前にジャズライブの楽しみ方っていうのを書いたんですが、最近はライブハウスでみんなで楽器もって遊ぶ「ジャムセッション」っていうのに参加するようになったので、それの楽しみ方(あるいは苦しみ方)をレポートしてみたいと思います。
どうも最近、ライブハウス(とプロ/セミプロのミュージシャン)の営業の一環として、ジャムセッションやるお店がけっこうあるみたいなんですよね。ジャズ曲でやる店もあれば、ポップス曲でやる店もある。
まああんまりお作法みたいなものを考えてもしょうがないので、楽器弾ける人や歌歌いたいひとは敷居の低いところ探してどん
お客さんはお店によっていろいろですが、京都だとわりと高齢者というかシルバー世代もいらっしゃいますね(私ももうシルバー)。腕の方もお店次第、お客さん次第という感じ。私は底辺に近いところにいます。
そういうところでどうふるまったらいいのかの手引きみたいな本もけっこう出ています。
でも、そういう場所に参加している人間が何を考えているのか、特になにも弾けないくらいの初心者が何を考えているのか、っていうのは書いてみる価値があるかもしれないので、やってみましょう。
Crazy Race
この店のジャムセッションは8時にはじまることになってます。そしてホストバンドが1曲演奏するならわし。ホストバンドはギター、キーボード、ベース、ドラムの4人です。皆さん腕ききでなんでもできる。本日はさらに女性ボーカルもゲストで参加して、なにをやるのかと思ってたらRoy Hargroveの Crazy Raceでした。この店でやるのははじめて聞きました。前回はディアンジェロのSpanish Jointだったかな?ホストバンドの演奏能力を示すために、ちょっと難しめの曲をやる感じですね。
Chameleon
多くのお店では、お店に来たお客の参加者はノートに名前と楽器、そしてやりたい曲なんかを書いてエントリーする感じです。ホストリーダーがそのノートを見ながら、あんまり偏らないように演奏する人を指名する感じですね。
この演奏順はジャムセッションを観察しているときのポイントです。お客には上手でなんでもできる人もいれば、人前で弾くのは初めてっていう超初心者もいます。上手な人は当然上手な人どうしでやりたいのが普通ですが、初心者とやるのもOKという人もいれば、下手な人と弾くのはちょっと勘弁、という方もいるかもしれない。そこらへんの人物の腕と空気を読んで、演奏する人を指名し、演奏する楽曲を決めていくわけです。
え、私はいったい何者かって? 遅くなりましたが、私はこの店のジャムには時々顔を出して、下手なのにキーボード弾いたりしている、わりと迷惑かもしれない高齢者の入口ぐらいのお客です。でもお客はいないよりもいた方がよいだろう。枯れ木も山のにぎわい。それに、あんまりメンバーの腕が上がって演奏が上級者ばっかりになると、初心者が参加しにくくなるじゃないですか。だから初心者や下手な人間も参加すべきだ!という信念で参加しているわけです。
それにまあ、私はジャムセッションのような即興的でハプニングが起こりそうな場所が昔から好きで、ジャズのお店とかで楽器弾けないときからジャムの日とかに行ってお酒飲んだりしてたんですよね。具合が悪いのは、楽器弾かないのにその場所にいると、「なんだろうこのひとは?」みたいな感じの目で見られる。ほら、なにもしないのに批評だけするような人々、悪口ばっかり言う人々っているじゃないですか。そういうのはもちろん嫌われる。
だから、そういう場所で「聞く」のを楽しませてもらうには、自分がどれくらい弾けるのかを示す必要があるんですね。弾けないなら弾けないでかまわないから、どういう人間かみんなに見せとく必要がある。そういうんで、2年ぐらい前からなにか弾くようにしているのです。
さて、私はいつもは「キーボードなら弾きます」ぐらいで参加しているのですが、今回はノートに「某、ベース」って書きました! 実は私はベースという楽器が好きで、本当はベーシストになりたいのです。でも実際にはほとんど弾けないし、大きな楽器もって歩くのもいやなのでベースもっていったことはなかったのです。でも今回はベーシストだ!ということでお店にベースもちこんだのです。
