不如意ブログ

ハイト先生による強みの伸ばし方リスト

Jonathan Haidt (2002) “It’s more fun to work on strengths than weaknesses (but it may not be better for you)” (リンクはこれだけどWORDのファイルなので注意)という未刊行論文(研究発表?)の付録として掲載されている「強み」のエクササイズ(修練)のリスト。ピーターソン先生とかが参考にしたやつ。「弱み」の克服にもよいらしい。こういうのは、こうしなければならないってんではなく、自分で考えるのが楽しい。そっからはじめるための単なるトリガー。でもリスト眺めてみるとおもしろそうなのもあるわね。

  • 好奇心、世界に対する興味
  1. クラスで質問する
  2. 新しい場所を見つける
  3. 図書館の棚を見てまわる。毎日幅広い分野のおもしろそうに見える本を 手にとって、20分ざっと読む。
  4. いつもだったら試してみない新しい食べ物を食べてみる。
  5. 会合に出席する、講演を聞く
  • 学習意欲、勉強好き
  1. 毎日、京都の新しい場所を発見する
  2. いつもと違う新聞を読む
  3. 特に質問がなくても教授の研究室を訪問してみる
  4. クラスで質問する
  5. サーチエンジンで、いつもはしないような検索をしてみて、いつもは見ないようなサイトを見る
  6. 毎日、クラスの課題以外の本の1章を読む
  7. いつもおもしろいなとは思うものの、時間がなくてよく読めていない本を読む
  • 判断力、批判的思考、オープンマインド
  1. 多文化的なグループやイベントに出席する
  2. 「悪魔の代弁者」を演じることにして、自分の個人的見解と反対の立場からディスカッションに参加する
  3. 自分とはどこかちがうところのあるクラスメートや寮の知り合いといっしょにランチする
  4. いつもとは別の教会や宗教イベントに行く
  5. 毎日、自分が強く信じていることをとりあげて、それがまちがっていたらどうだろうと考えてみる
  • 創造性、創意工夫、独創性
  1. 日記をつける、絵を描く、ポエムを作る
  2. 文学雑誌や新聞に作品を投稿する
  3. ノートや部屋をデコレーションする
  4. 自分の部屋のものをひとつとりあげて、普通の使い方とは違う使い方を考えてみる
  5. 毎日1個新しい言葉をおぼえて、それを創造的に使ってみる
  6. 毎日LINEなどの自分のプロフィールを変更する
  • 社会的知性
  1. 毎日一人、知らない人にアプローチして会う
  2. ふつうはあんまり居心地がよくない集まりに顔をだして、なじむようにする
  3. 人と話をするときにはいつも、なにがその人の動機であり関心であるかを考えるようにす
  4. 一人ぼっちになっている人を見つけて仲良くなり、自分のグループに入れる
  • 視野の広さ、賢明さ
  1. 毎日一つ誰かの名言をオンラインで手に入れる
  2. 動揺している友達にアドバイスする
  3. 一番賢明な知り合いのことを考える。毎日その人のように生活してみる。
  4. 歴史上の重要人物を見つけ、当時の重要問題についての彼らの見解を学ぶ。あるいは彼らの重要な名言を学ぶ。
  • 勇敢さ
  1. (もし週間がなければ)クラスで発言する
  2. ピアプレッシャー(回りからの圧力)や社会規範に背くことをする
  3. 意見が違っていても、誰かのために立ちあがって主張する
  4. 誰かを外出かダンスに誘う
  5. クラスで隣りになった人に自己紹介する
  6. みなが好きではない考えを公言し擁護する(もしそれを信じているなら)
  • 勤勉さ、努力、忍耐力
  1. 締切前に仕事をおわらせる。
  2. 一つのタスクをやめたいという自分の考えに注意し、それを無視する。手元のタスクに集中する。
  3. 授業中ぼーっと夢想したり気が散ったりするのに抵抗する
  4. 前もって計画する:課題やテストのためカレンダーを使う
  5. 高い目標を設定すし、それをがんばる(エクササイズや学習など)
  6. 朝起きたときに、次の日に延期できるがその日にやってしまいたいことのリストを作る。そしてその日のうちにやりとげる
  • 誠実さ、正直、本物、自分に忠実
  1. 友達に小さな嘘や善意の嘘をつくのをやめる(本気ではないお世辞も含めて)。もしそうした嘘をついてしまったら、すぐにそれを認めてあやまる。
  2. 自分をモニターして、嘘をつくたびにそれをリストにする(小さな嘘でも)。毎日そのリストが短くなるようにがんばる。
  3. 一日の終りに、他人に実際よりよい印象を与えようとしたり見せびらかそうとしてやったことをリストアップする。それをまたくりかえさないように決心する。
  • 熱意、集中力、エネルギー
  1. 自分がすでに所属している組織にもっと貢献できるように余計な手間をかける。
  2. 受けている授業の一つにもっと興味をもてるようにする。たとえば授業活動でボランティアで役目を引き受ける。
  3. 誰からから命じられたからではなく、自分がやりたいからという理由でなにかをする。
  4. 夜よく眠り、よい朝食をとり、日中もっとエネルギーがあるようにする
  5. 朝、なにか肉体的に元気が必要なことをする(ジョギング、腕立て伏せなど)
  • 親切、寛大、気前のよさ
  1. カフェなどでチップをはずむ 。
  2. 毎日、ランダムになにか親切なこと(シンプルでちいさなことでよい)をする。可能なら匿名でおこなう。
  3. 友達の話をよく聞く。友達の一日がどうだったかたずね、自分の一日について話すまえに実際に友達の話を聞く。
  4. 毎日違う友達にe-カードを送る
  5. 友達と外出したときに、自分が支払いをして友達におごる。
  • 愛し愛される能力
  1. 友達・恋人・兄弟・親などに、好きだと言う。
  2. 好きなひとに、その人のことを考えているというカードかeカードを送る。
  3. 好きなひとにハグしてキスする
  4. ナイスなメモを書いて、好きなひとが一日のあいだにそれを見つけられるようにする。毎日別の場所で、別の人に向けておこなう。
  • チームワーク、よき市民
  1. 福祉施設でボランティアをする。
  2. 自分が所属している組織でもうひとつ仕事を引き受ける
  3. 地面に落ちているゴミをひろう
