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ジャズ入門(33): インタープレイって何やってんの?(2)

ソリストとバックの間でなにをやってるのか、っていうのはおもしろくて私も勉強したいのですが、ソリストどうしでもいろいろやってるわけです。一番有名なのはこれですね。開始時間指定してますが、最初から聞いてください。

3:00のあたりでリーモーガンがパッパッパラーってやって終ってゴルソン先生がそのフレーズをなぞってソロを開始する。この「モーニン」て曲はテーマも黒人っぽいコールアンドレスポンスなわけですが、アドリブでもコールアンドレスポンスしているわけです。

この演奏のこのつなぎ方はお手本としてものすごく有名ですね。アメリカあたりでは、90年代からジャズは(それまでの吹奏楽/ブラスバンドに換わって?)高校〜カレッジレベルでの教育の現場に使われるようになったみたいで、そのレベルの教則本がたくさんあるのですが、この事例はソロの受け渡しの例で必ず使われますね。

指導しているところの動画とかも見た記憶があるんですが、それでも(違う曲だと思うけど)「君、前のソロの人の最後をなぞってからはじめてごらん」「君もバトンを渡すつもりでコーラスの最初の1、2小節吹いていいよ」みたいにやってました。

ベルリナー先生があげてる例をあと2個ぐらい紹介すると。

マイルスのMy Old Flame

これはちょっとわかりにくいんですが、マイルスの1:25のあたりのラリラーラリラーってフレーズを、ロリンズが最初の方でラリラーラリラー、って使ってるわけです。このラリラーラリラーはこのまんまマイルスのソロで何回もつかわれてるわけじゃないけど、(このころ(1951)のマイルス調子悪かったこともあってアイディアでないのか)「ラリラーラリ」ぐらいは何回もやってますよね。ソロ全体がこのラリラーでできてる、といえないことももない。まあロリンズはいちおうその場のリーダーを立ててるのだと思います。

これは泣く子もだまる名演。2:40ぐらいでブラウン先生「ラーソレレー」てやってロリンズにバトンを渡してます。「お題はラーソレレーッっすか……意外だったんでちょっと考えますわ、えーと」。

 

3:00のあたりでマイルスが「おらーコルトレーン行け!パパララパパっ!」、レッドガーランドがすかさず「そうです親分の言うこときけ!ガンガンっ!」、でもコルトレンは「パボー」。「いや、私親分の言うことそんな聞きませんよ!いったん落として、自分の調子でやらせてもらいます」

ジャズ入門(32) 1975年ごろジャズはなにをしていたか

70年代のジャズってなんか低調というか、フュージョンが出てくるまでペンペン草1本生えなかった印象がありますが、その直前にはどうなってたでしょうか。まあヨーロッパとかでは喜んで聞かれてたんですよね。私の75〜6年の印象はこんな感じ。

フリージャズの影響を受けて楽器は鳴らしまくり、バンド全体が一体となってがんばんもりあげる。変拍子だよ!みたいな。

これは76年。基本的にコルトレーンバンドのビアノガンガン鳴らす感じね。

なんか暑苦しいですね。まあロックとか大音量でガンガンにやってる時期だし、それに対抗しないとならん感じもあったんですかね。アメリカでは特にもうぜんぜんジャズのレコーディングができなかったとかそういう話も読んだことがある。

あ、そういやそのころヨーロッパではアートとしてジャズが聞かれるわけですわね。ジョニー・グリフィン先生とかそれで当ててお城買ったとか。

レコードもヨーロッパの小さな会社が名盤を作るようになる。これ紹介するの忘れてた。私ものすごく好きなアルバムで、ジャズ喫茶時代によくかけてました。これも75年ごろ……録音74年ですか。

これものすごくいいんですわ。コニッツ先生とベースのレッドミッチェルの2人だけのコールポーター集。私これでポーター先生好きになった。Night and Dayでミッチェル先生が素人ピアノ弾いてるのもいいんですわ。ぜひアルバムで聞いてください。秋〜冬によい。

ジャズ入門(31): インタープレイって何やってんの?(1)

この「ジャズ入門」シリーズ読みなおしてみて、けっこうおもしろいので継続してみたい。あれ以上はネタ本がないと書けないわけですが、ポール・ベルリナー先生のThinking in Jazz: The Infinite Art of Improvisationっていう本がものすごくすばらしいので、それを紹介していけばいいのかな、みたいなことを考えています。これはすごい。英語読めるひとはそっち読みなさい。

最初はいわゆる「インタープレイ」について解説したいような気がする。なんかジャズ批評とかで「ジャズはインタープレイだ」とか「ビルエヴァンスとスコットラファロのインタープレイが」とかって決まり文句があるじゃないですか。もちろんみんなわかってはいるんだと思うけど、それが具体的になんであるのか、っていうのを詳細に解説してるのはあんまり見たことなくて、ただの印象批評みたいになっちゃってると思うし。そうじゃない。それはちゃんと分析すれば解説できるのだ。ベルリナー先生はそれをやってくれているわけです。

まあそうしたレベルの話っていうのはけっこうむずかしくて、ミュージシャン本人たちはもちろんわかってるけど文章書くより音楽する方が大事だし、文章書くのが得意な人は楽器弾けなかったりするしね。私も楽器は弾けないのですが、聞くのは好きなのでがんばってみます。

さて、「インタープレイ」というのはなんでしょうか。演奏者どうしがなんか交流することです。でも具体的にはなにをしているのだろう?

