしろは| C / A7 | Dm7 G7 G7alt | と弾くことにした、と。

まあこんな感じなわけです。実際にのプレイヤーたちはこういうのを相手がなにをやっているのかをその場で耳で判断してそれに合うようにするわけです。ピアノからしかけるときもあればソリストにピアニストがあわせることもあるし、まあそういうんでジャズは会話だと言われるわけです。耳と頭がよくないとできないので私にはできませんが、そういう微妙なやりときを楽しめるようになるとジャズがどんどんおもしろくなってくるわけす。「あ、当たってる」とか「おーぴったり」とか。
実際、ライブハウスのジャムセッションとかに行くと、音が当ったときは顔を見合わせたりしますね。特にピアニストの人は、解釈が分かれやすい分では「このひとどうするんだろう?」みたいな顔してソリストを見てます。そういうのもジャズのおもしろさの一つです。

ジャズ入門(7) クールジャズ

まあジャズ批評家っていうのはあんまり信用できなくて、よくないCDとかもよいっていってすすめたりするわけです。

ビバップの名盤と呼ばれてるパーカー&ガレスピーとかどうなんすかね。歴史的には意義があるんだけど、音楽的にどうなんかな。

私にはもうアルトとペットが早口で怒鳴り合ってるように聞えてそんな好きじゃない。まあとにかく競争してるんですわ。すごいスピードで。

で、まあこういうのしんどいし、音楽ってそんな大声でやるもんでもないだろう、みたいな人々が出てくるのは当然のことであります。

マイルスデイヴィス先生は1947年ぐらいからパーカーのバンドに2年ぐらいいて、前に紹介したダイアルレコードの名盤の隠れプロデューサーみたいな役目を果たしていた。同じ傾向のガレスピーとだとこういううるさい感じになるけど、パーカーとマイルスだと対象的でいい感じなんすよね。

パーカーがマイルスの音楽性を好きだったからバンドに入れてたのかどうかはわからない。っていうかパーカー先生は人格破綻者だったので自分が好きなこと吹いてればあとはどうでもよかったんちゃうかな。マイルス先生はいいとこのボンボンなので仕送りがあってアパート借りてたので、そこに転がりこんでいろいろパシリとして使うのに便利だからマイルス使ってたんだろう。まあとにかくおそらくパーカー先生は誰も自分と同じ人間だと思ってない。サイコパス。

マイルス先生はいろいろ気をつかったり音楽的な全体のことを考える人なので、アレンジ考えたり、(彼が無能だとみなしていた)ピアノのデューク・ジョーダンを首にしようとしたりしてた。

マイルス先生はそんなアドリブとかうまくない。ダイアル盤のテイクとか聞いても、どのテイクも同じような演奏していて、家でいろいろ考えてきてるのがわかる。パーカーは1回ごとにぜんぜん違ってたり。そういうでもコンプレックス感じさせられてつらい。そんな毎回違うことやらなきゃならんもんだろうか?

で、さすがにパーカー先生が金とか女とかいろいろ汚いのでいやんになって飛びだしたはいいものの、ああいう演奏はできない。んじゃどうするか、ってのがクールジャズ。ギルエヴァンスとかリーコニッツとかジェリーマリガンとかインテリ白人といっしょにインテリなことをする。基本的にマイルスはインテリが好きなんですわ。白人インテリを自分勝手に使うと自尊心が高まる。んで、「きっちりアレンジしてるよ」ってことになればアドリブそんな新しいことしなくていいし。

んで、テクニックとかスピードとかじゃなくてアレンジでせまる。無理して高い音とかピロピロとか出さなくても音楽はできるよ、ってな感じで、私はBirth of Cool好きですね。愛聴してます。

まあパーカーが死ぬまでまわりのミュージシャンはパーカーが怖くてしょうがなかった。もう同じステージに立ったら一発でやっつけられるのわかってんだもん。マイルスは違うスタイルだったからいっしょにやれた。パーカーが死んだ53年の次の年あたりからジャズが栄えるのは偶然ではなく、あれと同じことをしなくてもいいんだ、っていう呪縛が解けたってことだって思っていいと思う。

名盤。

Birth of the Cool
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ジャズ入門(6) パーカー先生はすばらしいのだ