  4. 自分たちのホールやラウンジ(みなで使う場所ならどこでも)をきれいにする。
  5. 寮などの夕食会を計画し実行する
  6. グループワークで分担の役目を果たす、ファシリテーターをする
  • 公正さ、公平さ、正義
  1. 人がその人のペースで話すのをそのままゆるしておく。判断をしないことによってオープンマインドを保つ
  2. 友達どうしの口論のときに、自分の信念にかかわらず中立をたもつ。仲裁者になる。
  3. 自分がステレオタイプや予断によって人々を扱っていることに気をつける。同じことをまたしないように決心する。
  • リーダーシップ
  1. 夜に友達や寮仲間のためになにかスペシャルなことを計画する
  2. 読書会や勉強会や自主ゼミを企画する
  • 謙虚、謙遜
  1. 1日いっぱい、自分のことは話さないでいる
  2. Dress and act modestly, so as not to attract attention to yourself.
  3. Find a way in which someone you know is better than you. Compliment him or her for it.
  • 自己コントロール、自己統制、自己規制
  1. 2時間(または適当な時間)時間を設定し、実際に静かな場所で勉強する
  2. 1週間に4日なにか運動する(まだそういう習慣がなければ)
  3. 自分の部屋を掃除する。毎日、目についたゴミを片づけること。
  4. いつもあとで食べたことを後悔するような食べ物を残して食事を終える
  5. 誰かが気にさわっても、それを気にせず、自分の人生のよい面に注目する
  6. ゴシップをしゃべらない決心をする。陰口を話したくなったら、自分の決心を思い出して、話しだすまえに止める。
  7. 夜、次の日にやることを書き出す。それをがんばってやる。
  8. なにかについて感情的になってしまったら、心を落ちつけてゆっくり問題をもういちど考えなおす
  • 注意深さ、思慮、分別、慎重
  1. 会話しているときに、なにか言うまえにもう一度考える。自分の言葉が他人に与える影響について見つもってみる。
  2. 1日に3回、「備えあれば憂いなし」「転ばぬ先の杖」について考える。自分の人生にそれをとりこむよう努力する。
  3. なにか大事なことをする決定をする前に、それについてしばらく考えて、1時間後、1日後、1年後その結果を我慢できるか考える。
  • 赦し、情け、寛大さ
  1. あなたが赦せないと 思っている人のことを考える。その人の立場から状況を考えてみる。次に、自分が悪いことをした人だったら、自分が赦してもらえると思うかを考える。
  2. 毎晩日記をつけて、自分を怒らせたひとについて、あるいは恨んでいる人について書く。恨みについて書き終ったら、その人たちを赦したくない理由を書く。さらに、その人の立場からその状況を考えて、その人を許す。
  3. 過去に自分を怒らせた人に連絡をとる。その人たちを赦していることを知らせる。あるいは、単に会話で親切な対応をするだけでもよい。
  4. 誰かがあなたが理解できないようなことをしたら、その人がそれをした意図を推測してみる。
  • 美と卓越の評価鑑賞
  1. 博物館や美術館を訪問し、美しくて自分の価値観にあった作品や展示をピックアップする。
  2. 自分の芸術作品についての思考を書き出してみる。あるいは地上で見た美しいものについて書いてみる。
  3. 友達と散歩して、目にとまったきれいなものについてコメントをする。
  4. コンサートに行き、音楽的な価値を味わいながら音を楽しむ。あるいは毎晩、自分を感動させる音楽をとりあげてヘッドホンで聞きながらそれをじっくり鑑賞してみる。あるいは友達に一番美しいと思う音楽を紹介してもらう。
  5. 日記をつける。そして毎晩、その日に見た一番美しいもの、あるいは一番精巧なものを記録する。
  6. 美しさや価値の点で自分をハッピーにしてくれるものや、身体活動、モノなどを見つける。一日のあいだそれによって自分を刺激する。
  7. 図書館で美術の本を眺める。
  • 感謝
  1. 日記をつけて、人生で感謝していることを毎日三つ記録する。
  2. 毎日、これまで当然だと思っていたことについてその人に感謝する。(たとえば校舎を掃除してくれる人達に対して)
  3. 1日のあいだに「ありがとう」と言った回数を記録する。1週間のあいだに、その数が倍になるようにトライする。
  4. 毎日親・兄弟・友達に電話して、感謝を伝える(たとえば、いまある自分にしてくれたことについて、あるいはいつもいっしょにいてくれることについて)
  5. 誰かに「サンキュー」E-カードを送る。
  6. ルームメイトや寮仲間にたいして、何かについて感謝しているというメモを残す。
  • 希望、楽観性、未来志向
  1. 日記をつけて、毎晩、その日にした長期的に自分の人生に影響しそうな決定を記録する。
  2. 悪い状況にあるときに、裏側からみて見てそれの楽観的な面を見るようにする。その時点ではひどいことに思えても、ほとんどどんな状況にもよい点を見つけることができるはずだ。
  3. 自分がこれまでにしてしまった悪い決定のリストをつくる。自分自信を赦して、人生をあともどりできないこと、現在と未来に集中するしかないことを確認する。
  4. 自分のネガティブな考えに注意する。それにポジティブな考え方で対抗する。
  5. 自分が全力をつくしたことは成功できるし成功するだろうと自分に言いきかせる。
  • 精神性、スピリチュアリティ、人生の目的、信仰
  1. 5分間、リラックスして人生の目的について考える、そして自分がどこにフィットするか考える。
  2. 5分間、自分が世界やコミュニティを改善するためになにができるか考えてみる。
  3. 宗教やスピリチュアリティの本を読む。あるいは、宗教的活動に毎日行く。
  4. さまざまな宗教を研究してみる。図書館で本を探したり、友人に信じている宗教についてたずねるとよい。
  5. 1日数分間、祈りをささげるか瞑想する。
  6. 肯定的・楽観的な名言の引用されている本を買う。毎日数行を読む。
  • ユーモア、遊び心
  1. 毎日、誰かを笑わせるか微笑ませる。
  2. ジョークを学んでそれを友達に紹介する。
  3. おかしい映画やテレビ番組を見る。
  4. マンガを読む。
  5. 手品をおぼえて、友達に見せる。

