椎名林檎「熱愛発覚中」、仲村宗悟「カラフル」、Mrs. GREEN APPLE「ロマンティシズム」

ここ数年、この時期に学生様におすすめの曲とか教えてもらうことが多いです。今年も数曲。いつものように勝手な印象評しよう。


椎名林檎と中田ヤスタカ「熱愛発覚中」

歌詞はこれ https://www.utamap.com/showkasi.php?surl=k-131113-130

まあ林檎先生らしい何を言っているかわからない歌詞で、あんまり整合的な解釈しようとして無駄だろうとは思う。IOCとかCRPとかSpO2とかMRIで輪切りにしてとか、なんか肺炎が関係あるみたいで、今年のコロナブームを予言してるような感じよねえ。発病しているのかどうか私をMRIで検査してみてください!宣告希望!みたいな感じ。

PVはおかしいし、先生のおっぱいすごいけど、歌詞とは関係ないっすね。一回カンフーサイボーグやってみたかったんだろう(おっぱいもサイボーグ)。私はライブのやつの方がすき。これはよい。アレンジもこっちの方がいいな。


仲村宗悟「カラフル」

歌詞はこれ http://j-lyric.net/artist/a05db7a/l04fbdc.html。

声優やってる人らしい。声がよい。それだけでもてそうだ。ミスチル風味を感じる。バンドサウンドという感じ。AABBCCみたいな形式で、つなぎのBのところで半分のテンポにしているのが工夫している。

「ストーリー」「曇ーりー」「僕は一人」とか軽く韻を踏んでるか。

「最高な結末の恋/関係ないねいつも素通り」が微妙なところで、最高な結末の恋ってのもおかしいけどたとえば(女子的には)結婚を意味するのかもしれないけど、この人はそれは関係ない、そういうのは素通りすると言っている。そういうの関係なく、「僕のスケッチ」で君との関係を描くのだ、といっている。冒頭で「難解だって僕のストーリー」ってなことを言ってるので、とにかくこのひとは「僕」の好きなようにやりたい。どんなことをするのだろうか。

「「待って」だって?そんな時間なんてない」ってことなのでこの人はおそらく急速に相手に迫るタイプ。「動いてからきめりゃいい」というまあそういう行動派ですな。んでまあカラフルな、誰もみたことのないプレイをするのですな。ちがうか。


Mrs. Green Appple 「ロマンティシズム」

https://www.uta-net.com/song/265825/

この曲はAABBCCDDEEみたいなので要素テンコモリ。部品こんなたくさんいれてたらふつうは収拾つかないと思うんだけどそれなりの構成感はある。けっこうな腕だな。

僕と私の二つの一人称が出てきて、これ同一人物なのか、二人なのか。そもそもBの「白熊のように涼しげでいたいの」の部分はその前までの人と別人かなと思うんだけどどうだろう。か。

「イマドキドキドキ」のところはけっこうよい。「さすがにそろそろあなたに恋する私に気づいてほしいのです」は「さすがに恋する」ではなく、「さすがに私に気づいてほしい」なんだろうな。

んで、ここで「あなたに恋する」といいながら、「愛を愛し恋に恋する僕らはそうさ人間さ」の非常に印象的なキメが来て、このシメをもってくるはすばらしい才能だと思う。「恋に恋する」のモトネタは最低でもアウグスティヌスの『告白』あたりまでさかのぼれるやつで、他でも書いてるけどまあ「セックスしたい!」なわけよねえ。それを最後にもってくるんだからなかなかやるなあ。「愛うらがえし故意に恋する」も同じよね。かなり皮肉でもあり、でもまあ「それが人間なんだよ!」ってな感じのポジティブさもある。まあ人間だからすぐに恋愛とかしてセックスとかもしてしまいますが、それが人間ってものです!

「濃(こま)やか」とかそういうふつう使わない言葉を使うの、なんというか知性や学歴のディスプレイなんかね。林檎先生とかはそういう人だからそれでいいんだけど、若者がやるとどうなのかという感じはある。

「濃やか」とかへんな言葉つかうのは(林檎先生以外のアーティストがやるのは)気にくわないけど、「ドクドク独特な苦もあって」とかの言葉あそびはけっこういけてる。

1コーラス目で「勇気をもって声掛ける」、2コーラス目で「勇気を出して触れてみる」。大丈夫かいな。同意は得てますか?「心動いたらあなたに恋する僕を見てほしいのです」。聞いてるときは「心動いたらあなたに恋する」「僕を見てほしいのです」だったけど、「あなたが触られて心が動いたら、(君に性欲を向けている)僕を見てほしいのです」ですな。

「悪戯にも哀を知り君と居たい意味を教える」は聞いても聞きとれない。なんて歌ってるんだろう?そもそも悪戯がなんだかもわからないし。うーん。声かけしたり触ったりするフリーダムな感じ?

このPV、イタリアかスペインみたいな感じの場所とそこらへんの人つかっていて、まあおしゃれだけどなんか私には違和感がある。どういうひとたちなんだろうな。

「若気の至りなんかじゃ決してないから」いったいこの人はなにしたんかねえ。「悪戯にも哀を知り」の「悪戯」って「 性的にみだらなふるまいをすること。強制猥褻の婉曲な言い方」ではないよなあ。

まあとにかくこの曲は「僕らはそうさ人間さ」のポジティブな肯定がすべてで、このDの部分の歌詞は他の部分から独立しているというかある程度距離をとってるんじゃないかと思う。あれやこれや、エッチなことをしたりしなかったり、まじめなことをしたりしなかったりするけど、それが(動物としての、あるいは理性的存在者として)人間である、というメッセージが読みとれると思う。この人々にはちょっと注目してみたい感じがある。


林檎先生はともかく、「カラフル」や「ロマンティシズム」みたいな曲を二十前後の女子が聞くと、まじめな恋愛とか言いだせない片思いみたいなのを歌っていると考えるみたいなんだけど、そうじゃない曲っていうのも大量にあるんよねえ。不真面目なのとかチャラいのとか邪悪なのとかいろいろあるわけで(仲村先生やグリーアップルがそうだというわけではないけど)、そういう歌詞世界のひろがりとか、人間のさまざまなあり方みたいなのも楽曲を聞きながら考えたいとは思ったり。

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