まあパーカーは録音が改善される前に死んでしまっているので、それほど聞くべきものはないんですわ。前のエントリで紹介した「ダイアル」レコードのやつとサヴォイのやつ、Now the TimeってのとSwedish Snapsってやつぐらい。

これだけはぜひライブラリに加えてほしいってのが Charlie Parker with Strings。これはすばらしい。愛聴盤です。

聞きどころはやっぱりスピード。なめらかさ。歌心。そして突然のピロピロ。「バード」って呼ばれてた理由がわかります。オケの編曲もけっこういいんだ。

長生きしたら音楽の歴史が変わってただろうにね。なんか30才近くなってから本気で作曲勉強したいとかでヴァレーズに習おうとしたとか。薬とか駄目な生活態度はいかんです。
Charlie Parker With Strings: The Master Takes
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ジャズ入門(5) ビバップはスピード勝負

んでまあまた鑑賞に戻りますが、そういうことを考えてミュージシャンはいろいろやっているのです。考えてると時間がかかるわけですが、それをどう時間かけずに速く弾くか、ってのを競ってるわけですなあ。スピードキングはもちろんパーカー先生。

 

前のエントリでアートブレイキーの54年のを聞いてもらいましたが、これは1946。トランペットはガレスピー、のはず。あれ、マイルスに聞こえるなあ。まあ調べます。マイルスみたいっすね。テーマのあとに、バンプ(くりかえし)があって、そのあとのパーカーのブレイク(大見得)が聞きどころ。ピロピロピロピロー。

これは前の和声の話でやったコードの分解みたいなのをやってるんですな。もっと有名なのがあるけどな。youtubeにあるかな。

お、あるある。これはすごいよ。どっかで失敗した未完成のトラックみたいだけど、パーカー先生のピロピロがすごすぎるのでそれだけで売られてるという。

Ornithologyって曲も入ってるしよいですね。アルト、トランペット、テナーの3人が腕を競っております。とにかくどれだけ速く弾くかが勝負。聞く方も音の粒々に集中してききたいです。

まあ音あんまりよくないからあれなんですが、これと比べると、54年のブレイキーのはたるいというか勢いは感じるけど繊細さやスピードの点で劣ってる。あれのルー・ドナルドソン先生ももちろんこのパーカーの演奏は何十回も聞いて知ってるわけですが、こうはできないので悔しい思いをしているわけです。この曲はこのブレイクの部分でなにをやるのか、っていうのが聞きどころになる。まあパーカーと勝負しようって人はいないわけで、どうやってこの演奏を思いうかべながらあれするか、みたいな。

実は55年ぐらいからのハードバップっていうのは、パーカーとかのこういう高度な技術と知識と感覚にささえられたビバップはたいへんすぎるので、もっと楽しくやろうじゃないか、みたいな運動だったんす。そんな一生懸命やらなくたって楽しく美しい音楽はできるよ、みたいな。ちょっと志が低い感じもするけど、まあパーカーとは勝負できない。

というわけでパーカーのような純粋ビバップという様式は45年ぐらいから50年ぐらいまででおしまい。誰もそのスピードに耐えられなかったんすわ。精神は残るわけですけどね。

(まあここだけの話、どう考えてもこの40年代後半から50年代前半の超スピードの音楽は薬物の影響を感じるんですよ。戦中〜戦後のドサクサといえばあの頭がすっきりして興奮するという薬物が思いうかびますよね。日本でもあれしたあの薬。いまでもあれしているあの薬。ジャズミュージシャン、特にパーカーというとヘロインって話になるわけですが、こういうタイプの音楽はダウン系の薬物やってたらできないんじゃないのかな。他のミュージシャンにもそういう影響を感じることがあるです。ハンプトンホーズのAll Night Sessionっていう有名盤があるんですが、あれもおかしい。やっぱりあれキメてたんでしょう。やっちゃだめですよ!)