読書案内:プラトン先生のエロス

プラトン先生の『饗宴』は絶対に一回は読まないとならない。いろんな訳があるので、まあ好きなので読めばいいと思う。文庫本でいいでしょ。光文社の中澤先生のは注とかも豊富だし、いまのファーストチョイスだと思う。京大出版会の朴先生のも注釈が便利。一般に翻訳は最初は新しいのを手に入れておけばよい。国内では「なんでもとにかく岩波文庫」って雰囲気があるけど、古いのも多いしねえ。





偉い先生は多いけど、現在のプラトンの権威は納富先生なんだと思う。これは手に入りにくいけど、Kindleあるんだったかな。

でも、専門の先生たちの解説では、なんかプラトン先生の下品なところ、エッチなところ、ごくごく身体的なところ、実感に即して身も蓋もないところが削られちゃって、すごく理想的な感じになってて私あんまり納得してないんすわ。専門の先生ももっと下品なことを書いてほしい。でもギリシア語も読めない人間があれしてもしょうがないので権威にしたがってください。

納富先生のも、美知太郎先生のも、なんか私が読んでるプラトン先生の生々しい感じとはずいぶん距離がある。私が下品なだけか。

パイドロスも文庫でいいと思う。こっちは『饗宴』よりさらに読みにくいねえ。

あ、以前の読書案内では紹介したんだけど、セックス哲学史を勉強するときは全体としてブラックバーン先生のを読んでおくべきだとおもう。

読書案内:古代ギリシアの奥深い純情

女子大の講義でセックス哲学史みたいなのやってるんですが、回ごとの学生様向け読書案内をなるべく掲載してみたい。実は前にも書いてるんだけど、時代別に分けてみましょう。


古代ギリシアの生活など

古い文物は文字だけではイメージがつかめないので、ぜひヴィジュアル本を読みたい。人の名前おぼえるにはとにかく顔を見るのがよい。とにかく歴史については、ヴィジュアルから攻める。もちろん映画とか見るのもよい。

他にも「ふくろうの本」「とんぼの本」シリーズなどのヴィジュアル本は見てておもしろいので、ヒマがあれば図書館でめくってみてもらいたいものです。文字だけの本とはぜんぜんおもしろさが違う。

ギリシア神話

いろんな本で紹介されている。「本当の」「正しい」ギリシア神話、というものがあるわけではなく、後代の人々が勝手にいろんな話を付け加えている形で広まっているので、適当に読めばよい。たとえばこういうのでいいだろう。

あらかた知ってる人は、シシン先生の本を読むと「そうなのかー」ってのがあるはず。

ホメロス作品

岩波文庫ので読めばいいと思うけど、若干読みにくいし長い。

むしろこういう少年少女向けに翻案されたもので楽しみながら概略を知ればよいと思う。

サッポー

サッフォーの恋愛詩は岩波文庫の呉茂一訳『ギリシア・ローマ抒情詩選』にはいってます。

沓掛良彦先生の解説がすばらしい。この先生はほんとうにすばらしい学者なので、文学に興味のある人は片っ端から読みたい。

サッポー先生の女子コーラス学校(宝塚みたいなものか)を舞台にしたマンガおもしろい。

パイデラステア(古代ギリシアの少年愛)

この本が定番。

上の『エーリンナ』でもちょっとだけ描かれてる。

難しい話をする人たちの間では、ハルプリンの『同性愛の百年間』というのがよくひきあいに出されるけど、江口はおすすめしない。

わたせせいぞう先生の人間球体論

プラトン先生の『饗宴』でのアリストパネス先生の酒席の馬鹿話は、マンガ家のわたせせいぞう先生によってロマンチックなお話に書き換えられているのは記憶していたのですが、『ハートカクテル』や『菜』といった名作のどこにあるのかわからず2〜3週間ネットで情報を探していました。

そしてついに今日それを発見してKindleでそれが掲載されているやつを買うことができたのです!さすがに古本で1冊ずつ集めるのも手間だし、まとまってると高いし、Kindleで順番に読んでくってのもお金がかかっちゃう。そんなお金はありません。

「半球体のセーター」という話があるということを http://www003.upp.so-net.ne.jp/ki-ki/watase/index.htm このページの方に教えてもらい、その話自体は見つからなかったのですが『ハートカクテルSweet』に「うねりを待つ半球体」載ってるはずだということを確認し、ゲット。いやー、たいへんでした。

わたせせいぞう『ハートカクテルSweet』より

いやー、バブルな感じがかっこいいですね。先生はこの話がお気にいりで、何回も使ってるはず。もちろん「プラトン先生の原典に即してない」とか文句つける気はないです。

私的SNSリテラシー(ver. 0.1)

Dropbox Paperでだらだら書いてたものだけど、おわらないからもうこっちに載せちゃう。最近山口真一先生の『炎上とクチコミの経済学』っていうグッドな本を読んで、また別に書きたいこともでてくるかもしれないし。とりあえずこんな駄文読んでるより山口先生読みましょう。→ ちょっとだけ抜粋したもの。関係ないけどMediaMarkerなくなるらしくて弱りました。困った困った。


だらだら。SNSリテラシー、というかツイッターリテラシー。何に気をつけてるかなあ。以下はけっして「うまくいく方法」ではない。うまいくいかない。

話のネタを見てもすぐに「コミット」しない。

ニュースなどを見て、そのときに感じたことを書くのは問題がないが、すぐに誰かを非難するのは避けたい。なにかを人前で書くことは「コミット」することになる。コミット・コミットメントってなんか難しいけど、自己束縛ね。人前で自分の立場を表明してしまうと、いわゆる「首尾一貫性バイアス」ってのが働いて、すでに採用し表明した自分の立場を守りたくなってしまう。また自分にまちがいがあったことがわかってもそれをなんらかの形でごまかしたくなる。ごまかせない場合は無視してなかったことにしたい。この欲求はものすごく強くて、私自身はそれに抵抗できるかどうかぜんぜん自信ないですね。

それに、どうしてもコミットしなければならないと感じることも多い。たとえば暴力反対、性暴力反対、戦争反対、差別反対。こういうのは当然のことだけど、SNSで話がまわってきた最初のうちは事実関係もはっきりしなかったり、一部の人々が勝手な推測を広めていたりする。そうした情報にもとづいて自分をコミットしてしまうと、あとはひどいことになるんじゃないかと思うわけです。事実関係がはっきりするまでは我慢して「へー」「もし〜ならひどいなあ」ぐらいにしておけばすぐにおかしなっことになるのは避けられる。特に誰かを非難するっていうのは重大なことなので、我慢のしどころ。でも私誘惑に弱いから。ははは。

チャルディーニ先生の『影響力の武器』(万人が必読)っていう本のなかに、中国共産党が朝鮮戦争で捕まえた米兵に、資本主義を批判する文章だか、共産主義を擁護する文章だかを筆写しろ、っていう作業をやらせたらしいんですわ。すると、それやらされた米兵は共産主義に共感的になってしまう。まあ写経ってそういうところありますよね。わからないなりに一回自分の手で書いてしまうとそれにコミットしてしまう。リツイートなんかもそうかもしれない。

ツイッタその他で、個人が一方的に「誰それにこんなひどいことされました、言われました」みたいなのは特に用心が必要ですね。聞きまちがい、勘違い、その他人間はいろいろ間違うものです。悪意があればなおさら。ついでに、そうした一方的な断言にすぐにのっかる人はそれなりのマークをつけておいて、「このひとはこういうときにすぐにコミットするひとなのだな」ぐらい記憶しておきたいです。用心深いひとは、「もし〜が本当だとしたら〜はひどい奴だ」みたいな書きかたをしますが、これでもけっこう危険な兆候ではないかと思ってます。こういう書き方は用心はしているものの、特に、敵対的な人々、あるいは親しみのない人々、「エキゾチック」な人々に対してよく使われているような気がする。まあでも避けようもないんですけどね。

