専門分野がはっきりしているひと(たとえば「文学部哲学科倫理学専攻」みたいなひと)は、卒論でどんなこと書かなきゃなきゃならないかはっきりしているわけですが、なんか最近全国的に多い四文字学部とかカタカナ入ってるような学部の人は卒論なに書いたらいいかよくわからんのではないかと思います。まあネタを決めるのが一番だいじですわね。
ぼんやりネタを決めてからも本を探すのがたいへん。
卒論を書くにはまあとりあえず戸田山和久先生の『論文の教室』を読むしかないです。
とにかく前半の「よいレポートの見本」が出てくるまでは読む。残りは書きはじめてからでいいです。
だいたい興味ありそうなものがわかってきたら、戸田山先生の指導に従って百科事典とかひく。本当は専門事典がいいんですが、だいたいの専門事典(哲学事典だの社会学事典だの)は専門家の人が他の専門家に読ませるために書いてるんで難しくてわからんことが多いです。紙の百科事典はコピーとっておきましょう。
まあ今だととりあえずwikipediaを見る。Wikipediaを見たら、必ず「参考文献」をチェックする。コンピュータでWORDやその他のファイルを開いておいて、コピペしておく。
関係しそうな新書を読む。「講談社現代新書」か「ちくま新書」か「光文社」あたり。岩波はクセがあるのであとまわし。「中公新書」が一番偉いです。文春新書は読んではいけません。新書は15年以上古いものは読む必要ないです。
これも参考文献はさっきのファイルにメモしておく。何回も名前が出てくる人と本は大事なのでおぼえます。
そのネタを含んでいる学問分野の教科書をぱらぱら眺めます。ゆっくり読んでるとキリがないから、目次だけでも見る。たとえば心理学だったら『ヒルガードの心理学』が定番の教科書なので、へえ、こういうふうになってるのか、とか浅く理解する。関係ありそうな箇所は読んで、人名と参考文献をメモします。
OPACで自分の大学の図書館に入っている本を調べます。かなり自分の関心に近いものがあったら1、2冊借りに行ってみて、ついでに書架でその本のまわりにある本も眺めてメモします。とにかく何度も書くけどメモが大事なのです。
ここらへんで指導教員に「こういう感じで本読んでいこうかと思うんですけど」とリストを見せてチェックしてもらいましょう。知らない本も教えてもらえるはずです。メモします。
もちろん新書だけでは卒論は書けません。次にそれなりの一般向け専門書を読む。さっきwikipediaを見たときに参考文献にあがっているのを参考にします。っていうか載ってるやつはまず見る。メモするのです。
知られていないへんな出版社、ほぼ自費出版みたいなところのは読んではいけません。哲学だったら勁草書房とか、心理学だったら北大路書房とか、社会学だったら新曜社とかそういう定番出版社があります。「~大学出版会」みたいなのも安心。リスト作ったらもう1回教員に見せましょう。
本を読むときは、まずそれがどういうひとが書いたものか経歴や肩書をチェックします。基本的に「~大学教員」とかになってない人、大学院で何を勉強したかわからない人のは基本的に読んではいけません。
また、同じネタだったら概して翻訳のものの方が優れています。翻訳される本はそれなりに定評があるから翻訳されているわけですからね。
CiNiiでキーワードでひっかけるといろいろ論文がひっかかりますので、とりあえずなにも考えずに集めます。最近10年分でOK。直接読めるのはそのまま読めばいいし、webでは読めないものは図書館雑誌係にお願いして取り寄せてもらいます(取り寄せ方は図書館の司書さんに聞いてください)。論文を30本も集めれば卒論は完成したも同然です。
こうして読書をくりかえし、ある程度いきづまったら(提出の3ヶ月ぐらい前)、図書館のリファレンスにお願いします。「これこれこういうことを卒論でしらべていて、これこれこういう本・文献は調べました。他にないでしょうか?、とちゃんと情報を向うに渡せば、適切にアドバイスしてもらえます。この腕は分野によっては大学教員より上。)
むずかしい本や論文は無理して読む必要はありません。とりあえず置いておく。しかしやっぱり参考文献には目を通します。英語とかで書かれた本や論文が参照されていて、それが翻訳されていたら、それがあなたの目指している本です。
まあ合計して本20冊、論文30本ぐらい読めば、卒論はなんとか書けるでしょう。
他の注意。
- 心理学関係は20年以上前のものは読まない方がいいです。この分野は非常に進歩が激しいので、20年前のものを読んでも話になりません。ここ10年ぐらいのを読んでから。
- 精神医学とかそっち系のは「フロイト」とか「精神分析」とかってのが入ってるのは避ける。中山書店という出版社が『臨床精神医学』とかってシリーズを出してますのでそういうのを見る。ちょっと難しいけどがんばる。
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