ガブリエル・ブレア『射精責任』の解説にコメント (4) 解説と関係ない蛇足

あと余計なこと。

吉良貴之先生 https://note.com/tkira26/n/na8a154ecb83c

橋迫瑞穂先生 https://note.com/famous_bear75/n/n5e35ff710b99

編集者の方 https://note.com/fujisawa_hensyu/n/n52bdfbbd12e4

著者がモルモン教徒だというのがちょっと話題になってるようですが、読んで特にモルモンっぽいところはないっていうか、まあごく普通の立場ですわね。私モルモンについてなにも知らないけど。特にそういうので気になる点はない。一般に、著者がどんな信仰をもっていようが、著作で その信仰や教義が使われていないなら 特段非難したり警戒したりする必要はないと思います。もちろん、どういう宗教信じているかを知れば解釈しやすくなることは多いけど、それと議論の質を評価するのは別であるべきだ。そういうわけで、モルモンだから警戒しろ!みたいな意見には私は反対します。

一般に、米国の中絶の話になると宗教的な勢力の話になるんですが、多くの宗教勢力は自分たちの信仰を他に押しつけようとしているという格好になるのは避けてもっと繊細な議論をおこなっているので、あれを宗教対立にすぎないと見るのは単純すぎます[1]それに、橋迫先生の記事ではモルモン教では数年前まで一夫多妻を実践していたような話になってるけど、大丈夫なんかいな。

むしろブレアさんの見解は、前のエントリに書いたように日本の伝統フェミニストの立場にごく近い。むしろそっちを考えるべきだと思いますね。

著者がプロチョイスかというと、まあ消極的なプロチョイスかなと私は見ました。「中絶は女性の当然の権利」っていうタイプの強硬派ではないですね。そういう意味で、強硬派プロチョイスからは言うべきことがいろいろあるように思います。

養子の件については、プロライフが多くて養子縁組を推進している米国の事情を解説で書いてもらえばよかったんじゃないかと思うけど、そういうのは事前にはわかりにくいですね。

あと訳は立派です。まあこういうの、これからもいろいろ出版してほしいのでがんばってほしいですね。

中絶の哲学的倫理学的な側面に興味ある人は買ってください〜。しばらく前に重版したのでまだ在庫あるはずです。

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References

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1それに、橋迫先生の記事ではモルモン教では数年前まで一夫多妻を実践していたような話になってるけど、大丈夫なんかいな。

ガブリエル・ブレア『射精責任』の解説にコメント (4) 解説と関係ない蛇足」への4件のフィードバック

  1. kyunkyun

    ガブリエル・ブレアさんのブログ等の読者コメントにも、「モルモン教は関係ないように思える。」という方もいました。関係しているとすれば、モルモン教というよりも、「結婚するまでは自分の行動を自分で律して、責任を持ち、処女・童貞で」という伝統的カトリック? の所ではないでしょうか。ブレアさんのブログ記事を読んでそう思いました。
    下記コメント欄参照してください。
    ◆https://note.com/famous_bear75/n/n5e35ff710b99

  2. kyunkyun

    すみません。
    名前の記入を忘れました。
    上の「匿名」は、「kyunkyun」の投稿でした。。。

  3. kyunkyun

    こんにちは。
    先の記事、【ガブリエル・ブレア『射精責任』の解説にコメント (2) データ隠すのやめてもらっていいですか】の中にあった、日本のコンドーム使用率についてなのですが、下記は2013年で少し古いのですが、世界比較が分かりやすい図になっていると思います。

    https://honkawa2.sakura.ne.jp/2266.html

    これを見ると、まず一見すると日本の避妊実施率は世界比較では低いのですが、それは単純に女性側の避妊実施率が低いからで、男性側の実施率のみで見た場合、日本の男性の避妊実施率は世界トップクラスで、コンドーム実施率は世界一です。
    それでも、たぶん実施率が40.7%というのは低いと思われるかもしれません。ただ、色々調べてみると、考慮すべきことが幾つもあるように思われます。