 

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ビバップの和声的側面(3) コードの修飾

んじゃ具体的にどういうことをしているのか。実はもうなにやってもかまわんのですが、いくつかよく使われる手段がある。

実は前に「コード進行を複雑にする」とかってのがそのまんまなんすよ。

置き換え

G7とかを勝手にDm7 – G7 にしてよい。
| C | C | G7 | G7 | と指定されているのを、| C | C |Dm7 | G7 |とかにしてかまわんし、Dm7の前にA7とか置いて | C | A7 | Dm7 | G7 |と考えてよい。最初のと最後のは機能的に同じなんす。逆に言うと | C | A7 | Dm7 | G7 |と書いてあるのを面倒だから| C |  C | G7 | G7 |だ、と考えてもよい。まあビバップの人々は細かくするのが好きなのであんまりやりませんが、テンポ速くなってくると面倒なのでおまえらまとめてぜんぶG7とみなします、とかってのもありらしい。

隣に行って帰る

| C | C | G7 | G7 |ってのを | C | C | G7 Ab7 | G7 |と考えてよい。半音お隣にいついってもかまいません。よく使われる。

いったん上に寄ってから来てもよい

 | C | A7 | Dm7 | G7 |というのを | C | A7 | Dm7 | Ab7 G7 |と考えてよい。

5度でつないだら前にいろいろ置いてよい

まあ条件はちょっとあるんですが、
| C | C | Dm7 | G7 |ってあるのの前に5度上からせまってきて、| C B7 | Em7  A7 | Dm7 | G7 |とやってもよい。

通りすがりにいろいろやってよい

スケールの上にあるもんだったら適当に拾って弾いてよい。
| C | C | Dm7 | G7|とあるのを、Cメジャースケールの上で | C Dm7 | Em7 A7 | Dm7 | G7 |とやってよい。半音階でもよくて、| C | Dm7 | Em7 | Dm7| とあるのを | C C#dim7 | Dm7 D#dim7 | Em7 Ebm7 | Dm7 | とかやってよい。

7thコードを3全音(増4度、フラッテッド5th)離れた7thにしてもよい

| C | Dm7 G7 | ってのを | C | Dm7 Db7 | ってやっていい。
まあこんなふうにいろいろあって、これをピアノもベースもホーンも勝手にやってよい。ぶつかったらぶつかったで考える、そうな。その場で合うように調整したり。まあ演奏しているうちにだんだん「どうすんですか」「俺はこうしたい」「そうですか、んじゃそうしますわ」みたいな折り合いがついていくという話。あんまりぶつかりつづけると喧嘩になるらしいですけどね。
んー、やっぱり実例がないとあれかな。でもうまく弾けないからな。ゆっくりだったらいけるか。

ビバップの和声的側面(2) 勝手にいじる

まあ今日はお休みにしたので、1日かけてやってみましょう。

まず重要なことは、ビバップ以降のジャズというのは多層的な音楽だということです。

先に書いたエントリで「ビバップはポリリズムだ」って書いたんですが、これは複数のリズムが重なりあってるって意味で多層的なんですね。しかし実はリズムだけでなく、和声も多層的になっているのです。たとえばサックスとピアノとベースの3人がいる場合、この3人が同じコードを演奏しているとは限らないんですわ。

まあもちろん楽譜というかリードシート(メロディーとコード進行だけ書いてるのを使う)には「この部分は | C | Dm7 G7 | 」とか書いてあるわけですが、これをピアノの人は |  C A7 | Dm7 Ebm7 Dm7 G7 G7(b13)|と考え、ベースの人は | C  A7 | Dm7  Db7 |と考え、サックスの人は同じ場所を1回目 は| C  | G7 | と考え、2回目は| G7| Db7|と叶えている、ということがありえるということです。当然音がぶつかって不協和な響きがしますが、それがジャズの響きなんす。

それにそもそも | C | Dm7 G7 | というのが原曲だとしても、「これは | C | Dm7 Db7|」とすることにしよう、みたいに相談して、かつ、上のような事態になる場合もあるし、
事前に相談するんじゃなく、その場でおこなわれる場合もある。非常にいいかげんな音楽でもあるわけです。

私自身本を読んでもこういうことの意味がわからなかったのです。ジャズ教則本には「コード進行の修飾の仕方」みたいな項目があるのですが、「なんでコード進行をいじる必要があるの?」とか。なぜそういう項目があるかというと、ミュージシャンはその場でコード進行をいじって(というか頭のなかで置き換えて考えて)弾くんですね。

前のエントリでConfirmationを聞いたときに、ピアノが「パッパー、パ」とか間の手を入れてるのはあれは頭のなかでコード進行を適当にいじって、それを弾いているのです。驚きましたか。私は驚きました。

