MeToo本家の「はじまり」と「歴史とヴィジョン」を訳してみました

MeToo運動が一部で話題になっていて、まあ話題になるべきだと思うのですが、その運動の創始者たちがどういうことを考えているのか日本語で読めるものが少なかったので、おそらく元祖・本家であるところの https://metoomvmt.orgの文章を訳してみました。著作権とかクリアしていませんが、運動の宣言文なのであんまり文句は出ないだろうと判断しています。もちろん私はなんのクレジットも主張しませんので、誰か手を加えてまずいところ修正するなりして彼女たちに送ってもらえれば、日本語ページを作るときに役に立つかもしれませんし、立たないかもしれません。

まず創始者ダラナ・バーク先生による「そのはじまり」。力がある文章で正直感動しました。やはりかざりのない実感のこもった言葉には力があると思います。ぜひ読んでほしい。 https://metoomvmt.org/the-inception/

MeToo、そのはじまり

「Me Too運動」™[1]TMついてるんですね。は、私の魂のもっとも深く暗いところからはじまりました。

ユースワーカーとして、おもに黒人と非白人(of color)の子供たちを世話をするなかで、私は胸が引き裂かれるような物語を私なりに見聞きしてきました──崩壊家庭から、子供を虐待的する、あるいはネグレクトする親まで──そういうなかで、私は少女ヘブンに出会ったのです。

ユースキャンプでの女子だけのセッションのあいだ、クラスに参加した少女たちが、自分の人生についてごく内密な話をわかちあいました。その一部はごくふつうのティーンの不安についての話でしたが、なかにはとてもつらいものもありました。それ以前に何度もやっていたのと同じように、私は座ってその物語に耳を傾けました。そして、必要とするように少女たちをなだめました。そのセッションがおわったあと、大人たちが若い女子たちに、もし話すことが必要だったら、あるいはもし他のことが必要だったら連絡するように、とアドバイスしました──そして私たちはまた別々のことをしはじめたのです。

次の日、ヘブンは──ヘブンは前夜のセッションに参加していました──私にプライベートに話したいと言ってきました。ヘブンはかわいい顔をした少女で、キャンプのあいだ中私にまとわりついていました。しかし、ハイパーアクティブで時々怒りに満ちた彼女の振る舞いは、彼女の名前にも軽くてハイピッチの彼女の声にもふさわしくないもので、私はある種の場面ではよく彼女をふりはらってしまっていました。

その日彼女が私に話をしようとしたとき、彼女の目から、その会話はいつもとはちがったものになることがわかりました。彼女は深い悲しみをかかえていて告白したいと思っていて、私はそれをすぐによみとれたので、かかわりあいになりたくないと思いました。

しまいには、その日遅くに彼女は私をつかまえて、聞いてほしいとほとんど懇願するかのようでした。私はしぶしぶそれを認めました。そのあと数分間、このこども、ヘブンは、なんとかして私に「ステップダディ(義理のパパ)」──正確にいえば母親のボーイフレンド──が彼女の発育途中の体にあらゆるひどいことをしている、と伝えようとしたのです。私は彼女の言葉がこわくなり、私のなかの感情はあれくるいました。

私はもう聞くことができなくなるまで耳を傾けました/それは5分にも足りていませんでした。そして、彼女のそばで痛みをわかちあっているとき、私は彼女をつきはなしてしまい、すぐに、「もっとうまく助けることのできる」女性カウンセラーのところに行くように言ったのです。


私は彼女の表情を忘れることはぜったいにできないでしょう。

私は彼女の顔の表情を忘れることができないでしょう、それはずっと私につきまとっているのですから。私は彼女のことをいつも考えています。拒絶されたことのショック、傷を開いても突然むりやりそれをまた閉じられることの痛み──それが彼女の顔に表われていました。私は子どもたちをとても愛していて、子どもだちをとても気づかっているのですが、私は彼女がもっていた勇気をもつことができなかったのです。

