んで、北村先生の4つめのポイント、キャラハン刑事が無能ポンコツである、というやつ。ここが最大のポイントですねえ。(「ポンコツ」っていう言葉には私自身はちょっと違和感があるんですが、それはここでは問題にしません)
キャラハン刑事が刑事として無能ってことはないですよね。そりゃおかしすぎる。だって、冒頭から(1回しか見てないので不正確ですが)、(1) 冒頭の狙撃現場にいち早く到着し証拠を集めてる、(2) 3人組銀行強盗をホットドッグかなにかをもぐもぐしながら、御自慢の44マグナムで一瞬で片づける、ついでに生き延びた犯罪者を脅してからかう、(3) 飛び降りをひどい方法で阻止する、(4) スコルピオと象も倒せるライフルで銃撃戦する、(5) 町内会自警団にぼこぼこにされながら抵抗しない、(6) スコルピオに電話でいびられながら身代金を運ぶ、途中でチンピラを撃退する、スコルピオにボコボコにされながらいったん倒す、(7) スコルピオの住居をあばく、(8) スコルピオを痛めつけて人質の所在を明らかにする、(9) バスに飛びのり誘拐を阻止する、(10) スコルピオをおいつめる、(11) 子供を人質にとられてもなんとかする、とか延々大活躍、もちろん、被疑者の人権を尊重しないのは警察としてはぜんぜんだめだけど、その他の点では めちゃ有能 ですわよ。キャラハンは 有能な狂信者 なわけですわ。たいへん危険な人物であり、警察で働くには適当でない。有能でもクビにしてください。そしたらもうはっきりした犯罪者候補ですわ。
北村先生は「比較的ぬるい展開」って言うけど、こんな大活躍を2時間ぐらいにつめこんでるんだからなにもぬるくない。「ぬるい」っていうもは現代的な撮影・映像技術や音響技術が超進歩して最初っからガンガンギラギラで刺激だらけにされてる現代のアクション映画と比較したらぬるいっていう話であって、展開はぜんぜんぬるくないっしょ。50年前の映画と現代の刺激ばっかりの映画くらべるのはそりゃちょっとどうなのか。『サイコ』や『鳥』や『裏窓』だって、今の感覚からしたらたら刺激が足りないかもしれない。でも映画の世界に没入したらそうでもないんじゃないかな。この没入できない、っていうのはそれぞれいろんな事情があるんだろうけどねえ。
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