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自主ゼミ/読書会/ブッククラブの方法は有元先生に学ぼう

前に「自主ゼミを開こう」みたいなエントリは書いてたのですが、その具体的な手順を書いていなかったことは反省しています。どういうことをかけばいいのかわからなかった。このたび、『ブッククラブで楽しむ学ぶクリティカル・リーディング入門』(ナカニシヤ出版、2010)を発見したので、それを紹介します。買ってください。


読書会/ブッククラブの手順

  • 「教員ぬきの大学ゼミ」でよいのだが、もっと気楽なブッククラブもよい。
  • 2〜6人程度の仲間を見つける。調子悪いやつは誘わない。
  • 司会進行を決める。もちまわりがよい。
  • 1時間から2時間程度。
  • 短くてやさしい本から。良い本を探すのは難しいので、読書家にすすめてもらうのもよい。簡単な本だと思っていても複数で話し合うと意外なことが発見できる。
  • (メンバー全員)1週間ぐらい前に各自本を読む。大事なところに線をひいいたり付箋をはったりして、ぱっと出せるようにしておく。読書ノートをつけてみるとよい。登場人物の相関図、シーケンスチャート≒あらすじ(出来事・心情の変化の一覧)、主題がなんであるか、キークェスチョン(重要な問い)を考える。
  • ホストは場所と時間を決めて案内を出す。メンバー全員がすることは一番熱心にやっておく。Wikipediaなどで著者・時代背景などを調べておく。キークェスチョンも10個ぐらい用意する。
  • 当日、ホストが司会。各自自己紹介。読んだことについて面白かったところ、心に残ったところ、つまらなかった、など一人ひとり話してもらう。あとは自由にやる。話が本からあまりに離れてしまったら、ホストはキークェスチョンを出して本題に戻る。最後に簡単にまとめる。
  • 【注意事項】一人で話しすぎない。ずっと黙っていない。疑問点はすぐに聞く。おだやかに。テクストや自分の体験など根拠をあげる。本以外の話題にそれすぎない。一つの話題がだいたい決着するまで他の話題に移らない。

読み/問いのストラテジー

本を読む時、あるいは本について話し合う時、以下のような問いはほぼ常に役に立つ「ストラテジー」だそうな。まあ必ず結果が出ます、っていうのはいいですね。

読みのストラテジーとは、本を上手に読むための方法です。「方法」ではなく「ストラテジー(戦略)」という軍隊が起源の言葉を使う理由は、単なる方法ではなく「必ず効果を上げる方法」だからです。戦争は必ず戦果をあげなければなりませんから、効率を最優先します。 (p.26)

てなことですが、これすばらしくよいですね。こういう「できあいの問い」をいくつもってるかってので読書やディスカッションの腕がちがうわけです。

背景的知識についての問い

[基礎知識]
基礎知識を確認する。作者・筆者の国籍、年齢、経歴、その本が書かれた事情、時代背景。蛇が出て来る物語なら蛇の形態や生態など。戦争小説だったらその戦争がどういう事情でいつ始まりいつおわったか、など。
[体験]
題材と関連・類似する経験・体験を確認する。恋愛小説なら恋愛の経験、他人の恋愛のパターン、など。

正確な理解のための問い

[キーワードの理解]
キーワード=重要な語 ≒ 他の本にあまり出てこないけどその本によく出てくる語。
[キーセンテンスの理解]
ストーリーの場合は、物語の展開で重要な文、登場人物の行動、感情。作者・語り手の感情、意見。論説の場合は以降論じられる課題・問題、重要な事実、筆者の意見や推論、結論、段落のまとめとなるセンテンス。
[文章構造の理解]
ストーリーの場合は、登場人物たちにとって問題(こまったこと)は何か、それをどう解決したか、うまく解決したか。語られる時間順序。論説の場合は論証の構造。
[イラスト・図表の理解]
登場人物の性格。グラフの目的。グラフの信頼性、わかりやすさ。

深い理解のための問い

[解釈]
登場人物はなぜ〜の行動をとったか、作者はどうして〜の表現をしたか。どの登場人物が大切か、主人公は誰か。どのようなことを教えようとしているか。
[予測]
テキストの途中で先を予測する。タイトル、表紙の絵、イラストなどから内容を予測する。物語が大きく展開するところで先を予測する。
[要約]
主人公にどのような問題が起きてどのように解決したか。
[主題]
主題はなにか? 上のキーセンテンス(場面設定、登場人物の行動や感情、場面の展開に重要な役割を果たす箇所、作者の感情や考えが現れている箇所)を手がかりに考える。

発信のための問い

[評価・批判]
この話の終わり方をどう思うか、それに賛成か、反対か。ほかにもっとよい終わり方はあるか。特定の登場人物の行動についてどう思うか。特定の作者の文章表現についてどう思うか。イラストについてどう思うか。
[解説]
自分が登場人物や作者になったつもりで創造的な読みをする。もし自分が特定の登場人物だったらどうするか。作者だったらどう話を展開し、どう話を終わるか。話の終わりの先はどうなるか。
[パーソナルリーディング]
似たような経験をしたか、そのときあなたはどうしたか。今度同じことがあったらどうするか。あなたは登場人物と似ているか。どこが違うか。まわりに登場人物と似た人物がいるか。どこが同じでどこが違うか。似たような話を読んだことがあるか。どこが似ていてどこが違うか。
[視点を変える問い]
それぞれの登場人物の視点に立って表現してみる。

