(売買春の実態調査は難しい (2) から続き)
んで、問題の国際比較なんですが、これほんとに難しくて、ほとんど無理っぽいですわね。北原先生は「米1992年0.2% 英1990年0.6% 仏1992年1.1%に比べ、ニッポンぶっちぎりの買春大国であることが、指摘されてます」って言うわけだけど、このもとの2000年の厚生省の調査がどういう典拠にもとづいて米0.2%とか英0.6%とかって数字出してるのかよくわからん。これから調査します。
これもちょっとgoogle様にお伺いをたてると、すぐにひっかかるのが、ProConというサイトのこれです。これは生涯で一度でもセックスにお金を払ったことのある男性の割合。
http://prostitution.procon.org/view.resource.php?resourceID=004119
パット見、日本はたしかに買春大国っすか。ちょっと最初の文章を要約すると、これは1994から2000年のあいだの21の調査をまとめたもので、15カ国しかないのは、「最近1年間で」じゃなくて「生涯での経験」をあげてるのがそれしかないから。最近1年のは排除している。高めの推定から低めの推定があるので、それを示している、とか。まあとにかくデータがなくてしょうがないっすね。
んで、このサイトでは、日本はかなり高いんで、日本はカンボジア、タイ、イタリア、スペインに次ぐ買春大国だ、って言えるかってことなんですが、ちょっと微妙。下の方の説明文を見ると、「日本では、夫が同僚や友人とソープランドに行くことがあるというのはおおっぴらではないにしても受け入れられ理解されている」とか、「昔ながらのゲイシャとの本番セックスは最近衰退して、オーラルセックスとか覗き見とかの安い形態のものが普及している」とかってなはなしになっていて、おやおやっていう感じですね。ちょっと情報がおかしいのではないかという疑惑がある。出典は Robert T. Francoeur, PhD, Editor’s Comment in Yoshiro Hatano, PhD, and Tsuguo Shimazaki, “Japan,” Continuum Complete International Encyclopedia of Sexuality, Eds. Robert T. Francoeur, PhD, and Raymond J. Noonan, PhD, Kinsey Institute, 2004 ていうやつらしいけど、あとで見てみます。
このサイトは全体におかしくて、あちこちのネット上の有象無象のニュース記事を見てそれをまとめてるだけっぽいんよね。ここの内容をまとめたものがKindleになってるので入手してみましたが、「日本では買春は2.3兆円産業」で、ギンザシティのホステスはひとり月200万稼ぐ、みたいな話が出て来る。ギンザシティのホステスさんのどれくらいが売春しているのかどうかしりませんが、大半はそういうことはしてないんじゃないですかね。どうなんすか。っていうかそういうレベルの不正確な情報やトバシ(?)みたいなのが含まれているデータはとても信頼できないっすね。他の国のデータもそのレベルだと判断せざるをえないんじゃないでしょうか。こまったことにwikipedia (en)のProstitutionの項目もこのサイトを出典にしていて、信頼性に問題がありそう。
- 売買春の実態調査は難しい (1) 坂爪先生と北原先生
- 売買春の実態調査は難しい (2) ヌエックの調査
- 売買春の実態調査は難しい (3) ProConは信頼できない
- 売買春の実態調査は難しい (4) ワイツァー先生たち
- 売買春の実態調査は難しい (5) ハキム先生の指摘
- 売買春の実態調査は難しい (6) 補遺
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