世の中にはちょっとしたいやなこととがあってもすぐに立ち直れる人と、同じことをくよくよ考えこんじゃったりして動けなくなったりする人がいるわけですが、あんまりくよくよしているとあれなので対策を考えないとならんですね。私も同じことを歩きながら酒飲みながら寝ながら考えちゃったりしちゃいます。けっこう苦しい。
ボブ・ディラン先生の歌にDon’t Think Twice, It’s Alrightって曲があるけど、まあそういうことを歌った曲でしょうなあ。
くよくよ考えたってたいしていいことがあるわけじゃないし、明るい友達とかからは「なにそんなこといつまでぐちぐち言ってんのよ!」とか言われちゃうし、自分でもなにやってんだかわかんなくなって非常に精神衛生に悪いですよね。
自分自身では同じことを2回も3回も考えているうちに、まれに新しい発見があったり別の解釈が思いついたりして、楽しいときもあるし、仕事の上でもちょっといいところでもあるかと思ってはいるのですが、そればっかり考えてると他のことができなくなっちゃって仕事先延ばししちゃったりしてドツボに陥いるのでコントロールしたい。
これもまあうつ病の行動療法とかで研究されているところで、「反芻 rumination」とかって言われてます。あなたは牛さんとか山羊さんの仲間なんですな。もぐもぐ。もぐもぐ。基本的な対策は(1) とにかく止める、(2)あとで解決する、の2点。
1点目のとにかく止めるのは、体や精神になんかそこそこ強い刺激を与えると、注意がそっちにとりあえず我にかえることができる。なんか腕に輪ゴムをはめておいて、同じことを考えてたら「パチン」とはじく、なんてのがあったりします。一回やってみたけどかっこ悪すぎる。おしゃれなミサンガみたいなんだったら大丈夫かも。自分で手の甲やほっぺた叩いてもいい。耳の横でちりーんって鈴を鳴らすとか。でもこういうのもかっこ悪いですね。これ教えた学生様のなかには顔の横で両手を広げた「なしよ!」のポーズをするなんて人もいました。「こんちくしょう」とかって口ぐせぶつぶつ言いながら歩いている人も、まあそれなりの仕方で反芻を切ろうとしているわけでしょうなあ。まあなんでもいいから気をそらす。
でもまあこれじゃ解決にはならんです。ちょっと空き時間ができたりして他のものに対する注意が弱くなると反芻は何度でも襲ってくるんでね。
何度も名前を出しているセリグマン先生によれば [1]おそらくこれセリグマン先生がオリジナルじゃないと思うんですが、オリジナルが誰だかわからんです。 、われわれが出来事や経験その他を反芻しちゃうのは、それが大事なことだから忘れないように反芻するんだろう、ってことで、忘れようったって忘れることができない。だから逆に憶えてよく考えちゃえばいいってわけです。基本的にはうざい思いを紙に書きだして白日のもとに晒しちゃう。まあ紙に書いてると誰かに覗き見られたりしていやだから、コンピュータの秘密のファイルにでも書いておきましょう [2]ツイッタとかに書いてもいいですが、あとで揉め事の当人にバレたりしてえらいことになるのであんまりおすすめできない。 。こんなときにこんなことがあってこんなことを感じた、あいつはいつか殺す、みたいな感じで。恨み魔太郎とかそうして殺す手帳をつけてあとで恨みを晴らしています。さすがに魔界のプリンスだけあってネガティブなエネルギーを使う方法を知っている。恨みじゃなくて自己嫌悪とか失敗とかそういう人の場合も、正直に書いといたらいい。
最近のコンピュータはファイルの暗号化とかもできるので安心です。好きなだけ書いてみてください。少し楽になるでしょうし、思い出すことが少なくなるし、「こうやって恨み晴らしてやる」とか「次に同じことがあったらもうちょっとうまく対応しよう」とかポジティブなことを考えられるようになります。おそらく次はうまくいくでしょう。
もっと本格的なのは「認知行動療法」とかで検索してみてください。親切な人が丁寧にいろいろ教えてくれます。
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コメント
3年ほど前の卒業生です。ちょうど仕事であった嫌なことをぐるぐる考えてしまっていたので、「同じことを何度も考えてしまう」みたいなキーワードで検索したところ偶然先生のブログに辿り着きました。先生の授業やゼミでよくこの手のお話は聞いていて、なるほどと思い実践していましたが、社会人になって忙しさですっかり忘れていました。明日は手首に輪ゴム着けて会社行きます。