おそらくこういうことを書いている本はそれほどないのではないか。

ビバップの和声的側面(1) 前置き

ビバップはリズムも非常に特徴があるのですが、和声的にもいろいろなことをしていて、これ解説するのは猛烈にたいへん。うまく解説するとお金が発生するくらいたいへんなのではないかと思うです。でもネットでうまい解説を見たことないので、ちと書いてみたい気はある。

でも実際には私は弾けないので頭でっかちな話になってしまう。音楽を鑑賞する上でもしあれば豊かになるような解説が書けるかどうか。

ミュージシャンは知ってるけどミュージシャンしか知らないこと、ってのが世の中にはあるんですよね。ジャズ批評家たちはなにもわからずに勝手に印象を書いているだけなわけで。菊地成孔先生はさすがにミュージシャンなだけあってすばらしい解説をしてくれているです。でもまあ素人向けにしたもんだわね。もうちょっとつっこめないか、という話。

(ビバップ)ジャズの和声理論はその後のポピュラー音楽の理論でもあって、それを開発したのが40年代のジャズミュージシャンたちってことになるんだと思います。偉大すぎる。彼らはたんに「思うように吹いてる」わけじゃなくて、いろいろ楽譜書いたり実際に演奏してみたりして理論を作りだしていった。それが60年代ぐらいにバークリーとかの教育メソッドになってミュージシャンの間で広まっていって、いまのポップ音楽があるわけです。そういうので非常に重要。

たとえば40年代後半〜50年代には日本のジャズミュージシャンたちはアメリカで何がおこなわれているかわからなくて、日本に来た米兵ミュージシャン(ハンプトン・ホーズとか)に教えてもらったり、レコードいっしょうけんめいコピーして「こう考えてるんちゃうか」ってやったり、それでもわかんなくてなんとかして海外留学したり(穐吉敏子先生は偉大だ)。渡辺貞夫先生がメソッドもちかえって帰国してからやっとわかった、みたいな感じなんちゃうかね。

まあとにかく複雑精緻。逆に、ビバップの和声の理論を理解すると、たいていのポップ音楽の作りを理解することになる。そういうポップ音楽の核の部分。私のような素人が書いてもあんまり意味ないんちゃうか、と思うんだけど、素人しか書けないこともあるんではないか、とも思ったりして。そういやこれはポピュラー音楽学会に入会するための業績づくりの一環なのです。あるていど「音楽知ってますよ」ってアピールしておかないと入りづらいじゃん。ははは。

ジャズ入門(4) ビバップのリズム的側面について語るよ

んで、40年代前半〜なかばは戦争もあったし、ミュージシャン組合とレコード会社がなんかあったとかであんまり録音が残されてないんですが、このころにジャズに革命が起こるわけです。

チャーリー・パーカーとかディジー・ガレスピーとかケニー・クラークとかセロニアス・モンクとかって天才たちが夜中にジャムセッションとかして腕比べしているうちに、スイングよりもっと自由で過激な芸術様式が生まれた。もう踊るための音楽ではなく、ミュージシャンがその場で適当な素材で腕競べし、客はそれを聞くというアートです。ビバップ。

50年代の演奏ですが、まあとりあえずパーカーのConfirmation。この曲好きでねえ。(ちなみにこの画像は左右逆だよね。おかしすぎる)

もうスイングとはぜんぜん違う音楽で、どこがどう違うかリストアップしていくだけでたいへんなんですが、まずはやはりリズム的側面からいきますか。

スイングはドラムがバスドラをドンドンドンドン4つ踏んでたんですが、それだと重くてダサいのでかわりにシンバルで4つ叩きます。チーチキチーチキ。バスドラはときどき裏でドンとアクセントに使われる。左手のスネアも右手でチーチキやりながらタタスタ、タ、タタッとか適当にあいの手やってる。これはとても難しいです。左足は2拍4拍でハイハット踏んでるし、両手両足バラバラに動かせないとできない。

ベースはスイングのときは同じ音を4つブンブンやることが多かったのですが、どんどん動く。音階を上下動いていくのでウォーキングベース。もちろん決まったことをやってるんじゃなくてその場でコード進行とスケール考えて、うまく合うようにそれを弾いてる。