答:いろいろやってます。

わあ、怒らないでください。そりゃいろいろありますね。こういうのではこたえになない。具体的にはなにをしているのですか、例をあげてください。

はい。いろいろやってます、典型の一つは「まねる」です。誰かが演奏中になんかしたら、それをまねて「私はあなたのことを聞いてますよ、ボス」とか恭順をしめしたり、「それいいっすね」とよいしょしたりしているのです。

課題曲はマイルスデイヴィス先生のBlues by Five、名盤Cookin’に入ってるふつうのブルースですね。テナーはコルトレーン、ピアノはレッドガーランド、ベースはポールチェンバース、ドラムは「フィリー」ジョー・ジョーンズ先生です。

ブルースなので、1コーラスは12小節。こういうのはこのブログ読んでる人はわかりますね。最初の2コーラスはガーランド先生によるテーマの提示。マイルス先生がはいってくるところを「1コーラス目」と呼ぶことにします。

下は、ベルリナー先生が採譜したマイルスのソロの3コーラス目(上のyoutube動画だと1:05から)の2小節目からです。

マイルスがどでぃでぃどどどどどーどどどでぃどどーでぃ!ってやるとすかさずピアノがガン!ってやって、そのすぐあとにドラムがドン!ってやってる。

 

これは1:54のあたりからのコーラスの頭です。マイルスがパッパパ!ってやるとすぐにドラムが「タタ」ってやり、「ッテーテテ」とやるのに対してドラムは同じくタタってやり、ピアノもガっ!てやり同じようにさらにピアノ・ドラムが2回間の手を入れている。

こんな感じで、ソロとってる人に対して間の手を入れる、っていうのがまあインタープレイの一番基本なわけです。

これね、まあ聞いてればふつうにそういのやってるね、ってのでおわるんですが、聞いてるとゆっくりに感じるかもしれないけど、だいたい176BPMとかわれわれが現在聞くポップ音楽としてはかなり速いわけです。1分間に180拍ぐらい、1秒に3拍。上の方の例はマイルスが「ぱ!」ってやっったのに次の拍で反応しているので、1/3秒で反応しているわけです。その1/3秒、実際にはそこでマイルスがいったんそこで息継ぎするって確認してからなので1/10秒ぐらいで反応しているわけです。下の例も、同じ、これは8部♪2個のあとにすぐに2個打ってて、さらに難しい。

この速さで反応できる人はそんないません。私にはできない。ほんの1/10秒のうちに、次に自分がなにを弾くべきかを判断しているわけです。これは難しすぎるので、おそらくしばしばマイルスがパッパパってこのを吹いたらドラムもタタってやる、というのはすでに何十回もやってるんですわね。ジャズのアドリブは即興ですとは言うものの、ぜんぶその場で作ってるわけではなく、むしろ大まかなラインはいつもいっしょ、とかそういうふうになってるはずです。マイルスは特にそういうタイプちゃうかな。

しかしまあビバップからハードバップに至るジャズは非常に競争的であり、自分たちの知的・肉体的な優秀さをディスプレイしているわけですわ。そしてこのほんのわずかな瞬間のなかで自分がやることを決めている、っていうのが、他の譜面があったりするポップ音楽とジャズを決定的に分けているものなのです。(そういうのはフリースタイルラップバトルや、ダンスバトルとかにもつながる非常に男っぽい側面なのですがそれについては私はあんまり解説できない)

 

ジャズ入門: エルヴィンジョーンズ先生の「至上の愛」を探求する(2)

前の記事、「ブレイキーのチュニジア、フレーズの流れは2-3なのにクラーベは3-2で打ってるんだよね。」っていう「はてブ」コメントもらってました。なるほど!まあ私はその程度のことがわからない程度の人間なのでそういうつもりで一つおねがいします。

んで「至上の愛」なんですけど、もう一回。

全体はAbのメジャーペンタトニック一発みたいですね。

もちろん4拍子でベースは「ラbーファシbッ」ってのくりかえしてます。4分音符と8分音符2個、と一応考えておく。
ピアノは16分音符で1拍目と2拍目の裏の裏に弾くのが基本。私の耳にはここでベースとピアノが16分音符1個分ずれてるように聞こえますね。ピアノはAbペンタから適当に4度で音拾ってる気がするけどわからん。

んで、問題のドラムがどうなっているかというとやっぱりわからんのですが、バスドラが1拍目と4拍目の裏と裏裏に入ってる。ハイハットが2拍4拍に入って、スネアとタムが1拍目の裏裏、2拍目の(裏)裏と3拍目の裏に入ってる気がします(2拍目の裏に入ることもある)。シンバルは16分音符でチキチキチキーチが基本かなあ。正直聞きとれない。

というわけで、自信ないけどこんな感じ。

んで、まあ何を発見したのかというと、これは実は昨日書いたクラーベなのですわ。バスドラとスネアのリムショットとタムタムで|タン・タン・ンタ|・タンタン・| っていうルンバクラーベができている。ルンバクラーベっていうのは昨日ビデオで見た3-2ソンクラーベと比べると3個目の音符が半拍うしろにずれてるやつ。ちょっと早くてしんどいけど「たんーたんーんた、たんたん、」って手拍子してみてもらうとわかるのではないかと思います。

ポイントは、昨日紹介したパーカーやブレイキーのラテン風リズムに比べて、エルヴィン先生のリズムは4拍子(またはハイハットの刻み)に対して倍の速さになってんですね。

ドラムは1小節のなかに3-2ルンバクラーベが入ってて、ハイハットが2拍4拍刻んでるので4拍子な感じもする。ベースも強力だし。シンバルが細かく刻んでるのですごい忙しいけど、ベースが安定しているのでゆったりした感じもする。よくわかんないけどベースとドラムの2拍目の裏が微妙にずれたりずれなかったりしているのもわからん感じです。ベースの2拍目の裏の音は3連になってるのかな?まあこれがポリリズムってやつなんですなあ。微妙にスイングした4拍子とクラーベと16分刻みが共存している。すごい。まあラテン音楽の影響受けたものはだいたいこういうふうになってるのかもしれないですが。

http://www.drummagazine.com/lessons/post/4-cool-grooves-from-4-hot-rhythm-sections/
上のページも参考にしてください。

こういうふうに採譜してます。解説の部分を訳しておきましょうか。

「至上の愛」はサックス奏者ジョン・コルトレーンが同名のアルバムに収録した歴史の転換点となる曲だぜ。ここでドラマーのエルヴィン・ジョーンは、ベーシストのジミー・ッギャリソンとすげーアイディア交換をしてんだぜ。最初の4小節(0:53から)でメインテーマが提示されてんだけど、そこじゃあんまり飾りはつけれれてない。でも、5小節目になるとエルヴィンはシンコペーション加えてブチ熱狂的になっていくぜ! ギャリソンがそのシグナルを7小節目で受けとめて、ベースラインを複雑にしてるのを見てみろよ!これがノンバーバルコミュニケーションてやつだ!あいつらはリダーにしたがってプレイしてるんだ!

