倫理学

認知の歪みと研究者生活

うつ病とかになるひとには、独特の認知の歪みとかがあるっていう話を聞いたことがあります。有名なのはデビッド・バーンズ先生の歪みリストですね。いろんなページで紹介されてますけどたとえば とか。
倫理学

パーソン論よくある誤解(8) パーソン論は人間の尊厳についての議論である

水谷雅彦先生の「生命の価値」っていう昔の論文を読んでいたら、パーソン論が「生命の価値」や「人間の(生命の)尊厳」のような文脈で議論されていることに気づきました。パーソンは尊厳という特別な価値をもっていて、パーソンでない存在者は尊厳をもってい...
倫理学

パーソン論よくある誤解(7) 心理的特徴より感情とか類似性とかペルソナとか呼び声とか二人称とかが大事だ

「パーソン論」はさまざまあるとはいっても、やはり多くの論者が自己意識だとかそこらへんの心理的特徴に訴えかけているのは否定できないです。これに対してはやっぱり70年代前半からさっそくいろんな代替案が提出されています。
倫理学

パーソン論よくある誤解(6) パーソン論は人間の間に脳の働きに応じて序列を決める思想だ

これも森岡先生がばらまいた誤解というかなんというかなんともいえない解釈ですね。先生は『生命学に何ができるか』では「(パーソン論によれば)中枢神経系のはたらきの程度に応じて、人間を一元的に序列化することができる」(p.105)と考えられてる、...
倫理学

パーソン論よくある誤解(5) パーソン論は障害者の抹殺を求める思想である

これももうひどい誤解ですねえ。障害児施設の運営などでがんばっていらっしゃる高谷清先生が月間保団連に「「パーソン論」は、「人格」を有さないとする「生命」の抹殺を求める」という論文を発表しておられました。まあ高谷先生は実務家・思想家として活発な...
倫理学

パーソン論よくある誤解(4) パーソン論は英米生命倫理学の主流の考え方である

いや、ぜんぜん。とにかく国内で議論されている「パーソン論」は古いんですわ。けっきょくパーソン論というのは「われわれは人パーソンを特別扱いしている」っていう事実からはじまってるわけですが、70年代から80年代にかけての論争のなかでそういう「人...
倫理学

パーソン論参考資料『妊娠中絶と生命倫理』でのウォレン論文解説

胎児の道徳的地位の議論としては、メアリ・アン・ウォレンの論文も重要である。トゥーリーとウォレンの論文は、結論としては胎児はまだ十分な精神的活動をしていないので中絶は許容される、という似かよったものになっているが、議論の哲学的な内容はまったく...
倫理学

パーソン論よくある誤解(3) パーソンでないとされた存在者は配慮の対象にならない

なんかこのパーソン論シリーズ、うまく書けなくて自分でもよくわかってないなあという気がしてくじけそうですが、まあ少しづつ書いているうちにうまい説明方法を見つけられるんじゃないかと続けてみます。
倫理学

パーソン論よくある誤解(2) パーソン論は自分の仲間以外を切り捨てようとする自分勝手な思想である

(このエントリは失敗なので書き直します)「パーソン論は切り捨ての思想だ」っていうタイプの議論は「パーソン論」が国内に紹介された時点から存在していて、特に強い影響力のある森岡正博先生が広めた、と理解しています。先生は『生命学への招待』に収めら...
倫理学

「パーソン論」よくある誤解(1) パーソン論は功利主義的だ

なんかいまだに生命倫理学の議論における「パーソン論」については誤解が多いようなので、目立つものをいくつかとりあげて解説しておきたいと思います。
キェルケゴール

キェルケゴールと私(死ねないこと、それこそが絶望である編)

キェルケゴール

キェルケゴールと私(修士課程編)

キェルケゴール

キェルケゴールと私(学部生編)

なんちって。
セックスの哲学

性表現と表現規制(7) ポルノ批判と会田先生の答え

まあ米国での規制の法制度づくりは失敗したわけですが、その後もポルノは性差別だというマッキノンとドウォーキンのラインの議論はけっこう魅力を感じる人もいるようです。表現そのものが性差別だとかってのに疑問を感じる人がいると思いますが、人種差別的な...
セックスの哲学

性表現と表現規制(6) エロチカとポルノ

キャサリン・マッキノンとアンドレア・ドウォーキンのラインの考え方では、性表現はよい性表現と悪い性表現がある、と。それを分けましょう。たんに友好的で平等で自発的で楽しいセックスを描いた「エロチカ」と、女性をものみたいに扱ったりいじめたり差別し...
音楽

春の祭典100周年を祝いましょう

今このまえ紹介したストラヴィンスキー先生の自作自演のCDをiTunesにApple Losslessで読み込み直して聞き直しているんですが、やっぱりストラヴィンスキー先生はすばらしすぎますね。これまた前に紹介した「結婚」とか「兵士の物語」と...
セックスの哲学

