セックス同意年齢の問題(3) 年の差セックス!

んで、国内での同意年齢のひきあげで問題になっているのは中学生同士のセックスみたいなやつというよりは、年上の男性と中学生ぐらいの女子のセックスみたいですね。最近もりあがったケースでも「50才の男と14才の少女が!」みたいなのが強調されていて、まあ50才男と14才中学生女子のセックスを禁止したい、そうした改正に反対するやつは少女とセックスしたいペドフィリアだ!とか、「普遍的な基本的人権を否定する人だと思われても仕方がない!」1みたいな話になっていて、ちょっとあれすぎると思います。

でもまあそれは置いといて、なぜ年の差恋愛・年の差セックスには問題あるんすかね。そもそも年の差のある性的関係というのに対して我々の多くがなんかおかしい、キモい(特に年上男の方がキモい)という発想をするみたいですね。この前書いた年の差婚を「トロフィーワイフ」として侮蔑するような傾向にあらわれている。でもまあそれも置いといて、なぜ年の差のためにセックスを禁止するべきなのか。今回の法改正では、男女問わず同意年齢を上げようとしているので、中学生ぐらいの人々のセックスが全般的に禁止されるわけですが、特に年の差関係をターゲットにして同意年齢を引き上げようとしているのはありだと思います。なんたって強制性交等罪で有罪になったら最低5年の懲役(当然実刑、執行猶予なし)ですから、それには「トロフィーワイフ」を侮蔑するよりもはるかにしっかりした正当化が必要だと思います。これはものすごく重い刑罰です。それほどまでにして威嚇し抑制し実際に刑罰を与えねばならないのはなぜなのか。

ワートハイマー先生は、年の差セックスを抑止する制作について二つの正当化の可能性をあげています。(1) 年の差セックスには強制が含まれやすいから。(2) 年の差セックスには搾取が含まれやすいから。

「〜やすい」って書きましたが、まあ実際ある人間関係や交渉や契約に強制や搾取が含まれているかどうかというのは、基本的にはケースバイケースで見なければならないわけですが、それは非常にコストがかかってしまいます。ある人々にある行為をする適切な判断能力があるかどうかも本来はその人をいろいろ見てみないとならんのですが、それはあまりも手間なので「これくらい以下はまず判断能力がないってことにしておこう」というので13才とか15才とかの同意年齢をそれぞれの国で定めているわけですね。同様に、年の差セックスに実際強制や搾取が含まれているかどうかを判断するのは手間がかかるので、ある程度の年の差があったらNGにしとこう、という発想があるわけです。これまああるていどしょうがないといえばしょうがない。

もっとも、ここで注意しておかないとならないのは、年の差セックスには強制や搾取が含まれやすい、と考えすぎると、同世代セックスでも同様に強制や搾取はけっこう含まれてるだろうということを見落したりすることになりやすいかもしれません。十代の男女だけでなく、人生のあらゆる時代で強制や搾取を含む関係はありうる。若年者が強制や搾取の被害者になりやすいのであれば、そうした人々は同年代からも強制や搾取されやすいかもしれない。では年の差関係を特別視する理由はあるのかどうか。いいかえると、 年齢が判断能力のだいたい(一応信頼せざるをえない)目安になるように、年齢差が強制や搾取のだいたいの(一応信頼できる)目安になるのかどうか 。もし年の差関係が強制的だったり搾取的だったりする傾向が大きければ、それを目安にして人々の行動を制約することは正当化されるかもしれない。そして、「これ以下の子供とのセックスは一律禁止」としておくのが有効なのと同様に、「これくらいの年の差のセックスは禁止(すくなくとも一方が若年のあいだは)」とやるのは正当化できるし適切かもしれない。

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