このエルヴィンジョーンズ先生がちが開発した「ゆったりしているようで忙しい、忙しいようでゆったりしている」ポリリズムはもう60年代後半の音楽を決定してる気がします。

それはたとえばこういう曲にも反映されている。(The DoorsのThe End)

まあこれはクラーベは感じないですが、シンバルとかにエルヴィン先生の影響感じますね。エイトビートと16分や2拍3連や3連とかが混在されるリズムの上での一発ドローン、とかまあロックとしては非常に独特の美しい音楽なってる。9分目ぐらいからの暴れるところかっこいいですね。まあドアーズは基本的にはコルトレーンアあたりのジャズ好きな連中が集まってロックやってるバンドなんすよね。(あれ、これファXクファXク言ってるバージョンだ。下品いかんですね。)

Break on throughとかはハードボサノバですわね。

まあそういうわけでポリリズムは偉い、ということで。

ちなみにパフュームのはポリリズムじゃなくてスリップビートですからね。……いや、4拍子と3拍子がいっしょに鳴ってるからこれもポリリズムか。失礼しまいた。

 

ジャズ入門: エルヴィンジョーンズ先生の「至上の愛」を探求する(1)

まあジャズという音楽様式の特徴の一つはドラムにありますわね。

今日はエルヴィン・ジョーンズ先生の復習。

まあはじめてこの「至上の愛」聞いたときはやっぱりぶっとびました。

テナーサックス、ピアノ、ベース、ドラムの4人しかいないのになんか猛烈に複雑な音がするです。特にドラムはなにやってるかわかりませんね。普通人間は手足あわせて4本しかないので、一度に出せる音は4つしかないわけですが猛烈に複雑。7本ぐらいある感じがしますね。

このエルヴィンジョーンズ先生の60年代中盤の音楽ってのはほんとうに世界を変えたんじゃないですかね。

まあこの曲についていろいろ調べてみたんです。まあアフリカな感じがするわけですが、これがどっから来てどんなことをしているのか探求したい。これは実は初めて聞いた中3か高1のころからの課題であったわけです。

まあジャズと(アフリカじゃなくて)ラテン(キューバ)音楽の関係ってのは本当に深くて、パーカーの時代以前からありますわね。

1940年代後半から50年代にかけてはアメリカとあそこらへんは密な関係だったんですな。

ラテンのリズムというと特にアートブレイキーが有名かなあ。50年代のも有名だけど、わかりやすい60年代はじめの方を。

こういうキューバ音楽のリズムは、基本的にクラーヴェっていう拍子のとりかたにもとづいてるんですね。2-3と3-2がある。説明しにくいのでビデオで。

キューバ音楽では、この2-3や3-2のリズムを感じながら全体の音楽が進むわけです。

このクラーヴェの感覚ってのはラテンのキモらしく、クラブにサルサ踊りに行ったりするとイケメンキューバ人が女の子にサルサの踊り方教えてるわけですが、その時も「ワンツースリー」じゃなくて、こういう感じで「・ウノ、ドス・ウノ・ドス・トレス」ってカウントしててかっこいいです。

もっとハデなの。かっこいい。拍がどうなってるのか数えてみてくだいさい。

 

あれ、サルサの話になってきてしまった。続きはまた。

ジャズ入門(28): ハービー・ハンコック先生は偉い

マイルスバンドで名前を上げたハービー・ハンコック先生は本当に偉大。前にHead Hunterのchameleon を貼ったと思いますが、60年代にもマイルスバンド以外にもいろいろ活動している。

この人はピアニストなのにピアノトリオとか好きじゃないみたいで珍しいタイプっすね。トリオの作品は2、3枚しかないんじゃないかしら。自分で弾きまくるよりも、全体のサウンドを気にするタイプ。そこらへんがマイルスに気に入られたんだと思うです。

自分でやったのだとやはりSpeak Like a Childってアルバムがすばらしい。ちょっと変わった編成のバンドの分厚くて柔らかいサウンドが素敵。

サイドマンとしてもいろいろ活躍していて、フレディー・ハバードのRed Clayのエレピqは最高だと思いますね。この演奏はジャズ・ロックみたいなのの最高峰の一つ。
もうテーマのあとのはバード先生のソロのあとのハンコック先生がすばらしすぎる。

ジャズ入門(27) マイルス先生ロックに接近する

Nefertitiあたりの音は本当に美しいんだけど、どうも売れなかったらしいです。なんか高級すぎて頭いい人たちのための音楽になっちゃってるんですよね。現代音楽みたいになっちゃってる。やっぱりジャズとかってのはポピュラー音楽だから楽しくて踊れないと。あとウェインショーター先生が強力すぎて、ショーター五重奏団みたいになっちゃってるし、そこらへんもおもしろくなかったかもしれない。

マイルス先生は市場調査ちゃんとしているのでそういうのの対策に出るわけですわ。んで、もうパクりまくる。っていうかマイルスはずっとパクってるわけですけどね。そういうのはピカソとかストラヴィンスキーとかバルトークとかと同じ。偉大な芸術家は模倣し、天才は盗むのです。

まず目をつけたのは、昔子分だったキャノンボールアダレーがヒットさせたマーシー・マーシー・マシーのエレキピアノ。ジョーザヴィヌル先生が弾いてるんですが、この音がとてもいいので使おう、と。

あとなんといってもリズムですわね。モードぽいのやってるときにはもうベースが4拍ずんずんやるのは捨てて自由にロンカーターにやってもらってたわけですが、4ビートはもうだめだ、これからはロックの8分音符のフィーリングだぜ、みたいな。ドラムのトニーウィリアムスもビートルズとか好きだったみたいなのでここらへんはうまくいきます。ベースもロンカーターからデイブホラントにとっかえて、ピアノもハービーハンコックが遅刻魔だからクビにしてチックコリアを雇う。チック先生はスタンゲッツとかとすばらしい演奏してたんですね。