すぐに一般化した判断を書いてしまうのを避ける。

誰か個人を攻撃すると、個人攻撃であると読まれるのがいやだったりするので、もっと広い範囲を非難してしまいたくなる。「社会が悪い」とか。でもそれって、根拠がしっかりしてなければだいたい「性急な一般化」の誤謬推理になるし、もともとの情報がただしくなかったら完全に偏見になってしまう。

ニュース記事、特に第一報には用心する。

新聞その他のニュース記事を書いている人も我々と同じ人間で、ツイッターを見ていれば人間というのがどれくらい間違いやすいものであるか、自分勝手なものであるかわかるわけで、ニュース記者がツイッターユーザー以上に優れた判断力をもっていると想定する理由はなにもないわけです。もちろんちゃんと取材している記事には貴重なものですが、そうでない記事もたくさんあるのはみなよく知ってるところ。

一気にリツイートが増えるタイプのは人々の感情に訴えかけるものが多いので特に用心する。

「わー」ってひろがるのは、われわれの感情に訴えかけるから話題になるわけですよね。特に正義や平等にかかわるやつは我々の義憤を促す。でも義憤っていうのはこれは生の怒りとはまたちがうものでまちがいやすいものだと思う。

有力な発言者はいちおう傾向を見ておく。「半年ROMれ」ってやつだねえ。

まあ有力な人びとはそれぞれそれなりの癖と傾向があるから有名なのでね。

他の人々、特に集団が怠惰だとか無能だとか(十分な根拠がなければ)想定しない。

これはけっこう気になるやつで、ある種の人びとはすぐに「〜は無能」「おかしい」とかって判断をしちゃうけど、私は公の組織がそれほど狂ってる場合というのは特にワンマンだったりおかしなトップもってないかぎりはそれほど多くないと思ってる。報道や論説の方がなにかおかしい場合も疑わないとならないような。もっともおかしな組織や集団はたしかにあるんだけど。

これは個人的にいくつか印象深いのがあって、「〜省の判断はまちがってる」「〜省はなんでそういう判断するんですかね」「官僚が馬鹿だからだ!」みたいな会話を何回かして(文科省だけではない)、それじゃやっぱりうまい説明じゃないなあ、みたいなことがあって、そういう人々とは距離を置くようになってしまいました。

社会というか人の集団は単純ではない。意思決定がどういうふうにおこなわれてるか本人たちでさえわからないことが多い。

まともな人びとがあつまってると想定できるのに集団がおかしなことをしている場合には、やはりなぜそうなったのかを考えたい、というか知りたい。全員が無能で邪悪だから、ではなくなにか構造的な問題があるのだろうと思うようにしている。

基本的には、長く観察した人でなければ反応しないのが吉。なぜ誰だかわからないひとと交流しようとするのだろう?

まあ私が相手が誰だかわからないと会話する気にはなれないです。もちろんネットになんか書いてる以上、質問されたら答えなきゃならないことは多いけど、知らない人にこっちから接近するってのはあんまりないなあ。

その論者が具体例やデータを出す用意があるのかどうかには特に注意する。

なんか報道されたことについて、単純な原則みたいなのを披露するのは簡単なのよね。それぞれの問題の難しい点、特徴、報道されてない側面、なんかのデータや新奇な発想をもってるのかどうか。そうしたものをもってないのに大声で叫ぶ人、他人を非難するひとはそういう人である。

フォロワー多いひとは有名人なので、少ない人間がお相手する必要はない。

お相手っていうか、なにかお話してみたくなっても、有名人のひとからしたら我々なんか見分けつかないようなもんだしねえ。同じ意見はすでにたくさん寄せられているだろう。

タイムライン見てリツイートだらけの人は無視してよい。

まあリツイート多い人々はなにか政治的な運動を目指していたり、人々をディスることが主目的だったりするわけで、そういうのも目指さない人にはあんまり関係がない。ちょうど「悪口は自分で書くべきだ」っていう意見を目にしたけど、私もそう思う。悪口こそ自分で書きたい。おもしろいから。それにドキドキするし。ははは。緊張感がない悪口はつまらん。まあ良いことにしても悪いことにしても、リツイートするだけで自分のコメント書けない人はチキンである。そして我々は1日にそんなに多くのことを判断できるわけではない。

シングルイシューの人は避ける。

SNSのおもしろさというのは、やはり人々の多面性を見るところにあると思うんですわ。「ああいうことを言う人がこっちではこういうことを感じるのかー、なるほど人生は難しい」みたいな。でも一つの問題だけをとりあつかっている人々はそういう人間の深みを見せてくれることは少ない。それならもっと非パーソナルなメディアの方で見学する方が向いているかもしれない。

全体的なポジティブ/ネガティブな傾向はやはり大事。ネガティブなのは必ずしもわるいことではないけど、やはりそっち向きに歪んでることが多いように思う。まあポジティブなのも歪んでるんだけど有害さは比較的ましか。

ネガティブな気質の人々は、社会その他の問題を発見したり、それを修正方法を考えたりする力があって大事だと思うんですよね。でも毎日毎日ずーっと他人のアラを探している人々はやはり不幸だろうと思う。もちろん、抑圧されたり差別されたり、不幸な状況に置かれているからネガティブになってしまうっていうのもありなので、全体にネガティブだから嫌うっていうのはおかしいことだとは思うです。でもその苦しみみたいなのにずーっとつきあうのも体力や健康が必要よね。みんなができることではないかもしれない。少なくともそれにつきあうことで、利得があるとか、自分もなにか大きなことに参加できるとか、そういう意識がないとつらい人々とずっといっしょにいることはできない。

ポジ/ネガの他に、ネタのあつかいが主体的/反応的っていう分類もあって、反応的なのはだいまちがってしまう。なんかネタが外部にある。

ネタというか、テーマや話題について、それ自体に興味があるというよりも、他の人を攻撃する道具として反応している人々がいるように思う。私が優れていると思っている人々は、たいてい、新しいテーマや話題を提供する力がある人々で、そのテーマはみなが見てない資料や書籍、論文、あるいは自分の本当の体験なんかからとってきている。

