皆が速くて激しい音楽やってるとき、そういう演奏できない人間はどうするか。ってのがまたしてもマイルスデイヴィス先生を襲った問題だった、って理解していいんちゃうかな。
んで、ギルエヴァンス先生とかインテリ白人に相談するのもいっしょ。今回はピアノのビルエヴァンス先生にも協力してもらって、ぜんぜん違う音楽をはじめる。有名なKind of Blueですわね。
アイディアは、パーカーやコルトレーンみたいに速くてコードチェンジたくさんするのがバップの考え方だけど、ついていけないからやめましょう。1個や2個のコードでいいではないですか、と。もうDm7の上でレミファソラシドレだけで演奏するってのでいいじゃん。まあそれだけだともたないから一部Ebm7もつかいましょう。AABA形式にして、BのところでEm7でミbファソラbシbドレbミbで演奏します。スケール2個で1曲作っちゃいましょう、というわけです。
こういうあえて素材を限定してしまおうというアイディアはクラシック作曲家のドビュッシーやサティー(どっちも20世紀初頭ぐらいに活躍)あたりからあって、それを50年後にジャズにもちこんだわけですわね。雰囲気も似た感じになる。
まあとにかくSo What聞きましょう。
もう1曲、Blue in Green。これはモードではないですが、バップとはぜんぜん違う方法論で作られてます。マイルス作曲ってクレジットされてるけど実はビルエヴァンス先生の曲らしい。コード進行もおもしろいしアドリブ部分での構成もおもしろくて、マイルスは32小節で1コーラス、コルトレーンは16小節、エヴァンスは8小節になってんだっけかな。だんだんコード進行が密になる、みたいな。まあそういういろいろヒネリを入れて、「もうハードバップやめようぜ(オレ吹けないし)」みたいな。
まあ文句なしの名盤。超名盤。これくらいの名盤はないってくらいの名盤。ちゃんとクレジットしてもらえたらギルエヴァンス先生あんなに貧乏する必要なかったのに。マイルスも実は悪いやつなんだ。
So Whatとかのアイディアの一つはビルエヴァンス先生のこのPeace Pieceって曲。さらにそのもとはレナード・バーンスタイン先生のSome Other Timeだったかな。
おそらくこの演奏のアイディアになったサティーあたりも1曲聞いてみてください。こっちはジムノペディ。
こっちはグノシェンヌって曲。スケールは違うけど一貫して同じような和音の上で一つのスケールの上で動いてるだけ。おそらくここらへんからアイディアとってきてるはず。
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