んでこんな音楽をやる。「キリマンジャロの娘」のころのセッション。実際には「ウォーターベイビー」ってあとで発売されたアルバムに入ってるけどかっこいい。マイルス先生が完全に全体をコノトロールしてる。なんかここらへんから「Directions in music by Miles Davis」ってアルバムに入れはじめたらしいんですが、それはその前までディレクターはショーターだったってことでもあるかもしれんです。

マイルスは一生を通じてファンキーなフィーリングはほとんど出さないんですが、この曲は全体としてファンキーになってますよね。ショーターはファンキーにやってる。んでチックコリアのエレピがキレまくってる。チックのはただの黒人ファンキーじゃなくてなんか人工的なファンキーさなんすね。デイブホラント先生も、アコースティックベースでこういう強力なノリを出せるのはこの人しかいなかったんじゃないですかね。イギリス白人なのに。すばらしすぎる。なんでこの曲1967年のタイミングでリリースしなかったんでしょうね(Splashって曲もこの曲とほぼ同じ曲)。10年ぐらい前に出た「コンプリート・イン・サイレントウェイ・セッションズ」ってのはマイルスのここらへんの過渡期をばっちり収録してるのでおすすめですわ。

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ジャズ入門(26) そのころマイルス先生は何をしてましたか

んで、この60年代なかばにマイルス先生は何をしていたのかというと、実はたいしたことはしていないわけです。62〜64年ごろはコルトレーン先生が爆発的な仕事をしているのにたいしたことをしてない。ギルエヴァンスとレコード作ったりしてるけどなんか迷ってる。ライブでは昔の曲をテンポ速くしていろいろ実験しているけど、これが「マイルスの音楽だ」みたいなのが出せない。

んでどうしたかというと、面倒だから腕ききの若手雇ってしまうわけです。トニーウィリアムスっていう天才ドラマーを雇い、モードでみんなベース困ってるときに弾き方を発明したロンカーターを雇い、ファンキーでもビルエヴァンスみたいなのでもなんでも弾けるハービーハンコックを雇う。これにジョージ・コールマンというメロディアスなテナーを呼んで終り。これのライブは前に聞いたと思いますが、すばらしいものです。私コールマン先生好きなんですけどね。なんかジャズファンの間では評価低いみたいね。

どうもこのコールマン先生はトニーウィリアムス先生とかから嫌われたらしくて(なんでかわからん)、どうしようかなってときに目をつけたのが前のエントリのウェインショーター先生。この人はすでにアートブレイキーのところのバンドの音楽監督を3、4年やってて来日なんかもして大人気なのにそれを引き抜くっていうのは、巨人や阪神が他球団からエースや四番を引き抜いてるようなもんですよね。ひどい。ブレイキー怒り狂ったでしょうなあ。でもショーター先生はマイルスバンドがやっぱり音楽的には一番おもしろいメンツだってことで引きぬかれる。

んで第二次黄金クインテット名盤3枚組 Sorcerer、Miles Smiles、Nefertitiができるわけです。もうマイルスは曲とか自分で書いてない。主にショーターやハンコックが書いたもの。

お、なんだそのブルースは。いい曲書いたじゃねーか、俺のアルバムにも入れさせろ。

このドロレスって曲はもうほとんどフリージャズというかオーネットコールマンが4、5年前にやったことと変わらんですよね。ピアノいるとうざいからピアノ弾くな、弾くときは右手一本で弾け、ハーモニーは弾くな、とか注文してるはず。

この大人気曲「ネフェルティティ」ではもうアドリブもない。ショーターの作ったふしぎーなメロディを繰り返しているだけで、トニーウィリアムス大暴れ。
この時期はマイルスが一番芸術的に美しい音楽を作ってたときだと思いますね。クラシックの現代音楽とかより上。

ジャズ入門(25) モードジャズはどうなりましたか

まあコルトレーン先生ががんばって「モードジャズ」みたいな一発は発展した、というかこう細かいコードをあんまり考えずにブリブリ吹きまくるみたいなスタイルが定着したりしました。

コルトレーンの「至上の愛」っていう名盤。もう力入りまくっててすごい。一応コード進行あるんだけど、II-Vしてない。私にはマイナーキーのV7がずっと続いているように聞こえる。ピアノがレファラドみたいな3度重ねじゃなくて、レソドみたいな4度重ねになってうので50年代のジャズみたいなはっきりした調性感が出ない。クラシックだとドビュッシーやバルトークがいろいろやってた音なんですわ。あとピアノのマッコイタイナーがペンタトニックスケール(ドレミソラとかレミファラシの並び)を使えばコードと関係なく何を弾いてもいい、ってことを発見したりしたみたい。

実際には1960年代はファンキージャズの全盛期で、ミュージシャンが「モード」をやるのは、コルトレーンとか最先端の人を除いて、まあライブで2、3曲、みたいな感じだったんだと思うです。

コルトレーンのグループとは派閥がちょっと違うと思うんだけど(マイルス組)、ハービーハンコックなんかは両方やる感じでなにやらせてもうまい。
ファンキーのだとこんな感じ。上のコルトレーンと同じ1964年。
んで、「モード」の方はこういう感じにする。1965年ですか。これくらい腕のある人だと一発だとおもしろくないらしくて、コードをこう意外で予測できないように連結する。II-Vははっきりわかる感じでは使わないのですがすがしい感じになる。
まあ有名曲すぎますけどね。もう1曲ウェインショーターの曲を。1966年。ブルースもこういう感じでブルースではあるんだけどふしぎーな感じになる。
ここらへんの「モード名盤」みたいなのはショーターとかハンコックとか一部のキレてる人々がやってるだけで、本流はハードバップとかファンキーとかだったとは思うですね。でも今「名盤」として生き残ってるのは、こういう先端を行ってる音楽になってる。ここらへんはおもしろいところです。新しいことをやったから名盤になっているのか、名盤作れる人々が新しいことをやりたがったからこうなったのか。私は後者だと思います。

ジャズ入門(24) モードはどーも演奏むずかしいらしい

マイルス先生がKind of Blueでやったこと、特にSo Whatでやったことってのはやっぱり衝撃的だったみたいですね。1960年〜61年ぐらいは腕に自信のあるミュージシャンは同じような曲をやってみたりしてる。Dm7がずっとつづいて一部だけEbm7になってDm7にもどる、みたいな曲。でもまああんまりよい演奏はない。