性表現と表現規制(5) 性差別としての性表現

しかし1980年代からは、「猥褻」としてではなく「性差別」や「性暴力」として性表現を見る考え方が現れて注目をあびるわけです。この一連のエントリの始まりに書いた「ポルノ被害を考える会」なんかの思想的背景はこういうところにあるはずです。1960...
セックスの哲学

性表現と表現規制(4) 猥褻規制の問題点

しかしまあ猥褻だから規制してしまえ、って考え方は多くの批判にさらされていて、一般にうまくいかないと思われています。まずはなにが猥褻なのかが常に曖昧なことですわね。まず定義そのものが曖昧。「いたずらに性欲を刺激する」の「いたずらに」ってのがど...
セックスの哲学

性表現と表現規制(3) 猥褻猥褻

ええと、んで猥褻なんですが、どういうわけかエロい表現は国家が規制してもかまわん、とみんな思いこんでた時代があるみたいなんですね。いまもそうかもしれないですけど。とにかくある種の表現はわいせつでいやらしくてけしからんので流通させないようにしよ...
セックスの哲学

性表現と表現規制(2) エロな表現

んでやっと猥褻の話なんですが。猥褻って字は難しいですね。私は書けません。猥褻猥褻。言論の自由ってのはまあ政治的にはとても重要なので、民主的な先進国の市民ならほとんど誰でもその重要性を認めるわけですが、それでも言論の自由や表現の自由ってのは絶...
セックスの哲学

性表現と表現規制(1)

会田誠先生の森美術館というところでの展覧会に、ポルノ被害と性暴力を考える会( 以下「考える会」)という団体が抗議をしたのをきっかけに、ネット界隈では芸術と表現の自由とかについての議論が盛んになっているようです。まあ性表現と表現の自由の問題は...
音楽

ジャズ入門(28): ハービー・ハンコック先生は偉い

マイルスバンドで名前を上げたハービー・ハンコック先生は本当に偉大。前にHead Hunterのchameleon を貼ったと思いますが、60年代にもマイルスバンド以外にもいろいろ活動している。
音楽

ストラヴィンスキー先生は全身音楽家

ストラヴィンスキーの音楽っていうのは本当に多彩で何回聞いてもよいものです。この人は演奏家に勝手に色付けされるのがイヤだとかっていって自分で作品のほとんどを録音しているんですが、それのリハーサル模様もyoutubeにはありますね。こう、全身音...
音楽

無調音楽入門(16) フリージャズとの関係

んでまあここらへんまで来るともうジャズのフリーインプロビゼーションとかと変わらんところにあるわけですなあ。セシルテイラー先生とかまあもう完全に1950年代の現代音楽の音だし。現代音楽より肉体的で素敵ですよね。コルトレーン先生の系統のフリージ...
音楽

無調音楽入門(15) 吉松隆先生のニューロマン主義

まあ現代音楽はもうほんとうになんでもありなわけですが、吉松隆先生の「朱鷺によせる哀歌」(1981)とか名曲だと思いますね。「もう無調は古いぜ、調性の時代だぜ」みたいな。現代音楽のマンガっていうと巨匠さそうあきら先生の『ミュジコフィリア』がま...
音楽

無調音楽入門(14) まああとはなんでもあり

まあケージ以降はもうなんでもありっすな。五線譜に書かないで図形見せて「これで適当に弾け」とか、断片だけ並べて「目にとまった順に弾け」とかもう滅茶苦茶。現代音楽とかやっぱりケージあたりで終ってる、というかはじまってる、というか、もうみんなアイ...
音楽

無調音楽入門(13) でもそれじゃでたらめやっても同じじゃないですか

しかしこうなってくるとあれですわね。リスナーにはどうやって曲つくってんのかわかるわけもないわけだし、ちゃんとした構造みたいなものはもう聞こえなくなってる。サウンドがすべて、というか。んじゃ、わざわざ音並べてセリーだなんて言わなくてもいいじゃ...
音楽

無調音楽入門(12) ブーレーズ先生とかのセリー音楽

指揮者として超有名なブーレーズ先生ですが、この人もともとはキレキレの作曲家だったわけっす。メシアン先生とかとつきあいがあったりして。評論家でもあって、「シェーンベルクは死んだ、これからはウェーベルンの時代だ」みたいなのを1951年ごろに論文...
音楽

無調音楽入門(11) メシアン先生の実験

メシアン先生というのはなんとというかへんな方で、ドビュッシーとかラヴェルとかストラヴィンスキーとかの系列なんでしょがなにやってるのかわかならない、みたいな。ドレミファソラシドじゃない並びを勝手に作って、それにしたがって曲つくってたりしたいた...
音楽

ファンク入門(9) ニュージャックスイング

私は60年代なかばの生まれなので、80年代末〜90年前半のNew Jack Swingとか好きなんですが、久しぶりにGuyのGroove MeのPVなんか見てみたりすると、このリズムの秘密みたいなのがわかったかんじ。このバンドのテディー・ラ...