2019年度、関係していた翻訳が2冊出版されたんですよね。
どっちも予定や締切を大幅に遅れに遅れて、関係者の皆様に多大なご迷惑をおかけしてしまいました。ウィリアムズの方はどろどろの文章で訳すどころか言いたいことを読み取るにも苦労しました。ミルの方は知識が足りなくてうまく訳せない。
なにより訳語の不統一や誤字誤植が最後まで残ってしまって、私そういう作業がほんとうに苦手で何度もヘソを噛み切って死なねばならないとつらい思いをしました。もうこういう経験はしたくない。特にミルの方は途中で投げ出してしまい、「もう私なにもできないのでそちらで適当におねがいします、名前出さなくてもかまいません、むしろ出さないほうがいい」ぐらいの話にまで至ってたのですが、いろんな事情から名前がでてしまった。いろいろ忸怩たるものがあります。
でもまあ可能なら買ってください。ウィリアムズの方はいちおう20世紀の後半、80年代ぐらいの倫理学の方向性を決めたような重要な本だし(私はそういうの納得してないのですが)、ミルの方は誤謬推理(詭弁)の研究で、とてもおもしろいはずです。誤訳や誤植残っていると思いますので教えて下さい(他力本願)。岡本先生や佐々木先生の解説もよいです。誤謬推理の話はおもしろいから、時間があったら少しずつ紹介したい。っていうか、前の「宇崎ちゃん」の話はそれやるつもりだったのですが、なんかへんな方向に進んでしまった。ははは。
まあ正直、このふたつの仕事がずっと残っていて、自分がやるべき仕事ができなかった、みたいな感じもあるのです。これが終わってさあやりたいことをやろう、とか思ったのですが、もう浦島太郎でおじいさんすぎてなにもできませんわね。まあ失敗した勉強人生な感じ。とにかく私は下手な翻訳関係で時間つぶしすぎましたね。
個人的な思いとしては、この2つはどちらも共同作業なので自分の好きなようにはできなかったのですが、これもよくなかった。私は協調性が足りないので、とにかくなんでも自分の好きなように、自分がすみからすみまでコントロールできないと意欲がわかない男だったようでもあります。これからは全部自分が決定できることしかしない。(そしてそんなことはこの世には存在しないのでなにもしない。ははは。)
私から若い人々にアドバイスするとすれば、翻訳の仕事はとても勉強になるので声がかかったら1、2回やってみるのはよいと思うのですが、人によってはかけた労力ほどの実りがないと思うことも多いだろうし、現代ではとにかく出版が大事なのでやっぱりそっち優先するべきじゃないかと思いますね。
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