たとえばこんなん。……と思ってJimmy Smith先生のSugar Hillっていうひどい演奏を見せようと思ったけど日本では聞けないらしい。→Spotifyにある。

かっこ悪いどうもみんな最初はなにやっていいのかわかんなかったみたいね。特にベースの人がなに弾いていいのかわかんなかったみたいで苦労したらしいです。

もちろんコルトレーン先生はマイルスのレコーディングにも参加していたのでよくわかっています。

So what やImpressionというタイプの曲は、一つのコードの上で一つのスケールでアドリブするのだ、とかって説明されたりしますが、この時期(1961)のコルトレーン先生はもうそういうふうには考えてないですね。

半音階使ったり、半音上や半音下に勝手に行ってみたり、勝手にII-Vを想定してそれをさらに分割したり。「一つのスケールで吹く」というよりは、いかにしてそっから脱出するか、どうやってスケールから「アウト」してかつかっこよくするか、ってのをみんな実験するわけです。

アルトのエリックドルフィー先生なんかなにやってるのかもうわからんです。こういうのがちゃんと筋道たてて考え方が分析されるのは70年ぐらいになってからちゃうかな。まあとにかくなんでもありになってしまった。もちろん、エリートミュージシャンの間ではいろいろ情報交換されてたんでしょうけどね。そういう情報にありつけるのはほんの一握りで、たいていのミュージシャンは旧来のバップのやりかたを続けたり、ファンキージャズしてたりしてた。

So whatやImpressionsみたいなそれ用の曲を作るんじゃなく、既成の簡単な構造の曲を一発にしてしまう、みたいなのも試みられた。コルトレーンの当り曲 My Favorite Things。もと曲が単純なのでこういうのがやりやすかったんでしょうな。一部進行しているけど、同じコードの上で長ーいソロをとる。

これもドルフィー先生の方が新鮮ですよね。きっとツアーとかで
「エリック、今日もすばらしかったよ。」
「ありがとう、ジョン。こんあすばらしいバンドで演奏できて僕もうれしいよ」
「あれどうやっての? マイフェイバリットのソロ」
「いや、好きなようにやってるだけだよジョン」
「いや、どういうふうに考えて吹いてんのか知りたいんだけど」
「いやほんとに何も考えてないよ。手癖手癖。」
「隠さなくてもいいじゃん。そろそろ教えろよー」
「いやー、僕もわかんないんだよ」
みたいな会話があったはず。

ジャズ入門(23) ジャズのブルースはブルースのブルースとは違うよ

エブリデイ毎日私はブルースをもっています。

毎日エブリデイブルースをもっています。
もし私がなんか心配しているように見えたら、実はそれは貴方をうしないたくないからなのです。
というわけでブルースですな。形式的にはAABって形になってて、非常に単純ですがすばらしく効果的な形式でね。たった12小節に起承転結が入っておりまして、なんどでもくりかえせます。コードも普通は3つぐらいしか使わない。
| Bb7 | Bb7 | Bb7 | Bb7 |
| Eb7 | Eb7 | Bb7 | Bb7 |
| F7   | Eb7 | Bb7 | Bb7 |
こんな感じ。5小節目のところと、8小節目から9小節目のところがV-IVってなってて西洋音楽とは違った快を感じるようになってますなあ。
しかしこれではジャズにならんのです。ジャズにするには、前に書いたようにリズムを2、3種類いっしょに鳴らして、さらにコード進行を複雑にする必要があります。
チャーリーパーカー先生のNow’s the Timeっていう有名な曲だとこんな感じ。

この曲はパーカーの曲の中では異常に例外的に簡単なメロディーというかリフでできてて、あんまりジャズな曲ではありませんが、コード進行はこんな感じになってるはずです。

| F7 | Bb7 | F7 | Cm7 F7 |
| Bb7 | Bdim7 | F7 | (Am7) D7 |
| Gm7 | C7 | F7 D7 | Gm7 C7 |

Cool Struttin’ とかも同じ進行ですね。

ちょっと違いますがRed GarlandのやってるエリントンのC Jam Bluesだとこんな感じ。

| C | F7 | C | Gm7 C7 |
| F7 | F#dim7 | C | Em7 A7 |
| Dm7 | G7 | C A7 | Dm7 G7 |
実は上の曲のを移調しただけなんです。ははは。

でまあ、こういうジャズブルースのどこが聞きどころなのかというと、B.B.キング先生なんかのブルースにないところ、つまり細かく分けたII-VのところCm7-F7とかGm7-C7とかのところが聞きどころなんですね。このツーファイブに入れかえることによってジャズになっておるわけです。II-V入れるために、ブルースマンのブルースで快感だった9〜10小節目のV-IVの進行がII-Vに置き換えられてしまってますが、それはそれで気持ちがよい、こっちの方が頭よさそうだ、というわけです。あと私がジャズ聞きはじめたころは、11〜12小節目の和音が移動して次のコーラスに入るところが好きでしたね。こういう部分をターンアラウンドっていってジャズミュージシャンがいろいろ凝ったりするところです。独特の気持ちよさがありますよね。これもII-Vがもろに出てくるところで、けっきょくこれがジャズ(バップ〜ハードバップ)の音なんですわ。

まあこういうの面倒だという人は、BBキング先生のを大音量にてギターを歪ませて弾いてしまうという手もあります。それはそれで気持ちいい。

私は煙草をやめることができせん。

レモンをしぼりますしぼります。汁がしたたるまでしぼるのです。

こういうベースライン曲のが好きでねー。まあこの曲はあんまり有名じゃないけど、ツェッペリンの最高の演奏の一つだと思いますね。ドラム、ベース、ギター、ボーカルが勝手にやりつつ一体となってインタラクションしている。私はギター聞かないでベース聞いてますね。ジョンポールジョーンズ先生は偉いのです。ベースだけでご飯3杯ぐらい食べられますね。モータウンあたりのベースパターンから来てるんだろうし、曲の雰囲気やフォーマットはジミヘンやクリーム(エリッククラプトンがいたバンド)のパクリなんですが、まあとにかくすばらしい。