健康にわるい人々はとにかくミュート。人間はたくさんいます。

いずれどっかで見ることになるのだから、毎日フォローしている必要はない。

アイコンはけっこうな手掛かりになります。アイコンを見てストレス感じるようになったら、ためらわずミュート。

アイコンがいやな感じになるのは、もともとも趣味があわない人のときと、その人の発言見てるうちに連想が働いて嫌いになる場合があるように思う。アイコン見て「いやだな」って思ったらまあもう見ないのがいいと思う。ふつうは見慣れて単純接触効果とかで好きになるものなわけで。

ツイッタ検索はデフォルトではいろんな癖があるので注意。検索しないのが吉、だけどそうもいかんわよね。

web版や公式アプリでは注目浴びたものを選択しているみたいで、拾い落しも多い。

まあやっぱり傾向まで記憶して見物できるのは200人ぐらいまでだと思う。

そんなにたくさんの人に関心をもつことはできないし、共感的な読みや善意の読みをすることができるのはやはり関心もってる人だけだろうと思う。

前にも書いたけど、私の感じでは、興味ある人は最初50点ぐらいに評価しておいて、長く見てるうちに次第にプラスマイナスしていく感じ。まあここに自分の好みが反映されるわけだけど、それはそれでOK。

頭のなかでこうい評価の上下やってるから、あんまり多くの人はフォローできないのよね。

あきらかな言い掛かりや大きな誤解みたいなをして訂正もしないのを何回も目撃したらすぐに評価がさがっていく。

やっぱり失敗したときにどうするかってので人間の価値はわかる。

まちがった発言をしてしまったときの対応はいつも考えておきたい。我々は非常によくまちがうし不道徳なことをするので、それがバレたときの対処が大事。「すみませんすみません」ぐらいで逃げてしまうのがいいと思うけど、そのさい何がまちがったのか、なぜまちがったのか書いた方がよさそう 。

これほんとうにむずかしい。私も頻繁に誤解・誤読にもとづく違和感や非難の表明や、おかしな知識や古い知識の披露なんかしてしまうんだけど、修正するのはとても心理的負担が大きいのよね。負担を感じずに修正する決まり文句みたいなのが必要かもしれないと思ってる。

リツイートは非表示に。

そんな沢山の人々の意見を見る必要はない。私はあらかた「リツイートは非表示」にして、数人の特に興味ある人々だけ表示するようにしてるです。

ツイッタにいる人々よりは、書籍や論文とお話する方が楽しい。

ツイッタは反応があるし、ふつうの人々がおもしろいことを言ったり、自分では体験できないような個人的な経験や思考を語ってくれたり、ふつうにまちがうからおもしろいけどね。

言葉づかいが特殊な人々、ツイート内部、あるいはツイート間の論理的・連想的なつながりが理解できない人々を無理に理解しようとしない。

ときどきひどく難しい人々、思わせぶりだけどよくわからないことを言う人々がいて、一部はどうも知的に優秀な人々らしいのですが、それを無理に理解しようとしてもあんまり益はない感じです。これはまあ私の長年のネット生活での反省。けっこう長いこと観察してもけっきょくよくわからないままだったりするし。ぜんぜん別のことを考えいたり、基本的なところであいいいれなかったりしそう。

人の集団にレッテルを貼る人々、定義されていない言葉をつかう人を避ける

「ネオリベ」みたいなの定義も例示もせずに使うひとはまあそれだけで私はパスかな。ネオリベの代表者の名前を数人出してくれりゃいいんですけどね。その他の蔑称を使う人は論外なのですぐにミュート。


2018/09/13 余計な論争みて余計なことを書いて勢いのある先生に火をつけられそうになってしまった。ははは。


レポートの体裁を指示する

レポートはたくさん書いてほしいわけだけど、体裁がなってないと見るのもつらいので、最低限体裁はしっかりしてほしい。いろいろ指示書きを配ったり、「レポートの表紙」(できぐあい表。「ルーブリック」ってのはまたすぐに言葉が思い浮ばなかったがね!ルーブリック許さん)だけではうまくいかん。やはり見本だ。

ってんで見本つくってみました。まだ作成途上のなのでクラウドにあります。これから修正していくつもり。

レポートの体裁(PDF)

参考になるページは多いわけだし、なぜ自分で書く必要があるのかとは思うんだけど。

ピーターソン先生による自分の強みの伸ばし方リスト

すでになむなむなChristopher Peterson先生のA Primer in Positive Psychologyはすばらしい名著なのですが、翻訳ではあちこち大幅に文章が削られて意味がとれなくなっているところがある。誤訳も多くて困っています。以下は削られている「強み」を伸ばすエクササイズ。

自分の強み・長所・美徳を伸ばしましょう(あるいは気になる弱みや悪徳をすこしやわらげましょう)ってなエクササイズです。Habiticaのような習慣づけアプリに登録しておいて、気がついたらちょっと意識してやってみると幸福度が上がるかもしれないと思います。Haidt先生バージョンもあるよ

(順番ずれてます)

智恵と知識

  • 創造性
    • 陶芸、写真、彫刻、デッサン、絵画などのクラスに参加してみる
    • 自分の家のモノを一つとりあげて、ふつうの使い方ではない使い方を考えてみる──エクササイズ用の室内バイクを洋服掛けにするようなのはだめです
    • 自分のポエムを書いた葉書を友人に送ってみる
  • 好奇心
    • それについてなにも知識のない講座に出席してみる
    • よくしらない料理を出すレストランに入ってみる
    • 自分の街の知らない場所を訪問してみて、そこの歴史を学んでみる
  • オープンな心
    • 会話しているとき、悪魔の代弁者を演じてみる。自分自身の意見とは違う立場をとってみる。
    • 毎日、なにか強く信じられている意見を考えて、それが間違っていたらどうだろうかと考えてみる。
    • 自分とは「別の」政治的意見を採用しているラジオ番組を聞き新聞を読む
  • 学習意欲
    • 学生なら、「推薦」されているが「課題」にはなっていない本を読む
    • 毎日新しい言葉を学んでそれを実際に使ってみる
    • ノンフィクションの本を読む
  • 広い視野
    • 自分が知りあいの賢い人のことを考え、1日自分がその人であるかのように生活してみる
    • 頼まれたときだけにアドバイスをする、しかしその場合いは徹底的にする
    • 友達、家族、同僚どうしの間の言い争いを調停する