ピアノは拍の頭で弾くことがなくなって、拍子のちょっと前で弾く。これもまあその場で適当にやってる。イントロとかピアノで出してますが、ああいうのもその場で考えられないとかっこ悪い。同じことを2回目やるときは1回目と違うことやらないとバカにされてしまう。これから何度も言うことになると思いますが、ジャズというのは競争的な音楽で、自分が優れていることを他の奴にアピールするのが主な目的です。自分が弾く部分を楽譜とか書いていくとバカにされてしまう。

それから、上の楽器(パーカーのアルトサックス)はあんまりハネない。スイングのを聞きなおしてもらうとわかるのですが、スイング時代にはドンドンドンドンチッチチッチチッチチッチと4拍子が8分三連でハネてる感じなんです。一応ジャズはこういうハネた3連符の感じ基本で、まあこの時期もいちおうベースとかはちょっとハネた感じに弾いてる。

ところがこの演奏のアルトはそのベースやドラムのリズムのハネに気をつかわず、平たく8分音符中心で演奏してます。だから演奏は12/8と8/8が重なってるポリリズムになっている。これがスイングとの決定的な差です。

どの程度ハネて演奏するかはそのプレイヤーの自由ですし、ハネたりハネなかったりしてもいいが、とりあえずドラムやベースと同じビートになることはあえて避ける!

実はこれがロックミュージシャンとかがジャズのまねとかしてもジャズにならない理由なんですわ。どうしても「バックに合わせる」ていう意識があるからドラムがハネてたらそれに合わせてハネちゃうんだけど、合わせないのがジャズだ、みたいな。これはすごい発想ですよ。

自分のソロのなかでも同じことが続くのを嫌って、8分音符と3連音符を交互につかったりしているのがわかると思います。そうすることでイーブン(8分)とハネ(3連)のポリリズムを強調するのです。

あとフレーズが小節の頭からはじまらなかったり、へんなところにアクセントがあったり、メロディックだなと思うといきなりピロピロはじめたり。こういう意外性を追求しまくったのがビバップです。

ちなみにパーカーのこのピロピロ速いよねえ。現代のギタリストもこんな速く弾けるひとはめったにいない。サックスの方がキーとか可動部分あって物理的に難しいと思うんですけどね。音もすごいでかかったらしく、この録音ではそういうもわかりますね。ピロピロもまあまえもって練習はしてるんだけど、いつそれを使うかってのは完全にその場のアドリブだし。天才。

ジャズ入門(2) ジャズがジャズらしいのは1955〜1965の10年間

まあ前エントリのマイルスみたいなスタイルってのはマイルスが作ったわけですが、そのちょっと前の時期のアートブレイキーバンドのチュニジアの夜という有名曲。マイルスバンドにくらべると勢いがあって荒っぽいけどこういうのも人気ありますね。いわゆる「ハードバップ」です。ビバップがハードになったもの。ビバップがなんであるか、ハードバップがどう違うかはあとで。

ま、これも当然テーマの進行の上でどんな新しいメロディーを作れるかを競っているわけです。ジャズの本質には即興があります。即興演奏しないのはジャズじゃない、と言ってもまあOK。黒人音楽をルーツにした即興演奏する器楽中心の音楽がジャズだ、ぐらいの定義だとだいたいみんな納得するんちゃいますかね。

いま「競っている」と書きましたが、ジャズというのは本質的に競争的な音楽なんすよね。この演奏はアルトサックスとトランペットの二人がソロイストだけど、どっちが速くて印象的な演奏をするかを本気で競ってます。同じ楽器が二人いたりするともう本気のやっつけあいになります。「カッティング」っていうんですけどね。お互いの喉を切りあう感じ。

マイルスバンドは対照的になるように考えていて、ああいうのはマイルスのスタイルであって一般的ではなかった。アルトはルードナルドソン、トランペットはクリフォードブラウンで、ブラウンの勝ちに聞こえますね。ハイトーンばしばし決めてかっこいい。まあブラウン先生は最強のトランペッターなので、しょうがないです。ピアノのホレスシルヴァーは個性的で、二人の喧嘩からちょっと距離をとってる感じですな。