    幾つかの調査を見ると、「女性がコンドームを使わないSEXをする理由」の中には、「積極的に妊活している」「積極的妊活も積極的避妊もしていない」「妊娠してもかまわない」「何も考えていない」「出来たら出来た時に考える」といった回答があります。このような場合には、女性は男性に避妊を(本気の本気で)要求することはなく、コンドーム使用率が低くなると考えられます。
    このような質問項目のある調査の一例として、下記のNGOの調査があります。

    https://ilady.world/data/survey2019_3/

    上記の調査の【Q3】もそうなのですが、男性と女性に別々に「コンドーム使ってますか?」と質問すると、男性の方が女性よりも「使っている」という回答が多いという特徴があります。これは「一人のゴム拒否男性に、複数の女性が惹かれている」ということの現れだと思われます。
    避妊実施率は女性に対してだけ質問するものですが、コンドームに関しては、その実施率の実態は、上記のことを考慮すると、「男性に質問」した方が、より正確な実態が調べられるように思います。

  4. kyunkyun

    すみません。
    上の投稿で、「コンドームnの避妊実施率は世界一」と書いたのですが、上記の2013年の資料によると世界3位でした。「世界一位」なのは2019年と2022年発表の資料からでした。。。

    ところで、ブレアさんはコンドームを使ったセックスの快感は、使わない時の快感レベルを10だとすると、使った時は8くらいなのではないか…と言われていて、下記の『射精責任』の抜粋記事の米印の太文字には次のように記されていました。

    https://shueisha.online/healthcare/143095?page=2

    「※身体的快感の基準を1から10であると議論したとき、とある男性が教えてくれました。『コンドームありのセックスの快感度だけど、実際には9.75、9.8、9.9ぐらいの話だと思うよ。僕は男だからわかるし、違いなんてほとんどわからないよ。違いがあるなんて男が言うのは不誠実だね』ということでした。」

    これがブレアさんの知人男性のことかどうかは分かりませんが、普通に日本語・英語で調べても、これは「人によって違う」というのが実態ではないかと思います。
    ブレアさんの読者男性でも、「私は4~6くらいだ」と言う方もいましたし、「私は2くらいだ」という方もいましたし、「あまり変わらない」という方もいました。

    もっと科学的な研究としては、次のような研究があります。
    これによると、「振動刺激」に対しては、コンドームの影響は確かにあるようです。

    https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3947033/

    また、先の「あまり変わらない」という男性の方は、ある仮説を持っておられて、「割礼が影響しているのではないか?」とおっしゃっていました。これは振動刺激というより、もっと性交運動に関わる「スライド運動」に影響するように思われます。
    確かに、割礼にょって(切り過ぎて)勃起時の包皮がきつすぎる状態で、表皮がスライドする余裕がない場合などに、よくオイル等の潤滑油を利用するという話を聞きますし、日本でもある男性クリニックの先生が自分が包茎手術を受けてそのような状態になったという経験を話されていました。

    心理的には「ラップ越しのキス」という表現をされている方もいますが、物理的な観点からは、よく女性は「コンドームしてもしなくてもあまり変わらない」という方もいて、だから「男性も同じなのでは?」と思っていらっしゃる方も多いのではないかと思います。
    でも、これは適切な対比ではないように思います。
    男性のペニス全体を覆うコンドームは、女性の場合に喩えると、クリトリス、小陰唇、膣前庭、そして膣内を、全部覆うような「女性用コンドーム」をイメージした方が、より適切な快感の減少を想像出来るのではないでしょうか。

    最後に、『コンドームと快感の関係』に関する「主観的な感想の調査」として、2013年のアメリカの調査があるのですが、これは機械翻訳で読む限り、先の「振動刺激実験」のような物理的・科学的なものではなく、アンケート形式での、
    ・コンドーム使用の男性Aさんと、コンドーム不使用の男性Bさんは、どちらも「私は気持ち良かった。興奮した。」
    …という感想を述べているものであり、
    ・AさんとBさんが、それぞれ「コンドームを付けた場合と付けなかった場合」を比べた実験
    …ではないため、あまり参考にはならないように思いました。
    https://tinyurl.com/5zdvthmu
    https://tinyurl.com/24f2afmv

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