勇気

  • 勇敢
    • グループのなかであまり人気のない発想を擁護してみる
    • あなたが見つけた明らかな不正義について、適切な当局に抗議を申し入れる
    • いつもは恐怖心からやらないことしてみる
  • 忍耐力
    • やるべきことのリストをつくり、毎日そのリストから一つをする
    • 大事な仕事を締切前に終らせる
    • 邪魔なしに数時間仕事や勉強をしてみる。たとえばテレビをつけっぱなしにせず、電話がかからないようにして、メールも読まずに。
  • 熱意
    • 少なくとも1週間のあいだ、毎日目覚まし時計を鳴らさなくともよいくらい睡眠をとる。起きたら栄養たっぷりの朝食をとる。
    • 「どうしてそんなことするの? why?」と言う発言の3倍の回数「なんでしないの why not?」と言ってみる。
    • しなければならないからではなく、やりたいからという理由で毎日なにかをしてみる。
  • 誠実さ(authenticity)
    • 友達に白い嘘(悪意のない嘘、善意の嘘)を言うのをやめてみる(本気でない愚痴を含む)
    • 自分が一番重要だと思う価値について考えてみる。毎日それにしたがったなにかをする

人間性

    • 褒められたらもじもじしたり否定しない受け止める。単に「ありがとう」と返事をする
    • 好きな人に短いメモを書いて、それがその日に見つかるようにする
    • 親友といっしょに、そのひとが楽しめるなにかをする
  • 親切心
    • 病院や福祉施設にいる人を訪問する
    • 運転しているときに、歩行者に道を譲る。歩いているときは、車に道を譲る
    • 友達や家族に匿名で親切なことをする、プレゼントする
  • 社会的知性
    • 誰かを気楽な気持ちにする
    • 友達や家族がその人には難しいことをしていたらそれに気づくようにし、それを褒める
    • 誰かがうっとうしいと思ったときに、やりかえすのではなく、その人の動機を理解しようとする
  • チームワーク
    • 自分ができるかぎり最高のチームメイトになる
    • 毎日道端のゴミを拾いゴミ箱に入れるのに5分間使う
    • 慈善グループに参加する

正義

  • 公正さ
    • 1日に少なくとも1回、自分の間違いを認めてその責任をとる
    • 1日に少なくとも1回、自分があまり好きではない人の功績を認める
    • さえぎることなしに誰かの話すことをじっくり聞いてみる
  • リーダーシップ
    • 友達のためにお茶会やパーティーを企画する
    • 仕事場で不快な役割を担当し、それがしっかりやりとげられるようにする
    • 新人が喜んで迎えられていると感じられるように努力する

節制

  • 赦し
    • 毎日、恨みつらみをひとつ手放す
    • いやな気分にされたときに、それが正当ないやな気分であっても、自分がどう感じたを他の人に言わずにおさめる
    • 赦しの手紙を書く。それは実際に送らないこと。しかし1週間のあいだ毎日それを読む。
  • 思慮
    • 「おねがいします」「ありがとう」意外のことを言うときに、2回考えてみるようにする
    • 車の運転しているときに、制限速度より5キロ遅く走る
    • スナックを食べる前に、「これは脂肪をとるのに値するだろうか?」と考えてみる
  • 自己統制
    • エくササイズのプログラムを開始し、1週間のあいだ続ける
    • 他の人についてゴシップや悪口を言うのをやめる
    • 怒りだしてしまいそうなときに、10数える。必要なだけ繰り返す
  • 謙虚
    • 一日中、自分自身のことはなにも話さないでいてみる
    • 自分が注意されないような服を着る
    • 友達が自由よりもうまくやっていることを見つけ、それを褒める

超越

  • 審美眼、美の鑑賞
    • あまり行かない美術館や博物館に行く
    • 毎日その日に見た一番美しいものについての記録をつける
    • 1日に少なくとも1快、立ちどまって自然の美を見る。たとえば日の出、花、鳥の鳴き声など
  • ユーモア
    • 少なくとも1日1人以上人を笑顔にするか笑わせる
    • 手品をおぼえて友達に見せる
    • 「やれやれ、まただね」程度でいいので、自分自身をからかう
  • 感謝
    • 1日で何回「ありがとう」と言ったか記録する、1週間のあいだ毎日その回数が増えるようにしてみる
    • 一日の終りに、その日うまくいったこと・よかったことを3つ書き留める
    • 感謝の手紙を書く。できれば実際に送る
  • 希望
    • 過去にがっかりしたことを考えて、そのがっかりしたことによって可能になったことを考えてみる
    • 次の週、次の月、次の年の目標を書き出す。次にそのゴールを達成するための具体的なプランを考える
    • 自分の悲観的な考え方に反論する
  • 宗教性
    • 毎日、自分の人生の目的を考えてみる
    • 毎日のはじめに祈るか瞑想する
    • 自分がよくしらない宗教奉仕活動に参加してみる

Google Formsで自分をモニターする

いつも機嫌の悪い人間、不調を感じている人間とか、気分の浮き沈みの大きな人間、あるいは活動してないと調子悪くなる人間というのはいるわけです。私もその一人。いつもご機嫌なのは大学教員の義務なので1)機嫌の悪い教員や気分屋の教員ほど有害なものはない。、自分がなにをしているときに機嫌や調子がよく、なにをしているときに苦しんでいるのかというのは知っておく必要がある。モニタリングは大事。あんまりやりすぎるのもよくないのですが。

心理学の幸福研究では経験抽出法という手法があって、ランダムにリマインドしてそのときの活動と幸福度を主観的に報告してもらって、どういうときにその人がハッピーだったり充実してるかを計測するんですわね。これは自分でやってみる価値がある。

てんで、Google Formsでフォームを作って計測してみているところです。Google Spreadsheetと連携させて、フォームに入力するとタイムスタンプつきで記録してくれる。

スマホで見るとこんな感じになる。これをiPhoneのSafariから「ホーム画面に追加」するとiPhoneワンクリックで入力できる。

いまのところ結果はこんな感じ。放っておくと2〜4ぐらいで入力してしまうので、わりと意識的に高めに入力している。活動との関係は見せらんないけど。まあこんなものあんまり意味ないけど、入力するときに自分の幸福や性向についていろいろ考えますね。

References   [ + ]

1. 機嫌の悪い教員や気分屋の教員ほど有害なものはない。

メモの取り方を教える

大人数授業では、学生様にぼーっと話聞かれてるとつらいので、メモ(ノート)をとってるフリぐらいはできるようになってほしいと思います。大人数の初回の授業では面倒でも授業の受け方のお説教みたいなのしてます。何回も聞く学生様も出てくるわけだけどしょうがない。そういうお説教って大人数の方が手間がかからないし。

でも毎回同じのやってると自分でも飽きちゃうので、今回もなんか工夫しようってことで。

1回生とかには慶應大学の佐藤望先生のこのビデオ見てもらってるのです。

 

最初は見てもらうだけだったけど、去年とか「メモをとって隣の人と交換して比較してみてください」みたいなのやった。

今回は、さらに進化させて、このビデオ見ながら私も実際にメモをとって、佐藤先生がしゃべった内容を私が復唱してさらに文句をつける、という芸を見せてみました。我々が研究会とかでやってることですよね。

