前にも書いたんですが、学生様に倫理学の入門書ガイドを出す必要があって作ってみました。あんまりよい本がない……
- ジェームズ・レイチェルズ『現実を見つめる道徳哲学』。お勧め。これ一冊で倫理学入門卒業も可。 しかし読みきるのはけっこう骨なので、同時に数冊読む必要があるかもしれない。
- 柘植尚則『プレップ倫理学』。超初歩。レイチェルズ読む前に。
- 児玉聡『功利主義入門』。倫理学がなんであるのかというのはこういうのの方がわかりやすいかもしれない。
- 品川哲彦『倫理学入門』。よい入門だが、ちょっとクセがある。
- ジュリアン・バジーニ『ビッグクエスチョンズ・倫理』。まあ入門。『倫理学の道具箱』。事典みたいに読む。
- サンデル『これからの正義の話をしよう』。定番。
- エドモンズ『太った男を殺しますか?』。トロッコ問題に興味ある人に。
- ジョナサン・ハイト『しあわせ仮説』、『社会はなぜ左と右にわかれるのか』。倫理学というよりは道徳心理学なんですが、ここらへんは万人必読。
- マイケル・トマセロ『道徳の自然誌』、 『ヒトはなぜ協力するか』。これも倫理学というよりは生物としての人間の道徳性ってのを考えてる本。マイケル・トマセロ先生はかしこくおもしろい。道徳について考えているのは倫理学者だけではありません、っていうか他の分野の先生たちの方がよく考えている可能性もないではない。
- 伊勢田哲治『動物からの倫理学入門』。動物倫理の問題から倫理学入門をねらったもので、けっこうヘビー。ネコちゃんとかワンワンが出てきて会話するとかそういうのではありません。
- 佐藤岳詩『「倫理の問題」とは何か』。倫理学の価値は、私たちの道徳的な意見とはいったいどのようなものか、っていうのを解明することだと思うんで、そういうのは勉強して理解してほしいけど、むずかしいか。あるていど倫理学に関心もった人向け。
実は倫理学は政治哲学ほとんど同じ学問です。倫理学の人は文学部で、政治哲学の人は法学部や政経学部 とかで勉強したという違いがあるだけ。
- デイヴィッド・ミラー『はじめての政治哲学』
- ジョナサン・ウルフ『政治哲学入門』 よい本なんだけで入手困難みたいですね。
- アダム・スウィフト『政治哲学への招待』
- 神島裕子『正義とは何か』
- キムリッカ『現代政治理論』。この本読めば倫理学入門は完全に終了。
- 伊勢田哲治 (2008) 『動物からの倫理学入門』,名古屋大学出版会.
- 神島裕子 (2018) 『正義とは何か:現代政治哲学の 6 つの視点』,中央公論新社.
- 児玉聡 (2012) 『功利主義入門』,ちくま新書.
- 佐藤岳詩 (2021) 『「倫理の問題」とは何か:メタ倫理学から考える』,光文社.
- 品川哲彦 (2015) 『倫理学の話』,ナカニシヤ出版.
- (2020) 『倫理学入門:アリストテレスから生殖技術、AI まで』,中央公論新社.
- 柘植尚則 (2021) 『プレップ倫理学 増補版 (プレップシリーズ)』,弘文堂.
- ジョナサン・ウルフ (2000) 『政治哲学入門』,晃洋書房.
- デイヴィッド・エドモンズ (2015) 『太った男を殺しますか?』,太田出版.
- マイケル・サンデル (2010) 『これからの「正義」の話をしよう:いまを生き延びるための哲学』,早川書房.
- アダム・スウィフト (2011) 『政治哲学への招待:自由や平等のいったい何が問題なのか?』,風行社.
- ジョナサン・ハイト (2014) 『社会はなぜ左と右にわかれるのか:対立を超えるための道徳心理学』,紀伊國屋書店.
- ジョナサン・ハイト (2011) 『しあわせ仮説:古代の知恵と現代科学の知恵』,藤澤隆史・藤澤玲子訳,新曜社.
- ジュリアン・バッジーニ (2012) 『倫理学の道具箱』,共立出版.
- ジュリアン・バジーニ (2015) 『ビッグクエスチョンズ 倫理』,ディスカヴァー・トゥエンティワン.
- マイケル・トマセロ (2013) 『ヒトはなぜ協力するのか』,勁草書房.
- (2020) 『道徳の自然誌』,勁草書房.
- デイヴィッド・ミラー (2019) 『はじめての政治哲学』,岩波書店.
- ジェームズ・レイチェルズ (2003) 『現実をみつめる道徳哲学:安楽死からフェミニズムまで』,晃洋書房,古牧徳生・次田憲和訳.
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