ビバップの和声的側面(2) 勝手にいじる

まあ今日はお休みにしたので、1日かけてやってみましょう。

まず重要なことは、ビバップ以降のジャズというのは多層的な音楽だということです。

先に書いたエントリで「ビバップはポリリズムだ」って書いたんですが、これは複数のリズムが重なりあってるって意味で多層的なんですね。しかし実はリズムだけでなく、和声も多層的になっているのです。たとえばサックスとピアノとベースの3人がいる場合、この3人が同じコードを演奏しているとは限らないんですわ。

まあもちろん楽譜というかリードシート(メロディーとコード進行だけ書いてるのを使う)には「この部分は | C | Dm7 G7 | 」とか書いてあるわけですが、これをピアノの人は | C A7 | Dm7 Ebm7 Dm7 G7 G7(b13)|と考え、ベースの人は | C A7 | Dm7 Db7 |と考え、サックスの人は同じ場所を1回目 は| C | G7 | と考え、2回目は| G7| Db7|と叶えている、ということがありえるということです。当然音がぶつかって不協和な響きがしますが、それがジャズの響きなんす。

それにそもそも | C | Dm7 G7 | というのが原曲だとしても、「これは | C | Dm7 Db7|」とすることにしよう、みたいに相談して、かつ、上のような事態になる場合もあるし、
事前に相談するんじゃなく、その場でおこなわれる場合もある。非常にいいかげんな音楽でもあるわけです。

私自身本を読んでもこういうことの意味がわからなかったのです。ジャズ教則本には「コード進行の修飾の仕方」みたいな項目があるのですが、「なんでコード進行をいじる必要があるの?」とか。なぜそういう項目があるかというと、ミュージシャンはその場でコード進行をいじって(というか頭のなかで置き換えて考えて)弾くんですね。

前のエントリでConfirmationを聞いたときに、ピアノが「パッパー、パ」とか間の手を入れてるのはあれは頭のなかでコード進行を適当にいじって、それを弾いているのです。驚きましたか。私は驚きました。

おそらくこういうことを書いている本はそれほどないのではないか。

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