Superfly「愛をこめて花束を」、パスピエ「永すぎた春」、Radwimps「正解」

Superfly 「愛をこめて花束を」

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(おそらく)女性の歌詞にしては花束を贈るとかなんか気前がよいと思う。素直な感じの歌詞に曲調で、カラオケとかで歌うと気分があがりそうでもある。

このタイプのは私はあまり聞く機会がないので、学生様に教えてもらう一方よね。林檎先生聞く人々とSuperfly聞く人々というのはやはりずいぶん違うタイプの人なんじゃないかという気がするんだけど、最近わたしはそうした趣味とパーソナリティ・ライフスタイルみたいなのに興味があるわけです。あいみょんはまた違うわよね。


パスピエ「永すぎた春」

https://www.uta-net.com/song/211857/

Superflyとかがわりと堂々と地に足のついた正常さが売り物なのに対して、このバンドなんかはサブカル風味や内省、自己反省が強いと思う。サブカルというよりボカロ音楽風味があるんかな。前はこういう感じじゃなかったんじゃないかという気がする。

三島由紀夫先生のあれと関係あるんだろうけど、読んでないんよね。

例の「ポップ音楽リテラシー」の話によせると、歌詞とかについてもいろんな基準でタイプ分けできないかと思っていて、チェックリストできないかなあ。「恋愛を歌っているか/それ以外か」で大きく分けられそう。「自分自身を見ているか/それ以外か」とかもあるかね。歌詞の複雑さはどれくらいか、みたいな基準もあるように思う。あとでちょっと考えよう。


Radwimps 「正解」

https://www.uta-net.com/movie/260329/

紹介してもらった曲のなかで、これが一番ひっかかった曲でしたわ。どうももとから中高の卒業シーズン向けの合唱曲にすることを前提とした作曲なんですかね。学校の卒業に際して、友達に感謝と別れを告げている。それはわかる。でもその友達の像があんまりはっきりしない。

最初は「この先に出会うどんな友とも分かち合えない秘密を共にした」。まあ中高の友達ってそういうことありますかね。「それなのにたった一言の「ごめんね」だけ/やけに遠くて言えなかったり」。この「ごめんね」が、男子中高生だとちょっと子供っぽいように思う。この「友」がはじめて恋愛してはじめてセックスした異性の相手だったりしたら、まあ「ごめんね」もいいかもしれないし、「どんな友とも分かちあえない秘密」みたいなのはわかるけどそれでいいのだろうか。

明日も会うのに〜明くる朝」もなんかへんで、「次の日も会うのに〜明くる朝」よね。このバンドの曲は、こういうなんかちぐはぐな日本語が目につくような気がする。あくまで印象なんだけど。

これまで「出会ったどんな友とも/違う君に見つけてもらった/自分をはじめて好きになれたの〜」。ここもよくわからないけど違和感がある。「君はこれまでであったどんな友とも違う」って言ってるのかな。そして「君に見つけてもらった自分をはじめて好きになれた」のかな。まあ友人から自分の言いところを見つけてもらって、それで自分に自信がつく、みたいなのはよい経験なのだろうと思う。このバンドのソングライターであるボーカルは、(リーダーの?)ギターからバンド誘ってもらったとかって話があるようで、そういうのが背景にあるんかなあ。

「並んで歩けど/どこかで追い続けていた/君の背中」。これはわかります。まあ友達だけど尊敬している、内緒だけど追いつきたいって思ってる、って感じでうまいと思う。でもなんで「歩けど」なんて言葉づかいするんだろう。

この友達から教わったことはたくさんあるんだけど、その友達当人との仲直り方法、女子の口説き方、興奮している夜の眠り方、なにかで負けたりしたときの回復方法、こういうのはわかるけど、「傷ついた友の励まし方」はこの友人を励ましてるのか、この友人といっしょに別の友人を励ますのか、どっちだろうかと気になる。最初の「仲直りの仕方」も友達本人だとすれば、この「励ます」のも本人かなあ。でもこのどちらも当人から教えてもらうというのもなんかへんな話よね。経験から学んだ、ということなんだろう。それにしてもなんか違和感がある。それだったら教えてもらっというよりは、いっしょに大人になってきたよな、みたいな話になるんちゃうかと思うんだけど。

んで、3コーラス目が一番違和感がある。

「あなたとはじめて怒鳴り合った日/あとで聞いたよ/君は笑っていたと」。これ、「あなた」と「君」は同一人物なんかな。ものすごく混乱する。「あなた」は男子の友達としてはずいぶん距離がある感じよねえ。

一つの解釈は、この聞き手は年上の人物、たとえば教師だと読むんだと思う。それが「君」になるってことなんかなあ。

「想いの伝え方がわからない/僕の心/君は無理矢理こじ開けたの」もよくわからない。同意がないのにこじあけてはいかんですなあ。教師なのか、あるいは男子どうしのなにかなのか。

けっこう謎の多い曲よねえ。まあ古いタイプの合唱曲みたいでしんみり歌いやすいので人気があるみたいだけど、どうもよくわからない部分が多い曲だと思うし、聞いている人々はどう解釈してるんかなと思う。

最後のコーラスの「次の空欄に〜」の部分はあきらかに教師からのテスト問題とかが想定されてますわね。

この曲のタイトルは「正解」で、メッセージとしては「人生には正解はない」ってな感じなんだろうけど、それ自体だとなんか月並すぎるようにも思う。「答がある問いばかりをおそわってきたよ」とかっていうのもこれ自体が陳腐で、学校の教師というのはまさしく「答はないんだ!」みたいなの言いそうで、正解ばっかりおそわってきたとかっていうのがなんというかテンプレにはまっている感じもして、それもなんかへんな感じがする。

このバンドの曲は、かなり平明な言葉をつかうんだけど、なんとなく語り手の視点がさだまらない感じがあって不安になってしまう。林檎先生みたいにもっと面倒につくってあれば「まあこれは面倒な曲なので面倒な仕掛けをして面倒なことを表現しているのだろう」ぐらいで納得なんだけど、サウンド的にも歌詞的に素直な感じがあるので不安になるんよね。

それにどうもメッセージというか歌詞にある思想みたいなのが、男子中高生としては素直すぎるというか、よい子すぎる感じがある。この曲、いかにも正解の歌詞、正解のメロディー、正解の伴奏、みたいなことさえ言いたくもなってしまう。私がひねくれてるのかなあ。

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