超初歩のアドリブ・理論講座をしてみたいと思います。
2、3ヶ月かけて、「アドリブしろと言われてもどうしたらいいかわからない、楽譜に書いてないことはなにもできない」というのから脱出します。最初はブルース、次に枯葉ぐらいで終る予定です。
現代のポップ音楽は、バッハやモーツァルトの時代から2、300年かけて成熟してきたのでものすごく面倒なのですが、基本的なところはそんな難しくありません。
リズムとかの方が修得するのはむずかしいのですが、音階の理屈そのものはごく単純です。基本は、「コード」(和音)があってそれに合ったスケール(音階)から音を選んで演奏する、それだけです。
多くの教則本ではいろいろむずかしいことからじまるのですが、ぼんやり音楽がわかって楽譜読んで弾けるひとは、とりあえずブルースあたりからやるのがよいです。
ブルースはだいたい12小節で、だいがいこういうコード進行です。
F7 | F7 | F7 | F7 |
Bb7 | Bb7 | F7 | D7 |
Gm7 | C7 | F | Gm7 / C7 |
これはブルースやロックのひとたちがやるブルースよりちょっとだけ複雑になってます。一番単純なのはこんなの。
F7 | F7 | F7 | F7 |
Bb7 | Bb7 | F7 | F7 |
C7 | Bb7 | F7 | F7 |
これでもいいのですが、あんまりジャズっぽくないのでさっきのやつを例題につかいます。でも考え方は同じです。
仮想読者として、Ebの楽器(つまりアルトサックス)の人を想定しているので、さっきのFのブルースをそれ用にするとこうなります。
D7 | D7 | D7 | D7 |
G7 | G7 | D7 | B7 |
Em7 | A7 | D7 | Em7 / A7 |
このコード進行のそれぞれのコードによく合う(使える)スケールというのがあって、それがアヴェイラブルスケール(使える音階)と呼ばれます。教則本ではそこでいきなりたくさんでてきてあっというまにむずかしくなるのですが、とりあえず少しずつしっかりおぼえればよいのです。
一番簡単なのは、「ペンタトニックスケール」か「ブルーススケール」をおぼえてそれで弾きまくることです。これは一日でできるのでやりましょう。
さっきのFからはじまっているブルースなら、F Ab Bb C Eb F (ファ、ラb、シb、ド、ミb)、Ebの楽器用にDからはじまってるやつなら D F G A C (レファソラド)だけでがんばります1。
youtubeでF blues backtrackとかで検索するといろいろ出てくるので、それを流しながらとりあえずこの五つの音を弾いてみましょう。(Eb楽器の人はF Bluesとあったら自分ではDだと思ってださい。面倒なことを考えず、マジョリティのFは自分のDだと暗記してください)
これは2小節目とか6小節目とか8小節目とか上の「例題」とちがってますが、 まったく気にする必要ありません 。「Fのブルースである」と言われたらどれも同じです!こまけーこたーいいんだよ、の精神が大事です。
このバックトラックの上で、ファ、ラb、シb、ド、ミb〜とか演奏してみます。Ebの人ならレファソラドをいろんな順番で弾いてみましょう。リズムは工夫してくささい。同じ音をくりかえすのも効果的です。
今日からインプロバイザーです。
というわけで、上のトラックにあわせてファラbシbドミbだけで弾いてみました。みんなも今日から遊ぼう!
まあアルコールがあれば(そして他の人に聞かれないなら)これだけで1時間は遊べますね。ツイッタやめてアドリブしましょう!
- 超初歩アドリブ入門(1) (マイナー)ペンタトニックで適当
- 超初歩アドリブ入門(2) ブルーススケールで適当
- 超初歩アドリブ入門(3) 耳コピに挑戦する!
- 超初歩アドリブ入門(4) いよいよスケールをおぼえる
- 超初歩アドリブ入門(5) スケールは練習しなければならない(指だけでなく頭も)
脚注:
教則本では12のキー(調)でぜんぶおぼえないとだめだと書いてありますが、気にする必要はありません。「いや、おれはF(あるいはD)しかできないんでね。なんか問題あるかい?(ニヤリ)」って言えば他の人はこわがってあわせてくれます。場合によっては「Dだ!」っていって他のひとが合わなかったら、「俺にとってはこれがDだ。おまえら俺をばかにしてんのか?」とか暴れてもかまいません。ただし、ロックな人々の集りに行くとFじゃなくて本当にDでやられてしまうので、Ebの楽器の人は自分から見て超難しいBでやることになってたいへんなことになりますので注意しましょう。おそらく腕力でも勝てません。
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コメント
ブルースの習得にキーとかスケールを持ち出すのをよく見聞きしますがあまり良いアプローチとは思えません
なんでもイイのでとにかく自分の好きなブルースを見つけてさんざん聴く
次に口真似、楽器真似する
間違ってもイイ
どこまで似せられるか勝負するぐらいでちょうどいい
キーとかスケールはそれで行き詰まったぐらいからでもイイんじゃないかと思います
ブルースはキーやスケールで指南できるほど単純じゃないです
多様です
まったくごもっとも。耳で聞いてそれ弾きゃいいじゃん、みたいな。でもそこに行けないひとがけっこういるんすよね。できるひとはすぐにできるのに、できないひとはてがかりも見つからない、みたいになる。それはそれでいいし正しいと思うんですが、私はそうした入門にはちょっと疑問があるのです。私は自分の入門のために、もっとこわくない入門を書いてみたい。もうちょっと見ててみてください。