p.389
「自分を合理的行為者ととらえるのは、自分の理性が現実的な応用をもつ、つまり同じことだが自分の意志があると想定することだ。」
← … is to assume that one’s reason has a practical application
山形さんはなんでも「現実的」と訳す傾向があるようだが、practicalはやっぱり実践的だろう。でないとこの章の最後の方で出てくるカントの議論もよくわからんし。「意思決定・行為にかわわる」という意味。
「それは、自分が合理的行為者だという考えの形をとるのである。」
←意味不明だ。It constitutes, as it were, the form of the thought of onself as rational agent.「自由という観念が、いわば、自分が合理的行為者だという思考の形式を構成しているのである。」うーん、これも意味不明だな。難しい。
p.393
「というのも本物のお札と完全な偽札との差はどうしようもない歴史的な事実だからだ」
←since the difference between a genuine dollar and a perfect counterfeit is an inert historical fact.ちょっと訳しにくいが、意味をとれば、「というのも本物のお札と完全な偽札との差は(誰が作ったかとかといった)たんなる歴史的事実だけで、それはじっさいには無力だからだ」ぐらいか。訳しすぎかもしれない。
p.394 「二次的欲望」
←「フランクファート」の話。これでは原語がsecond-order desireであることがわからんと思う。しかし「二階の欲望」でもわからんのは同じか。やっぱりこの本はどうも素人向きではない。
p.395 「同一性というのは、キラキラしたデカルト的自己の問題ではないし、非物質な魂が一部のミームは受けいれて他は排除、というような話でもないはずだ。」
← Identification cannot be a matter of a pearly Cartesian ego or immaterical soul accepting some mems and rejecting others.このidentificationは、カソリックの教義をidentifyするって話なんだから(”one wholeheartedly indentifies with his religion and other doesn’t)、同一性identityとはちょっと違う「同一化」とか「一体化」「受けいれ」とか訳さないとならんと思う。うしろは不定冠詞aがegoとsoulの両方にかかってるから同一のもの。perlyは色や輝きに意味があるんじゃなくて、真珠が真珠貝のなかの核としてあるとかそういうイメージ。だから、「こういう同一化の問題は、一部のミームは受けいれて他は排除するような真珠様のデカルト的エゴあるいは非物質的魂なんかの問題ではないはずだ。」「こういう同一化の問題は、(自己のなかにさらに)真珠のようなデカルト的エゴやら非物質的魂なんかがあって、それが一部のミームは受けいれて他は排除しているといった問題ではないはずだ。」あら、私ほんとに翻訳ヘタだ。
「でもそんな構造を内部の行為者として「肩入れ」したりできるものと考えるためには、脳内で渦巻く競争の中で、ボス役か、せめて交通警察官や判事の役割くらいは果たせるような独立の「考える存在」というデカルト的な謎が必要になるんじゃないだろうか。
← But how can we identify some such structure as an agent within, capable of “taking sides,” without lapsing back into Cartesian mysteries about an independent res cogintans that plays the role of Booss, or at least traffic cop and judge, in the swirling competition within the brain?
難あり。こら訳すのたいへんだなあ。
「しかしどうすればそんな構造を、内部の「肩入れ」できるひとりの行為者とみなせるんだろうか。そんなことすれば、独立した「考える存在」があって、それが脳内で渦巻く競争の中で、ボス役か、せめて交通警察官や判事の役割くらいを果たしているといったデカルトのおとぎ噺に転落することにんあるんじゃないだろうか。」
p.397 「ケインたちは責任がとれる場所を探すという点ではただしかった」
←Kane and others are right to look for a place where the buck stops「ケインたちは、最終的な責任が帰せられる場所を探すという点ではただしかった」
p. 421 「心理の発見に必要な」→「真理の発見に必要な」
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