ラジャ・ハルワニ『愛・セックス・結婚の哲学』(名古屋大学出版局 2024)のサポートページです。苦節2年の作業の末に出版までこぎつけました。分厚い!重い!それもそれだけの内容はあるはずです。このページは順次拡充します。
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第一版との異同
(ページ数の関係で削除した訳者解説の一部です。詳細なものはいずれ公開します)
本書『恋愛・セックス・結婚の哲学』の底本は第二版であり、序文にあるように、第二版は第一版から大幅に拡大されている。章立てにもいくつか変更があり、全体的な分量も第一版の1.5倍程に膨れ上がっている。大まかな相違について、以下に列挙する。
第一版の第一部は、「第一章 恋愛とは何か?」「第二章 ロマンチックラブ」「第三章ロマンチックラブの根拠」「第四章 恋愛と道徳」の四章から構成されていた。本書では、旧第三章「ロマンチックラブの根拠」は削除され、旧第三章の主たる議論は新第一章の後半に組み込まれている。代わりに旧第四章が第三章に繰り上がり、新第四章の「恋愛は道徳的感情か?」が書き下ろされた。
第一版の第二部は、「第五章 セックスとは何か?」、「第六章 セックス、快楽、道徳」、「第七章 性的モノ化」、「第八章 性的倒錯と性的ファンタジー」の四章から構成されていた。本書では、旧第六章と旧第七章の間に「セックスと美徳」という新章が書き下ろされ、これにより帰結主義・カント主義・徳倫理学のそれぞれと性的問題の関連性が明らかにされる構造となった。
第一版の第三部は、「第九章 結婚とは何か?」「第十章 同性結婚をめぐる論争」の二章から構成されていた。しかし、第一版刊行後の北米で認められた2015年の同性結婚合憲の判決によって、もはや同性結婚は「論争」の問題ではなくなったという事情により、本書では削除され、代わりに「第十一章 結婚は必要か?」が加えられた。紹介される哲学的論争の大部分は旧第十章から変わっていないが、問題が「同性結婚支持者と反対者の論争」ではなく「結婚制度そのものに対する支持者と反対者の論争」となったことで、当然力点の置き方に若干の相違がある。全体として結婚の哲学的分析については議論が薄いため、これらの問題に関心を抱く読者には少し物足りないかもしれない。しかし、新十一章の後半は実質的に2012年のエリザベス・ブレイクの著書『最小の結婚』(邦訳2019年、白澤社)の論評となっているため、同書と比較しながら検討すれば、結婚をめぐる哲学の先端的論争に参入することができるとも言える。
また以上の構成上の大幅アップデートとは別に、各章では様々な事例や議論の追加がおこなわれている。そして各章の章末に新たに「研究問題」のセクションが追加され、本書を読んだ後に読者が検討するべき議題が提示されている。
翻訳メンバー
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