ジャズのおもしろいところは、あとバックの3人(ドラム、ベース、ピアノ)、または2人(ベースとドラム)が適当な茶々みたいなのを入れるわけですね。反応のいいバンドはそれが連鎖する。このバンドはブレイキーのドラムがいろいろバチバチあおってますが、マイルスバンドの3人の連携とかすごいもんです。これもあとでもっと詳しく分析してみましょう。

これが1954年の演奏で、これから10年ぐらいがモダンジャズの黄金時代という感じですね。いわゆる名盤のほとんどはこの時期に生産されている。

(ちなみに、まあ正直この盤は世間的には名盤ってことになってるけど、それほど音楽的な価値があるかってのは私はあんまり自信がないです。歴史的にジャズ黄金時代のはじまりをつげる作品ではあるわけですが。)

ジャズ入門(1) ジャズとはマイルスデイヴィスの音楽である

ジャズっていうのはなんであるのか、というのはまあ難しいというか無意味な問題かもしれんですね。こういうのはジャンルの哲学とか分類の哲学とかそいう問題になっちゃう。

私はジャズってのはマイルスデイヴィスの音楽を中心に、彼に強い影響を与えた人々と彼から強い影響を受けた人々の音楽である、ぐらいでいいのではないか、なんておもってたりして。まあマイルス本人は自分の音楽を「ジャズ」って呼ばれるのいやがってたみたいですから、まあこの定義はだめです。

でも「ルイ・アームストロング、デューク・エリントン、カウント・ベイシー、レスター・ヤング、チャーリー・パーカー、ディジー・ガレスピー、マイルス、コルトレーンらがやった音楽とその影響下にある音楽」みたいなのは魅力があるなあ。やっぱりマイルスはいろんな意味で中心だと思います。パーカーの音楽だってマイルスがいなかったらああはならなかったはずだし。

まあそういうのはどうでもいいけど、とりあえずジャズを1曲って言われたらやっぱりマイルスのなにかを聞かせるでしょうね。とりあえずRound Midnightでいいのではないか。

聞きどころは最初のマイルス先生のトランペットが、途中のバンプ(キメ、パッパッパー、パッパ!)のところであばれるところ、そのあとのコルトレーンの大暴れとかですか。曲はセロニアス・モンクの有名曲だけど、マイルスがコード進行とか単純化して彼の美学にあうようにしています。アレンジとかはクレジットないけどギル・エヴァンス先生がやっという話。

イントロのあとに、マイルス先生がまずテーマのメロディーを提示するわけですが、モンクが作曲したそのまんまじゃなくて最初からある程度くずしてます。こういうのはフランク・シナトラ先生とかが得意で、当時シナトラが好きだったマイルスが真似したとか。これ以降、皆有名バラード曲の場合にはどっかメロディーをくずして演奏するのが定番になります。だからちょっとわかりにくいよね。基本的にこの時代からはボーカリストもメロディーくずしちゃう。最初わたしはそういうのとまどってました。まあツウというかある程度聞いてる人は何十回も何百回も聞いてるのでおぼえちゃってるわけです。そこらへんジャズがわかりにくい理由の一つでもあります。まあ歌舞伎みたいなもんで、みんな筋とか知ってるから一部だけ見ても大丈夫、みたいなのが期待されてる。実際、(この曲はジャズオリジナルだけど)ジャズでやられるバラードはたいていミュージカルの流行歌だったりするのでみんな知ってるわけです。それをどう料理するかってのを見せるのがジャズ。白人に対して黒人たちが自分たちの音楽的技術と才能を見せつけるためにわざと(白人)ミュージカルの音楽を素材にしたんだ、みたいな話もあります。半分本当みたい。

印象的なバンプのあとはコルトレーン先生。マイルスのクールな演奏と対照的に音数多くして上から下まであばれまわります。今聞いてみたら、そのアドリブのなかに、マイルスのくずしかたが反映されているところがあるように思いました。ジャズはコミュニケーションでもあって、前に演奏した人のフレーズとかを瞬間的におぼえて演奏したりもするんですね。あとバックのピアノとかのフレーズをまねしたり、逆にピアノがソロをまねしたり。そういうコミュニケーションがおこなわれます。

んでマイルスがもう1回テーマのメロディー吹いておしまい。文句なしの名演です。これがまあジャズですわ。

Round About Midnight

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もっと安いのもあるんだけどね。