私が彼女を愛していたのですが、私は、私が理解していること、私は彼女とつながっていること、私も彼女の痛みを感じることを使えるエネルギーをふるい起こすことができなかったのです。私は彼女の恥の感覚を解放することもできず、起こったことはなにも彼女のせいではないことを彼女に納得させることもできなかったのです。私は自分の頭のなかで何回も何回も鳴りひびいている言葉を声に出して言う強さをもっていなかったのです。彼女は自分が耐えていることを私に伝えようとしたのに。

私は彼女が私から歩き去るのをみました。彼女は自分の秘密を拾いなおして、またそれを隠れた場所にもどそうとしました。私は彼女がまた仮面を被りなおし、ひとりぼっちの世界に戻るのを見ました。そして私は一人でつぶやくことさえできなかったのです。「私もなのよ」と。

– Tarana Burke
Founder, The ‘me too.’ Movement

歴史とヴィジョン。https://metoomvmt.org/about/#history

歴史と展望

「MeToo」運動は、2006年に性暴力の被害者(サバイバー)、特に黒人女性と少女たち、そして他の恵まれないコミュウニティの非白人の若い女性たちが、回復への道を見つけるのを支援するためにはじめられました。そもそもののはじまりから、私たちのヴィジョンが向けられているのは、性暴力の被害者のためのリソース不足と、被害者自身たちによって主導される支援者のコミュニティを建設することでした。支援者たちは、いずれ自分たちのコミュニティでの性暴力を阻止する解決策を作りあげる最前衛で働くようになるでしょう。

6ヶ月にも満たないうちに、ウィルスのように広がった #metoo ハッシュタグのおかげで、性暴力についての活発な談論が、国をあげての対話へ入り込んでいきました。地元の草の根作業としてはじめられたこおが、被害者たちのあらゆる界隈でのグローバルなコミュニティへと届くまでに広がり、世界中でおこなわれている性的暴力の広範さと衝撃を表に出すことで、性暴力被害をサバイブするという行為のスティグマをとりはらう助けとなりました。

私たちの課題は、それを必要とする人々に、個人個人の回復のための入口を見つけること、そして、性暴力の世界的な増殖を生みだしているシステムを打破するために、サバイバーのための大規模基地にエネルギーを供給することに向けられています。

私たちのゴールは、幅広いスペクトラムのサバイバーたちの必要に答えるために、性暴力にまつわるグローバルな会話を再編成しつつ拡大することです。少年少女、クィア、トランス、障害者、黒人女性・少女、そしてすべての非白人(of color)コミュニティ。私たちは、加害者の責任が問われることを求めており、長期的な体系的な変化を維持できるような戦略を求めています。

「MeToo」運動は、性暴力の被害者とその連帯者を支援します。それは、被害者をリソースに結びつけ、コミュニティに組織化のためのリソースを提供し、「MeToo」政策のプラットフォーム建設に従事し、性暴力の研究者およびその研究を集積します。「MeToo」運動の作業は、性暴力を阻止する草の根の組織化と、被害者をリソースに結びつけるデジタルコミュニティーをブレンドしたものになります。

「MeToo」運動は、共感とコミュニティベースの行動を肯定するものであり、その作業は被害者主導によるもであり、各種のコミュニティの必要に応じて特定されたものになります。

タラナ・バークは「MeToo」運動を、貧困コミュニティー出身の黒人女性・少女とともにはじめました。彼女は、黒人コミュニティおよび広い範囲の社会のなかで性暴力についてディスカッションするため、その文化をふまえたカリキュラムを開発しました。同じように「MeToo」運動はそれぞれのコミュニティーで、そのコミュニティの特定の必要を満たそうと運動している人々を支援しようとします。たとえば、非白人で障害をもつトランスのサバイバーが、他の障害をもつトランスのサバイバーとのイベントをもったり、ツールキットを作ったり、そうしたことをするのを支援します。いっしょになれば、私たちは性暴力を阻止するグローバルな運動を強化するため、おたがいを励ましサポートすることができるのです。


こうして読んでみると、もちろんよく読めばコメントしたいことも出てくるのですが、がんばってほしいとも思います。また、現在日本のネットで流通している#MeTooの発想とのあるていどの距離も感じてしまうわけですが、それは専門家の人々がいろいろ検討しているところでしょうから、私がここでコメントするのはさしひかえたいと思います。

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1TMついてるんですね。

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