弁護士JPニュースの「“男性特有の匂いが嫌い”や“おじさん詰め合わせ”は「差別発言」指摘も…男性への「ヘイトスピーチ」とはいえない明確な理由」へのコメント続き。
ところで、「言葉の定義には「理由」と「目的」がある」節の最後は次のように締められています。
師岡弁護士をはじめとして、私自身も含め多くの人たちが重視するのは人種差別撤廃条約四条です。同条項には、差別煽動の特段の不当性と、対応の緊急性・重大性についての的確な認識が反映されています
人種差別撤廃条約四条は次のようになっています。 https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jinshu/conv_j.html
第4条
締約国は、一の人種の優越性若しくは一の皮膚の色若しくは種族的出身の人の集団の優越性の思想若しくは理論に基づくあらゆる宣伝及び団体又は人種的憎悪及び人種差別(形態のいかんを問わない。)を正当化し若しくは助長することを企てるあらゆる宣伝及び団体を非難し、また、このような差別のあらゆる扇動又は行為を根絶することを目的とする迅速かつ積極的な措置をとることを約束する。このため、締約国は、世界人権宣言に具現された原則及び次条に明示的に定める権利に十分な考慮を払って、特に次のことを行う。
(a)人種的優越又は憎悪に基づく思想のあらゆる流布、人種差別の扇動、いかなる人種若しくは皮膚の色若しくは種族的出身を異にする人の集団に対するものであるかを問わずすべての暴力行為又はその行為の扇動及び人種主義に基づく活動に対する資金援助を含むいかなる援助の提供も、法律で処罰すべき犯罪であることを宣言すること。
(b)人種差別を助長し及び扇動する団体及び組織的宣伝活動その他のすべての宣伝活動を違法であるとして禁止するものとし、このような団体又は活動への参加が法律で処罰すべき犯罪であることを認めること。
(後略)
やはりこちらにも マイノリティの語は入ってません ね(もっともこっちには「性/ジェンダー」の後も入ってませんが)。したがって、男性に対する悪口のようなものが、差別を扇動するようなものであるならば、まだ十分ヘイトスピーチでありえるかもしれない。しかしここで堀田さんが言いたいのは、「ヘイトスピーチ」の害悪で重要であり、したがって定義でも重要なのは「差別の助長・扇動である」というところなのはわかります。
「定義には目的がある」のは確かにそのとおりです。それぞれ目的をもって言葉を定義する。ただし、実際に定義する人がおこなうのは、同じようなものから自分がその言葉によって対象に したい 一定のものを取り出し、対象に したくない 一定のものを除外することです(特に)。「ヘイトスピーチ」を定義する(特に明確化定義/約定的定義では)とき、その人は、ヘイトスピーチと呼ばれ うる かもしれないものから、一定のもの、自分が望ましくないと思うものを排除しようとしている。それが定義の目的です。これはもちろんぜんぜんかまわない。
しかしながら、堀田さんたちは、「ヘイトスピーチ」からまさに「男性へのヘイトスピーチ」を排除するために定義を提案しているにすぎないように私には見えます。そしてその根拠はそんなに強くない。
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