進捗どうですか (16) 含スウェーデン訪問記

スウェーデン行ってきました。

京大とスウェーデンの4大学の研究協力関係を築く、みたいな企画で、研修でお世話になっている先の研究室も参加するというのでついていく、という企画です。なんか京大から12分野60人ぐらいスウェーデンに行くとかって大掛かりな企画で、一流大学はやることがちがうなあとか、グローバル化とかで大学本部がこういうことをしなければならない時代なのだな、とかいろいろ考えちゃいました。

国際線の飛行機とか乗るのは10年ぶり。っていうか実は私私費で外国行ったことないのです。飛行機はつらいですなあ。あの食事がなければまだましな気がするんですけどね。

朝8時ぐらいにホテルからバスで出発。どうも事務系の人が企画すると、学者も9時から5時までみっちり勉強してもらわないとならん、みたいな日程になってつらい。

初日午前大学交流のための儀式、みたいな感じで各大学の紹介というか自慢話、午後はキーノート講演。質問時間とかなくていかにも儀礼的な感じ。スウェーデンの人口問題とか聞いてて、たしかにこの超福祉国家は日本のインテリから見て理想国家の一つなんだろうけど、なぜうまくいっているのかとか、なぜ日本がこういうふうにできないのかとか興味をもちました。いずれ勉強したい。

どういうわけかストックホルム市庁舎(ノーベル賞授賞式がおこなわれるところ)見学ツアーなんか組まれていて、これも観光というよりは業務ですね。楽しそうにしている人びともいたけど私はこういうの苦手。ふと、いまここにいる理系の人たちのなかにはノーベル賞もらうかもしれない人もいるし、若い人は「♪ノーベル賞でももらうつもりでがんばってるんじゃないのか」みたいな。

夜はスウェーデン大使公邸でパーティー。まさか人生においてそんなとこに行くことがあるとは思いませんでしたね。すごく場違いだし、やられてる偉い人びとの挨拶とかもなじめない。つらい。向こうの大学で教えている日本人の先生たちも来ていて、この人たちは優秀そうでした。なんか同世代かちょっと下だと思うけど、がんばってるなー。偉い。好感もてる人びとでした。

2日目は分野別にスウェーデンのカウンタパートの学者さまたちのアカデミックミーティングみたいなもの。我々はウプスラ大学へ移動。この大学はもう伝統の大学で、15世紀に設立されています。行ったことのあるコペンハーゲン大学より2年ぐらい早くできてる。もう伝統を感じますねえ。

しかし本当にカウンターパートだったのかは謎。ウプスラの人びとはすごく伝統的なスタイルで伝統的な哲学していて、こちら組はなんかわりとコンテンポラリーな感じ。彼らはやっぱり人文学・哲学の伝統みたいなのをすごく意識していて、トークのスタイルもそういう感じ。ソクラテスとかエウリピデスとか。かっこいい。1人だけアメリカのプラグマティズムの人がいて、この人のやってることはまあわかるというか、コンテンポラリーなのは世界中どこいっても同じようなものでレベルもそんな違わない。ネットが発達して読んでるものがまったくいっしょだからですね。もう日本の哲学系の若い人びとの力は世界レベルでも十分いけると思います。英語でどんどん書いてほしいです。

自分はISUSの原稿そのままもっていってもう1回反省しました。すみませんすみません。

この日も9時から5時までみっちり勉強させられました。でも昼に食べたブイヤベースうまかった。

会合はこれで終り。ストックホルムは美しい街なので、1日ぐらい自費で滞在して楽しむべきだったな、とか終ってから思いましたが、もう出発しなきゃならん。やっぱり外国行ったら博物館ぐらい見ないとならんですよね。でも出発前は旅行がいやだしそんなこと考えてる余裕がなくなるのがわたし。

次の日さっさと出発。ヨーロッパに行くのはわりと楽なんですが、帰りの飛行機はいつも苦しみます。人生は苦。

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これ終って、次は研究会で安彦一恵先生の『道徳的であるとはどのようなことか』の合評会のため、できるかぎり精読。20回ぐらいは読んだんじゃないかなあ。でも難しい。っていうか文章が悪いと思う。かなり苦しむ。まあ読書百遍、みたいなところはあってだんだんなにをしたいかわかってきて、勉強しているしオリジナルなことも考えているし偉いと思います。安彦先生は私の学者(もどき)生活のモデルの一人でもあるんですよね。不器用でもとにかく地味に勉強を続けているのはほんとうに偉い。

しかしレジュメにするのはなかなかたいへん。木曜にやっとメモ書きみたいなの作ってメールして。金曜は書類書いたりしてつぶれてしまい、土曜本番。

今回の研究会はけっこうおもしろかった。中絶と「われわれ」の形而上学、自由と責任2本。若い人びとは優秀だ。いろいろ勉強になりました。特に責任の話は私も昔ちょっとだけ手をつけて放っているので、もうちょっとやりたい。若い人びとにくらべると自分の発表はだめすぎて恥ずかしい。まああれじゃ失礼すぎるので、ちゃんとしたレビューにして某所に載せてもらいたい。それにしても、もう私はまともな発表はできないのではないかといろいろあれですが、それでも人生も勉強も続きます。無理はしないけどがんばります。

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