背中にでかいベースのケース背負って店に入ったのですが、「おや、某さん、ベース?」とか言われながら席に着こうとしたら、あちこちのイスにぶつけちゃって「某さん、慣れないものもってるから」とかからかわれてしまう。まあホスト陣とそれくらいの関係は作ってる感じ。
んで、ノートには実は「某、ベース、カメレオン」って書いといたんですわ。カメレオンはもちろんハービー・ハンコック先生のカメレオン。この店のセッションではほぼ毎回やるスタンダードです。
ホストリーダーは、私の音楽全般の腕前をよく知っているので、「え、(いつもキーボードとか弾けてないし歌も下手な)某がベース?弾けるの?」とかそういう顔をしてます。あんまりお客さんの人数が少なく、盛りあがってないうちに、常連ヘタクソの私のリクエストをこなしておく必要もあるわけです。
しかし、ホストの方としては、そもそも私がベース弾けるかどうかわからんわけです。そこで、副リーダー役の人が「リフは大丈夫ですよね……キメのところは弾けますか?」とか聞いてくれるわけです。「うーん、まあ弾けるかも」とか答えて向こうの不安を増やす。
まあしかし、お客がやりたいというなら逆らえないのがホスト。そこで「んじゃ某さんカメレオンやりますか?」とかそういうことになる。こういうのがおもしろいですね。リーダー自身がギターを弾いて、何が起きてもなんとかする覚悟。ドラムはたいへんシュアでファンキーな女性ドラマー。キーボードにこれは初めて来た方(ただしホストメンバーの知り合いなので腕は期待できる)を指名。とにかくベースがだめでもなんとかする、そういう覚悟が美しいですね。
んで楽器をケースから出すと、なんとチューナーがない。出てくるときは確実にポケットに入れたので、どうもタクシーのなかに落としたっぽい。しょうがないのでホストの人から借りてチューニング(チューニングは音を出してはいけません)。
んでベースをケーブルでアンプにつなぐわけですが、はじめてのアンプなのでよくわからない。ホストの人にちょっと調整してもらいます。音量をどれくらいにするかっていうのはけっこう微妙なところがあるのですが、私は控え目にする。音質は私はトレブル(高音)抑えめてにする。OK、いけそうです。
ところでこのカメレオンという曲は、テーマの最後のチャッチャー、チャッチャー、チャラララララーラー、っていうユニゾンのあと、3、4、1、2、3、ドッドッドゥっていうベースの入りが混乱しやすいんですわ。この店では定番の曲だということを先に書きましたが、まあベース簡単なので腕を知るために新顔のベースが来たらやってもらう曲ってことになってるかもしれない。ただしこのキメの最後の部分はけっこう事故が起こる。4回に1回か3回に1回ぐらいは事故ってる感じ。
私はそれ何回か聞いているので、ドラムの人と、サポートするホストのドラムの人と3人で、「ちゃらららーらー、のあとで3、4、1、2、3、4、1、2、3!ですね?」とかそういう打ち合せはするわけです。(ここらへんは私わかってる感じをかもしだそうとしている)
あと、「某さんソロやります?」「やりません、っていうかできません」とか。そういう会話もしておく。とにかく私は同じことを繰り返したい、それだけなわけです。
ソロの順番とかは決めておく場合もありますが、この店のセッションではリーダーがその場で指定して適当にやることが多いです。あと終り方もあんまり相談しないではじめることが多い。リーダーはハプニングが起こることや、メンバーがお互いに聞きあってその場で調整することを求めてるんですね。ここらへんはホストバンドの美学。でははじまります。
何回も練習しているので、とりあえずベースラインは弾ける(それ自体は簡単なのであたりまえ)。あ、はじまったらカズーの人が参加してきた!なんかいい感じになってる!うれしいなあ。(あとでもうちょっと詳しく私がなに考えてたのか書きたい)
https://audius.co/yonosuke/chameleon20251218
ドラムソロの部分ははっきりしてなかったんですが、ギターのリーダーにしたがってテーマの最後の部分をくりかえしてソロとってもらう感じですね。
続きます。



















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