メモはペンで紙にとって書画カメラで見せるといいんですが、去年Apple Pencilを手にいれて自慢したいのでiPad+Apple Pencilの組み合わせで。

こんな感じ。見せたあとにさらにPencilでグリグリやったので見にくいけど、見る価値はない。

 

んで、とりあえず佐藤先生の主張はメモとってその場で押えてるってことを見せて、「佐藤先生はおしゃれでいいですね」とか「ノートやメモは自分で考える材料を作るのだ!ってのはいいですね」とか、「この先生は講義の順番ではなく大事な順番で書けっていってるけど、そんなこと聞いてるときわかるわけないじゃんね」とかつっこみを入れてみせる。けっこうおもしろかったです。私こういう、〜についてのビデオを見ながら実際に〜をする、みたいな再帰的なのが好きなんですよね。

まあ「こんなミミズな字でいいのだろうか」「そもそも自分で読めるのか」「これで大学教員なのだろうか」とか学生様の頭にはいろんな疑問も浮かぶでしょうが、それはそれで教育というもので。ははは。

乃木坂46「制服のマネキン」もやばい

リテラって雑誌は秋元康先生が嫌いみたいで、いろいろ非難してるのを最近見ました。基本的には秋元先生は女性蔑視的で許せん、みたいな論調ですが、秋元先生がどのていど女性蔑視的なのかよくわからんですね。全体として見ればハッピーな曲も多いし女性をエンパワしたりエンカレッジしてるように見えるときもあるし、私には判断がつかない感じです。ただあの歌詞群を全体としてみると、女性蔑視的だとかそうではないとか、そんな単純な解釈を許さないようなものに見えてます。もっと複雑でアイロニカルなアートなんじゃないかな。

私はポップ音楽の歌詞の解釈、鑑賞にはまっていて、それを楽しくやるための最低限の準備のことなどを考えています。ゼミなどでもそういうことを話すものですから、学生様もいろいろ分析してみせてくれたりします。このまえのゼミで「制服のマネキン」を分析してみてくれた人がいて、ゼミでもいろいろ話し合ってみました。それを下敷にちょっと考えてみたい。乃木坂は特に微妙な曲があるとは思っていて、前に「君の名は〜」について書きました。作曲の杉山先生による曲はもうすばらしいですね。でも歌詞はどうかな。

https://yonosuke.net/eguchi/archives/7465 ここらへんで書いてみたことですが、とにかく歌詞を読む上で大事なのは語り手とその聞き手のアイデンティティを特定することだと思います。「制服のマネキン」もまさにそれが一番大きなポイントだと思う。誰が誰に向って語りかけている歌なんだろう?

君が何かを言いかけて/電車が過ぎる高架線
動く唇読んでみたけど/ Yes か No か?
河川敷の野球場で/ボールを打った金属音
黙り込んだ僕らの所へ/飛んでくればいい

Aメロはこんな感じ。これじゃわからんですね。野球するシーズンにふたりで外(河川敷)にいるってことはわかる。ボールが飛んでくればいいのは、ちょっと硬直してしまった二人のあいだをほぐしてくれる出来事がほしいからですかね。この二人はどんな人々でどんな関係か。

一歩目を踏み出してみなけりゃ/何も始まらないよ
頭の中で 答えを出すな

まあメッセージ性が強い。でもなんか高圧的ですね。

恋をするのはいけないことか?
僕の両手に飛び込めよ
若過ぎる/それだけで大人に邪魔をさせない
恋をするのはいけないことか?
君の気持ちはわかってる
感情を隠したら/制服を着たマネキンだ

サビでは恋愛するのは悪いことではないぞ、と強く主張している。恋愛するのに「若すぎる」っていうのは何歳だろう? まあとりあえずふつうに語り手が男子、語られ手が女子ということにして、女子が恋愛するには若すぎるというのは何歳だろうか。

「恋」って言葉はなかなかあれで、たんにぼんやり「好き」ってのもあれば、セックス!を意味することもあるのは当然のこと。まあ「大人」が子供に「おつきあいするには早過ぎます」みたいなのもあると思うけど、この「おつきあい」っていうのはマクドナルド(マクド)でハンバーガー食うことじゃないですからね。この場合はセックスしたりそういう関係になるのは早い、って解釈するのがふつうだろうと思う。

23才とかで「恋」が早いっていう人はいないだろうから、女子大生世代だろう、って考えるひともいませんね。そんなこと言われるのは高校生か中学生に決まってます。小学生って可能性もあるのだろうか。いやー。2番の歌詞いきましょう。

冬型の気圧配置に/心が冷え込みそうだよ
自販機の缶コーヒー/君の手にあげる

以前のレクチャーで、歌詞の1番と2番の間に時間的経過があるかもしれないという話を書きました。この歌でもそれがあるかもしれない。実はこれは学生様が指摘してくれたことで、1番は河川敷球場で野球をして、その音を聞いてる余裕のある時期、まあ春〜秋かな。初夏っていうのもありそうだという話でした。2番は明白に秋の深まったところか、冬そのものですね。

場所ですが、自販機のコーヒーで温まろうってんだからやっぱり外なんですかね。道端とかですか。

ここで一つ、おそらく慣れてない人が読みにくいポイントがあります。「心が冷え込みそう」ね。こういう寒いとか冷たいとか、あるいは雨が降ってるとか、そういう表現は、ポップ音楽ではそれは語り手の心情をあらわしてます。どんな冬型低気圧が来てたって、君といっしょにいてハッピーだったら心は暖いじゃん。でもこの人は「冷え込みそうだ」っていってる。「これから心が冷え込むかもしれない」っていうことですが、実はすでに冷えている。ハッピーではない。そしてこの心の冷えは、多くの場合、相手に対する不満の表明、あるいは怒りの感情の告白(と脅し)なのです。

典型的にはビートルズのPlease Please Meがそういう曲ですね。この曲は、「僕が君を喜ばせてるように、君も僕を喜ばせてくれよ」って曲ですね。

Last night I said these words to my girl / I know you never even try, girl
昨日の夜、彼女に言ったんだ/君はやってみようともしないんだね、って。

I don’t wanna sound complaining / But you know there’s always rain in my heart
君に文句つけてると思われるとやだけど、いつも僕の心に雨が降ってるのはわかるだろ?

