ゼミで自己紹介のスピーチなどしてもらうと、「バイトはカフェでやってます」「ロックが好きです」みたいに話す学生さんがいるわけですが、これはあんまりよくないんじゃないかと思います。なにがよくないかというと、固有名詞が出てこないところ。
ここははっきり、「カフェのベローチェでバイトしてます」「サンボマスターとかの暑苦しいロックが好きです」と固有名詞を出していきたいところです。
「カフェ」って言うよりも「ベローチェ」の方が情報量が多いでしょ?そういうときに学生さんに「はっきり固有名詞を出したら?」って尋ねると、なんかよくわからない。「必要ないと思いました」「そんな有名な店じゃないので」「マニアックなので言ってもわからないと思って」とか答えるわけですが、そんなふうな気を使う必要はないです。そういうのはむしろ聞き手の知識量を馬鹿にした感じでよくないです。
「カフェのベローチェ」「サンボマスターとかのロック」といえばベローチェがカフェで、サンボマスターが暑苦しいロックバンドであることはわかる。「川端四条のスーパーのフレスコ」でいいじゃん。ほんの1、2秒でその情報を伝えることができるのだからそうするべきです。そしたら、「私もよくベローチェに行く~」とか「サンボマスター私も好き~」「フレスコは通ってるわ」とか反応してくれる人もいるでしょ?話が広がるし。とにかく自分についての情報はケチらず出すのがスピーチのコツです。「自己開示」ってやつね。「実は~」と自分についての情報を開示すると知らない人となかよくなれる。
ゼミを休むときだって、「ワコールの二次面接に行ってきます」の方が、「今日は就活なのでお休みさせてください」よりずっと好感がもてる。逆に、固有名とか具体的な話が出てこないと、「なんか話したくないバイトしてるのかなー」とか「あんまり私たちと仲良くなりたくないのかしら」「ズル休みだろう」とかって疑ってしまうものです。つっこみも入れにくくなるし。就職の面接のときも同じね。もうなんでもいいから具体的に話す。
あと、もし「飲食店でバイトしてます」とかってのが、その「飲食店」がキャバクラだったりすると言いにくいこともあるかもしれないですね。でもそういうときは最初から「飲食店でバイトしてます」とは言わないのが大人の暗黙のルールなんよ。なんでもかんでも正直に話さなきゃならないわけでもない。とにかくボンヤリした話はしない、するなら話は徹底的に具体的にすること。
ちなみに、嘘つきな人や嘘を見破る一番重要なポイントの一つは、嘘はたいてい具体的じゃなくてぼんやりしていることに気づくことね。本当の話、そのひとがよく知っていることの話は必ず具体的で細部がある。意図せずして、いろんな固有名や具体的な動作や会話、よけいな豆知識なんかがぽろっとでてくるものです。大学の教員でもぼんやりした抽象的なことした言わない人は本当はその話よくわかってないんよ。そういう人は信用する必要ないし、逆にいえば、ぼんやりした話をしても信用されないってことね。
これとか図書館で借りて読んでみるといい。
嘘つくなら徹底的に、てのではこれがすげーおもしろいよ。
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コメント
ブックマークでdunce先生も指摘しているように情報をどの程度伝えるかってのはまあどの程度親密になるかをコントロールするポイントなんで。上に書いたのは「親しくなるには」「親しみを表現するには」のノウハウのつもりでした。もっとはっきり言えば「お友だちになりたいフリをするには」。逆に言えば親しくなりたくない人に細かい話する必要はないわけですよね。でも面接なんかではマイナスになっちゃうですよね。