まあロックブルースは気持ちがいいですね。いい勝負、というよりロックの勝ちでしょう。あと私けっきょくドブルースはよくわからんです。ははは。

ジャズ入門(22) マイルスとブルーベック

前のエントリの続き。

どうも50年代は黒人ジャズより白人ジャズの方がウケてたみたいなんすわ。いまになるとよくわかんないんですけどね。ジャズミュージシャンがTime誌で表紙になったのはブルーベックがはじめてちゃうかな(1954)、と思ったけど1947年にルイ・アームストロングがなってました。2番目みたい。でもまあジャズが大衆音楽じゃなくて、コンサートホールにの椅子に座って静かに聞いて終ったらちゃんと拍手するものにしたのはブルーベックあたりからなんじゃないですかね。詳しくは知らんです。

今聞くとよい演奏もたくさん残ってるんですが、まあでもやっぱりジャズは黒人のものの方がホンモノって感じはしますねえ。

んでマイルスですが、マイルス先生は誰が人気あるかとか気にする人なんでずいぶん気にしてたんじゃないっすかね。40年代末にクールジャズはじめたけどすぐにぽしゃって、それをパクった白人が大ウケしている、と。自分自身はヘロインなかんかのドラッグでヘロヘロ。いったん田舎のパパもとに帰ったりしているわけです。

マイルス先生はどうもブルーベック先生の音楽も好きだったみたいで、有名な1956年のWorkin’っていうレコードで1発目でブルーベックのIn your sweet wayって曲やったりしている。昔もう1曲The Dukeって曲もやってるみたいですね。ジャズミュージシャンが他のジャズミュージシャンの曲をやるっていうのは、ある程度のリスペクトを含んでるんですわ。もちろんレコードにしたら印税が作曲したミュージシャンに入るし、ただ演奏するだけでも「ブルーベック本人はああやったけどおれはこうする」みたいなのを考えざるをえない。

同じような曲でも誰のを選ぶか、ってのでそのミュージシャンが誰をリスペクトしているかわかるんですよね。マイルスのSo Whatって今日とコルトレーンのImpressionって曲はまったく同じコード進行なんですが、どっち選ぶかっていうのでまあ自分の方向性を示す、みたいなところもある。

あとディズニーは1957年ぐらいにディズニーの曲をジャズにして一般ウケするわけです。

3拍子ジャズね。これをあとでマイルスが真似たりするわけです。それはもう聞きましたね。まあ3拍子でジャズしようとかってのがマイルスの気にいったんでしょう。

あとブルーベック先生はピアノのハーモニーの作り方(ヴォイシング)でも多くの人に影響を与えたんですが、これは面倒すぎるのでやめましょう。でもブルーベックのヴォイシングを発展させたのがビルエヴァンスという関係なんで、ブルーベックのかわりに雇ったんだろう、とか。マイルス先生本気でブルーベック好きだったんじゃないですかね。

ジャズ入門(22) デイブブルーベック先生は偉い

50年代白人ジャズマンで一番成功したのはデイブブルーベック先生じゃないっすかね。

まあTake Fiveとか有名。でもこの曲はつまらん。メロディー(もちろん5拍子も)はとても印象的だけど、基本的にドラムのジョーモレロ先生がソロするための曲なんでね。

お前は変拍子ジャズっていいたいだけなんちゃうか、と。でもこっちのライブ映像はおもしろいっすね。

 

通はブルーロンド聞く。トルコ風ブルーロンド。

 

この曲も変拍子だけど、5/4拍子とかたるいんじゃなくて7/8とかだし、4拍子になったりする構成もあって、いかにもcomposeされてます、って感じですわね。

これらの曲が入ってるTime Outは1959年の作品。マイルスがKind of Blue作った年ね。まあ行きづまったジャズをこれからどうするかみんな考えた年なわけです。

ブルーベックたちがアイディアとってきたのは、おそらく指揮者で有名なバーンスタイン作曲の大ヒット作ウェストサイド物語のこの曲だと思う。12/8拍子(3+3+3+2+2+2)/8拍子みたいな。1957年。

 

バーンスタインがアイディアとってきたのはバルトークのここらへん。クラシック苦手な人も最後まで聞くとかっこいいよ。

 

まあブルーベック先生はクラシックにも詳しいし、他にもいろいろ重要な仕事をしている偉大な人ではあります。しかしどうなんすかね。変拍子やる前にもアメリカではすごい人気で、黒人ミュージシャンたちが狭いクラブとかで演奏しているときに大きなホールで仕事したりして、経済的にもだんちがいだったんじゃないですかね。そこらへんがなんというか黒人ミュージシャンのカンにさわったんではないか。

多くの黒人ミュージシャンたちは、白人はおれたちから音楽を盗んで金もうけをしてる、みたいに怒ってました。

ジャズ入門(21) ジャズ(バップ)というのは結局ツーファイブなのです

ジャズっぽい響きというのはなんなのかといえば、それはけっきょく5度進行の響き、II-V(ツーファイブ)あのだ、ということになります。

5度進行というのはコードがD→Gのようにピアノの鍵盤4つ分(これが5度)動く進行。II-VってのはDm7 – G7 のようにマイナー7thとドミナント7thが5度進行でつながってる進行です。II-Vは5度進行の一種。
まあとにかくあるキー(調性)のII度とV度、キーがC(ハ長調)ならDm7とG7のつながりがジャズなのです。

All the things you areという曲があるんですが、コード進行はジャズメンがやるときはこんな感じ。(EbとかCとか書いてあるのはたいていメジャー7th。EbM7とかCM7。)

| Fm7 | Bbm7 | Eb7 | Ab | Db | G7 | C | C |
| Cm7 | Fm7 | Bb7 | Eb | Ab | D7 | G |
| Am7 | D7 | G | G | F#m7 | B7 |  E | C7 |
| Fm7 | Bbm7 | Eb7 |  Ab | Db | Dbm7 | Cm7 | Bdim7 |
| Bbm7 | Eb7 | Ab | Ab | (G7 / C7) |

