『月曜日のたわわ』広告問題(4) どこが有害なステレオタイプか

続き。

ハフィントンポスト「「月曜日のたわわ」全面広告を日経新聞が掲載。専門家が指摘する3つの問題点とは?」 https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_624f8d37e4b066ecde03f5b7

『月曜日のたわわ』を、単に一枚の広告として、イギリスの広告基準協会の「有害なステレオタイプ表現」の基準と比較した場合どうなるんでしょうか。

広告されているものは『月曜日のたわわ』というマンガ作品。累計で75万部突破というサイトがありました。売れてますね。そんなに売れるのは私にはよくわからないけど(コミックDAYSにサブスクしてるので『ヤンマガ』で飛し読みしてました)、とにかく売れてる。

「たわわ」という文字列が「たわわな乳房」を指しているのはほぼ明白だと思います。このタイトルがよくない、という意見も見て、なるほどとは思いますが、これが基準協会の「ジェンダーステレオタイプ」とどうからんでいるかは難しい。

たしかに「女性の理想的なボディーシェイプ」としての豊かなバストというのはあると思うんですが、基準協会の基準では排除されるべきものに入るかどうか微妙ですね。

ジェンダーステレオタイプの理想にそった体型その他の身体的特徴に合致するようなプレッシャーを与えるようなもの〜

(6) 人生がうまくいってない人をまず描いて、その人がシェイプアップしたらすべてうまくいきました、みたいなの

(7) ジェンダーにもとづいた理想的なステレオタイプに合ってない人を広告に登場させる場合は、その人の人生がうまくいってないのは体型のせいだ、のように描かないこと

どちらともちょっと違う。たしかにタイトルと左下の既刊本の表紙はバストを強調していると思うんですが、それ自体が広告として非難されるべきかっていうのは上の基準では出てこないし、メインのイラストではバストさえ隠されているのでねえ。あれを見てバスト大きくなければならないというプレッシャーを感じる人がどれくらいいるのかよくわからない。

広告一枚絵だけを見た場合の一つの発想としては、ストーリー・シナリオは女子高生が「今週も素敵な一週間になりますように」といろんな人(サラリーマン男性に限定されない、日経読者)に語りかけて応援している、というもので、これが「女子高生は日経を読むようなビジネスマンを応援する(べき)ものだ」、というステレオタイプを強化している、みたいなのが可能なのかもしれませんが、そうなるともう女子高生が誰かを応援しているのはぜんぶアウトみたいになってしまってそれでいいのかどうか。もしそれがステレオタイプだとしても、害のあるステレオタイプ表現なのかどうか……

前のエントリで書いたように、ルックスが優れている人々を広告に使うのを基準協会はとがめてないんですよ。やっぱりルックスが優れている人は広告に向いてる。ルックスが優れた人たち抜きでは広告はむずかしいくらいのもので、だからそこまでは協会も要求しないわけです1

まあ私みたいなあんまりルックスよくない初老男が「すてきな一週間になりますように」とかみんなに語りかけてたらみんな迷惑かもしれんし、男子高校生だった私だったらもっとあれだ……ははは。

というわけで、ステレオタイプの議論はあんまり筋がよくないと思うんですわ。でも、協会の基準やアドバイスには治部先生のような人が根拠にすることのできる項目が別にあるのです。

Footnotes:

1

まあこの広告基準協会は、消費者や社会からの苦情や異議申立に対応するための業界自主規制のための組織なので、業界が本当に損するようなことは要求しないというのもあると思います。まだまだ続きます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です