性的モノ化とセクシー化 (9) セクシー化/セクシャル化/自己モノ化への対抗手段

セクシャル化への対抗手段

というわけで、APA 女子のセクシー化タスクフォースの報告書ですが、とにかくメディアの女子のモノ化と、その影響による女子の自己モノ化には心理学的な悪影響がありそうだということになっている。実際にあるでしょうな。

んじゃ我々は女性の自己モノ化とその悪影響についてどうすりゃいいのか、っていうと、教育と家族の関心と女子/女性自身の社会運動だ、ってことらしいです。

学校教育としては、まずメディアリテラシーやろうと。メディアを批判的・懐疑的に見る方法を教える。ヤセ願望を減らす効果ありとの研究あり。ダイレクトに反モノ化メディアリテラシー教育する可能性もあると示唆したり。

あと、女子スポーツと課外活動を充実させましょう。スポーツや課外活動を通して、身体の見かけではなく身体の能力に目を向けるようにすると、モノ化に対抗できるよい効果がありそうだ。スポーツは自己評価が高まるという研究ある。スポーツ以外の課外活動(音楽やダンス)も期待されるが研究は少ない。それにコンピューターやビデオゲームもどうか、という示唆してたり。まあスポーツやダンスなど体を動かすのは精神衛生と健康にもとてもよいし、おそらく美容にもよいのでどんどん活発にしたいですね。賛成!賛成!大賛成!

さらに包括的性教育。生殖、避妊、初体験を遅らせること、コミュニケーションスキルとか教えると、セックス健康まわりへの悪影響に対抗できるかもしれませんと。

家族の強力に関しては、テレビ番組とかはいっしょに見たりコメントしたりすることによって影響をやわらげたりカンターしたりしましょう。さらには宗教関連の活動や親の社会運動も有効です。ここらへん、なんかアメリカの保守運動とかと関係あるんかいね。

さらに、セクシャル化に対抗する女子グループ作るのを助けましょう、とか。当時は「ガール・ジン」とかっていう女子が集まって同人雑誌作るのが注目されてて、これは女子のホンネとか流通させることで商業主義的な大手メディアの影響をやわらげられるかもしれんとかそういうことでしょうな。女子で仲間つくる意義もでかい。おそらく男子の視線を気にするから自己モノ化するわけで、とかそういう発想がある。

ちょっと注目したのが、その流れで、ネット(ブログ等)つかってセクシャル化批判しましょうおすすめフェミニスト書籍を読ませましょうとか、そういうのがあって、なるほど、そういうのがメディアの女性のモノ化批判するブログや掲示板が隆盛になった背景でもあるのね、と納得しました。そりゃAPAが、悪影響のお墨付きくれてるならぜひ活動してモノ化して女子を自己モノ化に追いこむ悪い奴等を糾弾しないとならん。

とかそういう感じ。英語圏のフェミニズム運動がもりあがっているのが感じられます。

メディアの影響による男性による女性の性的モノ化から、メディアの影響による女性の自己モノ化の問題へ

こうしたメディアのセクシー化から、女子の自己モノ化、そしてその悪影響、というAPAの筋は、それ以前の80〜90年代のフェミニストたちのポルノが性暴力の原因、とかって議論よりは見込みがあるんですよね。何回か書いているように、男性がポルノを見て性暴力するようになる、みたいなのはほとんど実証できない。へたすると逆の効果もありそう(ポルノで満足して性暴力が減る)。それに比べるとこのAPAレポートは、メディアの男性への影響ではなく女性への影響を問題にしていて、それらはずっと実証しやすい。女性のファションとか化粧とかメディアの影響をもろに受けてるのはあまりにも明白だし、おそらく体型やふるまいについてもそうだろう。

そして、女性が自分の体を他人から見られるモノとして強く意識することは、女子自身の精神衛生に悪影響がありそうだ、というのもけっこう膨大な研究がある。

となると、世に溢れる女性をつかった性的な表現を批判し非難するには、女性の自己モノ化、特に子供たちに与える影響に対する意識を高めるのがいい。いやいや、これは書きかたがわるくて、そうした悪影響にこれまでちゃんと配慮されてなかった、ということが反省されるようになるわけです。

でもこれって、子供に限らず、日本でいろんな広告とかが問題になるときについてある種の洞察を与えてくれますよね。「男性視線の性的モノ化がいかんのだ」とかっていうことになると、「なんで見て楽しんでるだけなのに悪いんですか」とかっていう疑問に答えないとならないわけですが、世に溢れるセクシーな表現を見ると、女性は自己を見られる「モノ」として考えざるをえなくなり、それが女性の息ぐるしさや、各種のメンヘル問題につながる。実際、アニメやアイドルやその他を見て気分が悪くなるひとはけっこういるようで、それはそうした作りだされた女性像と自分自身を比べて身体不満とかその手のいろんなネガティブな心理的状態になるからだ、というのは悪くない説明な感じはあります。

ただもしこの手の考え方をとると、モデルさんたちをつかったセクシーだけど女性が毅然として下着広告とか、かわいく元気で主体的アイドルのダンスとか、そういうのもやっぱり女性の自己モノ化を促進しそうで、そういうのも問題だということになりかねない。まあ実際問題そうかもしれません。

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コメント

  1. アリア より:

    >世に溢れるセクシーな表現を見ると、女性は自己を見られる「モノ」として考えざるをえなくなり、それが女性の息ぐるしさや、各種のメンヘル問題につながる。

    自分ではない絵や映像なのに自他の区別ができす精神が未熟なだけですよ
    早くカウンセリング受けろとしか言いようがないですな

  2. 匿名 より:

    アリアさんさぁ…
    広告は精神が未熟な年端の行かない子供も見るんだよ?
    何言ってるんだとしか思えないコメントつけまくってるけど、君こそカウンセリング受けたらどうなのかな?

  3. トーク より:

    匿名さんこそ何言ってるのかと言いたい
    精神が未熟ならなおさら早く自他の区別ができるように親が教育させるべきじゃないですかね

    判断のできない子供にとって危険だから外で車を走らせるな!ということですか?
    違うでしょ
    危険ならなおさら親が分別がつくように教育させるべきでしょ
    それまでは子供を一人にさせないとか配慮は親がすることです
    社会の側が無限の配慮するなんて世の中ありえませんよ

  4. アリア より:

    匿名さんへ
    「○○でないといけない」「○○をしないといけない」と思い込むのは強迫性障害という病気ですよ
    本当にそんな人がいるなら、歪んだ思考をしないで下さい、と呼びかけることであり表現を制限するのは間違ってます
    自分でどうにもならない病気なら早く病院に行きなさい
    あるいは親が「自分は自分であり他人は他人」という人間社会の常識をまず教えてあげてください

    それで元々の話の
    「世に溢れるセクシーな表現を見ると、女性は自己を見られる「モノ」として考えざるをえなくなり、それが女性の息ぐるしさや、各種のメンヘル問題につながる」
    これの因果関係が不明だしそんな人が本当に実在するのかすら怪しいんですよ
    単にセックスヘイターが気に入らない表現にイチャモンつけるために支離滅裂なトンデモ論を言い出してるだけですね

    例えるなら
    アイドルのコンサートを楽しみにしすぎて徹夜出待ちして風邪ひいた、あるいは睡眠障害になった
    これはコンサートが原因だ
    と責任転嫁してるようなものです
    勝手に自分で変な思い込みをして勝手に自爆してるだけなのに責任転嫁の論法をするとは見苦しいですね
    なぜ勝手に自爆した人の対応をしないといけないのでしょうか

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