Bbm7-Eb7とか、Fm7-Eb7とか、Am7-D7とか、F#m7-B7とかがII-V。それ以外にも5度進行の部分はEb7-Ab、Ab-Db、G7-C、Cm7-Fm7、Eb-Ab、D7-G、B7-E、C7-Fm7、Fm7-Bbm7とか山盛り。この曲はII-Vを含めた5度進行ばっかりでできてるような曲なんですね。

そしてビバップやハードバップという様式は、このII-Vをどう弾くかということだけを考えていた音楽といってもよいくらいのものです。

音楽というのはどんな猛烈な音でも延々同じことをやっていると飽きてしまう。必ず緊張と弛緩、があるんですね。II-Vとか5度進行というのはその緊張による運動そのものなんすわ。

このAll the things you areという曲を聞くと、そういう緊張と弛緩のくりかえしがわかるはず。基本的にG7とかD7とかEb7とか7thコードと呼ばれるところで緊張して、その次で解放される感じです。

また、II-Vってのはその運動によって調性(ハ長調とかト長調とか)をきっちりキメる働きがあるのです。この曲はキーがどんどん変わる曲で、最初はEb、次はC、次はEb、そしてG、E、もとにもどってEbとぐるぐるまわってそれがまた魅力です。ふつうに聞きながしていると「いい曲だなあ」ぐらですが、集中して聞いてると、あっちっちつれてかれて目がまわる感じですね。ここらへんがビバップの人々に好まれて、今だにジャズをやるとこの曲でアドリブとれればまあ初級脱出ぐらいのはずです。

(これ書いてからジャズブルースを先に書いた方がよかったことに気づきましたが、まあ次に)

では鑑賞です。まずはシナトラ先生で曲をおぼえましょう。

ジャズメンがやるとこんな感じ。リーコニッツ先生。ピアノいないけどハーモニーが聞こえてくる感じっしょ(実はうしろでうっすら吹いてるけど)。もうリーコニッツ先生の切れ味は猛烈なものがあるです。一瞬を生きてる、っていう感じ。

最高はやっぱりパーカー先生になります。メロディー1回も吹いてないけど、なんかメロディー吹くと作曲のジェロームカーンとかにお金払わなならないから頭のメロディー抜きにしたとか。イントロが有名で、このイントロはみんなやります。

 


まああとはいろいろ探してみてください。渡辺貞夫先生のがよかった。

All the things you areはメジャー(長調)の曲だけど、マイナーの曲だとどうなるのかというと、マイナーの曲はあんまりII-Vがはっきりしないのです。でもV-Imという緊張と弛緩ははっきりしている。っていうかむしろマイナーの方がはっきりわかるかもしれません。

一曲聞いてみましょう。クレオパトラの夢っていうやつで、2小節ごとに緊張–弛緩、緊張–弛緩ってのがくりかえされているのがわかるはずです。

 

 

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ジャズ入門(20) オルガンジャズ

まあジャズをマイルスデイヴィス先生とかコルトレーン先生とかを中心に考えちゃうとなんかシリアスな音楽であるって感じになっちゃうわけですが、やっぱり大衆娯楽なわけでね。

楽しいジャズといえばファンキーなやつで、まあ一時期のアートブレイキーなんか楽しいけど60年代にはシリアスな方向にも行ってしまったりして。
一貫して楽しいのはやはりジミー・スミス先生ですな。オルガンジャズ。ファンキー。
だいたいオルガンの人は、オルガン、ドラム、ギターってトリオか、それにテナーサックスとか加えた編成でやります。ベースがいないんですが、ベースはオルガンの人が自分でやるんですね。そしてそれがまた独特のノリになってかっこいい。オルガンには低い音を出すペダルがついてますが(エレクトーンを思いうかべればよい)、どうもふつうは左手で弾くものらしいです。でも時々アクセントに足でペダル踏んだりもしてるらしくて、それが独特のノリになってるらしいですわ。まあなんにしてもすごいテクニックです。
70年代になるとこんな音楽もやってる。さすがにこれはベースはベーシストがやってます。
ファンキージャズとファンク音楽とも密接な関係があります。
とりあえずこれのどっちか買っておけばえんえん楽しめます。
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ジャズ入門(19) モードジャズとかってのはあれだ

マイルスのSo What以降、ジャズはモードジャズになった、みたいなのは何重にも間違ってます。

第一に、それ以前のやりかたが廃れたわけじゃない。ハードバップや、ハードバップの一種としてのファンキーはずっと続いてた。っていうか、あるミュージシャンが自分のスタイルを変更することって滅多にないんよね。たしかにマイルスやコルトレーンみたいな人はカメレオンのようにスタイルを変えていったけど、そういうのはほんの一握りで、たいていのミュージシャンは同じことをやっている。複数のスタイルを使いわける人びともいるし、一つのスタイルを続ける人も多い。だから60年代にもスイングやってる人も中間派やってる人もバップやってる人もフリーやってる人もいたわけで。

っていうかマイルス自身すぐに前のスタイルにもどってるわけだし。3拍子ジャズ。名演。マイルスのソロのあとのハンク・モブレー好きですね。で、いったん終りそうなあとでこコルトレーンがこんな曲で暴れてるのおかしい。

第二に、So Whatみたいな「一発(あるいは二発)」って曲はかなり特殊。たしかにコルトレーンのImpressionsとか他にもいくか似たような曲はけっこう作られたけど、まあ特殊な曲だっていうのはみんな理解してたはず。

第三に、よく言われる「モード奏法」とかってのがあるわけではない。So Whatって曲は、一番もとのかたちではコード2個(Dm7とEbm7)の上でDドリアンとEbドリアンの2個でアドリブ取りましょう、っていうコンセプトの曲だったけど、そんなコンセプトが守られていたのはほんの一瞬。というか、あのマイルスの演奏でも杓子定規にそれやってたのはマイルス本人だけで、コルトレーンやキャノンボールは半音階使ったりいろいろやってる。

まあモーダルな曲、つまりなるべくコードの数を減らした曲の上でどうやってアドリブをとるかっていうのにはミュージシャンたちはかなり苦労したみたい。だってDm7の上でDドリアン(レミファソオラシドレ)の7つの音しか使っちゃいけません、なんていわれたらすぐにアイディアが尽きて、プレイヤーもリスナーも飽きちゃう。どうやって飽きさせないようにおもしろいアドリブをとるか、ってのを皆いろいろ試行錯誤したよね。詳しい話はまたするけど、まあマイルス本人も1964年ごろにはこういう演奏をしているわけだ。みんなもうDドリアンとか意識してない。

