島岡まな先生は、ピル使用率が低いことをもってして、日本は女性の自己決定権が尊重されていないということを主張したがっていらっしゃるようです。
https://president.jp/articles/-/97081?page=6
日本でのピル服用率は2.9%で、カナダの28.5%やフランスの33.1%などに比べると、かなり低いことがわかります。
低用量ピルやアフターピルが手に入りにくい日本に対し、どちらもタダで若年層にそのまま与えてきたフランス。
日本には女性が自己決定権を持つ「セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)」がないのです。
そうでしょうか?
とりあえず、UNによれば、島岡先生があげている国のピル服用率とコンドーム使用率は次のようです。https://www.un.org/development/desa/pd/sites/www.un.org.development.desa.pd/files/files/documents/2020/Jan/un_2019_contraceptiveusebymethod_databooklet.pdf
グラフにするとこんな感じ(おまけにコンドームつけておきました)。
いろいろ議論はあるところですが、女性の性的自由の尊重などの指標として、私は(少なくともリベラルな先進国では)妊娠中絶率や十代の妊娠率は悪くない指標だと思います。中絶率は望まない妊娠の発生を示しているはずですし(もちろん、国や文化によっては中絶へのアクセスが悪いために、望まない出産をせざるをえない女性もいるかもしれません)、十代の妊娠も国連などは女性の性的自由の欠如の結果である可能性や、教育その他へのアクセスへの障害となる可能性があるとして問題視しています。
んじゃ、島岡先生/プレジデント編集部が示しているピル先進国と、妊娠中絶や十代妊娠率の関係はどうなっているでしょうか。
中絶率は適当なのを探すのが面倒なのでとりあえずwikipediaの使わせてもらいます。 https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_countries_by_abortion_rate 。調査年とかいろいろ面倒なので、あとでちゃんとした人がちゃんとしてくれるでしょう。
これを見たとき、フランスはそんなに先進的な国でしょうか?日本はそんなに遅れた国でしょうか。そういう疑問が湧いてくるわけですが、こういうデータは示してもらえませんね。それでいいのでしょうか。
十代の妊娠率は国際比較できる統計探すのはむずかしいです。妊娠率ではなく出産率ならOECDのがありました。
https://webfs.oecd.org/els-com/Family_Database/SF_2_3_Age_mothers_childbirth.pdf
(ちなみにフランスは女性のDV被害や殺人被害も多くて先進国としては問題だったと記憶していますが、そこらへんも大丈夫でしょうか)
下も読んでください。
- 島岡まな先生の妊娠中絶件数/実施率への言及について
- 島岡まな先生のピル大国フランス信仰について
- 島岡まな先生の例の記事についてまじめに考えたい学部生向けの注意書き (1)
- 島岡まな先生の例の記事についてまじめに考えたい学部生向けの注意書き (2)
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