私は以前から「そもそも、日本では高等教育について男女差がそんなにあるのだろうか?」という疑問を抱いています。たしかに四大や大学院の進学率については少し差があるかもしれない。でも、四大の他に短大や専門学校(専修学校)もあるわけじゃないですか。これらはいわゆる「ジェンダーギャップ指数」でも「高等教育」として認められてるはずです。3、4年前にこれ気になって、政府の統計を見てみたんですが、短大と専門学校まで入れると、高卒の人の高等教育への進学は、女子の方が高かったはずなんですよ。(eStatは素人にはなかなか探しにくくて簡単には数字出せないんです。誰か数字出してもらえませんか?)
まあふつうに考えて、大学や短大に進まなくても、もっと専門性の高い専門学校(ITだとか声優だとかアニメだとか美容師だとかネイルだとか)に進学している人ってけっこういるじゃないですか。どこにも進学しない(できない、させてもらえない、あるいはすぐ働かねばならない)、っていう人々は男子の方が多いんじゃないかと思うんですわ。
先生は「学位もってる人」の割合のグラフを出してきて「ちょっと(4〜5ポイント)男女差がある」っていうことは指摘してくれるけど、進学という点でいえば男子の方が不利になってるかもしれない。なぜそういう側面があることを指摘してくれないんだろう?
ある方(須藤玲司さん)に教えてもらった情報によれば、UNESCOが出しているジェンダー・パリティ・インデクスによれば、日本は0.97でほぼ平等、さらにこの0.03ぐらいの不平等は、短大や専門学校が2〜3年間で四大より短かいことや、大学院進学者などの存在によるものらしいとのことです。 https://data.worldbank.org/indicator/SE.ENR.TERT.FM.ZS
ここらへんから私は不安になってきてしまうんですよね。もちろん四大はよいところなので(大学教員としてのポジショントーク)、ぜひみんな大学で勉強してほしいのですが、このほんのちょっとの差が、なにか望ましくない男女の格差を示唆しているとそんな簡単に言えるだろうか?
追記。これまた須藤さんに教えてもらった令和4年版の「男女共同参画白書」によれば、こうなっています。 https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r04/zentai/html/zuhyo/zuhyo10-02.html (どうも、『男女共同白書』は平成5年版以降は進学率の男女差のデータを出してないようです[1]もっと新しいものが https://www.nwec.go.jp/research/cb4rt20000001kqy-att/statisticsleafjp202411.pdf … Continue reading。)
四大 | 短大 | 専修学校 | 計 | |
男子 | 58.1 | NA | 20.3 | 78.4 |
女子 | 51.7 | 7.2 | 27.8 | 86.7 |
続きます → https://yonosuke.net/eguchi/2025/06/15/19186
- 「体力」の男女差について目にしたものについて
- 中西祐子先生の『男女の進学格差はなぜ埋まらないのか』(1) ジェンダーギャップ指数から話がはじまっていると不安になる
- 中西祐子先生の『男女の進学格差はなぜ埋まらないのか』(2) 進学の男女格差は本物なの?
- 中西祐子先生の『男女の進学格差はなぜ埋まらないのか』(3) 女性にとって大卒がもたらす経済的利益
- 中西祐子先生の『男女の進学格差はなぜ埋まらないのか』 (4) 結婚すると女性の大学進学収益率が減るのは、配偶者たちの選好の結果でもあるのでは?
- 中西祐子先生の『男女の進学格差はなぜ埋まらないのか』 (5) おまけ:ハキム先生の「選好理論」
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References
↑1 | もっと新しいものが https://www.nwec.go.jp/research/cb4rt20000001kqy-att/statisticsleafjp202411.pdf にあることを教えてもらいました。2023年は男子の四大・短大・専修学校進学は68.0%、女子のそれは77.5%。10ポイント近く女子優位の差がつきつつありますね。 |
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