このころのマイルス先生はすごいっす。なんかいきなり楽器うまくなって高速高音でパラパラやってる。新しいドラマーのトニー・ウィリアムズ先生(当時18才ぐらい)に「練習しろ!」って怒られたんだとか。おかしい。あとこのジョージ・コールマンというテナーの人は私好きなんですけどね。マイルスは気にいってたけど、バックのハービー・ハンコック、ロン・カーター、トニー・ウィリアムズの3人になんかいじめられて追い出されたんだそうだ。

「モードジャズ」がなんであるかってのは続きます。

ジャズ入門(18) ドルフィーが好きなのです

前のエントリでドルフィーの名前出しちゃったので1、2曲紹介。

もう好きすぎます。アルトを吹くとパーカーを抽象的にしたような感じ。音楽的には4度とか6度、9度と音程の幅が広い動きをするのでなんやらわからん。バスクラってジャズでは珍しいも吹いて、それだとなんか粘っこい感じ。フルートを吹くとこんな感じの爽やかというかリリカルというかんともいえん。

バックのジャキ・バイヤードのピアノもいいんですよね。

前に紹介したブッカーリトルとやってる LIke Someone in Loveもいいの。

こういう彼のフルート演奏の裏にあるのは、クラシック作曲家のドビュッシーのシリンクスとか、ヴァレーズの密度21.4って曲なんちゃうかな。

パユのこの演奏いいね。

この時期の黒人ジャズミュージシャンはほんとにインテリで、けっこう現代音楽とか聞いてんのよね。そのうちセシル・テイラーとかも紹介したい。

あとドルフィーのフルートの最高はLast Dateってのに入ってる You don’t know what love isってやつです。youtubeにある動画は途中で切れてるのしかなかった気がするので、CD買ってください。すごいよ。

ジャズ入門(17) アレンジの妙

ファンキージャズもそうなんだけど、1960年前後はアドリブ一発ってのを離れて、曲やアレンジしっかりして全体として演奏を作ろうっていう方向性が強い。まあこれはマイルスがハードバップはじめたときからの方向性でもあるけど、マイルスはきっちりアレンジするというよりはメンバーの色彩をうまく合わせておく、みたいな感じだった。

アートブレイキーのところのベニーゴルソン先生とかアレンジうまい人が出てきて盛んになる。ホーン2本、3本とピアノとかうまく合わせて黒人らしい複雑なハーモニーと色彩とか出されるとぐっときますね。

曲もスタンダードナンバーを使ってアドリブを聞かせるってのから、自分たちで楽曲つくってそれのおもしろさを追求するっていう方向に進む。

私の好きなオリバーネルソン先生の曲を1曲。こう、テーマ部分のハーモニーとかいいんですわ。フレディーハバード先生のトランペットソロいいよねえ。フルート吹いているのはエリック・ドルフィー先生。この人もすばらしい人で手癖多いけどクラシックのフルートの研究とてもよくしている。

この60年代前後に名盤が集中しているのは録音技術の向上もあるよね。この時期にベースとかきっちり録音できるようになって、音楽的快楽に加えて、オーディオ的快楽もある。

ブレイキーバンドはリーダーはブレイキーだけど、音楽監督が別にいる。ゴルソンのときもショーターのときもよい。

ジャズ入門(16) オーネットコールマンのフリージャズ

マイルスと同じように、うまく吹けないけど一発当てたい男がいました。あんまり頭もよくないし教養もない。音楽理論とかちゃんと理解できない。そもそもチューニングもできない。さてどうするか。

答:あまり考えずに自由にやる。ただし白人インテリのバッアップを受ける。

これはかっこいい、というかもうすばらしい音楽になっております。なんというかほかのジャズには感じない抽象的な「美」を感じる。これは爆弾だ!

まあ実はやってることは「フリー」でもなんでもなくて、マイルスがKind of Blueとかそれ以降でやろうとしたこととそれほど違っているわけではない。ある持続的なバックの上で、あるスケールにそって適当に吹く。実はぜんぜんフリーじゃないんだけど、本人は「フリーだ、なにも約束事はない」みたいに言い張った。

まあ実際にはベースが音楽的な基盤を提供しちゃうので、その上でなにかしようとするとあるスケールを想定することになる。ピアノがいないからまあ西洋音楽の伝統の「コード進行」ってのからは解放されてる。その意味でフリーなんだけどね。マイルスの「モード」とかってのもやっぱりハーモニー(とそれに対応するスケール)からは解放されなかったんだけど、ピアノを抜いて同じようなことをすることで自由になった。マイルスは曲の構造みたいなもの(AABA形式)は放棄しなかったけど、オーネットはそれも放棄して頭とお尻のテーマだけにした。まあそういうのがオーネットのフリージャズ。

でもこの曲なんかは独特の味の印象的なメロディーでただものではないのが一発でわかりますよね。天性のメロディーメーカーなのよ。

まあ実はオーネット先生は完全になんでもありじゃなくて、ある一定したリズムやベースのパターンの上である規則にしたがって自由に吹きたいと思ってるひとで、彼以降の本気でめちゃくちゃするフリージャズの人々(ファラオ・サンダースやアルバート・アイラー)とは根本的に違う。これは80年代から90年代に至るまで変わらない。

このアルバムの他の曲もそれぞれ奇妙な味があって、ぜひ購入をおすすめするですね。天才。

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ジャズ入門(15) モテ系白人ジャズ

モテそうだ。モテることを考えている。憎い憎い。
おそらく商業的には黒人アーティストよりこっちの方が成功してたのではないか。
アートペッパーがマイルスバンドと。いじめられそうですがそこそこ戦ってます。
まあ顔もよかったらしく、歌もうまいし。
いまとなってはいまひとつわからないけどすごく人気があったみたい。石原裕次郎?
ブルーベック先生はまあかなり偉大。
マリガンは嫌いだとは言いにくい。実は好き。

リーコニッツ先生は別格。この人は偉いしモテようとはしてない。

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