上の、有元先生のそのままじゃなくて、私の解釈やコメントもいれてしまっているのですが、あと少し私から。

おもしろいところ、興味深いところ、読みにくいところ、疑問のあるところなどは、面倒でも誰かが音読してしまった方がよいです。大人になると日本語を音読するなんてなあ、みたいになっちゃいますが、音読は非常に大事。1ページぐらいなら読めるし、長い部分読みたいときは、一行ずつおもいついた解釈、勝手なコメント、茶々なんかをいれながらよんでもいい。

自主ゼミ・読書会の運営方法(PDF)

自主ゼミを開こう

 

他のページでも書いてますが、大学ってのは授業に期待してもあんまりたいしたことありません。「せっかく勉強するつもりで大学に入ったのに・・」と思っているひとも少なくないでしょう。

大学ってのは基本的に研究機関であって 1)私は実は違うんじゃないかと思いますが、教員の大半はそう思っています。  、大学の先生というのは自分の業績をあげて偉くなろうとか威張れるようになろうとかそういうことを第一に考えてます。だいたい大人数を相手に教育なんかできないし。

大学では学生は図書館その他の施設を使って自分で勉強するものです。でもやっぱり一人で勉強するってのははりあいがないし、長続きしないものです。人間、目先の目標や反応がないとだめなんですね。

というわけで、勉強に燃える学生は読書会や研究会を開いて自分で勉強するのです。「自主ゼミ」「読書会」「輪講」「輪読会」と呼び名は違うけど、ふつうの大学ではやってる。私に通っていた大学では読書会せずに大学院生になるのは無理だったねえ。この文章を読むひとの多くは就職が一番の目標じゃないかと思うわけですが、そのための準備や勉強もいろいろ必要なわけ。そういうのは大学では教えてくれないから自分らでやる。

企画する

あんまり難しく考えずに企画しましょう。なんか勉強してみたいことがあったら、適当な本を選んでそれを皆で読むのが一番です。適当な本が見つからないときは、そういうのをよく知っているような教員にたずねればよい。

英語が得意になりたかったら、やっぱりやさしい英語でおもしろそうなネタの文章を読めばよい。

人数は4、5人ぐらいが適当。二人でははりあいがないし、話がとぎれたりしてけっこう微妙な雰囲気になってしまうことがある。7、8人になると人数が多すぎて十分にお話することができません。

時間は参加者の授業の空きコマでやるか、夕方授業が終ってから。土日に入れるとデートとかバイトとかがはいって長続きしません。

一番のポイントは期間です。 永続的にやろうとするのは避けた方がよい。テーマと4回、8回などだいたいの回数を決めておいて、気が合わなかったりしたら自然に消滅できるようにしておくのがコツ。その方が新規に参加しやすいものです。いったん「仲良しグループ」ができてしまうと、新しい人は入りにくくなってしまうからです。あとまあ当然ながら仲が悪くなったから解散、ってのを明示化しないようにね。ははは。

人を集める

学校に貼り紙でもすればよろしい。3人集まったら即座に開始して、「興味あるひとは見に来てね」と書いておくのがよい。自分の学部だけでなく他学部にも宣伝に行くこと。京女のような私学だと学年の間のつきあいが薄くなってしまいがちですが、年齢の違うひとびとといっしょに勉強するのは楽しいものです。

チューターを探す

知識がないもの同士でわいわい杉田玄白するのもおもしろいのですが、チューターがいた方がよい場合も多いです。知りあいの教員などに頼んでみましょう。そんなにスゲなくする人は少ないと思います。

他大学へ進出

女性だけで勉強するというのはなんだかなあということもあります。男性の視点を知ることも重要な場合があるし、男性の目があった方がやりがいがあるという人もいるでしょう。他の大学の勉強系サークルに参加するのもおすすめです。京大生と仲良くしよう! っていうか、京大生のボーイフレンドを作る一番の道です。かならずできます。というかできてしまう。それがよいことかどうかはわからん。立命館や龍谷大学という手もありそうです。

江口は

実際のところ、私自身大学では授業より先輩や後輩との読書会から学んだことの方が多かったように思います。というか、ほんの少数の授業を除いて大学・大学院での記憶は読書会関係のものばかり。毎週2、3個の読書会をしていたように思います。英語もドイツ語もフランス語もぜんぶ読書会で教えてもらいました。研究室の仲間とやることが多かったですが、他の専攻の人から知らないことを教えてもらったりもしました。

大学教員になってからも、勉強するのはなにかの研究会のためだけです。

やっぱり自分で発言したり他人からつっこまれたりしないとダメなんよね。

卒論のネタが近い人と

  • だいたい卒論ネタなんてたいしてバラエティーないんだから、近い人を探す。
  • 資料とか共有して協力してもぜんぜんかまわん。

 

たとえば教員志望だったら

  • 教員志望で自主ゼミ・勉強会を自主的にできないなんて教員になる資格がない。
  • そもそも教科書読まずに教生行くのやめなさい。
  • 教科書勉強しておたがいに教える練習しなさい。
  • お互いに感想とか改善点とか指摘しあう。
  • 参考書はなにがいいかとか。
  • テスト自分で作ってみて、お互いに解きあってみるとか。

たとえばアナウンサー志望だったら

  • アナウンサーになるにはなにが必要かとか人前で説明してみる
  • どういう勉強が必要かとか説明してみる。
  • なにか時事解説してみる。
  • インタビューの練習する。
  • 原稿読みの練習。
  • 大学からヴィデオカメラ借り出してお互いにカメラテストしてみるとか
  • 他にもいろいろ練習することはある。

もうひとつ具体的でなかったので、「自主ゼミ/読書会/ブッククラブの方法は有元先生に学ぼう」ってのを描きました。

References   [ + ]

1. 私は実は違うんじゃないかと思いますが、教員の大半はそう思っています。