パッヘルベルの「カノン進行」とアイロニーについて

なんかツイッタ見てたら、パッヘルベル進行とかっていうのについて議論をしているのを見ました。なんか、「お前はチェロ奏者だからハッペルベル進行みたいに同じことをくりかえしてるんだろう」みたいなディスとしてハッヘルベル先生が使われていてそれはちょっとなあ、な感じですよね。

あの「カノン」のベースラインはすばらしい。まあ誰でも使うけど、それくりかえすのはなんの問題もないし、比喩としてどうなのか。同じベースラインだっって、すてきだったら何度でもくりかえしたい、それがベーシストというミュージシャンであり、ファンクという音楽様式です。まあ今回はベーシストもファンクも関係ないかもしれないけど。

まあそれはともかくとして、ツイッターのやりとりはその片方にブロックされたりしていてよくわからなかったのですが、どうも片方の人はチェロ弾きとして、「そういうのっておかしいんじゃね」って返したらしく、もう片方の人は「こういうジョークもある」っていってyoutube動画もってきたらしいんですよ。詳細はわかりません。

まあこれは芸としてよくできてますよね(私自身は知らない曲が多くて十分には楽しめませんが)。いろんな曲がハッヘルベルのカノンと同じようなコード進行・ベース進行によってできてる、っていうのをおもしろおかしく説明しています。もっとも、完全には同じではないのですが、ギターや「dadadada〜」とかでごまかしているのでそれらしく聞こえて、そこがミュージシャンとしてのこの演者のポイントです。

もっとも、いわゆるパッヘルベルのカノン進行といわれる(キーがCなら)C-G/onB-Am-Gみたいなのはごくふつうの音楽の部品で、別にパクリとかそういんではありません。素人さんが「同じだなあ」っわかりやすいだけの話で、ミュージシャンにとっては料理人の米のご飯や味噌汁みたいなもので、米のご飯だしたからっていってばかにされるすじあいはまったくない。あくまで素人用の芸です。ギターと歌とdadadaでどうごまかすか、ってあたりが玄人の芸、ということです。

知らない曲が多くて、この動画の歌詞から検索したりしてたのですが、動画自体の説明文に書いてくれてました。最後の方にぜんぶ開いてのせときますね。

この大量のヒット曲群からわかるのは、この動画の演者が、パッヘルベルのカノンのコード進行・ベース進行をつまらないなんて(本当の意味では)言ってないというか思ってないことです。いちおう単純な四分音符8つ(ふつうに解釈すると2分音符8つ、4小節かその倍の8小節みたいだけど、原譜は4分音符みたいです)、みたいに言ってますが、それは「アイロニー」というやつで、そのアイディアの起爆力・生産性をたたえているにきまってるじゃないですか。じゃなければこんなにリストアップする必要がない。

「アイロニー」、ここでは裏腹な言葉、というのは本当にだいじなもので、いろんな芸を 鑑賞 するためにはぜったいに頭にいれておかないとなりませんね。そういうのがわかってないように見える人の言うことをまともに聞いてはいけません。おそらく最初にこの動画を示してくれた先生も、なんらかのアイロニーのつもりでこの動画を示したのだと思います。さすがにこれ使って、「おまえの言ってることはパッヘルベルのカノンのベースラインと同じで退屈だ」ということにはならないでしょう(あるいはこの動画がなにをやってるのかわかってない可能性がありますが、それはないでしょう)。私はそのアイロニーをまだ理解できないけど、ちゃんと理解できるようにならないと。

まあベースラインというのは難しくて、ファンクとか「ずっと同じ」とか言われたりするけど、同じようでも一回ごとに違うんですよね。マイルス・デイビスのバンドで長くベース弾いてたマイケル・ヘンダーソン先生が「1回ごとに違うんだよ!」って(なんか最近読んだ本で)ものすごく怒ってました。チェロ奏者は知らんけど、ベーシストに「いつも同じことくりかえしてる」とかって言ったらものすごく怒られますので注意してください。まあ、「いつも同じ」っていわれたら、チェロ奏者も含めてあらゆるミュージシャンが「音楽がなにもわかってない」怒ると思う。その先まともな議論にならなくても当然です。

下は上の動画のネタ。

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