とかっていう歌で、セックスさせてくれないガールフレンドにセックスをせがんでる歌ですね。(正確には、ガールフレンドにセックスをせがんだことを友達に打ち明けている。)

ここで「心に雨が降ってる」ってのは、「君」に対して僕は不満で、たとえば、もうおつきあいするのをやめようかなと思ってる、ぐらいのおどしですね。

この「制服のマネキン」の「冬型の気圧配置に心が冷え込みそうだよ」もまったく同じだと私は解釈します。このカップルは、おそらく夏から冬ぐらいまで「つきあって」いるけど、まだセックスしてなくて男子はそれにいらついていて、それを表明している。この脅しは缶コーヒー1本で補えるようなものではないと思う(貧乏なのはわかります)。

卒業を待ってみたところで/何も変わらないだろう
今しかできないチョイスもあるさ

これで少なくとも女子の方は卒業がそれほど遠くないことがわかる。となると高3か中3と解釈するのが適切そうさけど、高3よりは中3の方がキモいですね。さて、男子は何歳だろう?

どんな自分を守ってるのか? /純情の壁壊すんだ
汚(けが)れなきものなんて/大人が求める幻想
どんな自分を守ってるのか?/僕は本気で好きなんだ
その意思はどこにある? /制服を着たマネキンよ

「守る」とか「純情」とか「汚れなき」ここではなんか性的な純潔の話をしてますね。まあセックスしないからって純潔かどうかはわからんけど。ははは。んでポイントは「大人」ですが、大人が「それは大人の幻想だ」みたいなことは言いにくい(不可能ではないが)なので男子も大人ではない。でも女子と同年代でこんなこと言うのかどうかもよくわからない。「セックスさせてくれないとか君はマネキンだよ」とかやばい。こういうなんかインテリっぽい青臭い感じの比喩をつかうことからして、中学生どうしではない。高校生男子と中3女子はありえる。あるいは大学生男子か、それとももうちょっといって20代前半ぐらいか。

私はずばりアルバイト塾教師(大学生/院生)男子と中3ぐらいを想定しましたが、みなさんはいかがでしょうか。ネットで検索してみると、やはり教師・生徒関係っていう解釈があるみたいですが、本職の教師とかが自分の生徒と外で二人でいるっていうのはちょっと考えづらいと思う。見られたらすぐわかるからね。でも塾教師ぐらいだと外にいることはあるんではないだろうか。同年代ってのもまあないではないけど、それほどうまい関係ではないですね。

できないんじゃない/やってないだけさ
未来の扉 そこにあるのに
僕は何度も誘う
生まれ変わるのは君だ僕にまかせろ

力強い説得で、これってPlease Please Meと同じですね。「君はトライさえしないんだね」。ビートルズの曲ってのは、音楽やる人間なら誰でも全曲弾いてみて歌ってみるので、「できないんじゃない、やってないだけさ」でI know you never even try, girlを連想すると思います。まあこれは言いすぎかもしれないけど。

恋をするのはいけないことか?
僕の両手に飛び込めよ
若過ぎる それだけで 大人に邪魔をさせない
恋をするのはいけないことか? 
君の気持ちはわかってる
感情を隠したら 制服を着たマネキンだ

「君は制服を着たマネキンだ」ってディスることによってセックスしようとしているわけです。この曲は邪悪ですね。

前にフェミニストのシュラミス・ファイアストーン先生についてちょっとだけ書きましたが、70年ごろのセックス革命のときもそういう脅しみたいなのがよく使われたみたいですね。「君は堅いんだね(皮肉)」「じらし女」「解放されてないんだね」「とらわれてる」「自分を殺してる」みたいな。

「君の名は希望」についてもキモい曲だということを書いたのですが、この曲も非常にキモい。なにより、この曲では女子の意思がさっぱりわからない。冒頭でもイエスかノーかわからず、そのままずるずるとこの語り手男子の言うなりにされている。というより、この男子が強引すぎるんですね。そもそもこの語り手とそんなことしたいのかどうか。むしろしたくないのではないか。でも「君の気持ちはわかっている」。

ふつう考えたらイエスかノーかわからないっていうのはノーなわけですが、そうした女子の気持ちがどうなのかとはまったく関係なく「腕に飛びこんでこい!」みたいなのを力説してて、すばらしくキモい。というより、そういう高圧的な態度に嫌悪感の方が大きいのではないか。

まあこの曲はそういうタイプに読める曲ですわ。これが女性蔑視的かどうかはわからない。女性操作的な歌詞だとは思う。ショックなのは、この歌詞の解釈についてちょっとググってみても私のような解釈が出てこないことですね。うちの学生様たちはディスカッションしてるうちにそういうのわかってくれたようで、一安心。


補足1。もっと穏健な解釈があって、とくに有力なのは語り手がファン、聞き手が乃木坂やAKBのメンバー、「大人」が運営、という読みですね。この曲が出たころは誰かが「恋愛禁止」の運営のルールに反して「恋愛」してるのがバレてどうのこうの、みたいなのがあったみたいなので、そんなのにとらわれずに恋愛を楽しみましょう、みたいなの。まあアイドルと「恋愛」する夢はいいし、そうでなくたってアイドルってそういうふうに楽しむものですよね。

さらに穏健に解釈すると、この歌詞のリスナー(オーディエンス)は、男女両方の立場に身を置いて聞いてると思う。自分で「僕、はっきり意見も表明できないいまのままじゃ木偶の坊人形だよな、男子だから木偶の坊で、きれいな女子だったらマネキンみたいなものだよな、自分の意思をはっきりさせなきゃ、がんばっていこう!乃木坂も僕らを励ましてくれているし」ぐらいに聞いてる。これが多くのファンが聞いてる筋だと思う。でも字面からすればちょっと無理矢理なところがあるわね。

こういう多様な解釈を許すようにできてるのはこの曲が精巧につくられている名曲だからですね。


補足2。ビートルズの初期のシングルの内容的な繋りは以前なにげなしに歌詞の分析の例としてやってみたところ発見したものです。

デビューシングル Love Me Do → ぼくは君のことがずっと好きだからLove Me Do! (セックスさせてください)

上で言及した2枚目Please Please Me → 「ぼくは君を喜ばせてるんだか君も僕を喜ばせてください(セックスさせてください)」って彼女に言ってみました。

3枚目She Loves You → 君はセックスセックスと彼女に迫って気分を害して振られたと思ってるようだが、彼女はまだ君のことが好きだってよ。

4枚目 I Want to Hold Your Hand → (あらためて)やっぱりセックスさせてください、君にタッチしてるとぼくはとってもハッピーなのです。

てな感じでセックスセックス言ってるわけですね。これは不良の音楽だ!もっとも、そういう次第でポップ音楽でセックスさせてくれとせがむのは由緒正しい伝統でもあります。ただ「制服のマネキン」の場合は、人間をマネキンよばわり(モノ化)してて非常に侮蔑的な感じがするのでキモいわけです。「そのままじゃお前はマネキンだぞ!」みたいなの、なんか体育会系のハラスメントっぽいですよね。