113の職業の133人にインタビューしたもの。就職活動やりながら読むといろいろ考えると思う。大学の授業でインタビューとかしなければならない人も必読。
インタビューによる社会調査とか足によるジャーナリズムっていうのの底力を知らされます。
最近出ている新書とかのうすっぺらい内容とは比べものにならんですよ。それぞれの仕事にちゃんとそれぞれの「哲学」と誇りと人生がある。
私が好きなのは「駐車場係」。*2
十九か二十のころは、わしの腕はそうとうだったな。あるくるまが入ってくるだろう、仲間が、わしには穴(駐車スペース)にスポンとはめられないだろうっていったんだ。それで賭けをやる。5ドルさ。わしは片手で、その穴にうまくおさめる。同じことを三回もやってのけたものさ。・・・片手でひとふりする。両手はつかわない。けっしてドアを開けてみたり、ドアをあけたまま駐車したりしない。いつだってわしは頭をくるまからのぞかせたりはしない。バックミラーをつかうだけだ。だからみんなはわしのことを、気のいいアル、魔法使い、ひとふりのアルなんてよぶんですよ。・・・わしはベストのひとりだぜ。どこからくるまをもってこようがかまやしない。賭けをすりゃこっちの勝さ。(p. 297)
ISBN番号違いの『仕事(ワーキング)!』もあるけどどういう関係なのか知らん。この本の企画をパクって144人の日本人にインタビューしたのが以下。これもすばらしい力作。
鎌田先生も『21世紀の日本人の仕事』とかってあれから20年後の人びとのインタビューとってほしい。っていうか鎌田先生じゃなくていいから社会学者とかはそういうのやってください。労働とか格差とかフリーターとかニートとかについての小難しい話より、こういうのの方がずっと読みたいと思います。(っていうか他に似たような本があれば教えてください。私が知らないだけかもしれない。)
「とろける鉄工所」も応援しよう
ちなみに上のエントリを書いたのは、今週号の『イブニング』に連載の野村宗弘先生「とろける鉄工所」を読んだから。デビュー時から応援しているつもり。溶接職人としての誇りみたいなんがいい感じ。買ってあげてください。
プロはなにごともやっぱりこういう目で見ちゃうから、
こういうことになるわだ。まあ野村先生がほんとに棚を溶接したかどうかは知らないけど、そいういうものの見方をするってのはすごくよくわかる。web日記とかブログとか好きなのも上の本や漫画のような感じがあるからなんだよな。
まあこの作風でどれくらい漫画寿命があるかは微妙かもしれないけど(鉄工所だけではそんなに持たないだろう)がんばれ。福満しげゆき先生もまだがんばってるらしいし。
ホームページは http://www.geocities.jp/toukyousamitto/index.html らしい。
追記
と書いてから上の鎌田先生の本一部再読して圧倒されてしまった。みんな読みなさい。私も勉強してなんとかしてプロになるです。
ちなみに福満先生は『漫画アクション』のサイトで読んでみたけど、なんかもうダメそう。でもがんばれ。
*1:どっちも絶版かもしれん。
*2:これがJ. グラバーの『未来世界の倫理―遺伝子工学とブレイン・コントロール』っていう哲学の本で紹介されたのでこの本を知ったんだけど。
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