少人数講義での発問と答

少人数の講義や購読などでは、ひとりでしゃべってても疲れるしうるさいだけでつまらないので、学生様たち自身からいろいろ質問や発言してほしいと願っている教員は多いものですが、何度も書いてるようにこれは教員にとって難しい課題です。

これまでも学生様向けにお説教をいくつか書いたりもしたのですが、まあそんなうまくいかないですね。

なんかこういうのではダメな気がする。3、4人なら話せるけど、10人を越えると自分から発言しようとする人はいなくなる。特に1、2回生は発言を恐れているような雰囲気さえありますねえ。まあ2回生ぐらいで勝手なことが言える人は将来すごく偉くなるんだけど、ふつうの学生様にはむずかしい。

これはいろいろな理由や原因が考えられます。いわゆる同調圧力というか、目立つのは悪いことだとか、「ちゃんとした質問」「ちゃんとした意見」を言う自身がないとか、教員が圧迫的だとか、教員が嫌いだからとかキモいからとか。

「人が話しているのを聞いてるときはつねにコメントや質問を考えておくものだ」みたいなのもあんまり効果がない。

なにより、まあ学生様というのはそういう自由度が高い場でなにを話せばいいのかよくわからんのですわ。我々教員・研究者はおしゃべりだしそういう場所に慣れているので、「せっかくのなに言ってもいいじゃん、せっかくの時間だし眠くならないようになんかしゃべっておこう」ぐらい思うわけですが、学生様はそうは考えない。

こういうとき、教員がぼんやり「質問ないですか」って芸のない発問するからだめなのだ、という考えかたもありますが、発問まで作りこまれた授業をいつもできるわけではないし、少人数のときはコストが高すぎる。もっと楽にやりたい。

むしろまあそういう、勝手なことをしゃべる基本的な動作、みたいなのが必要なんすわね。

私が最近試みているのは、「なんか質問ないですか?」って言われたら、「ありません」ではなく、とにかくオウム返しすればよい、ってのを理解してもらいます。

「〜というわけで、徳川家康はえらかったのです。……なにか質問ありませんか? ……そこの松平君どう?」

「ありません」

「保科君は?」

「なにもありません」

はつらい。とにかくオウム返しぐらいして、と。

「家康はえらかったのです。さて、コメントないですか? 真田君なにかない」

「家康は偉かったんですね」

「うんそうなんだ、さらに言えば、〜」

と、まあこういうキャッチボール、パス交換ができれば十分。もっと高度になれば、

「〜というわけで、家康はえらかった。コメントないですか?」

「つまり、家康がえらかったのは〜から、ということですか?」

「うむ、〜」

となればよい。「わかりました」「ありません」ではなく、相手の言ってることを自分で「つまり」などでまとめて返せれば大学生上級だ、みたいなことを言って、その訓練しようとしてます。

「〜というわけで、質問ないかって言われてなにもなければオウム返しすればいいのです、どうですか」

「……」

「これこれ」

「あ、オウム返しすればいいのですね」

「そう、それで十分」

ぐらいにはなる。効果はあるようなないような。でもこれ地道に繰り返してると、少しほぐれてくる感じねえ。

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コメント

  1. 浜島恭子 より:

    この手使わせていただきます。

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